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2011年2月17日 (木)

「美しい隣人」 第6回 信じようとする意志の 「脆弱性」

 人は 「信じたい」、といつも願っている気がします。
 誰かを信じたい。
 何かを信じていたい。
 そして信じられるものが出来ることで、人はそれにすがって生きていく。
 「自分には、信じることのできるものがある」 と、安心したがっているのかもしれません。

 けれどもそんな安心感は、とても儚くて脆い。

 なにかちょっとしたきっかけで、人の信じようとする気持は雲散霧消してしまう。

 そして信じていたものに対して、まるで手のひらを返すように、ネガティヴな気持ちだけが増殖し続けていくのです。

 絵里子(檀れいサン)の場合それは夫慎二(渡部篤郎サン)に浮気されたことが原因ですので、私が今述べたような 「ちょっとしたきっかけ」 とはほど遠い。
 けれども夫の浮気を確信したとき、絵里子は夫に対して、強いネガティヴな感情を押さえることが出来なくなるのです。

 浮気を知らされてモヤモヤした状態のまま、息子の駿クンと一緒に夫の赴任先の大阪に行った絵里子。
 夫に対してこれまで接してきたようにはなかなかなることが出来ず、夫のマンションのシンクで長い髪を発見してからのち、それまでまるで優しい女神のようだった彼女の表情が、完全に怒りに凍りついたようになってしまうのです。
 その表情はまるで、マイヤー沙希(仲間由紀恵サン)が乗り移ったかのよう。

 大阪で一晩泊ったあとの家族3人での朝食時にはすでに、絵里子のところだけ、空気が違う。
 絵里子はかたく凍りついた表情のまま、友人の加奈(鈴木紗羽サン)に会いに行ってもいいかと夫に尋ねます。

 「今日?」

 「ええ」

 絵里子の曇ったオーラにちょっと気圧されたかのように、取り繕おうとほんの少しおどけたような感じで、慎二は絵里子に訊き返します。

 「へぇ~。 …最近会ったんじゃなかったっけ?」

 「会ったけど?」

 数秒、音声が完全に消えます。
 場が凍りつく瞬間。

 この間(ま)。

 このドラマを見ていて、それまでとてもかわいくて模範的な主婦で人付き合いも完璧なように思っていた檀れいサンが、まるで豹変したかのような演技には、正直言って震撼しました。
 この人、私が考えているよりもずっと、奥の深い引き出しをもっている。
 個人的には、私この人に初めて色気というものを見た気がしました。

 いっぽうの仲間由紀恵サン。

 ヤンクミ以上の過激さで、夫の高知東生サンに暴力をふるう回想シーン。

 それはいつぞやの、夫の土下座シーンのすぐ後の展開です。

 このシーン、それまでは、夫が浮気したから土下座したかのような感覚で、私もそんな感じで受け取っていたのですが、実はそれは、息子の隼人クンが溺れて亡くなった直後の話だったのです。
 アンタが仕事でそばにいなかったから溺れ死んだのだ、という沙希に、夫は 「仕方ないじゃないか」  とちょっと反駁するのですが。

 「仕方なくない!(平手打ち)

 あんたが…あんたが悪いんじゃない!

 アタシが悪いって言うの?

 …

 父親っていうのはね、いつだって、子供や家族を守る責任があるの。

 あの日だって、今日だって、
 そんなに仕事が大事?

 家族より大事なの?

 アタシは、こんなにつらいのに!

 …よく仕事できるね。

 …それでも父親?

 父親かって訊いてんのよ ! ! ! 」

 隼人がいなかったら、こんな家族、もうおしまいよ、生きているのがつらい、殺してよ、と突っ伏して声を殺して泣く沙希。 蒼ざめた顔で沙希を見てしまう夫。

 「殺そうと思ったね今。

 殺そうと思っただろ ! ! !

 (夫を壁に叩きつけて再度平手打ち、腹部を激しく蹴り上げ)
 殺そうと思っただろ ! ! ! なあ ! ! ! ! ! 」

 夫の頭を壁に何度も打ちすえる沙希。 ものすごい逆ギレ演技です。 この人の演技も、かなり役者としてのエキセントリックな高みに到達している気がする。 人気だけじゃないです、この人の実力は。

 隼人クンの笑っていない写真が、沙希を見つめています。

 ここで 「あの日だって、今日だって」 と沙希が言ったことはちょっと引っかかります。 「今日」 というのは、おそらく隼人クンが亡くなった当日だったからなのでしょうが、「あの日」 とは?

 ただ私が感じたのは、沙希が自らの責任を棚にあげていること。
 そして、親というものにはそれだけの責任があるんだ、と沙希が思い込んでいる、その原点って何だろう?ということ。
 はからずもこの回、リオ(南圭介クン)と沙希との語らいのなかで、ふたりとも自分の親に対してあまりいい感情をもっていないことが判明しました。
 リオがこの回またまたいなくなった駿クンを必死で探す絵里子に、ちゃんと自分の知っていることを話さなかった、というのも、ここに原因がある気がする。

 高知サンとの住居を引き払ったのち、沙希はネットカフェで隼人クンの着ていた服に囲まれて、その匂いのなかに溺れていました。
 けれども今の沙希は、そんな隼人クンの服を、洗濯機で洗濯している。
 これは、隼人クンの代わり(駿クン)を見つけた、ということを意味しているのでしょうか?
 離婚協議でも、夫と離婚しないのも、隼人クンを忘れないためだ、などと言っている沙希なのですが、夫はそんな沙希の言うことを信用しない。

 「そういう人間じゃないよ、きみは」

 つまり、そういうことなんでしょうね(どういうことだ?…笑)。
 隼人のことなんかそんなに考えてなかったくせに、という意味でしょうね。

 けれども沙希は夫のその言葉に、まるで悪魔のような笑みを満面に浮かべるのです。

 「フフッ…ホントのことを言ってるんだけどな」

 背筋が寒くなりました、仲間サンのこの氷の微笑。

 さてベッドでの情事のあと、沙希は慎二に、自分はけっして遊びや軽い気持ちであなたと付き合っているんじゃない、ということは信じてほしい、と口にします。
 慎二はそれに対して、きみでなければこんなことにはならなかったと思う、と話します。
 これって、不実な自分を正当化させようとしていることじゃないでしょうか。
 慎二は絵里子の心を裏切っている。
 ありていな言い方ですけど、絵里子の夫を信じようとする心を、逆に利用しているんだと思うんですよ。 ごくごく普通に考えれば、夫を信じている健気な絵里子がかわいそう。
 何かを信じようとするのって、砂上の楼閣みたいなんだよなあ、と感じます。

 話は前後しまくりますが(笑)大阪で友人の加奈と再会した絵里子は、自分の気持ちを加奈にぶつけます。

 「やっぱり…やっぱり許せない!」

 加奈はまくしたてる絵里子を制しながら、相手は大阪の女でしょ?ダンナはもうすぐ東京に戻ってくるのだからそれまで静観すべきだと絵里子に忠告します。

 これってちょっと納得いかない。
 だって加奈は沙希が夫の浮気相手だ、ということをうすうす気付いているんでしょうに。

 いずれにしても感情的な絵里子をなだめようとした加奈の気持ちも分かります。
 加奈を見てると、ひとごととは思えない。
 前回真由美(三浦理恵子サン)に慎二の浮気をばらしてしまったことにしてもそうなのですが、自分でよかれ、と思ってしていることが、結果的に人を傷つけることの繰り返しじゃないでしょうか、彼女は。
 謗られても仕方ないところはあるのですが、私は加奈の気持ちがとてもよく分かります。
 よかれと思ってやっていることの裏に、ちょっとだけ、自分でも気付かないところで、自分が優位に立ちたいと思う心が潜んでいる(気がする)。
 私も全く同じ誤解を受けることが、ときどきあるのです。
 たぶん人間としてなってないんでしょうね(自己嫌悪)。

 ともあれ、加奈は絵里子に向かって、こう言うのです。

 「どこまでも、信じる人が強いのよ」

 …

 ここで冒頭の話に戻りますが、人や何かを信じようとする心は、かなりの脆弱性を伴っています。

 思い通りに相手が反応してくれないとき、自分の常識基準とちょっとずれが生じるとき、信じようとする心は簡単に瓦解する。

 なにがあろうと信じ抜く、ということは、実は果てしなく茨の道、なのです。

 話は全く別次元にスッ飛びますが(笑)、離婚してしまう人たちも、おそらくその茨の道が耐えられないんだ、と思うのです。
 そのことをとやかく言う資格など私にはさらさらありません。
 けれども信じ抜くことは大変だ、ということは、このことからもお分かりいただけるかな、と思います。
 いったん信じられなくなると、相手が息をしてるのも嫌になったりしますからねえ…。

 さてドラマは、美津子(草笛光子サン)の快気祝いの席で、慎二と沙希が会ってしまう、というところで次回です。
 いちばんの興味深いシーンが予告で流れていたのに、それが次の回のラストシーンだった、というのはよくある 「釣り」 の手法であります(笑)。
 いずれにせよここでいちばんショックを受けていたのは、紛れもなく慎二。
 慎二の頭の中は、混乱と混沌とカオス(全部おんなじ意味か)で渦巻いていることでありましょう。
 どうなる次回。

「美しい隣人」 に関する当ブログほかの記事

第1回 勝手な先読み、という恐怖増幅の方法
http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/01/1-f59a.html
第2回 鏡の中と現実の浮遊感http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/01/2-50e1.html
第3回 隔離された 「傷つく構造」 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/01/3-31ec.html
第4回 「あたりまえ」 の崩壊http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/02/4-1a05.html
第5回 傷つける言葉http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/02/5-76e0.html

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コメント

リウ様

副題の「地獄の快気祝い」の地獄は渡邊さんってことで。

沙希さんが「だんだん絵里子さんになっていく」みたいなこと言ったとき、これが目的?幸せの乗っ取り?と思ってしまいました。

専業主婦が簡単に離婚を考えない方がいいんだけど〜と
おもいつつ、
絵里子さんの前髪が降りてきてすごく老け込んだ造りになってましたね。
反して、洋服がぶっりこ風のふわふわで「、私、自分に気を遣うの忘れてます。」な演出ナイスです。

反して、渡部篤郎サンの顔に比べて肉体の若いこと。
やはり役者さん、鍛えていらっしゃる。

中間さんのヤンキー弁(?)って結構低い声になるので
女性のヒステリックと片付けられない、何か他にあるのか?という気持ちにさせてしまうので、そこも怖いところです。

でも、裏のドラマもすごく気になり、、、
再放送情報ありがとうございます。

前回の予告の衝撃的なシーンがラストという、リウ様曰く「釣り」にひっかかってしまいました。

NHKの「四十九日のレシピ」も見たかったのですが、こちらは再放送があるみたいなので、そっちで見ようかなと思ってます。「天使のわけまえ」と似た雰囲気を予告から感じたので・・・

今回も仲間さんのすごみのある演技でしたね。檀れいさんも、なかなかでした。

沙希は小さい頃、親に虐待されてて、隼人も虐待してたのかも?と思ったりしてます。

それにしても最後に向かって、どういう方向に話を進めていくのか、興味はつきませんね。

みり様
コメント、ありがとうございます。
この記事、大した添削もしないで仕事だ!とあわててアップしてしまったために、みり様へ返信しようと再度読んだところ、とても分かりにくい文章だなと思ったので、記事を手直しいたしました。 そのうちにまたしても睡魔が…(笑)。 また時間差がある返信をしてしまいました。 不完全な文章にコメントくださったことも併せて、申し訳ないです。

「地獄の快気祝い」 って、「死霊の盆踊り」 みたいでマヌケなタイトルのように私は感じました(笑)。

檀れいサンの衣装から絵里子の心情を読み取るみり様は、やはりさすがですよねぇ~。 私もそこまで深読みできるようになりたいです。 事実、このドラマはそんな些細なところまで気を使っている感じがするんですよね。

渡部サンは昔から老け顔だと思っていましたが(笑)、胸板は老けてませんでしたね、確かに(笑)。 私、男の体には興味がないので(笑)。

仲間サンの情念は、確かに逆ギレしやすい、だけでは片づけられないものを感じます。 同情すべき?理由が提示されていくことを期待します。

「四十九日のレシピ」 もワタシ的には、好きだなあ~この世界、という感じです。 よろしかったらぜひ。

rabi様
コメント、ありがとうございます。

ホント、これじゃ予告の先が分かんないじゃん、という感じですよネ(笑)。 でも今回はそれ以上に主役ふたりのヒートアップしていく演技に引きこまれたから、釣られても別にかまわないんですけどね。

「四十九日のレシピ」、確かに 「天使のわけまえ」 と似ています。 「天使」 では観月ありさサンとおじいちゃんの大滝秀治サンが結局疎遠だったですけど、今回はひとつ屋根の下です、父娘が。 ただレシピ、っていうとやはり料理を思い出してしまうんですが、生活の知恵、と言ったほうが合ってるかな、という気はします。

沙希もリオくんも親に対する恨みがある、という面が今回は新たに見えてきましたよね。 まさか手を組んでしまう、ということはないと思いますが、リオの正義感に期待するばかりです。

いやーしかし、このドラマを見ていてつくづく感じるのですが、女性は強いです。 渡部サンも高知サンも、振り回されっぱなしですよネ(笑)。

私は最後の草笛さんの快気祝いパーティのシーンで黒い笑いが止まりませんでした。
最悪なシチュエーションですw
シレっと手酌でビールついでる沙希に笑いが止まりませんでした。
あの人、相当ぶっ壊れてます…

今夜が楽しみです。
四十九日のレシピも日曜に録画し、途中まで視聴しております!

マイティ様
コメント連投、ありがとうございます。 「四十九日のレシピ」、見終わりました?

私は 「四十九日のレシピ」 のほうを先に見たので、「ああこりゃ、『美しい隣人』 負けてるわ」 と思ったのですが、なかなかどうして、今回は仲間サンと檀サンの演技がすごくなってて、こっちも見逃せないなー、なんて見直してしまいました。

かち合わせの場面で黒い笑い、とは、趣味が悪いですなぁ(もちろん冗談ですけど…笑)。 でも笑い飛ばしてしまうと、とてもドラマ自体も面白みが増す気がします。 私ももっと、コメディドラマみたいな感覚で見ようかな~。 男としてはやはり、針のムシロですよね、このシチュエーション(爆)。

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    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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