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2011年6月26日 (日)

「リバウンド」 第9回 最終回前に、必要以上に話が収束しすぎてる

 どうも信子(相武紗季チャン)と太一(速水もこみちクン)が結ばれる、ということが、あり得なくなってしまいました。
 最終回が目前だというのに、このドラマはまるでこの回が最終回のような展開。
 遊川サンは型通りのハッピーエンドという方法をとても回避したがる傾向の脚本家さんなので、彼のセオリーからいくと、もうこの第9回目が最終回、というカテゴリーに含まれてしまう気がするんですよ。
 それなのに、まだあと1回残っている。
 これってまたまた、変な(笑)どんでん返しが待っている、ということなのかな?

 この回、信子は結局雑誌 「EDEN」 を辞めてしまいます。
 つまり心筋梗塞で倒れた父親(石塚英彦サン)のあとを継ごうと、実家のとんかつ屋になる決心を固めたからです。

 彼女が決意を固めたのは、幸せが実は、幼いころから 「こんなところに生まれたからデブってみんなからバカにされるんだ」 と忌み嫌っていたはずの、このとんかつ屋の扉の向こうにあったんだ、ということに、気付いたから。
 彼女はおいしいものを作って店に来るお客さんを幸せにすることで、自分が笑えるんだ、ということに、いちばんの価値を置こうとしている。

 大人になるに従って、笑うということが極端に減っていく人間。
 自分の人生は、少なくとも笑い続けていたい。

 それは、研作(勝地涼クン)が入院先に押しかけることで完全に笑いを閉ざしてしまった石チャンの姿を見て、信子があらためて思い知ったことなのです。

 自分らしくあることは茨の道だ、ということは、今回の自分に降りかかった失恋や、編集長(若村麻由美サン)の姿を通じて、信子が痛いくらい学んだことです。
 それでも自分らしくあらねばならない、というのは、結局いろんなこまごまとしたこだわりを捨てて、何もかもかなぐり捨てたあとに残った、たったひとつの自分のプライドのためである。
  「EDEN」 を辞める際に編集長は、自分の後任に名前を間違えられても何ひとつ文句を言わなかった渋谷(しぶたに)さんを指名するのですが、これも名前を間違えて腹を立てるような下らないこだわりを渋谷さんが持っていなかった、ということを理由として挙げている。

 要するに、編集長は確信犯的に名前を間違えて呼んでいたんですよ。

 この編集長の判断って、一歩間違えるとかなりおマヌケになりかねない。
 自分の名前にこだわりがない、ということは、要するにどうでもいいっていうやる気のなさ、あきらめの早さと直結している可能性も捨て切れない。
 編集長がその部分のみを評価して渋谷さんを指名したのであればマヌケなんですが、なんだかんだ言いながら編集長は、日ごろのスタッフたちの仕事への打ち込み具合をかなり厳しく査定していたんでしょうね。

 編集長の更迭に伴って復帰した有希(西山茉希サン)も、思いあがりからわがままになっていくのですが、信子に諭されて、自ら 「EDEN」 の専属モデルを辞めてしまいます。
 彼女は信子にあらためて見せつけられた、自分の新人時代の写真を見て、自分がここにいることの恥ずかしさに気付くのです。
 確かに素人目からも、新人時代のグラビアが魅力的なことがよく分かる。
 そして最近の有希の仕事に向かうやる気が減退しているのも、すぐ分かる。
 ここらへんの演じ分けがされているのは、ちょっと感心いたします。

 検索してばかりの研作にストレートにものを言った信子。
 研作からの大上段なプロポーズを、完っ璧に拒絶するのです。

 「どんなにつらくても、悩んで苦しんで、自分で考えて自分で決めなきゃいけないんじゃないの?自分の生き方って!」

 自分らしさに傷つきながら、大切なもののために何かを捨てながら、それでも決断しなければならない。
 遊川サンの作品にときどき見られる、「なにかの犠牲の上に立っている人生」 という観点が、ここでも垣間見ることができます。

 入院先を親友の瞳(栗山千明サン)と一緒に訪ねてきた太一。
 人生の苦渋の決断に鬱々としていた信子に、太一の笑顔が、とても眩しく映ります。
 胸が潰れそうになったかのような信子の表情に、見ているこっちも思わずウルウルとしてしまいました。
 ここにも、幸せの扉がある。
 けれども信子は、もうかなりの部分で太一との仲をあきらめる踏ん切りが、つきかかっている。
 とんかつ屋を継げば、アンジュで一緒にケーキを作っていくことなんて、完全に不可能になるからです。

 あきらめなければならない、切ない思い。

 太一が持ってきた9つ目の新作、プリンには、信子との共同作業の証であるニコチャンマークがついていません。
 がっかりする信子。
 太一をあきらめているはずなのに、ガッカリしてしまう、この切なさ。
 ところがプリンの底の部分に、大きなニコチャンマークがカラメルで描かれているのです。
 瞳が信子との思い出をもとに発案していた、そのアイディア。
 瞳も太一との新作ケーキに自分の思いではなく、信子の力を借りなければ何もできないジレンマを、抱えているのです。

 参ったなあ、この構図。

 結局瞳もそんなジレンマに耐えきれず、太一と袂を分かつのですが、結局信子の最後のひと押しによって、太一は瞳を、さらいに来るのです。

 なんか話が、もう信子と太一はオシマイ、とたたみかけまくっている感じで、切なさが極まっていきます。

 信子が太一に対して最終的な決断を迫ったのは、自分との共同作業ではなく、あなたを産んだご両親の思い、というものに応えなければならない、という理屈によってでした。
 自分も両親の温かな笑いに包まれて育ってきたことの思いを、とんかつ屋を継ぐことで果たそうとしている。 だからあんたも、そうすべきなんだ、って。
 また共同作業でケーキを作りたい意向の太一に、信子はとても柔らかな彼女らしい笑顔でこう言うのです。

 「違ーうよー!

 これ、ぜぇーんぶ太一がひとりで作ったんだよ!

 あたしはー、食べてー、意見ゆっただけー」

 ここまで来るともう、太一も決断せざるを得ないじゃないですか。

 「瞳のこと、…離さないで」

 笑顔を作りながら、切ない表情でアンジュを去っていく信子。
 かなりウルウルしました。

 そしてとんかつ屋に戻ってきた信子。
 そこでは、なんと研作が下働きとして働き始めているのです。

 これってもう、こ~なるしかない、ってことでしょうねぇ~。
 いじりようがないですよ、もう、これ以上(笑)。
 ここからどうやって最終回を作っていくのか、といえば、もっともっとこれ以上こ~するしかない、というのを推し進めるか、かなり状況を破壊しまくって(爆)信子と太一を一緒にさせるか、どっちかしかない気がする。

 いずれにせよもう1回残っている、というのがかなり気になる、「リバウンド」 なのです。

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