« ランちゃんの弔辞 | トップページ | 「ベイビー・ユーアー・ア・リッチマン」 この 「捨て曲」 の楽しさ »

2011年4月27日 (水)

「アスコーマーチ!~県立明日香工業高校行進曲~」第1回 「こんなところ」 に来たくなかった

 「大切なことはすべて君が教えてくれた」 で戸田恵梨香チャンの恋人を横取りしてしまうという敵役を演じた武井咲(えみ)チャンの主演ドラマ、「アスコーマーチ!」。

 「大切なこと…」 は開始1分でリタイアしたので肝心の咲チャンが演じているところを全く見ていないのですが、このコ、ラジオのニッポン放送で日曜夜、「ラジオ空想科学研究所」 のパーソナリティ(福田沙紀チャンからバトンタッチ)で出演中なのを仕事中によく聞いておりまして。 耳が悪いせいで 「たけいゆみ」 とばかり思っていたので、「大切なこと…」 に出演中、と聞いて 「たけいえみ」 と一字違いか…などと大カンチガイをしていました。 字も咲と書いて 「えみ」 と読ませるし。 結構名前からご本人に辿り着くのがシチメンド臭いタイプなんですな。
 そんなこんなで彼女に対する興味が、ちょっと膨らんでいたところだったのです。

 その咲チャンを初めてテレビでじっくり見ましたが、中越典子サンの目鼻立ちをはっきりした感じ、かな。 ドラマでは基本的にアップで髪を束ねているので、前髪を垂らしたところもじっくり見てみたい感じがします(数回ドラマでも見せておりましたが)。
 演技力に関しては、特に可もなく不可もなく、という感じかな。 でもこの先、大化けしそうな可能性は感じる。

 それはそうとして、今回どうしてこのようなドラマを見ようかと思ったのか、ですが、咲チャンへの興味がトップでもありますが、なんか 「工業高校」 舞台って面白そう、と思ったことが原因。

 志望校に落ちておじいちゃん(笹野高史サン)の勧めもあり工業高校へ入学した直(咲チャン)、99.9%男子のなかでもまれていくストーリーですが、表面上の展開はとてもオーソドックス。
 要するに落ちこぼれ組が跋扈している感じで、直はこども店長よろしく、「わしはこんなところに来とうなかった」 状態。 何かっていうと周りの工具やら油やらをぶっ散らばす不注意娘ぶりなのですが、それを片付ける際にある男の子のはんだごてを廃棄ゴミのカゴに一緒に入れてしまいます。
 その男の子、玉木誠(賀来賢人クン)の家は貧しいネジ工場で、そのはんだごては彼がおやじさん(長谷川初範サン)から譲り受けたもの。
 なんだかんだあって直は、彼のはんだごてを廃棄物置き場から探し出す、というのが第1回の主たるストーリーでした。

 ここからも分かるように、すっごく予定調和の(笑)どうってことはないドラマなのですが、私がこうしたドラマでものすごく共感するのは、「自分は本当はこんなところに来たくなかったんだ」 という言い訳をしている登場人物なのです。
 それってまるで、自分のようだから。

 そしてそんな鬱々とした気持ちを抱き続けている主人公の直に対して、やはりドラマでは、「自分はこの道で生きていきたいからここにいる」 という対称的人物として、この誠という男の子を配している。

 こういう人物配置って、結構ツボです、私の場合。

 世の中は、究極的にやる気のある人間とそうでない人間のふたつに分かれています。
 そしてその間に、「やる気はないけどやらざるを得ない人間」「仕方なくやっている人間」 が混在している。

 テレビドラマの場合、たいてい大部分の人々がやる気のある人間であり、物事の目的に向かって物語は進行していく。
 けれども現実問題として、「やる気のない人間」 がさまざまな団体行動の足を引っ張り、さらにその中間層にある人間が、組織の性格を決定づけていく。

 でも、どのような人間であれ、自分のやっていることに誇りを抱くまでになるには、かなりの努力が必要となる気がします。

 工業高校というのは、自分が落ちこぼれだと卑下した瞬間から、単なる腰掛けになる。
 けれども目的を持って入ってくる者にとっては、輝かしいファーストステージなのです。
 彼らは普通高校よりもかなりずば抜けた就職率を誇っている。
 それは彼らの即戦力としてのスキルが、高い需要があることの表れでもあるのです。
 それって、何の目的もなくただみんなが行ってるから高校に行く、という普通の生徒たちよりも、数倍も価値がある、ということ。
 彼らには、その大いなるチャンスが、目の前に与えられているのです。

 このドラマ第1回目では直の友人たちの男友達が、「目的もなく親の金で遊んでいる人種」 のステレオタイプ的な存在として登場します。
 ドラマとしては非常にベタな展開。
 けれどもそんな 「ボンボン」 みたいな究極的な形でなくとも(ポッポチャンは国民にとって悲劇なことにこのタイプでしたが)、自分がひとかどの給料をもらって社会的な立場も確立している、という自負を持っている人たちが、こうした 「町工場」 で働く人たちや、下働きの人たち、下請けの人たちに対して畏敬の念を抱くケースは、あまりない。
 もちろん卑下、なんて考えていなくとも、どこかで 「かわいそうだな」 とか考えている。

 でも自分の仕事に誇りを持っている人間は、どんな下働きの人間であろうと、讃えられるものだと私は思うのです。
 「誇り」 を持っていない人間は、どんなに下働きだろうが、どんなに偉かろうが、みんな一緒。

 直は第1回で、そのことにちょっとずつ気付き始めたようです。
 人は、どんなところでも、それに一生懸命になっている人がいる、ということを自覚しなければならない。
 たとえ自分が来たくなかった、という場所でも。
 それが成長、というものです。
 「やる気のない人間など、この世には必要がない」、ということは、人生早い段階から学ぶ必要があると感じます。

 話としては前述のとおりかなりありがちですが、直の同級のほかの男の子たちも含めて、動向が気になります。 毎回レビュー、というわけにはいかない気もしますが、ちょっと注目していきたいと思っています。

« ランちゃんの弔辞 | トップページ | 「ベイビー・ユーアー・ア・リッチマン」 この 「捨て曲」 の楽しさ »

テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« ランちゃんの弔辞 | トップページ | 「ベイビー・ユーアー・ア・リッチマン」 この 「捨て曲」 の楽しさ »

2019年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

無料ブログはココログ