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2011年4月 6日 (水)

「新選組血風録」 第1回 今年の大河ドラマは、こっちです

 NHKBSプレミアムの開始記念的なドラマ、「新選組血風録」 が始まりました。 全12回。

 忌憚なく述べさせていただきますが、今年の大河ドラマは、こっちですね。
 いまやってる大河ドラマは、フツーのドラマであります。
 「大河ドラマ」 という表題が冒頭に流れるたびに、「これって冗談のつもりだろ」 としか思えない。
 少なくとも視聴者のほうが、NHKなんかよりもずっと、「大河」 という言葉に、重みを感じている。
 それはやはり、これまでの日曜午後8時からのドラマが、すべて 「大河」 という括りで放送されてきたゆえであります。
 その認識からいけば、今年やってる 「フツーのドラマ」 も、「大河ドラマ」 の系列のなかに好むと好まざるとにかかわらず入ってしまう。
 でもまあ、感覚的にいけば、徳川家康も徳川家定も(「篤姫」 で相当評価は変わりましたが)、同じ徳川将軍だという点で変わりない、みたいなことと同じかな~(笑)。

 この 「新選組血風録」、原作が司馬遼太郎サンだからこその物語の重厚さも確かにあると思うんですが、なんか司馬ブランドならなんでもよし、みたいには考えたくない面もあるんですよ、個人的には。
 でもこのドラマを見ていると、どうして司馬ブランドに物語としての説得力がここまであるのか、とても理解出来てしまうのです。

 それは登場人物の心理状態が、さまざまな要因の上に成り立っていることを、感じさせてくれる点に尽きます。

 今回の主役は、近藤勇(宅間孝行サン)が20両で買ってきた、という名刀 「虎徹」。 そんな安物の虎徹などないはずで、壬生の近藤派の隊員たちも、近藤の反対勢力である芹沢鴨(豊原功補サン)グループもみんなバカにしている。

 芹沢は仲間うちにはせせら笑っておいて、実際に試し斬りをしていた近藤の前に現れたときは、近藤より腕の立つところをさりげなく見せつけたうえに、「さすが虎徹」 とその切れ味を讃え、近藤の肩を持つ。

 でもこれって、こうすることで問題児だと思われている自分の存在感をアピールしているし、自分の心の広さもアピールしているし、そのうえでさりげなく壬生浪士隊のなかで同じ局長である近藤よりも自分が優位である、ということをアピールしている。
 ちょっとしたシーンなのですが、そこまで深読みが可能である、という点で、今年の 「フツーのドラマ」 よりよほど 「大河」 の名にふさわしい、のです。

 そしてそのニセモノ虎徹を本物だと信じて疑わない近藤の様子を描写することによって、近藤の人となりをかなり深い部分まで透徹させている。

 もっとも表面上の評価として、「近藤には目利きの才能がない」、ということが言えると思うのですが、おそらく近藤も、最初20両で買ってしまった時には、「いい買い物をしたな~」、と思ったんじゃないですかね。
 それが下っ端の連中からも 「それってニセモノ」 って言われることで、「スゲー恥ずかしい!」 みたいな気持ちになったと思うんです(笑)。 局長として示しがつかないし。
 けれどその、ニセモノの虎徹を眺めながら、のんきに 「名刀だ」 と嘆じることで、「近藤サンって憎めないよなあ」 という隊員たちの気持ちを引き出すことに成功している。
 そしてこれが意図的なのかどうなのか、というレベルで展開するからこそ、ドラマとしての奥が深くなるのです。
 沖田総司(辻本祐樹クン、「金八」 の信太ダァ~)なんかは、鴻池屋(近藤正臣サン)から頂いた本物の虎徹をやっぱり持って出かけた近藤を、「やっぱカワイイ!」 みたいな感覚で見ているし。

 そしてその鴻池屋。
 この人物の商人魂こもった存在感が、また見ていてうならせる。

 芹沢が鴻池屋から脅し取った200両を会津藩の松平容保が肩代わりし、それを近藤が鴻池屋へと持っていくのですが、鴻池屋は 「あてらも商人ですさかい利子をいだだかんことには…」 と眉ひとつ動かさずに言い切る。
 近藤はニセモノ虎徹を差し出して、「これでご容赦を」、と切り出すのですが、一瞬でその価値を見切った鴻池屋。
 「近藤さん(あんたも近藤だろ…笑)。 刀は武士の命と聞いております。 そんな大事なものは、受け取れまへん」
 「ならば…」 と腹を切ろうとする近藤。
 「ここでお腹でも召されるおつもりでございましょうか。 ますます迷惑でございますなあ」
 鴻池屋は、 利子はもう要らない、と近藤に言うのです。

 「"ますます"迷惑」 と言うことで、実は 「あんたの虎徹はニセモノで」 と暗に語っているところが深い。
 そして 「あなたのようなお方が壬生浪士のなかにいたとは」 と持ち上げておきながら、実は近藤をけん制しコントロールしようとしているし、今後何かと相手を利用しようとする可能性も探っている。

 ドラマを見ていて引き込まれるのは、実はこうした、何重にも用意された心理状態の細かいあやであるし、「大河ドラマ」 と名のつく歴代のドラマには、その複雑で深い 「人間」 の活写が行なわれてきたのです。

 だからこそ、「今年の大河ドラマは、こっちである」、という結論です、ワタシの場合。

 それにしても。

 やはり 「新選組」 が題材、となると、数年前の大河ドラマ、「新選組!」 の影がちらついてなりません。

 このドラマにおける主役である土方歳三を見ていても、ここで演じている永井大クンよりも、山本耕史サンを思い出してしまうし(永井大クンは、その風貌からいくとどちらかというと近藤勇っぽい気はします)、山南敬助を見ていると堺雅人サンを思い出してしまうし、永倉新八を見ているとぐっさんを思い出すし、沖田総司は藤原竜也クン、芹沢鴨は佐藤浩市サン、斉藤一はオダギリジョーサン、井上源三郎は小林隆サン。

 つくづく、「新選組!」 のキャストはドンピシャ!だったことを思い知ります。 今回の 「血風録」 の役者さんたちは総じてそれに比べればパンチは足りないのですが、物語がしっかりしているので、これもありだ、と感じさせる。 特に芹沢鴨の豊原功補サンはいいですな。

 で、やはり近藤勇に関しては、「新選組!」 の香取慎吾クンと宅間孝行サンとでは、イメージが全く違う。
 それでもこのふたつのドラマでの近藤勇像は、結構接近しているものがある気がします。
 ここで描かれる近藤象って、両方とも結構、「のほほんタイプ」 なんですよ。
 剣の腕は立つんでしょうが、かなり突っ込みどころが満載の性格をしている。
 けれどもそれを周囲が、悪意を持って突っ込んでない。
 それは近藤が持つ、一種の 「頼りがいがあるところ」 によるものが大きい気がします。
 「血風録」 第1回では、「どうしてこの男にみんながついていっているのか」、という説得力にあふれていました。
 あ~ 「どうしてそうするのか」、というこの説得力。
 今年の大河ドラマで、もっとも足りない部分だ…。

 エンディングテーマは、吉田拓郎サンの新曲 「慕情」。 こないだの 「オールナイトニッポンゴールド」 で、「近年にない傑作だ」 と自画自賛しておりました(笑)。 ご本人もスカパー!で時代劇ばかり見ているそうで、番組でもよく 「ドラマ全く見ない男」 坂崎サンに 「坂本龍馬って分かってネーダロなにした人か」 とか、よく突っ込んでおります(笑)。

 日曜8時のドラマと、差し替えしませんかね?コレ。

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コメント

ワタシも「新選組!」にハマったクチです。
その後『燃えよ剣!』を読みながら、小説と同時進行でまたDVDにて視聴しました。
完璧に土方は山本クンのイメージで。

幕末の志士って、みんな30そこそこで亡くなってるんですから
若い人が演じないとダメですよねw

投稿: マイティ | 2011年4月 6日 (水) 23時38分

マイティ様
コメント、ありがとうございます。

「新選組!」 には小生も、だいぶやられたクチであります。 記憶がだいぶおぼろげになりつつありますが、三谷サンの実力というものをまざまざと感じた覚えがあります。
登場人物が端役に至るまで細かい心理描写をしていて、セリフのひとつひとつが 「生きていた」 という印象があるんですよ。 結構荒唐無稽なことをしていた記憶もあるのですが、それに違和感がなかったのは、三谷サンが隊員たちひとりひとりに対して愛情をこめて書いていた故なんだと思います。

…また昔話、長くなっちゃいましたねcoldsweats01

投稿: リウ | 2011年4月 7日 (木) 10時38分

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