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2011年2月 9日 (水)

「美しい隣人」 第5回 傷つける言葉

 いきなり送りつけられてきた、息子の死んだようにも思える寝顔を写したメール。
 絵里子(檀れいサン)は狂ったように、駿クンを探し回ります(結局隣の家で寝ていたのですが)。
 1年前のトラウマが深く心をえぐったままであるがために、その心情は痛いほど分かります。
 そして息子を探し回る絵里子の影は、いつしか沙希(仲間由紀恵サン)の影になっている。
 1年前のフラッシュバックです。

 ここで溺れてしまった息子の隼人クンを発見するまでの沙希の行動について、ちょっと不審な点もないわけではないです。
 沙希は隼人クンと似た男の子たちを片っ端から見つけては確認していくのですが、男の子たちが着ている服がみんな違う。
 ふつう4、5歳くらいの母親であれば、自分の子供がその日どんな服を着ているかどうかくらい、見分けると思うんですが。
 パニックで分からなかったのかな。

 いずれにせよ、沙希が自分の息子を手にかけたわけではない、というのが、ここで判明した気がします、少なくとも表面上は。 …私、ちょっと沙希が隼人クンを溺れさせたんじゃないか、なんて疑ってたんですけどね(相変わらず推理が当たりません…笑)。

 今回の話の大きな柱となっているのが、沙希が越してくる前に絵里子の隣家の住人だった、加奈(鈴木紗羽サン)とそのダンナ(小林正寛サン)。 ドラマにありがちなパターンですが、大阪でこの夫婦は、絵里子の夫慎二(渡部篤郎サン)が沙希を伴ってタクシーに乗り込むところを見てしまいます。 あいた口がふさがらない状態のふたり(笑)。
 この夫婦が大阪からホタル会のためにちょっとだけ戻ってくることで、物語はさらに混迷の度を増していくのです。

 いっぽう慎二は、自分に言い寄ってくる会社の部下亜美(藤井美菜サン)をいきつけのバー 「ネスト」 で一刀両断したことで、亜美の悪意に火が注がれる展開になってしまいます(余談ですが、このバーの名前。 「巣」、という意味ですよね。 私などは反射的にクモの巣を連想してしまうのですが、そのバーに吸い寄せられるように沙希の姿を求めて入っていく慎二の姿は、まるでクモの巣にかかりにいく羽虫のよう。 今回確か絵里子の家の玄関だかの灯りに、蛾がとまっている場面がありましたが、「吸い寄せられてしまうもの」 のイメージの連鎖のような気がしました)。

 ある日絵里子の家にかかってくる、無言電話。 最初駿クンが出てしまったために、何も言えなくなったと思うんですよ、これって。
 再びかかってきたその電話の主は、絵里子を確認してから一言。

 「死んで」。

 絵里子の衝撃は、表現し尽くしがたいものがあります。

 これは沙希ではなく、亜美からの電話だった、というのは考えさせられるものがあります。
 絵里子という女性(翻って、それは檀れいサンを快く思わないかたたちの、彼女へのイメージと大いにダブるようなところがあると感じるのですが)、自分ではまったく普通に人と接しているのに、何か反発を受けてしまいそうな、鼻につく完璧さ、というものがあるように思うのです。
 そんな反発って、結局彼女に対する嫉妬としか思えないんですけどね。

 自分ではまったく悪意などないつもりなのに、他人から 「死ね」 と思われるほど憎まれている…。

 確かに、自分ではそのつもりがなくても、人を傷つけることって、知らない間にやってしまうことが多いです。

 それでも、軽口を叩きたくなるのが人間だし、場をわきまえる、などという判断って、結構難しかったりするんですけどね。
 「死ね」 という言葉には、本当に他人を精神的にダメにしてしまうほどの威力が込められている。
 なにかのきっかけで、誰も見ていないところで、「死んじまえ!」 なんて言ってしまったり思ってしまったりすることって、軽い気持ちですけど常套句みたいに出てしまうことが私にもありますよ、そりゃ。
 でも、他人に面と向かって(この場合は電話ですけど)こう言ってしまうのは、実はその人の魂を殺してしまうことと同じなんだ、と私は思います。
 ブログやってて、そんな局面が何度かあったものですから(「死ね」 と送りつけられてきたことはさすがにないですけど)、絵里子のそのときの気持ちが、すっっっっごくよく分かるのです。 本当に、血の気がサアーッと引きますよ。 言われてごらんなさい(言われたくない!…笑)。

 それを苦悩に歪んだ表情で沙希に話す絵里子なのですが、沙希は自分のダンナの女に同じことを言われた、と話して、絵里子の疑心暗鬼を助長させる精神的追い込みに利用するのです。
 こうして、絵里子の悩みの相談に乗っているふりをしながら逆のことをしている沙希、自分以外にもこの女を憎く思っている女がいるんだ、と内心、ほくそ笑んでいるのかもしれません。

 絵里子はそんな精神的大ダメージのために、ホタル会へ行くことも拒絶、駿クンを沙希がホタル会に連れていくことをしぶしぶ了承するのですが、そのことで夫の慎二と夫婦ゲンカに発展してしまうのです。
 沙希さんもついているしホタル会のほかのみんなもいるし、と言う絵里子に慎二は、それでもひとりで外に出すことには慎重になるべきだ、と咎める。 なんだかんだ言って夫の側も、自分の息子が行方不明になったことに対して、深い傷が残ったままのようです。
 そんなこと分かっているわよ!と声を荒げてしまう絵里子なのですが、それはこのところ三浦理恵子サンのこととか駿クンがよそよそしいこととか、そして 「死ね」 攻撃で相当参っているからこその感情の爆発なのです。
 歯車が、どんどん狂っていく感じが、ドラマを見ていてとてもしてくる。

 そしてホタル会にやってきた加奈サンと旦那。
 駿クンを伴ってやってきた沙希を見て、絵里子さんのダンナと連れ添っていた人なんじゃないか?という疑念を募らせます。

 加奈の今回の行動は、絵里子を励まし、沙希のことを本当に信用してもいいのか?と忠告したりといういいこともきちんと行なっていながら、真由美(三浦理恵子サン)に、絵里子さんの力になってあげて、と言いながら、絵里子さんのダンナが女を連れていた、ということを打ち明けたほか、悪い側面もある。

 人はどんなに完璧でいたいと思い、良かれと思うことだけをしたい、と考えても、結果的にそれが裏目に出てしまうことがあります。
 加奈の今回の行動は、そんな人としての思いが凝縮された、濃い役割を果たしていた気がする。
 結局仲直りした真由美から、ダンナが浮気していることが、絵里子に伝わってしまうのです。 この構成は、見事だなあと感じます。

 精神的な波状攻撃を受け続けた末の、ダンナの浮気。

 絵里子は打ちひしがれて、夜、ホタルの池にやってきます。

 「…きれい…」

 人間関係のドロドロに疲れ果てていた絵里子は、ホタルの純粋さに心打たれたのだと思います。 かがんでそのホタルのはかなく点滅する光を見ながら、さめざめと泣く、絵里子。
 泣けました…。

 私が、何をしたっていうんだろう…。

 私、何か間違っているの?

 どうしてこんなに、うまくいかないことだらけなんだろう…。

 どうして私のことを裏切るの?

 そんな感情が、その背中からにじみ出ているのです。
 背中で演技するなんて、相当なもんだと思いますよ。

 けれどもそんな背中に、近づいていく手がある。

 沙希です。

 何食わぬ顔をして、「心配だからついてきた」 と言う沙希。
 絵里子は、そんな沙希に、涙ながらに思わずこう話してしまうのです。

 「沙希さん…私の友達だよね?

 …
 (沙希の手を握り)私を裏切ったりしないよね?」

 そんな絵里子に、沙希は 「私を疑っているの?」 と反応してしまう。
 ふつう、「どうしたの?」 とか、反応すると思うんですよ、ここは。
 これは、沙希が絵里子のことより、自分のこと中心で思考が回転している表れだと感じます。

 「私…誰も信じられなくなってるの…」

 そんな絵里子の手を上から握り返し、沙希はまるでナイフのような反応を示すのです。

 「…もし私が、絵里子さんを裏切ったらね。

 …

 殺しちゃってもいいから」

 手を離す絵里子。

 「殺すだなんて…」

 「本気よ」

 絵里子は自分が悲しみに駆られて、ぶしつけなことを沙希に言ったことを後悔してしまう。

 「ごめんね…

 …

 信じてるから…」

 ちょっとした言葉で、人が傷つくのを自分が痛いくらい知ってしまったからこそ、絵里子は沙希に謝ってしまうのです。

 絵里子の悲しみが大きくクローズアップされたために、どうして沙希はここまで絵里子を追いつめにゃいかんのだ、という感じが強くした、今回の 「美しい隣人」。
 次回はついに慎二と沙希が、絵里子の前で会ってしまうようですね。

 目が離せません。

「美しい隣人」 に関する当ブログほかの記事

第1回 勝手な先読み、という恐怖増幅の方法
http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/01/1-f59a.html
第2回 鏡の中と現実の浮遊感http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/01/2-50e1.html
第3回 隔離された 「傷つく構造」 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/01/3-31ec.html
第4回 「あたりまえ」 の崩壊http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/02/4-1a05.html

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コメント

リウ様

このドラマ、見なくても良いような気がする時もあるのですが、見てしまうと続きが気になる。
というか、あ、そういう反応ね。そうくるかという感じが
私も、うまく絡め取られているのかな。

お子さんを捜すとき、最初は服装が手がかりだろうけれど、
こんなに探しても見つからないとなると、
誰かにさらわれて、服変えさせられてってどんどん不安がネガティブになるということで、手当たり次第が不自然ではありませんでした。

それより、子どもが行きたがったら、自分を犠牲にするか、子どもを我慢させるかを選んだ方が自然な感じがして、安易に沙希さんに預けるほうが不納得だったのです。ちょっと無理があるなぁと言う感じ。

どうなんだろ、他人の家を壊して満足を得られるという
オチではすまないので、最後は沙希さんの不幸でENDなんですかねぇ。

リウさま

今回の沙希が子どもを捜す場面、服の違い云々よりも、私が気になったのは沙希のハイヒールでした。こんな靴をはく余裕があるのかなということ、そして、こういう靴で走り回れるのかなということでした。
視点が変かも?ですが・・・
これも演出なんでしょうか?

>加奈の今回の行動は、絵里子を励まし、沙希のことを本当に信用してもいいのか?と忠告したりといういいこともきちんと行なっていながら、真由美(三浦理恵子サン)に、絵里子さんの力になってあげて、と言いながら、絵里子さんのダンナが女を連れていた、ということを打ち明けたほか、悪い側面もある。

そうですね。
こういう人っているよねぇ〜と思いつつ見てました。
女性は得てして、こういう側面を持っていますね。どうしてなんでしょう?
本当に相手を思いやっているはずなのに、それと相容れない行動や言葉を(無意識?のはずないと思うんですが)発したりしますね。その後、自己嫌悪に陥ったりすることもあるはずですが。女性の性なんでしょうか?
男性にもこういう部分、あるんでしょうか?

来週も展開が激しそうで、見てみたい気がしてます。

みり様
コメント、ありがとうございます。

なるほど、誘拐されて服を着せ替えさせられて…、あり得ますね。

なんか、このドラマで沙希に関する描写って、とても断片的な気がしてならないんですよ。
疑念をもって見出すと、ひとつとして確実なものがない気がするんです。
それで沙希の過去を示すシーンが出ても、それってもしかして、思わせぶりなだけなんじゃ?なんて勘ぐったりしてしまうのです。

私はこのドラマ、単なるミステリーで実はこうだった、みたいな部分も楽しんでいますが、今回の絵里子の描写に見られるような、「誤解されることってあるんだよなー」 とか、なかなか伝わりにくい良心とか、必要以上に傷ついてしまう構造とか、そんな人間の心のすれ違いの機微に共感しながら見ている感じです。
謎解きも面白いですけど、外れてばかりでシャクなので(笑)、そんな心理劇のほうを楽しんでいます。

rabi様
コメント、ありがとうございます。

ややっ、沙希はこのとき、ハイヒールだったですか! ちっとも気付きませんでした。

みり様への返信にも書いたのですが、なんか沙希の過去の映像とか、いろんな予測が出来てしまう要素が多い気がするんですよ。 今回もハイヒール…ってことは、ひょっとして沙希は隼人クンをほっぽり出してどっか遊びに行ってたとか、そんな気もしてくる。 自分の息子の服もだからなに着てるのか分からない、…そんな推理、どうでしょう?(たぶん当たってないと思います…笑)

女性だけでなく、男もそうです~。

ただ男の場合は、こんなこと言って誤解されてしまったかも…とか、何事も言いっぱなしであまりそんなことにいちいちこだわるのはつまらない、と考える傾向がある気がします。 めんどくさいのはいいよ、みたいな。

でも私の場合は、やはり相手にこう言ってしまったけど、それって相手を傷つけたりしていないだろうか?などと後悔することの連続です。 自己嫌悪にも陥ります。 男っぽくない、ということなのかな?(笑)

リウ様

ヤフーのみんなの声に沙希は東京と大阪にいる双子?という推理がありましたがいかがでしょう。
ビデオを消去しているので話の辻褄があうかどうか確認できないのですがなかなか面白い推理だと思いました。

マッチ123様
コメント、ありがとうございます。

なるほどー、東京-大阪間を行き来するのは、復讐するにしてもカネと手間がかかりすぎですよネ(笑)。
なんか沙希に関しては、現在のシーンも過去のシーンも、提示されているのはとても中途半端で、視聴者の想像にお任せします、みたいな表現が、とても多い気がするのです。
ですからいかようにも解釈できちゃうんですよね。

はじめまして!

ハイヒールの件、私もすごく気になりました。
それに、第5話のことじゃないのですが
沙希が持っていたデジカメの中に残っている
ハヤトくんの写真が、どれもこれも笑っていないのが
とても気になります。
前夫へのDV?も徐々に見えてきてますし、
もしや子供にも虐待・・?なんて思ってしまうのですが、
さすがに仲間由紀恵さんがそんな役をやるだろうか?と、
そういう意味で自分の読みに自信が持てずにいます(笑)
次回も楽しみです。

さとみ様
こちらこそはじめまして! コメント、ありがとうございます。

そうなんですよねー、高知東生サンの土下座シーン、夫がたとえ浮気したからって、あれじゃまるで女王様だ…みたいな描写でした。
そんな女が常軌を逸した復讐に走ってしまうほどの愛情を、果たして自分の子供に注いでいたんだろうか?という気は、どうしてもするのです。
デジカメの隼人クンの写真もじっくり見るとそんな感じですよね。
しかしそんなことを考えながら沙希の行動を見ていると、なんだか自分の罪を認めたくなくて、他人に責任転嫁の矛先を向けている感じがしてきます。
いくらなんでもそれは自分勝手すぎる気もしますよね…。

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    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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