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2011年5月 1日 (日)

「おひさま」 第2-4週 現代の価値観で昔を見ることの愚かさ

 ここ数週レビューをさぼっていた 「おひさま」。
 実際に見ておりませんでしたが、連休前半の飛び石休みを利用して3週分、4時間半の長丁場を、…やっと、見ました…(ゼエゼエ…笑)。

 なぜ見なかったか、と申しますと、なんかまったり感が漂うドラマの作りに、1週分の1時間半お付き合いするのが、ちょっとかったるかったため。 しかも現代編の斉藤由貴サンはうざったいし(笑)。

 斉藤サン、昔結構ファンだったので、こういうのを見るのはちょっとつらい。
 しかも第1週に引き続いて、2週目も3週目も4週目もウザったいテンションが継続中(笑)。
 ついに4週目のラスト(つまり毎日の放送のうち、昨日の放送分)では、満島ひかりチャンの感動のシーンを激しくぶち壊しにかかるし(笑)。

 けれども見ていて、この斉藤サンのシーンには大きな意味が存在しているのではないか、という気が、どんどん私のなかでは大きくなっているのです。

 昭和13年、女学校に通う陽子(井上真央チャン)には、ふたりの親友が存在しています。
 お嬢様育ちの真知子(マイコサン)、時代の最先端を行きたがる不良ぶりっ子の育子(満島ひかりチャン)。
 女性蔑視の教師(近藤芳生サン)に抗議してテスト答案を白紙で出した縁で3人は親友としての誓いを立てるのですが、3人を取り巻く時代の空気というのは、良妻賢母が求められるとても窮屈な性格のものです。

 この3人、授業中でもこの3人しかおしゃべりをしていないことから分かるように、当時の規範からはかなり逸脱している印象を受ける。 「白紙同盟」 のきっかけになった 「答案を白紙で出そう」 という取り決めでも、この3人を除いてクラスメイトの全員がその過激性についていけなかったことからも分かる。

 それでもこの3人は学校の帰りに水あめ屋に寄り道したりするのに決死の覚悟で店に入ろうとしていたりしています。
 それに、3人それぞれに真知子は許婚がすでに決められていることを表面上は素直に受け入れようとしているし、育子はしたこともない恋愛話をして不良を 「演じて」 いるし、陽子に至っては、映画館で見知らぬ男(千原せいじサン)に手を握られ、「死にたい」 というほどのショックを受けるし。
 現代の感覚で言うと、「どうしてそんなに卑屈でなきゃならないの?」 というほどのつつましさなのであります。

 けれどもそれは、「良識による精神的縛り」 が顕著だった当時の時代でも、女の子たちは毎日が楽しく、青春を謳歌していたし、規制が厳しかったからこそその禁を破ることの喜びが大きかった、という逆説的な真実が内包されている。

 翻って現代では、斉藤サンのように感情を最大限に露わにすることが可能です。
 うら若い女性が酔っぱらってバカみたいに大きな声でゲハゲハ笑いながら街なかを歩いても、呆れられるけど深刻で重大なことには至らない。
 つまり女性にとっても、もはや 「なんでもあり」 の時代(精神的な面では)。
 そんな 「すべてが許される時代」、リミッターが取れちゃった現代若者女性の母親世代として、ある意味で彼女らの牽引者である象徴として、斉藤サンが配されているような気がするのです。

 その斉藤サンがいきなり登場して昭和編の感動をぶち壊すのは、ドラマのなかで展開される昭和初期のつつましさに、視聴者が包まれているがゆえのことだと思う。
 斉藤サンは、「なんでもあり」 の現代の世の中に、視聴者が感じていることの象徴なのです。 作り手の真意って、そこにあるような気がしています。
 でも作り手は、その先に何か、現代編で用意している…、そんな周到さも見え隠れしている。

 陽子の兄ふたり、春樹(田中圭サン)茂樹(永山絢人サン)、そして父親の良一(寺脇康文サン)に関する描写も、いかにも整然としたつつましさが存在しています。
 突然現れた母方の祖母、富士子(渡辺美佐子サン)に、必死の思いで弟の養子入りをやめるよう懇願した春樹、そして母親の最後の言葉を胸に、予科練を受け軍人になろうとする茂樹。
 もちろんふたりともガチガチに固い人間として描かれることはないのですが、それでもやはり、現代と比べれば格段にそれは謙虚なものに収まっています。

 私が見ていて意外だったのは、予科練を受けようとする茂樹に対して、父親の良一も、兄の春樹も陽子も誰も 「戦は嫌じゃ」 と反対すらしないこと。

 これは当時の価値観をはかるうえで、当たり前のことかと考えられます。

 これに楯突いている近年の大河ドラマに対して大いなる違和感を抱いているからこそ、そのことがとても重要なことのように思われてくるのですが、やっぱりこれって、当たり前。

 そんななかで陽子は、戦闘機がうまく操縦できずに苦しんでいる夢を見てうなされる兄に助け船を出しながら、「我が家から軍人を出す」 ということがどのようなことなのかをあらためて感じ、かすかな不安を抱いていく。

 そんなことなんですよ。 要するに。

 とりたててラヴ&ピースなどと肩肘張らなくとも、現代の価値観に通じる戦争反対の思想をドラマにしのばせることは、可能なんですよ。 とりたてて難しいことじゃないと思うんですけどね。
 現代の価値観を当時にはめ込むなんて、かなりウサン臭い。
 当時の価値観で戦争や軍隊に対する思いを描くことで、どのような価値観の変遷が日本人にとってもたらされてきたのかを知ることができる。
 そうすることでより一層、戦争反対という立場は深いものになっていくと思われるのです。

 真知子は許されない恋を陽子の兄春樹に募らせます。
 春樹も同様で、言わば相思相愛。
 けれども真知子には、決められた許嫁がいる。
 悩んだ陽子は、ふたりが相思相愛だとふたりに話すべきか、育子に相談します。

 「それはダメだと思う陽子。 ぜったいに。 絶対に、ダメ」

 「お節介っていうこと?」

 「うん…。 あのね、どんなに良かれと思っても、人の運命を変えるかもしれないということを、勝手にしてはいけないと思う。
 …あたしはそう思う」

 そんな育子、東京に行くと宣言して父ちゃんと大ゲンカし、怪我をしていたのですが、はじめ片意地を張りながら陽子にそのことを打ち明けます。

 「お父ちゃんあたしのこと殴ったりしないよ。
 『どんなに反対しても、あたしは大学に行く』 って言ったら、えらい怒っちゃって父ちゃん。 ちゃぶ台を蹴っ飛ばしたんだよ。 『ふざけるなー!』 って。 そしたら、お茶わん壁にぶつかって割れて、それで、あたしに当たった。

 父ちゃん、たまげてた。

 自分がいちばんたまげて、泣きそうな顔して」

 育子は、涙ぐんできます。

 「悲しそうな顔して…。

 あたしが、家出したりしたら、もっと悲しい顔するのかなーと思って…。

 あたし…」

 育子の目から、涙がぽろぽろとこぼれます。

 「…もっと、イヤな親だったらいいのに…!

 サイッテーでダイッキライな親だったらいいのに…!

 そしたら、平気で家なんか飛び出しちゃうのになー…」

 育子は、号泣しながらも、照れ笑いを浮かべるのです。

 「でも、…でもどうしても行きたい…!

 わたしはどうしても行きたい…!

 …どうしたらいい陽子…?」

 陽子も泣きながら、たまらず育子を抱きしめます。
 あ~泣ける。
 すごいな満島チャンの演技。

 育子は他人の人生をいくら親友でも勝手に変えられないと考えています。
 でもここで、育子は陽子に助言を求めている。
 それはけっして、答えを求めているというわけではない、と思うんですよ。
 慰めてほしい。
 一緒に泣いて、肩を抱いてほしい。
 陽子はその気持ちに気付いたからこそ、育子と一緒に泣き、そしてしっかりと受け止めるのです。
 時代がやさぐれてないからこそ、親とのつながりがきちんとしているからこそ、親を大事に思う気持ちに、自分の夢が勝てないでいる。
 そんな時代にもがいている女性を、ここで育子の姿から強烈に感じ取ることが出来るのです。

 ところがここで、現代に場面は強引に切り替わり、斉藤サンの号泣シーン(笑)。
 つくづく思いますねー。 斉藤サン、リスクのある役すぎだって(笑)。

 でもここまでするからには、何か意味がある。
 現代編での大いなる物語の転回に、私はちょっと期待しているのです。

「おひさま」 に関する当ブログほかの記事

第1回 情緒に訴える形のドラマ
http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/04/1-4227.html
第1週 まっとうに生きるということhttp://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/04/1-f504.html

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テレビ」カテゴリの記事

コメント

リウ様

朝ドラのコメントかかれないのかなぁ?
ゲゲゲの後遺症かなあ?なんて思ってました。

「おひさま」なかなかいいですね〜。
私自身は井上真央ちゃんは、あまり好きではないのですが(なんか完璧すぎるっていうか、優等生っぽい気がして)、3人の個性がうまく調和していていい感じになってると思います。

話も丁寧に作られていて、さすがに岡田さんの脚本だからかなって思ったりしてます。

現代の斎藤さん、確かにリスク多い役ですよね。斉藤さんは結構コミカルな役もおできになるので、はまってるかもしれません。

年をとった陽子さんの役は若尾文子さんより八千草薫さんの方がよかったかなあと思います。ただ、太陽というイメージから言えば、若尾さんなのかもしれませんね。

久々の朝ドラコメント、ためてみるのは大変かと思いますが、今後も楽しみにしてまぁす。

rabi様
コメント下さり、ありがとうございます。

このドラマ、とても丁寧に作り込まれていることは分かるのですが、そのフツー感覚を1週間分まとめて見よう、とするのには結構覚悟がいる、と申しますか…(笑)。 もともと毎日15分ずつ見るタイプのドラマですから仕方のない話ですが。

井上真央チャンは、確かに既に完成されちゃっていて、意外性に乏しい 「器用貧乏」 の兆しがあります。 でもここでは、可愛い女の子を演じるのに違和感が全くないという点で、安心して見ていられる、かな。 兄からの手紙で初恋の人のくだりを4回くらい繰り返し音読したり(笑)。

若尾サンの斉藤サンへの反応を見ていると、なんか江戸っ子みたいなシャキシャキ感があって今のところは違和感を感じています。 真央チャンがその若尾サンのイメージに、どうやって今後近づけていくのか、それも楽しみですね。

いずれにしても朝ドラのレビューは、大変です…(笑)。

 朝ドラはあまり見ないのですが、今回の「おひさま」は楽しく見ています。お昼の再放送を録画しておいて夕方見るという塩梅です。

 あの時代の女学生の様子が上手く描かれていて何だか懐かしい様な気持ちになります。私はドラマよりは大分後の時代に生まれてはいるのですが、それでも今の高校生よりはずっと陽子さんたちの学生生活に近いものがありました。 学校の帰りにお店に寄ったりは勿論、男兄弟とでも映画に行っては行けなかったり・・・。(笑)

 あの3人のキャラクターと配役がピッタリだと思います。満島さんは特に上手いですね。あの時代にこんな女性がきっといた、そんな気持ちにさせます。ファッションも含めて。

 井上真央さんが若尾文子さんになるというのは何となく違うような気がしています。若尾さんの話し方がリウ様の仰る通り「ちゃきちゃきの江戸っ子」みたいで。

 斉藤由貴さんのオーバーな演技にはちょっと引いてしまうのですが、これからそのわけが分って行くのでしょうか?

 久しぶりに毎日楽しみなドラマです。それにしてもあの時代の若者のなんと真っ直ぐで純粋なことか。彼らを待っているであろう苦難の時代を知っているだけに心が痛くなります。

ゆみ様
コメント下さり、ありがとうございます。

いまどきの女子高生って、知らないんですけど(笑)、まあ女子高生に限らず、ところ構わずケータイを見ている人が、やたら多いことは実感します(笑)。 道徳的な制御がない、という気がするんですが、でもひとりひとりの気持ちは、とても優しいんだと結構確信的に思ってます。

それでもやっぱり、こうあからさまに何でもかんでも自由、っていう世の中よりは、校則なんかに縛られる中で自分なりにそれをどうやって逸脱しようか、って考えるほうが、よっぽど楽しい気がするんですよね。

「おひさま」 の世界での教師たちも、規律を厳しく言うわりに、なんだかとても、いびつな精神構造をしているように見える。 「女のくせに」 という偏見、渡辺美佐子サンにおだてられて木に登ってしまう幼稚な精神性。

そんななかで女学生たちは、自分のやりたいことをどうやって実現しようかと、日々夢見ている。

いいですねぇ…。

汚れっちまった私のような人間には、彼女たちの純粋さがとても眩しいです。
だからこそおひさまのように、あたたかく照らされている気分になるんでしょうね。

リウ様

私が一番驚いたのは
陽子が兵隊さんを送り出すのは、
とても晴れがましく、心から応援してしていたようなことを話す下りです。
今のドラマで、この部分をこのように時代として正直に表現することがほとんどなく、今の道徳で「戦争は反対」と言うべきものが多い中、岡田さんは真っ向勝負に出ているなと思いました。

でも、だんだん言われるように
昭和の初期は世の中全体に華やかで、希望にあふれていた時代なんだな〜と思います。

彼女たちの和服や洋装も混ざる、思い思いの私服もステキです。
ある意味、うらやましいです。

みり様
コメント下さり、ありがとうございます。

兵隊のくだり、驚きましたか~。

当時はそんなもんですよね、なぜなら日本は当時、他国との戦争で負けたことがなかったですから。
国威掲揚に国民は何の気なしに乗っちゃってるわけですよね。
「君死にたもうことなかれ」 なんてのはみんな内々には考えてたけど言い出せない空気があったわけで。

「おひさま」 の英語教師近藤芳生サンは実にネイティヴで流暢な発音であり、私の高校時代の英語教師なんかよりも数倍リーディングがうまい(笑)。 モボモガなんて流行があったくらいだし、英語に対する偏見も存在せず(日英同盟なんてありましたからね)欧米的なモダンな文化は花開いた時期だったんじゃないでしょうか。

たしかにまとめて観るとマッタリしそうですね。
毎日15分の視聴だと、不思議なことに
終わったあとにため息がでるくらい濃いかんじですよ。
とくにここ2日間の陽子がツラいことになる展開なんぞ
見終わるとハァ〜…となります。

三人の女子高生ライフは初々しいし
お婆様はツンデレだし
特にイヤな人物もいなく(斉藤さんに異物感ありですがw)楽しんでみています。

マイティ様
コメント下さり、ありがとうございます。

1週間分通しで見ていても、確かに15分単位で感想が書きたくなったりします。 しかし今回は、さすがにたまりすぎました…(3週間分…笑)。
その15分ごとの感想って、結構些細なことだったりしてました、4週目までは。 ただ所々に布石を置いていっている気がする。 5週目はそれが花開いたりしちゃってるんでしょうか? sigh(スヌーピー…笑)。

渡辺美佐子サン、この記事では書きませんでしたが、「赤い疑惑」 で八千草薫サンの後任、百恵チャンのお母さん! いや変わらん…いや昔から老け顔だったか…(失礼しました…)。

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  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

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    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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