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2011年4月29日 (金)

「リバウンド」 第1回 食べる幸せ、よく見られたい願望

 「曲げられない女」 のスタッフが作った 「やせられない女」 ドラマ、「リバウンド」。
 このドラマを見ようと思ったきっかけはやはりそれで、「曲げられない女」 と同じ遊川和彦サン脚本だからというのが大きいのですが、主演の相武紗季チャンの 「太ったバージョン」 特殊メイクが、言わば 「客寄せパンダ」 の役割なんですけど、ちょっと興味あったかな。

 ドラマの体裁としては、「曲げられない女」 よりもさらにギャグタッチの度合いが大きい。
 だから登場人物たちの演技がかなりわざとらしいし、そこを引いて見てしまう人にはそりが合わない、「見る人をかなり選ぶドラマ」 と言っていいでしょう。

 私はこのドラマのスラップスティックタッチを見ていて、なんかどっかで見た気がしてならなかったのですが、これって今年の大河ドラマ 「江~姫たちの戦国~」 のタッチ、そのままなんですよ。
 下手をすると滑ってしまう危険なギャグを繰り出している、という点がとても似ている。 役者さんたちはみんな 「狙って」 コミカルに演じているわけですから、ここで笑えないと、かなり悲惨。
 それでもギャグドラマとして見ようとするなら、許せる確率はとても上がるものです。
 「江」 にとって不幸なのは、「江」 は大河ドラマである、という認識で見ようとする人がやっぱり普通である、ということ。

 ただし主演の相武紗季チャンが演じる大場信子には、「曲げられない女」 の菅野美穂チャンが演じたオギワラと比べてですが、いまのところ共感する部分が乏しい。
 オギワラは超マジメであるがゆえに人の曲がった部分も許すことが出来ない。 それはマジメに演じられるがゆえに信念が感じられたし、であるがゆえに可笑しかったし、そこに説得力も生まれていました。
 大場信子は幼いころに食べたケーキがきっかけで人生の早い段階から太り続け、太ったがゆえに自らの生き方にも、相当それが色濃く反映されている。 「デブは人を笑わせてナンボ」、という考え方もそのひとつで、信子はとにかく明るい。 けれどもそれは人に媚びている内容の明るさであるために、それが周囲の人間にとっては、とても暑苦しく見える。

 信子は恋人(勝地涼クン)にフラれたことがきっかけで一大決心、30キロ以上の巨大な肉塊落とし(ありていに言えばダイエット…笑)を敢行し、相武紗季チャンになるわけです(いやその…笑)。

 一気に大量のダイエットをすることが体にとってどれほどよくないのか、という議論は置いといて、ここで面白いのは、相武紗季チャンになったにもかかわらず、歩き方は柔道部みたいなガニ股歩きが抜けないし、暑苦しい明るい性格もそのまんま、という点。
 相武紗季チャンはそれを、とても面白がって演じているのが分かります。
 ただそれは、わざとらしさと紙一重の場所に位置している危険性は絶えず付きまとう。

 同時に、相武紗季チャンの相手としてドラマで配置されている速水もこみちクンの演技も、「俺様」 キャラでかなりのカリカチュアが加えられている感じです。
 このふたりの演技のワザトラシさに、見る側がついていけるかどうか。

 見る側を引きとめておくには、このわざとらしさに真剣な本音が見え隠れすることを見せる必要があります。

 もこみちクンの場合、両親の愛情の完璧さを越えられない苛立ちで、自分中心の俺様キャラになっていました。 腕の立つパティシエだった父親と、それを愛情で支えていた母親。 そのふたりが不慮の事故で同時に亡くなってしまい、そのケーキ屋を継いだ息子は、そのふたりの愛の結晶であったショートケーキを、どうしても作ることが出来ない。
 ショートケーキというのは、ケーキ職人にとって基本中の基本ですよね。
 それを作ることのできない苛立ち、というものはいかばかりか、と感じます。

 そして幼いころに、そのもこみちクンの父親が作ったショートケーキを食べたことがきっかけで、信子は野ブタになっていくのですが(笑)、ダイエットに成功して就職に成功した女性雑誌 「EDEN」 の記事を書くためにもこみちクンのケーキ屋を取材し、大昔に大感動したその味が全く息子に引き継がれていないことを感じ取ってしまう。
 父親の名声で存続していたそのケーキ屋の記事で、自分の偽らざる感想をそのまま書いてしまった信子。
 結局その記事がきっかけで、「王様の耳はロバの耳」 とばかりそのケーキ屋の評判はガタ落ち。
 その責任を取らされて、もこみちクンの新作ケーキ作りに付き合わされ、毎日試食を重ねるうちに、信子は再び元の体型に戻ってしまいます。
 そもそもケーキ作りの才能がないように見えるもこみちクン。
 大量のケーキを一口ずつ食べながら信子の頭のなかの鐘は、むなしく 「カ~ン」 と鳴り続けます。 これがかなり笑える。

 「太っている人は編集部にいる資格なし」 の 「EDEN」。
 信子はコルセットをギュウギュウ絞ったり首にスカーフを巻いたりしてなんとか自分が太ったことを隠し通そうとするのですが、その様子も結構可笑しい。
 けれどもそれが隠し通せるはずもなく、鬼の編集長(若村麻由美サン)にそれがばれて即刻クビ(註:法的には即刻クビというのはあり得ず、1か月の猶予期間があります…笑)。

 信子はもこみちクンが新作ケーキに挫折し自分の身の上話から自分はこの仕事に向いてないとふてくされまくるのを見て、呆れ果てて 「逃げてないで自分の本当に納得できるケーキを作りなさいよ」 と吐き捨てます。
 ここは信子の真剣な本音が聞けるこのドラマのキモだった気がするのですが、あまりこちらを納得させる論理がなかった気がする。
 ただ見え隠れするのは、信子がブーツを履きたかったり、人前で水着になりたかったり、同窓会に行きたかったり、信子にとって痩せることは、「自分がよく見られたい」「人からちやほやされたい」、という願望の結果だった、ということです。 でもまあ、私をリバウンドさせておいてふてくされてる場合?っていうレベルの話でしかない。

 そんなデブでもまったく構わない、という人生のパートナーが目の前に現れれば、その人にとっては自分が痩せていようがデブでいようがまったくどうでもよくなるんですけどね。

 信子は相武紗季時代に(笑)こんにゃく系のダイエット型食事ばかりとってましたよね。
 それって本人にとって、ずいぶん不幸なのかもしれないな、なんて思いながら見てました。
 だって食べたいものを食べるのって、人生の醍醐味じゃないですか。
 いくら食べても太らない、という人ってだからとても羨ましいですね。
 私は中肉中背ですが、やっぱりちょっと食べすぎたかなーと思うと、体重増えるタイプなんで。
 そんな羨ましい体質の人物も、このドラマでは信子の友人、として栗山千明サンを配している。

 食べることの幸せをとるか、他人からよく見られたい願望をとるか。
 やはりそれは、人それぞれ、ってことですかね。
 ただ自分の食欲に忠実すぎるのも、なんかだらしない、つー感じもしますが(笑)。

 信子がもこみちクンに吐き捨てようとした本音も、「逃げてりゃいーじゃないの」 と言うわりには、自分も岐阜の実家に逃げ帰ってしまうし。 それに信子は、自分が太っていることを、ただひたすら隠そうとしている。
 信子の真剣な本音は、まだまだこの段階から爆発することはないみたいです。
 主人公に共感できる機会を、これで逃しているような気もする。

 なかなか一筋縄ではいかないドラマのような気もしますが、とりあえずしばらく付き合ってみます(最近こればっかりだなあ…)。

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コメント

リウさま

見ましたよ、このドラマ。
全く期待していなかっただけに、かなり手応えありました。
ストーリーというより、あのテンションにはまりました。

あんまり、ドラマ性のまじめさを追いかけるより
たまに、こういうはっちゃけものが素直に楽しめるときがあるので。

しかし、あの特殊メイクはすごい。
やる方もやる方だが。。。。。その突き抜け方も興味あります。
どうも、次回は別人になりすますようで、
ウソとマコトの振り幅に期待です。

投稿: みり | 2011年4月29日 (金) 18時23分

みり様、お久しぶりhappy01
コメント下さり、ありがとうございます。

羽目をはずして笑えないこの国になってしまいましたが、こういう時こそ滑らないギャグドラマは、忘れていたものを思い出すいい機会かもしれませんネ!

相武紗季チャンの特殊メイク、ハイビジョンの大画面で見てもアラが見えないのがすごすぎます。

ちょっとあまり注意して見てなかったので(笑)信子がどうして自分が太っていたことをそんなにまでして隠したがるのか、事情は分かるけど気にしすぎだろ、とは思ったんですよね。 そんなものなのかな~。

投稿: リウ | 2011年4月30日 (土) 06時06分

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