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2011年7月18日 (月)

「テンペスト」 第1回 「琉球ドラマ」 というカテゴリー

 「嵐」 を意味するという、「テンペスト」。
 幕末期(19世紀後半)の沖縄(琉球王朝)を舞台にしたドラマで、主演が仲間由紀恵サン。
 NHKBSプレミアムの 「新選組血風録」 に続く時代劇枠の2作目であります(後記 : 2012年4月から、NHK総合で開始)。

 しかしいい加減にこのドラマ枠を 「大河ドラマ」 と称したほうが、こと今年(2011年)に関しては妥当な気がするんですけどね(「江」 のことです)。
 別に大河ドラマは1年間、などという縛りなんかないし(かつて 「炎立つ」「琉球の風」 という変則的放送がありましたからね)、ワンクールごとに区切ってもこっちのほうがはるかに良質なんだから、いいような気がします。

 ドラマの体裁としては、時代劇、と名付けるにはやはり躊躇がある。
 琉球の大昔の風俗は日本、というカテゴリーではけっしてないし、また清の影響下にあると言っても清でもない。 感覚的に言うと、韓国の時代劇にとても近いものを感じるのです。 しかも 「ソドンヨ」 とか新羅系?のドラマ。
 あえて名づけるならば、「琉球時代劇」 とでも申しますか。

 その独特な国際情勢の狭間に存在しているこのドラマ、ドラマ的にもいきなりCGを多用した無国籍な感覚を冒頭から披露して、見る側の気持ちを別世界へと運んでくれます。
 のちに仲間由紀恵サンが演じることになる孫寧温(真鶴)が生まれる瞬間、建物の龍の飾りが動き出すんですよ。
 そしてまるで 「龍馬伝」 のオープニングみたいにとぐろを巻いて龍が大空を泳ぎ出す。
 「この子は王朝に嵐を巻き起こす龍の子じゃ」、というわけですが、このCG、顔見せだけかと思っていたら、第1回ラストにもまた登場する。

 なんかペ・ヨンジュン氏の 「太王四神記」 でも見てるような感覚になります(笑)。

 そんな独特の印象をさらに強くさせるのは、番組冒頭から繰り広げられる、「多様な言語」 であります。
 中国語をはじめとして英語、フランス語、ドイツ語、いろいろ出てくるのですが、ちょっと感覚的ににわかに理解し難いのは、孫寧温のしゃべり言葉をはじめとした王宮に近い人物たちのしゃべり言葉が、現在の日本語にかなり準拠しているのに対し、民衆の間で交わされている言葉が、「ちゅらさん」 に出てくるような現在の沖縄言葉にとても近い印象を受けること。 「ちゅらさん」 のおばァ(平良とみサン)もなにげな~く出てくるし(笑)。
 沖縄弁というのは、かなり年配の人の言葉は今の県内の若者にも理解できない部分があるほど特殊な言語みたいなのですが、おそらくドラマ用に 「言語の棲み分け」 というものをかなり行なった印象を受けるのです。 まあ、実際に琉球の言語ってどうだったのかな、というのは、気になるところです。

 さらにさらにこのドラマ独特なのが、専門用語の多さ。

 科試(こうし)というのは中国の科挙のようなもので、しかも科挙よりもはるかに難関だったらしい、分かりやすく言うと公務員試験のようなもの。
 そして孫寧温が勤めることとなる王宮のブレーンとも呼べる役人たちは、評定所筆者(ひょうじょうしょひっしゃ)という、舌噛みそうな名前(笑)。
 王宮の、まあいわば大奥が、御内原(うーちばら)。 王宮の財政に不審な部分があるとして王様(尚育王、高橋和也サン)から命を受けた寧温が 「自分は宦官(去勢された役人のこと)だから大丈夫」 と入ってくると、かたせ梨乃サン、高岡早紀サン、若村麻由美サン、八千草薫サン、ほか一名(側室の人)(天城純子サン、とおっしゃるらしい)が次々登場して火花を勝手に散らしまくる場面では、笑いました。 ヤケに難しそうなことを取り扱っているはずなのに、こういう日本版 「大奥」 を意識したようなキャスティング、笑いを取ろうとしているような部分が垣間見えるのはうれしい。

 しかしここに出てくる高岡早紀サン、聞得大君(きこえのおおきみ)という、尚育王の姉で王族神、つまり神官のいちばん偉い人かな?よく韓国時代劇で出てきますよね、エラソーな巫女が(笑)、あんな感じの人なんですが、この人がコワイ(笑)。

 この時代、民間祈祷師?であるユタは公に認められていなかったらしいのですが、この聞得大君、王朝を揺るがす寧温の存在を触れまわったユタをしょっ引いてきて惨殺、それが辰年の女であるという情報を手に入れて、辰年の女性を片っ端から捕まえて拷問死させ、寧温が孫家を出奔した兄(孫嗣勇、金子昇サン)と会うところを嗅ぎつけるとその兄を捕まえてまたもや拷問。 聞得大君は王朝に代々伝わっていた馬天ノロの勾玉を持っておらず、その行方を躍起になって探しているのです。

 この聞得大君の悪辣さはまるで韓国時代劇の悪役そのもの。 韓国時代劇の悪役も、どこからそんな情報を仕入れたんだというくらい察しが良くて残虐で、まあ彼らのおかげで話のテンポも速くなっていいのですが(笑)、高岡早紀サンは今回その役を一手に引き受けるのです。

 もともと寧温は、その出来の悪かった義兄嗣勇が出奔してしまったために女であることを隠し宦官として王宮に入ったのですが、そのことは物語を進めていくうえで結構大事な秘密かな、などと自分は考えておりました。
 そしたらその、高岡早紀サンの悪役らしい素早いお働きによって(笑)、早くも第1回ラストで、「私は実は女です!」 ということになってしまった。
 驚きました。
 まさかいきなり秘密がばれてしまうとは(ということをばらしている当ブログではございますが…笑)。

 ウィキによれば原作本は1800ページにも及ぶ大作、なのにこのドラマは10回の放送らしい。 ということはこのドラマ、「大聖堂」 みたいに話が超スピードでブッ飛びまくるのかもしれません。

 だからかもしれませんが、どうも話が盛りだくさんすぎて、ちょっとストーリーを追ってレビューを書こうという気になれない(「JIN」 のとき精魂使い果たしたので…笑)。

 仲間由紀恵サンの男装の演技は、どうも意識して声を低く作りすぎているような感じで、なんとなく不自然な気もするのですが、その演技力は確かです。 どうも同じ役を舞台でもやっていたらしく、ちょっと不自然なのはその名残なのかもしれません。
 しかしラストで自分が女であるところをばらしてサラシを脱いでいく場面では、さすがに事務所の圧力がかかったのか(笑)、それを逆手に取ったのか(笑)、脱いでいく途中からサラシが強く光り輝き始め(おおっ!)龍が仲間サンのセミヌードを見せまいと立ちはだかります(爆)。
 すごいな、仲間サンのハダカは。 光るのか(笑)。

 …失礼いたしました…。

 第1回目では科試をめぐる話が、やはり惹きつけられた気がします。 特に寧温の父親役、奥田瑛二サン。
 期待のかかった第1子が女だったために嗣勇を養子として迎え入れたはいいものの、記憶力がからきしで結局逃げられてしまったために、娘を宦官として送り出さねばならなくなる父親。
 彼女に3歳まで名前を付けず(というより真鶴という名前は寧温が自分で勝手に名乗った)、厳しくしてきたのも実は自分らが王族の証である 「尚」 氏の末裔であったから。
 寧温が科試の最終試験で王宮の政策に真っ向から異を唱える回答を書いたために、父娘ともども投獄され、尚育王の真実を求める姿勢によってその解答用紙は王の目に触れるところとなり、土壇場で寧温は処刑を免れるのですが、父親は時すでに遅く首をはねられてしまう。
 ここらへんのくだりはまさに韓国時代劇そのもの。
 でもこういう展開、というのは、やはり見ていてぐいぐい引き込まれるものです。

 それにしてもこの話を1話でやっつけてしまうなんて、やはりもったいなさすぎる。

 全40話くらいには平気でなりそうな感じ。

 返す返すも、大河でないことが、残念です…(ですから、「江」 の話です…笑)。


「テンペスト」 に関する当ブログ記事

第1回 「琉球ドラマ」 というカテゴリー http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/07/1-18f9.html
第3-4回 孫寧温の方法論 http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/08/3-4-c00d.html
第5回 GACKTサンの演技が見られることの喜び? http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/08/5-gackt-707d.html
最終回まで見て 感想さぁ~ http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/10/post-ebca.html

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コメント

テンペスト、ドラマは拝見していないのですが、
原作を以前読みました。
確か、当時の琉球では
日本語(当時の候文)を行政機関の公用語として
採用していた云々といった記述がありました。

おそらく民衆と官職との
間での言葉の使い分けは、
それを意識して演出されているのではないでしょうか。

ちなみに、原作も大変面白いですよ。
是非オススメです。

ひろ様
お久しぶりです(ですよね?)。 コメント下さり、ありがとうございます。

ひゃ~、1800ページにもなるという本など、私に勧めないでくださいまし(笑)。 ただでさえ見てないドラマがたまりまくっているというのに…

琉球での公用語と民衆言葉の違いについてのご説明、まことにありがとうございます。 なるほどです。 そう言えばドラマでも、ベッテルハイム医師が真鶴に向かって、「この文を候文に訳してくれ」 とか言ってました。 ドラマ的には候文を公用語にすることはできないでしょうから(笑)、分かりやすくしたんでしょうね。

いいなあ。パラボラ無いので見られないです。
何カ月か前、教室で衣装を縫っている人がおりました。
ポスター用かな?
舞台でも上演されてますよね。それかも。

マイティ様
コメント連投下さり、ありがとうございます。

パラボラは中華鍋でもできる、なんて話も聞いたことがありますが(笑い話かな?)。

沖縄の民族衣装まで制作されてるんですね! 和装だけじゃないんだ。 テレビ局御用達、というわけですね。

NHK総合でもそのうち放送すると思いますので、気を長~くしてお待ちください

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    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

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    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

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    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
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    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

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    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

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    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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