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2011年4月17日 (日)

「新選組血風録」 第2回 切腹が名誉である、ということの説得力

 今年の 「真」 大河ドラマの称号を個人的にほしいままにしている 「新選組血風録」 第2回。
 第1回目の力の入れように比べれば、パワーダウンした感は否めません。
 第1回目は、"山内容堂"近藤正臣サンの演技の深さによる強烈な存在感によって、物語全体がこれ以上ないほどの緊張感に支配されていた気がします。
 同じ役者でも、ただ飲んだくれたまま釈迦来迎図を見て苦悩していただけの山内容堂とは、ずいぶん差があるなあ、やはり役者が光るのは原作やホンがいいかどうかなんだな、ということを感じながらの視聴でした。

 ただ司馬サンの原作によれば、この 「新選組血風録」 というのは短編集であり、近藤や土方など大物以外の隊員たちにスポットを当てた内容であることから、本来の筋としては、第1回目のスケール感あふれる作りより、今回のほうがより原作のニュアンスに近いんだろうな、ということは感じました。

 その今回の主役は、新選組の隊服・隊旗を考案した、新入りの迫田清太郎(久保山知洋サン)。
 幼馴染の佐代(水崎綾女チャン)の借金返済のために隊の給金をせっせと貢ぎます。
 ところが借金は膨らむ利息でまるで焼け石に水。
 迫田は出くわした借金取りを斬りつけてしまいます。
 そのために隊の法度により、迫田は切腹。
 表面上の話は、まあそんなところであります。

 この借金取りの取り立ては、今日の悪徳貸金業者とまるで同じ手口。
 時代による価値観の違いなど全くないのですが、こと切腹、となると現代の価値観では容易に理解の出来ないものが含まれてくる。

 これは去年の大河ドラマ 「龍馬伝」 でもたびたび(だったかな)切腹の場面があり、そのたびに当時の武士にとって切腹は名誉の死だったということが語られていたのですが、なんかわざとらしさが付きまとっていた気がするのです。
 それに比べて今回の 「血風録」 では、同じ説明がなされていたのに、なんか押しつけがましくない。
 それってどうしてなのかな?などと考えてしまいました。

 実際に顔付き合わせて比較はできないので確かなことは申せませんが、自分の記憶の限りで物申しますと、「龍馬伝」 では 「切腹が名誉である」 ということを、ヤケに強調していた気がする。
 それは全体的にギャーギャーうるさかったこのドラマの印象からどうしても、そう思い返してしまうからかもしれませんが、「血風録」 では迫田の切腹の際にナレーションでただ一言だけ。
 「切腹が名誉である」 ということは、その場に居合わせた隊員たちの様子、そしてほかならぬ迫田の様子から、じゅうぶんに伝わってくるのです。
 こういう、「空気」 だけで見る側を屈服させてしまう 「説得力」 が、このドラマにはある。

 そしてこのドラマでは、そのエピソードを芹沢(豊原功補サン)と近藤(宅間孝行サン)土方(永井大サン)との力のせめぎ合いに絡めることに成功している。
 今回の迫田中心の、表面上の話の裏には、芹沢を牽制しようと土方が提案した、隊の法度が大きなカギを握っています。
 迫田は言わば土方寄りの人間であったのですが、問題を起こしたことで、土方は芹沢方に見せしめのために、迫田をその法度で処分しなければ、ならなくなるわけです。
 切腹の直前、沖田(辻本祐樹クン)が出来たばかりの隊服・隊旗を迫田に広げて見せ、迫田はこの世に自分がなしたこと、残したものを見届けて、笑って死んでいく。

 この、迫田の話自体がどうやらフィクションらしいのですが、こうした話の構築の仕方には、うなります。

 芹沢がその法度を土方らから提示されたときの、その反応の仕方も実に興味深かった。

 彼は自分が隊の規律を乱していることをじゅうぶん承知で、それに後ろめたさも感じている。
 そして同時に自分が大物であることを、何かにつけて誇示したがっている。
 ただのチンピラだったら、近藤も土方も、芹沢の扱いに苦慮することなんか、ないのです。
 そのパワーゲームが、見ていてとても面白いのです。

 しかもこのドラマ、借金取りに苦しむ町人を描写することによって、隊のなかだけではない、重層的な江戸末期の構造を表現してしまっている。

 私はこのドラマを見ていて、去年の 「龍馬伝」 における新選組の描写がいかに一面的であるかをあらためて思い知らされたような気がします。
 「龍馬伝」 の新選組はただの暗殺集団で、しかもマヌケ。
 安易な善悪の取り決めが、話をいかに 「大衆演劇ふう」 に堕してしまうのか。
 それぞれの人間、それぞれの集団には、それぞれのちゃんとした生きる指針というものがあるのです。

 いずれにせよこのドラマが、どこぞのオコチャマ大河のすぐあとに放送されている、ということに、限りない皮肉を感じている、今日この頃であります。

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コメント

突 然. 訪 問 し ま. す 失 礼 し まし た
あ な たのblo g は と て も す ば らしいで す 、本 当 に 感 .心し まし た !がん ばれ!
閣 下 が 働 くの が 順 調 で あ る こ と を 祈 る ! 体 の 健 康 ! ★

投稿: 高久知子 | 2011年4月17日 (日) 12時49分

高久知子様
コメントありがとうございます。 あなたからのコメント、ちょっと後半部分は宣伝めいたものを感じましたので、削除させていただきました。 ご容赦くださいませ。

投稿: リウ | 2011年4月17日 (日) 16時51分

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