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2011年5月14日 (土)

「高校生レストラン」 第2回 チャンスに乗り遅れるな!

 役所から持ち込まれた、「高校生御膳」 の試案。
 税金を使っての町おこしの一環、という立場上、メニューがとろろうどんとダシ巻き卵だけでは話にならないし、予定がガチガチでオープンの日にちも変更できない。
 そんな 「お役所仕事」 の融通の利かなさに加え、このレストラン自体がもともとクラブ活動、という名目で開始しているのに、いきなり和気あいあいとやってたところにプロの料理人(松岡昌宏クン)がやってきて本格的な基礎訓練。
 そんな 「大人の論理」 に嫌気がさして、第2回冒頭でも部員がさらにふたり、憤然と厨房を出ていきます。

 このレストランを取り巻く周りの状況、というのも厳しい。
 街では同業者から 「客を取られる」 と敵視されているし、教師のなかには板谷由夏サンのように否定的な向きもある。
 板谷由夏サンの理屈は 「厨房と接客とで格差が生まれ、落ちこぼれが生まれる」「金を取ってやるなら部活ではなくバイトと同じ」、ということ。 至極その通りです。
 そこに部員の減少で、レストランの切り盛り自体のめどが立たなくなってくる。 まさに四面楚歌です。

 最終的に前回も含め、辞めた生徒たち全員がこのレストランに戻ってくるのですが、今回のドラマのキモはやはり、このレストランを率いる松岡昌宏クンも含めて、「なぜ自分たちはこのレストランをやりたいのか」、ということの確認だった気がします。
 さてストーリー(いきなりラストをばらしてしまいましたが…笑)。

 松岡クンが破り捨てた 「高校生御膳」 の試案。
 これを川島海荷チャンが拾って 「なんとかこれ出来やんかな」 とほかの部員たちに持ちかけます。

 海荷チャンの気持ちとしては、「うちらのレストランなんやに」、ということ。

 前回私は海荷チャンのモチベーションについて、高校生どうしの仲間意識程度、みたいな否定的な感想を書きました。
 けれども彼女の場合、仲間意識が強いがゆえに、最初来た早々厳しくする松岡クンに反発したのだ、ということだったんですね。 同様に、仲間意識が強いからこそ 「これは自分たちのレストランなんだ」 という思い込みが激しいし、だからこそほかの辞めていった部員たちのようにモチベーションが途切れずにいる。

 生徒たちは自分たちでその高校生御膳を作り、松岡クンに直談判に踏み切ります。
 ここで注目なのは、まず無理だろう、ということを彼らがいちばん認識している、という点。
 自分たちが試作したそれがイケてないことも分かってるし、松岡クンはあまりに厳しいから、こんなこと許してくれない、というのも分かっている。

 それでも彼らは、頼むのです。

 ここらへんは、高校生たちの無謀さをほめたたえてあげたい気分でした。 社会に出ても、「自分はこれがやりたいんだ!」 というプレゼンは、常に無謀と隣り合わせ。 チャレンジャー精神がないと、なかなか会社って、まわっていかないんですよね。 私もいつの間にか常識に縛られて仕事してんなーと、反省させられます。

 「まだ無理だ」 と言う松岡クンに言い寄る海荷チャン。

 「やってもみやんと諦めるのイヤなんです!
 先生はプロやけど、うちらはプロじゃありません! 成功の経験も少ないけど、失敗の経験も少ないんです!
 ですから、やらして下さい! やってみたいんです!」

 そして神木隆之介クン。

 「ぼくらにチャンスください!
 ここで勉強したこと生かしたいんです!
 店を継ぐ者(もん)、店持ちたい者、それに、就職する者。
 みんなここで経験したことを生かしたがっとるんです!
 俺らにとって、このレストランは、チャンスをくれる場やと思ってます!」

 松岡クンは彼らの熱意に、目の前の御膳に箸をつけます。 「…もう一度作ってみろ。 ただし次は醤油と砂糖の量ちょっと増やせ」。
 「はい!」
 全員が喜々として厨房に散っていきます。
 う~ん、青春だ…。 久々に青春ドラマを見た感じだ。
 蛇足ですが、彼らが醤油と砂糖の量を控えめにした、という部分、なんとか薄味の高級料亭っぽい味にして松岡クンの舌に合わせようとした点が透けて見える。

 しかしやはり、その試案に出されているメニューに、彼らの力量は追い付いていない。
 松岡クンを連れ戻そうと銀座からはるばるやってきた高橋克実板長も、出来上がったものを一瞥してかろうじてモノになっているダシ巻き卵だけを鋭く見つけ、それだけを食べて一応生徒たちをほめるのですが、松岡クンとふたりの会話では 「あんなのじゃダメだ」 とはっきりと言い渡す(この一連の演技、やっぱりうまいなあ、高橋サン。 シビレました)。

 その高橋克実サンによって、松岡クンがどうして銀座の店を辞めたのかが判明するのですが、客に 「お前の料理には心がこもってない」 と言われ、「客を取るのか自分の腕を取るのか」 と言われて、結局自分の腕を取っちゃった、ということだったらしいです。
 しかし辞めながらも、彼はそのお客のところに行って土下座をしたらしい。
 松岡クンはお客あっての料理屋なのだ、ということを、ここで心肝に染めたんですね。
 だからこそお客さんにいい加減なものは出せない、という気持ちが、さらに強くなっているのでしょう。

 高橋サンから 「すぐにどうこう出来ねえとは思うが、早いとこ見切りをつけて戻ってこい」 と言われ悩んだあげく、松岡クンは高校生御膳を生徒たちにも作れるように改良しようと吹石一恵チャンと伊藤英明サンを巻き込んで試作づくりに励みます。

 つまりこれって、やはり 「早いとこ見切りをつけたい」 ということなんでしょうかね。 それとも生徒たちの熱意に、自分が料理人として何が大切なのかを見極めたい、と思ったがゆえのことなんでしょうかね。

 いずれにしても出来上がったその試作品に生徒は大喜び。 自分たちのレストランで本格的にお客サンを呼んで勝負ができる!という彼らの気分は最高潮に達します。
 それを見ていたのが、辞めていった生徒たち。
 記事冒頭にばらしてしまった通り(笑)、ある日彼らは、全員がレストランに戻ってくるのです。

 残った部員たちの楽しそうな様子に惹かれたり、卒業までにちょっとでも有意義な時間を選びたかったり、その理由はさまざまでしたが、彼らに共通していた動機は、「自分たちにとってこの部活の場は、将来に向けてジャンプアップするための、大きなチャンスの場なんだ」、ということなように感じます。

 目の前に与えられているチャンスに食いつかないで、どうするんだ。
 乗り遅れるな!
 ウジウジしているあいだに、みんな先にどんどん行ってしまうぞ!

 将来どんな人間に自分がなるのか分かりませんが、やはり目の前のことにぶつかっていくことが、若さの特権だろうと思います。 「成功した経験も少ないが、失敗した経験も少ない」。 だから失敗もいくらだってできるのです。

 年取ると、失敗自体が許されなくなってくるなんて世間ではよく言うんですけどねー(笑)。
 でもですね、するんですよ、いくら年取っても、失敗だけは(笑)。
 失敗の連続で人生ってのは形成されてますな。
 失敗にめげないことが肝要だし、いくらそこで終わり、っていう失敗をしても、別の生き方なんかいくらだってある(贅沢言ってたらいかんですけどね)。

 なにしろ、忘れていたものを思い出させてくれる、という点で、このドラマは私のようなオッサンが見る価値も、じゅうぶんあると言えそうです。

 次回、いよいよ開店です。

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テレビ」カテゴリの記事

コメント

リウ様

今回は、ちょっと型どおりになりかけそうかな?と
前半、危惧したのですが高橋さんの登場以降ちょっといいかも。

松岡くん演じる先生にはまだまだ、迷いがたくさんあって
まっすぐな彼は、その不器用な部分を見せてしまうが故に
回りともひとつしっくりこない。そういう見せ方がうまくできているなぁと思います。

生徒もみんなが全く同じ方向を向いているわけではないけれど、その中から何かをつかみ取って行くんじゃないかと期待してます。

板谷さんの言う、おちこぼれも見方を変えると
「適材適所」に生徒が気づいていきそうなそんな勢いを感じて頼もしい。
それぞれの登場人物について目を離せない感じがあってこのまま言って欲しいですね。

みり様
コメント下さり、ありがとうございます。

実際にある場所がモデルなためか、話がありがちに傾こうとしても、説得力を失わないですね、このドラマ。 海荷チャンと神木クンらの若手組に、原田サンや高橋サンのような味のある役者の演技が下支えになっている気がします。

松岡クンも、ガチガチに固いだけの人間じゃなくって、原田サン演じるオヤジさんにビビりまくってるし(笑)あんパンがやっぱり好きだし(笑)、遊びの部分も適度に見えるところが、見ていて安心できますネ。 ラストでは三重弁?も不意に出てしまって、頑なな心がほぐれつつある兆候もかすかに見えますし。

なにしろ見ていて、中村雅俊サンとラグビー部、みたいなノリが懐かしいです、私の場合(笑)。

こっちも見てます。見てますが、
同じく学園モノでテレ東の月曜10時『鈴木先生』。
これが今クールのダントツヒットです(個人的に)。
主演はセカンドバージンの長谷川クン。
高校生レストランが正統な青春モノなら
鈴木先生は真反対の変化球モノです。
生徒も教師もいろいろ抱えていて、教育的指導というよりは人間同士のつきあい。
ここ二回は魂の絶叫のような迫真の演技で、
見終わるとグッタリするほどです。
ほぼ1話完結なので、一度お試しくださいw

高校生レストランとは関係ないコメント、
すみません。
ついでに、『犬を飼うということ』もいいドラマです。

追伸。
魂の絶叫というよりは
キレて絶叫。(爆)

マイティ様
コメント下さり、ありがとうございます。

や、見逃しました、「鈴木先生」。 まあしかし、週のしょっぱなからグッタリはしたくない気もしますが…(爆)。

今クールのドラマは見逃したものが多くて。 なんかいつの間にか始まってる感じ。 この 「高校生レストラン」 や 「リバウンド」 など、ちょっと遅れがちで始まったものにはなんとか乗ることができました。

今クールかちあってる感じなのが、高齢出産モノですね。 両方見ましたが、開始5分でリタイア。 どうもオトコの自分には、ピンとこないようです。

「犬を飼うということ」 も第2回目を見たきり、ちょっと投げてます。 なかなか見るヒマがない感じです。

「マルモのおきて」 という 「JIN」 の裏番組が評判がいいようなのですが、容量の関係でダブル録画ができず。

でも、不作だった冬クールと比べると、なかなか秀作ぞろいのようですよね。

マルモも見てますw
犬が喋り出すこと以外、別に珍しいエピソードではないのですが
独身オトコが突然双子の父になり、その不器用さと
子供たちのひたむきさに泣けたりします。

高齢出産モノはNHKのほうを見てますが
流し見ですw

ウチはまだHD録画にしてなくて、アナログVHS録画なんですが、放送時に見るものも含め、キッチリ見るのはけっこう大変です。
『フラッシュフォワード』も見てますw

マイティ様
再コメ下さり、ありがとうございます。

まずマイティサンに謝らねばなりません。 今 「JIN」 今週分を見たのですが、マイティサンの予想、結局おんなじよーな回避の仕方でしたね。 「テキトーですなぁ…」 と書きましてお詫び申し上げます

「フラッシュフォワード」 ですか。 外国モノかと思っておりました。 さすがに深夜ドラマまで、きっちりチェックしておりますネ!

「マルモ」 は最近よく、芦田愛菜チャンのモリモリ体操?とかいう歌が、結構よくラジオでかかるんですよ。 私は最近、愛菜チャンは出来上がりすぎててちょっと引いて見てるんですが、演技力はハンパじゃないので、彼女がどこまで伸びるのかには期待してます。

マイティ様
リウ様

「鈴木先生」見てます。
原作を知らないのですが
「おもしろい。」です。
始まる前は、まさかこんな展開とは!というある意味裏切られ方がいいです。

学校ものでは、「アスコーマーチ」も欠かせません。
ひまわりの茂樹兄ちゃんが。。。。
武井咲ちゃんのひたむきな役もいけてます。
マジに泥を被るシーンも躊躇なくがんばってるね。

リウ様
「フラッシュフォワード」はアメリカのドラマです。竹内結子さん出演。

えっとJINの予想はやっぱりテキトーですよ
南方の祖先の配偶者(お初ちゃんか別の人物か)の違いでしたもん。

みり様
「鈴木先生」いいですよね!
月曜日、ああ今夜は鈴木先生だ!今度は何がおこるの!?と
ちょっと上がりますもん。
今回絶叫してた学級委員のコは、映画『告白』で発狂してたコ。
ウマイですわ〜〜圧倒されます。

アスコーは1話脱落しちゃいました。
ガテン・ものづくり系マンセーのドラマと捉えていいのでしょうか?

みり様、マイティ様
コメント下さり、ありがとうございます。

どぉ~もテレ東の月10って、「アサガオ」 のときから侮れないなぁ。 「アサガオ」 の後番組の医療モノでもそうでしたが、結構いい役者さんたちが大挙して出ている印象があります。
だのに作りがなんとなくテレ東らしくって、チープ感が漂っていて(個人的感想ですが…)。 演出のせいなのかな?なんて思ったり(異論反論歓迎いたします)。
しかしおふたりがかなりハマっている、ということは、途中参加でもがぜん見たくなってまいりました。

アメリカのドラマに竹内優子サンが出ているんですか! オドロキです。 「JIN」 の予想は、からくりがおんなじという点でマイティサンには感嘆いたしました。 私はてっきりタイムスリップの謎まで絡む話かと思っていたんですが、結局すぐ南方先生は江戸に戻ってきちゃったし。

「アスコーマーチ」 は1回目を見たきり以降手をつけてません(番組休止が多過ぎる…言い訳?)。 でも録画しているからと言って、「いつでも見れる」 などと思ってしまうとイカンですね~。 ドラマも鮮度が命です。

マイティ様

>ガテン・ものづくり系マンセーのドラマ
主題はたぶんそこ狙いですが、
主人公が第1志望に落ちてよくわからずに祖父の薦められるままに入学したと言う時点で
自分は好きで入った学校でないという視点があります。

なので、主人公の感覚と他の生徒の感覚の温度差というところがみどころかも。
「マドンナ・〜」の清川センセ(勝村政信)が
主人公の担任で不真面目調真面目な先生を演じています。


リウ様

鈴木先生=チープな作り感
言えてます。ライティングが自然すぎるというか
普通の家庭ビデオのような撮影に見えるほど。
ドラマとしては少し不思議な感じがします。

みり様
さらなるコメントをいただき、ありがとうございます。

「アスコーマーチ」、私も第1回目のレビューで書きましたが、生きてて 「自分は場違いなところにいるんじゃないか」 という違和感をお持ちの方であれば、主人公の武井咲チャンに感情移入できると思います。 マイティサンは結構、自分の思った道を突き進むタイプのかたなんじゃないかな~?と大変失礼ながら私は考えています(間違ってたらスッゴクゴメンナサイ)。 そんなマイティサンにとって 「自分が好きで進んだ道なのにどうしてこんなにつらいのか?」 というドラマには感情移入できそうに感じますが、「ホントはこんなとこに来たくなかったのに」 とウジウジしている女の子には、感情移入しにくいかも?です。

テレ東のドラマを見ていると、ドラマの良しあしを決めるのは役者ではない、脚本家と演出家なのだ、という気がとてもするんですよ。 もっと強権的な演出家が育ってくると、テレ東のドラマは素材がいいだけに大化けするように感じます。

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

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    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
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    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

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    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

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    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

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    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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