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2011年4月30日 (土)

「江~姫たちの戦国~」 第15回 分からなければ、訊けばいい

 佐治と一方的に離縁され、秀吉への怒りが沸点に達しつつある江。
 こんなに憎い相手なのに、どうしてみんなが秀吉に従っているのか、江は疑問を抱きます。

 …って、それまでどうしてその疑問が浮かばなかったのか、甚だ疑問であります(笑)。

 この回は秀吉を演じている人にとっても、今までのドタバタバカ殿ぶりを一気に挽回する大いなるチャンスでもある。
 けれどもそれは、今までのあまりにもオチャラケた秀吉の、全否定につながるのです。
 案の定この回の秀吉は、それまでのオコチャマぶりがなりをひそめざるを得ない。
 でもいきなり殊勝になっても、見ている側の失望は、もはや埋められるレベルではなくなっている。
 秀吉像を思い切り破壊しよう、という演じ手の目論みは、その点で大いなる失敗であると言わざるを得ません。

 そして秀吉の本性を知ろうとする江、という構図を作り手が考えたとき、作り手は江を芸能レポーターよろしく、インタビュアーにするしか手段が思いつかない。
 江は子供だからそんなことも許される、と思っているのでしょうが、それではドラマに、なんの奥行きも生まれないのです。

 秀吉の本性、というテーマで物語を構築しよう、と語り部が考える場合、語り部はまず、さまざまな事象から秀吉の本性を浮き彫りにしようとするのが、まあ普通の方法論ではないでしょうか。 当事者たちに 「なんでなの?」 と訊いてまわるのは、語り部としてはサイテーの手段だ、と考えるはずです。
 それをこの作り手はやっちゃってる。 しかもしまいには、「本人に訊くのがいちばんではないか!」 って(笑)。
 逆に考えれば、すごいことやってるなーとつくづく感心します。

 まあ、江の立場を借りて作り手が 「なんでなの?」 と歴史上の人物たちに訊いてまわっているようにしか見えないんですが。

 このような、いわゆる 「禁じ手」 を堂々と見せるその手法にちょっとばかり新鮮味を感じながら(笑)、物語は奥行きを見い出せないまま、江にひとつの結論を導かせようとするのです。

 いわく、「猿はウソにまみれているが、そのなかに真実がある。 そこに人は、動かされるのだ」、と。

 導かれたこの結論には、ひとかどの説得力があります。

 けれどもそれが、それまでの稚拙な物語の運びから、飛躍的に哲学的になりすぎている。
 「禅問答か?」 みたいな難解なものを感じてしまうのです。

 それはひとえに、これまでの秀吉の行動に、見る側がいっぺんの感情移入もさせられなかったことの弊害である。

 しおらしく江を抱きしめて 「すまぬことをしたのう…」 と泣いていても、江の背中で白眼をむいて舌を出している秀吉が、どうしても連想されてしまうからです。

 このドラマは、「物語を浅くしてしまうのはいかなる要因によるものなのか」 ということを見る側に勉強させてくれる、という点で、とても興味深いドラマに仕上がっている。

 いえ、皮肉ではありません。

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テレビ」カテゴリの記事

コメント

 江ちゃんでこんな深い文章が綴れるなんて、素晴らしいです。私なんか、秀吉について、インタビューして回って1回まかなえるなんて、お気軽と妙な感心しかしませんでした。ただ、この秀吉さんを善玉にする気が岸谷さんにはないようなのが、潔いというか救いのような気が私はします。憎まれるのを引き受ける秀吉は江に言い訳しないし、茶々が欲しいことも隠さない。嫌らしい奴ですが、脚本によって愛される秀吉路線は捨てられてますから、(いくら、たつこさん達が言っても信じられないもの。)こんな形なのだろうなと、この頃思うようになりました。なので泣きながら抱き合っていても「嘘泣きよね」と思いました。江ちゃんが聞いてまわらなくても、侍女さんが調べてくれてるし「さっさと秀吉に直談判しに行け」と思ったのは私が短気だからです。

ささ様
コメント下さり、ありがとうございます。

ささ様にご賛同いただくことで、自分の辛辣さに拍車がかかっているんじゃないか?(笑)と危惧しているのですが、もともと辛辣な人間ですので、批判的記事を書くこともお許しいただければ幸いです。

ただ、批判的なことはできるだけ避けようとしているこのブログですが、「江」 に関してだけは、なんか書きたくなってくる。 不思議です。

ここ数回、演じている人の名誉にも関わることを書いているために、演者の名前も最小限しか挿入しないのですが、その筆頭である秀吉役の人に対しては、かなり本音を書いています。
「八日目の蝉」 テレビドラマ版とか、いい味出してたんですけど、今回のはいただけません。 彼の演技が、このダメドラマをダメ方向に思い切り牽引している気がしてならないのです(大変失礼ながら)。
逆に言うと、彼がこのドラマの脚本を読んで、「これはダメドラマだ、だったらもっと壊してやれ」、と役者のカンで判断しているのではないか、そういう鋭さもいっぽうでは感じる。
逆に言えば、すごい役者さんなのかもしれません。

 岸谷さんは舞台で演出したり、映画も監督したり(内容や出来ばえはともかく)している方ですし、脚本も書ける人ですから、この作品に思うところはいろいろあるでしょう。同じ事務所の秘蔵子の樹里ちゃんが主演のドラマなので、真面目にふざけて秀吉をやっているのだと思います。ちょっと弁護しちゃいました。 私のせいで、お優しいリウ様が辛辣になっている?どうしましょう。龍馬伝が世間で叩かれている時は龍馬伝を擁護してくださったではありませんか。江ちゃんを見限ってレビューそのものすらおやめになる方が多いなか、リウ様はお優しいです。私の辛辣さにくらべたら、リウ様はとても優しい目で、この大河ドラマをご覧になっていると思います。ただ去年、私の好きだった龍馬伝が叩かれることも多かったので、なるべく暖かく江ちゃんを見たいという戒めのような気持ちが私にも少しあります。

ささ様
再コメント下さり、ありがとうございます。

「優しい」 というイメージが独り歩きしてしまいそうで怖いかな~

でも批判のための批判も書きたくないですし、本当につまらないものであれば、と言うより書きたい、というモチベーションが形成されなければ、やはり記事にはならないものです。 つまるところそういうことなんですよね。

「江」 についても、この先いつ書きたい気持ちが消失するのか、ちょっと自分でも分かりません。
自分ではよっぽどドラマとしての質が高いと思っている 「新選組血風録」 の記事も、なかなか書こうとするまでに至りませんし。

つまり出ている役者さんが好きだから、書きたいという気持ちになるんでしょうか? 「血風録」 は結構どうでもいいと思っている役者さんばかりだから書く気が起きないのかも、知れないです(これは単なる浅い憶測です)。 自分でもよく分かりません…。

「龍馬伝」 でも出来が悪い回は結構こきおろしたものですが、でもあの大河は、よい意味で大河を変えていこう、という気概があった、と今更ながらに考えております。

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  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

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  • 桜田淳子 -

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    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

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