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2011年5月 7日 (土)

「江~姫たちの戦国~」 第16回 無理を通せば道理が通らぬ

 秀吉の天下から大阪城の興亡を描くうえで、作り手がいちばん重要視しているのは 「いかにして茶々は秀吉にシンパシーを抱くようになっていったのか」、という一点に尽きている…、今回の話を見ていてつくづくそう思いました。

 史実を見る上で、それは確かに不可解な一点ではあります。
 秀吉は茶々の肉親を次々と葬り去った不倶戴天の敵であるはずなのに、茶々はそんな秀吉の子供を産んでいる。 まあ誰の子かは諸説ありますが。

 このドラマで作り手は、この不可解な史実をピュアな恋愛物語に仕立てあげようとしているところが見える。
 その第一歩に、作り手は秀吉をイケイケドンドンの押しの一手のゴーイン極まりない男、として打ち出し、彼のすべての行動のモチベーション(動機)を 「茶々の愛を勝ち取るため」 という一点に収束させている。

 これって相当ランボーな設定、だと思います…(笑)。
 この設定によって、秀吉が関白になったのも、茶々に気に入られたいがため、というスンゴイ解釈になってくるからです。

 茶々と秀吉の感情の動きに重きを置くあまり、この物語の主人公であるはずの江は、ここ数回、狂言回しという役回りに格下げされています。 今回も秀吉が茶々の気を引くために自分は将軍になると言い出すのですが、それに呆れて江が軽口をたたくと 「そりゃ名案だ」 ということになり、結果江の軽口が関白になる土台となった、という 「子供の軽口で政治が動いていく」 もっとも唾棄すべき展開を示していく。
 それもこれも、すべては茶々のため、なのです。

 そして 「そんなガキみたいなことを秀吉に進言したのは誰だ」 という話になるたびに、言い出しっぺの江が肩身を狭くする。
 このギャグを見せたくて作り手はこういう話を作っているんだと思っちゃうんですけどね。
 いずれにしたって江は茶々を秀吉の魔の手から守ろう、という自分の決意とは裏腹に、秀吉をますます勢いづかせてしまうばかりになってしまう。
 そんな逆効果も作り手は意図している気もする。

 そしてドラマのキモを千宗易が持っていってしまう、という構図からも脱却できない。

 宗易は秀吉のあくなき出世欲に 「そりゃ無理だ」 と呆れかえるおねや江たちを前にして、「無理というものは、人の心が作りだすもの」 という珠玉の言葉をここでも繰り出すわけですが、そのひと言を宗易がしゃべるシーンを見たら、もう他はすべて無意味なシーンの連続、となりかねない危うさに、このドラマは満ちている(かなり辛辣に書いて申し訳ないです)。

 そしてドラマを限りなく薄っぺらくしているのが、秀吉のモチベーションをすべて茶々へ帰着させる、その使用言語にある。

 今回の 「江」 を見ていて作り手の要求にこたえられる力量を備えているのが、意外なことに足利義昭を演じた和泉元彌サンだった気がします。
 力量、というとちょっと語弊があるかな。 脚本の持つコメディタッチにひとかどの味わいを持たせる 「相性」 がある、と申しますか。

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テレビ」カテゴリの記事

コメント

歴史的に江ちゃんの功績って、2代将軍の正妻で3代将軍の母である事と天皇の祖母であるという事ですよね。千姫の母でもありますが。徳川に嫁ぐ以前は茶々の陰に隠れているので、今まで、彼女の妹という以外注目されなかったのを逆手にとって、脚本は江ちゃんを好き勝手させているのでしょうが、無理矢理こじつけられてるお話はなかなか見ていて乗れないです。喜劇にしても上質じゃないと、お金かけて作っている分、笑えないです。でもこの回は和泉さんの演技を見て「いいな」と思ったので、余計なものはもう見ない方がいいかもと、そこでやめたのです。秀吉は茶々様のために関白になりたかったのか。そんなに小さい男でしたか。私は天下平定のためかと思っていました。びっくり。今回の秀吉に思うところはないから、もういいかなと。去年の弥太郎の方が秀吉っぽいのは、脚本のせい?演技力のせい?でも江ちゃんをなぜか、見てしまいます。不思議な魔力のある作品です。大河ドラマに数えたくないけど。

ささ様
コメント下さり、ありがとうございます。

なんなんでしょうね。 私もこのドラマを見終わると記事を書きたくてしょうがなくなってくるんですよ(笑)。

たぶん作り手の田渕センセイがこのドラマをいかにして構築しようとしているのか、その逡巡のあとがとても見えるからだと個人的には考えています。

同じ田渕センセイの書いた原作本は、出来上がったドラマと比べてまともだ、という話を小耳にはさみます。 ということはその原作をドラマとして再構成しようとするとき、かなりの制約や、NHKの制作側との考え方のすれ違いが生じているのではないか、なんて考えています。

秀吉は、ん~もう、あれでいいです(笑)。 今回奈良岡朋子サンが再び登場して、秀吉のファミリー第一主義がようやく描写されたので、いくらか許せてきたかな~。
去年の弥太郎殿も確か、大河で秀吉をやっておられましたよね。

いずれにしても書きたくなってくる、とは言え、そろそろネタが同じで書くことがなくなってきたようにも思えます(笑)。
だけどもなんか、「愛すべき小品だな」「大河じゃないけど」 という気は、相変わらずしているのです(笑)。

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  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

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    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

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  • ザ・ビートルズ -

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    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

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    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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