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2011年3月 3日 (木)

「ダークエイジ・ロマン 大聖堂」 第4回 むせかえる死臭の中で

 前回から4年後。

 徹底抗戦を続けるモード軍のいるリンカーン城を、スティーヴン国王軍が包囲しています。 相変わらず飛ばしまくってます(笑)。
 スティーヴン軍の英雄は、元シャイリング領のバーソロミュー伯爵の忘れ形見、キングスブリッジのリチャード。 片耳半分なくなってましたが、半分下はついてました(ストレートな表現で申し訳ない)。 姉アリエナのウール商法のバックアップを受けています。

 ハムリー家のあざのある女リーガンは、そのリチャードに対抗するため息子ウィリアムが爵位を受けるのに邪魔だった自分の夫を殺害します。 このブログにコメントをいただいたかたのトリビアにもありましたが、熱病に罹った自分の夫の治療で、「悪い血を抜く」 という作業をしたリーガンが、失血死を狙ったのです。 コワ…。

 このリーガン、ドラマで直截な表現はしていないものの、自分の息子に対して尋常ではない愛情を注いでいます。 あえて書かせていただきますが、近親相姦の匂いがする。 おそらくその禁断の暗い欲情が、このあざのある女を異常な行為に走らせるのでしょう。 日本のドラマでは確実に倫理規定の埒外に置かれる設定だ。
 リーガンは25になる自分の息子に嫁をめとらせることで爵位を継がせるよりも、自分の夫の死を選んだのです。 怖いな~。

 シャイリングが廃れたのはキングスブリッジの市場が盛況だからだ、というリーガンの認識に応えようと、ワルモノ司教ウェイルランがその市場の閉鎖を交換条件に石切り場の閉鎖を画策します。 悪だくみに悪だくみの掛け算。

 建設中の大聖堂、トムが捨てた子はジョナサンと名づけられ、建設現場のマスコット的存在。 アリエナはジャックと、徐々に恋に落ちていく。 そんななか、スティーヴン国王の市場開催許可書が持ち出され、ウェイルランによって焼却されます。
 交換条件を満たしたウェイルラン。 しかし石切り場を閉鎖することで神の怒りを恐れるリーガンとウィリアム母子。 それを勝手に神の許しをでっちあげて従わせてしまう、ウェイルラン。

 フィリップのもとにやってきたウェイルランは、同じようにフィリップを跪かせ従わせようとするのですが、フィリップは自分はまず神に従うとこれを拒絶。
 自分の威厳でフィリップを屈することのできなかったウェイルランですが、建設中の大聖堂の荘厳さに、思わず畏怖してしまう。

 このときのウェイルランの表情。
 彼の顔から毒々しさが消えていく様は、見ごたえがありました。
 相手を屈服させようとして果たせない自分と、いやがおうでも屈服を強要してくる神。

 そのとき槌音が響いてくる。
 ジャックが石造を彫っていたのです。
 その像を思わず凝視してしまうウェイルラン。
 ジャックの父親が無実の罪で火あぶりにされた際、聖歌を絶唱しながら死んでいったそのままの様が彫られていたのです。

 ジャックは別のシーンで、アリエナに石造を彫るときの様子を語っていました。
 いわく、「石の声が聞こえる」。
 その歌が、自分がどこを彫ればいいのかを教えてくれる。

 これらのシーンは、信仰心というものが、人間に限りなく力を与えてくれることを、つぶさに表現していた気がします。
 願う力。
 信じる力。
 それはいかなるものにも不可侵な、「聖なるもの」 なのではないでしょうか。
 そしてそれを利用しようとする者が、高い聖職者の身分であればある程、いかに罪深いことなのか。

 フィリップは国王に直訴するため建築に詳しいジャックを従わせてキングスブリッジをあとにします。
 フィリップの願いを聞いたスティーヴン国王は、戦場の外壁部分を視察するためにフィリップの着ていた修道士の服をはぎ取って自らが羽織り、フィリップには兵士の格好をさせて敵の矢面に立たせる。

 あまたの死体があふれかえる外壁付近。

 「神の意志は分からん。 (死体の山を見て)これも神の意志か?」
 とフィリップに尋ねるスティーヴン国王。

 敵の矢がフィリップを貫こうとします。
 それを救うジャック。
 ヘンリー前国王の不吉な予言にあった赤い髪をもったジャックの姿におののいたスティーヴン国王は、ジャックを殺すよう部下に命じ、ジャックはあまりにあっけなく、殺されてしまいます。 うわ、主役級だったのに父親の無念も明らかにならないまま死んじゃったのか?と思ったのですが。
 しかし完全に死んだと思われたジャック、その死体処理の様子は、執拗に描写されていくのです。

 戦いが再開した戦場。
 モード軍の最有力者グロスターの兄がリチャードによって捕虜にされるのですが、同時にスティーヴン王も、敵方に捕えられてしまいます。
 容赦ない殺戮と強姦の連続。
 その混乱の中で、フィリップも暴力を受け、意識を失ってしまう。

 ハムリー母子とウェイルラン。
 スティーヴン国王を見限り、モード側につくことを決めます。
 うわ、変わり身、早っ!

 リーガンはその昔、ヘンリー国王の息子を乗せて沈没した船に同行していながら、沈没の際別の船に乗っていたことをモードから問い質されるのですが、狡猾な言い訳でそれをスルー。 スティーヴンの側についた理由も、脅されていたからだとしてまたまたスルー。
 モードはウィリアムを人質にしてグロスター兄とスティーヴンの身柄交換を言い渡します。

 囚われたスティーヴンのところにやってきたウェイルラン。
 スティーヴンに自分の処遇を任す、との言質を取り、スティーヴンに唾を吐きかけてその場を去る。
 あーあ、大した聖職者だ…。
 さらに同じ場に転がっていたフィリップを、バーソロミューを裏切った男としてモードに売り渡す。
 「殉教者ぶるんじゃない」 とフィリップを拷問させ責め立てるウェイルラン、「ならあなたも聖職者ぶるな」 と返されます。
 結局フィリップはバーソロミューを売ったことを認め、処刑されることになる。
 その助命嘆願の資金が必要なため、副院長(こいつが市場の使用許可証をウェイルランに渡した)は大聖堂の建設を中止します。

 同じころ、アリエナはジャックが死んだことを知らされます。
 ジャックの母エレンもこのことを知るのですが、これを神の御意志というのなら、全然うまくいってないじゃない、と報せに来たトムにぶちまける。

 絞首台に運ばれ、首に縄をかけられるフィリップ。
 まるでアウシュビッツの死体処理場のような、膨大な死体の中に棄てられた、ジャック。

 そのときジャックの、目が開くのです。

 今回の 「大聖堂」 は、物語が過去3回と比べると格段に落ち着いてきて把握が出来やすかったです。 その代わり、感じることは前回と同様であまり新鮮味がなかったのですが、戦場のむごさ、というものは表現されていたように感じます。

 邪悪の限りを尽くしていくウェイルランの非道ぶりが殊に目立った今回。 おそらくその報いをこれから受けていくことになるんでしょうが、どんな方法でそれがなされるのでしょうか。

付記

 この回あらすじだけの内容となってしまったことについて、この記事のコメント欄で言及しております。 よろしければ併せてお読みください。

「ダークエイジ・ロマン 大聖堂」 に関する当ブログほかの記事

第1回 圧倒的な徹底ぶり
http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/02/1-237d.html
第2回 骨のあるドラマとはこういうものかhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/02/2-4477.html
第3回 利用される神々http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/02/3-537a.html
第4回 むせかえる死臭のなかでhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/03/4-34e0.html
第5回 永遠の一部たるべきものhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/03/5-a7e7.html
第6回 神の意志はあるかhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/03/6-69bf.html
第7回 信仰の本質とは、どこにあるのかhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/03/7-1f00.html
第8回(最終回)前編 神とどう向き合うのかhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/03/8-46ec.html
第8回(最終回)後編 神になるのか、神を敬うのかhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/03/8-1065.html

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テレビ」カテゴリの記事

コメント

リウ様

どうも有り難うございました。お疲れのところUPしていただき感謝感謝です。

なんとか展開がつかめました。

ジャックが死んだ!
そんな馬鹿なと思ったら、生きてたんですね。
今後の展開を考えると、もう少し生きててくれないと話がつながらなくなりそうですもんね。
フィリップも重要人物だと思うのですが、本当に処刑されちゃったんですよね?

それにしても、リーガンもウェルランも呆れるくらい変わり身早いけど、そうしないと、いつ自分が落ちていく側に回るかわからない時代だったのでしょうね。

リチャードとアリエナは、モード側に戻ることはないのでしょうか?

ウェイルランやリーガンの非道の限りがいつまで続くのか、それが終わるときに、話が終わるのでしょうね。

長い長い血と汗の結晶のリウ様のあらすじに、こんな短いコメントでごめんなさい。

UPしてくださって本当に有り難うございました!


rabi様
コメント、ありがとうございます。 仕事前なので取り急ぎ簡潔に返信いたします。 帰り次第内容の付け足しをいたします。

フィリップは首を縄をつながれた状態で今回終わっていますので、処刑されたかどうかはまだ不明です。

今回は記事本文にも書きましたが、先週と同じような感想に落ち着いてしまいましたので、なんかあらすじだけを書いた、みたいなやっつけ仕事的な記事になってしまいました。

帰り次第この返信には追記致します。

リウ様

お仕事前なのに返信いただいて有り難うございました!

フィリップの処刑は決定的なところまでは描かれてなかったということですね。
ジャックと同じ様に助かったりするかもですね。

リウ様、ぐっすりおやすみになってから、追記くだされば十分ですよ〜。

rabi様
お言葉に甘えて、ちょっとばかりひと眠りいたしました。 あらためて返信させていただきます。
さらに申し上げれば、たいへん長いコメント返信となってしまいました。 記事本文で書かねばならなかった内容なので記事本文にもこのコメントをお読みくださるよう注釈を新たに付けましたために、rabi様には無用な心理的ご負担をおかけしてしまうのではないか、と危惧しながらの返信となってしまいます。 申し訳ございません。

今回の 「大聖堂」 は、話の飛ばしまくりが悪いほうに作用したかな、という気がいたしております。

ようやく落ち着いて登場人物たちの心の動きが描写されたのに、なぜか今一歩、こちらの胸に響いてこない。
それはやはり、細かなディティールが省かれているがゆえに、感情もダイジェストされてしまっているからなのではないか、そう考えます。

たとえば大まかな部分から申し上げますと、今回観客に対して作り手が最もアピールしなければならない戦場の悲惨さの描写ですが、見る側がそもそも敵味方の区別をできていない。
だから戦場で活躍するリチャードと、それに負けじとムキになっているウィリアムだけに注目が集まってしまって、肝心の戦争の悲惨さ残酷さが、「その他大勢」 の中に隠れてしまう。 強姦もされるのですが、やはり見知らぬ女性なので感情移入がしにくい。
戦況もダイジェスト的なため、ドラマ自体が深い残酷にまで切り込むことが出来ないのです。

そしてもうひとつの 「売り」 であると思われるアリエナとジャックのラヴロマンスですが、手相を見ながら恋が深まっていく様子など、それなりのことがなされているのに、やはり話がてんこ盛りすぎて、恋愛感情が埋もれてしまう危険性に常にさらされています。 ラヴロマンスをメインにしてしまうと、話が一気に下世話な方向に陥ってしまうため、表面上をなでるくらいのことしかできないのではないか、そう考えられます。

さらに石工職人のトム。
ジョナサンに対する感情とか、もっと苦悩してもいいのにな、と感じたりします。 省略されてるのかな、なんて思ってしまう。 魔女然としたエレンに恋してしまうくだりも逡巡が全くないし。

そしてフィリップ。
策略に長けているのに、自らの純粋な信仰心との葛藤が、また見られないというのも、見ていて個人的には消化不良が募る要因であります。

結果的に、ウェイルランの悪の道だけがクローズアップされていくことになる。
この物語の真の主人公は、おそらくウェイルランなのだろう、と私は考えています。

今回あらすじを追うだけの結果となってしまったのには、そんな 「飛ばしまくりの弊害」 を如実に感じてしまったことが主たる原因としてあるのです。

今回は、次回以降内容にさらなる深みを与えるための橋渡し的な内容だった、と個人的には納得しようとしております。

もっと落ち着いて時間をかければ、もっと深いドラマになっていくと思うのですが…。

リウ様

追記有り難うございます!

>戦場の悲惨さの描写ですが、見る側がそもそも敵味方の区別をできていない。
これは前の回で、私も感じました。
私にはスティーブンとウィリアムの区別がいまだにつきません。
強姦シーン等も、視聴率稼ぎ?の部分あるのかなあなんて考えながらみてました。

>石工職人のトム。
エレンに恋してしまうくだりも逡巡が全くないし。

>フィリップ。
策略に長けているのに、自らの純粋な信仰心との葛藤が、見られない

確かに確かに!って感じです。

やはり時間的な制限の中で、表現するのは厳しいのかも??
(そのわりにはリーガンと息子の異常な関係まで描いてたりしてましたが・・)
NHKのBS放送にあたって、編集カットされてるのかなあ?

>この物語の真の主人公は、おそらくウェイルランなのだろう、と私は考えています

なるほど、確かに最初のシーンからずっと出ている主役級は彼ぐらい?
最初の回は主人公はトムかと思い、次の回ではフィリップかな?と思ったりましたが、どうも違ってるみたいです。リウ様の推測が正しいように思えてきました。

誰を主軸にして、話をすすめるかということが定まっていないような気がします。
(主役は大聖堂?なわけないですよね)

次回も大変な労力をおかけすると思いますが、無理のない範囲でよろしくお願い致します。

リウさま

さきほどNHKの番組紹介のサイトをみたら、3/5(土) 放送は 午後11時からとなっていましたので、老婆心ながらお知らせしておきます。

rabi様
お報せ下さり、かたじけなく存じます。 そう言えば前回ラストあたりで、放送時間変更のテロップが出てました。 私の予約機械は放送時間が変更されてもそれに対応してくれるので、おそらく平気だと思うんですけど。 …って、すごいですよね、最近の技術って。 ひとむかし前だと、たとえば野球中継の延長で予約してたのに半分しか録れてなかったとか、ざらにあったんですが。

スティーヴン国王とウィリアムは、たしっかに似ています(笑)。 私もそれで混乱して以来、このふたりに関してはほかの登場人物以上に目を光らせてます(笑)。

私も最初、主人公はトムだと思いました。 ただ字幕付きで見てますと、主人公って黄色の字幕なんですよ、字幕のルールとして。 その黄色の字幕の主は、フィリップ。 トムは水色の字幕で、ジャックが緑色、だったかな。 準主役級、という感じ。
それなのにウェイルランは、フツーの人扱いの白い字幕。

番組HPを見ますと人物紹介の最初が、確かウェイルランの俳優さんだった気が…。 おそらくいちばん実力実績があって、有名な俳優さんなんでしょうね。
そんなところからも、私がウェイルランを主人公なのでは?とする理由の一端があったりします。

まさしくrabi様のおっしゃる通り、「大聖堂」 を中心として、人々が巡り動いていく、という感覚です。 だからこそ主軸となる人物が、特定しにくいんでしょうね。

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BOOKS

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  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

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    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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