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2011年7月17日 (日)

「ブルドクター」 第2回 事件の先に何を見せるのか

 私はあまり1話完結ものの事件ドラマを見ません。
 だからサスペンスドラマも見た記憶がありません。
 特に1時間、正味50分弱のドラマで、被害者加害者のドラマをのめり込ませて見せるのはとても困難が伴うと考えている。

 正直この 「ブルドクター」 も、被害者加害者のドラマをじゅうぶん見せてくれているとは言い難い。
 犯人推理もの、という見せかたも最初から放棄している気がするし。
 つまり、開始10分で、犯人が分かっちゃうんですよ。
 今回も自殺した女性(市川由衣チャン)が他殺なのではないのか、という最初の展開から、「こりゃ他殺だと言ってるも同然」(笑)ですし、石原さとみチャンが捜査の段階で事情聴取した精神科医(山下容莉枝サン)が 「あからさまに怪しい」 し、その場にチラッと登場するその精神科医の息子(載寧龍二サン)がほんのチラッとなのにわがままそうなバカ息子風なのが見え見えで、「こりゃこのバカ息子が犯人だろう」 というのがその段階で分かってしまう。

 作り手はそんなわざとらしいことをしといて、見る側の目をそらすためか、容疑者の最右翼として、法医学教室の准教授、稲垣吾郎クンを配するのですが、これがまた容疑者としてはあり得なさふうで。
 つまり彼は、主演の江角マキ子サンの思想の対極としてこのドラマでは存在しているわけで、そんな彼がドラマ開始2回目で殺人事件の犯人になってしまうことは、まず考えられんのです。
 だからゴローチャンの恋人である石原さとみチャンが、ゴローチャンに疑念の目を持つ展開も、「べつにないっしょ」「さとみチャン、なんでこんなにゴローチャンの浮気にこだわりたがるかなあ」 と感じてしまう。

 となると、まずあり得ないゴローチャンを除くと、バカ息子しか怪しそうなのはドラマに出てきてない。
 これって、「このドラマの主眼は犯人捜しじゃない」 ということを暗に認めているも同然、という感じがするんですよ。

 前回、手塚理美サンが犯人だということを、石原さとみチャンは立ち聞きで知ってしまうという安直な展開がありました。
 今回も市川由衣チャンの自宅の冷蔵庫に大量に買い置きしてあったジュースと、そのバカ息子が同じものを飲んでいた、という事実に志田未来チャン(だったかな?私この人の顔、いまだにちゃんと判別できません)が気付く、という、犯人確定の安易な展開があった。
 このことからも、なんか謎解きのためのさまざまな見せ場を作り手自身が放棄している気さえしてくる。
 作り手に推理ものが作れるかどうかの力量はさておいて、作り手自身に推理ものを作ろう、という気概が見えてこないんですよ。

 では何がこのドラマの主眼なのか、ということですが(まあ推測の上に憶測を重ねてますけどね)、表面上で言えば 「検死をきちんとやらないことで、埋もれてしまっている事件がこの国には多過ぎる」 ということだとは思います。
 ただ個人的にいちばん感じるのは、江角マキコサンちの親子関係の修復なのかな、ということ。
 このドラマ、第1回目で息子(青木綾平クン)と母親である江角サンとの関係はグチャグチャだったのですが、早くも第1回目で関係改善。 なんだ、引きずらないのか、と思ったら、第2回目では息子が 「自分史」 の宿題にお弁当の写真がないことで不満を持ち始め、またまた関係が悪化。
 それでもやはり今回最後では親子が分かりあえてめでたしめでたし、なんですが、また第3回冒頭から関係が悪化するかもしれない(笑)。
 つまり江角サンが、直面するさまざまな事件の本質を掘り当てていくに従って、徐々に部分的ではありながらも改善修復されていく親子の関係、それがこのドラマの主眼なのかな~と、…まあ始まって2回目で確かなことは申せませんが。 どうも市川亀治郎サンも不気味なほど沈黙しているし、この先もっとすごい江角家の展開が待ち受けてるのかもしれません(気がするだのかもしれないだのばかりで申し訳ない)。

 このドラマの説得力を弱いものにしているのは、この石原さとみチャンが、先に書いたように 「実はゴローチャンの恋人だった」 とか、彼女が江角サンの母親(市毛良枝サン)の書道教室に通ってて江角サンの息子とも知り合いだったとか、そういう、ドラマにありがちな 「世間は狭い」 といった描写や、法医学教室の同僚たちが傍観者丸出しの道化役に終始してしまっていること(これは前回レビューでも指摘しました)に原因があります。
 さらに江角サンもさとみチャンも、表面的に見ているととても感情移入できそうもないキャラであることも大きい。
 これってじっくり見ていけば、おふたりともとても共感できる一面を隠し持ってる気がするんですけどね。

 今回、ドラマを上質なものにしていたのは、なんと言っても殺された市川由衣チャンの母親役、日テレ常連(笑)朝加真由美サンでしょう。
 そしてその悲劇を引き立てる小道具が、実は妊娠3カ月だった(それが原因でバカ息子に殺されてしまったのですが)由衣チャンが作っていた、鈴入りの小さな小さなぬいぐるみ。

 紛れもない自殺、として警察が処理しようとしている案件に必死になって楯突き、20万円以上かかるという検死代(これって国庫負担なのか、被害者負担なのかの描写は欲しかった)をものともせず、娘の死の真実を突きとめた母親。
 結果的にこの母親は、娘の妊娠も、娘が恋人に殺されたということも、とても辛い事実ばかり知ることになったのですが、ゴローチャンが最後に、彼女にどうしても言いたかったことがあったのです。

 「母ひとり、娘ひとりの家族だったけど、お母さんからは、どんな母親よりも、いろんなことをしてもらったって。

 それから、」

 「いつか私がママになれたら、手作りのおもちゃや絵本、いっぱい作るんだ。
 私がお母さんに作ってもらったみたいに」

 ゴローチャンの回想。
 由衣チャンが笑いながら、鈴入りのぬいぐるみをゴローチャンに見せています。

 由衣チャンの遺品の入った紙袋をやおらまさぐる朝加真由美サン。
 ビニール袋に入った、小さなライオンのぬいぐるみ。
 泣き崩れる、朝加サン。

 1時間の1話完結ドラマにも関わらず、この場面にはウルウルしました。
 やはりこの小道具と、朝加サンの演技が効いています。

 事件解決後、江角サンはさとみチャンがゴローチャンの恋人であることを早々に感づいていたことを本人にばらしてしまう。
 ここでも、「狭い世界」 を作り手が自ら放棄している気がします。

 殺されたものの思いを感じ取ること…、その表面的な主題のほかに何かが潜んでいる気がする…、それは橋部サンの近作を見てきた私の勝手な思い込みかもしれませんが、何かを期待したくなる、このドラマの成り行きなのです。

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コメント

今日は。
そんなに熱心に見ているドラマではないですが、
どなたも、コメント投稿がないので。(笑)

何がドラマの主眼なのか、
リウ様の言われる通り、サスペンスとしても、刑事もの、医者ものとしても、家族関係修復ドラマとしても、物足りないです。

私は、吾郎と、江角、石原の、コント的なやり取りを、楽しめたらと。
でも、江角さん,CMと同じ、しゃべり方なんですよね。(苦笑)

バチスタでも、同じような主題で、解剖医が出てきますが、ご覧になっていますか?
こちらは、警察が悪役で、サスペンス感は有りです。

投稿: 勇者 | 2011年7月20日 (水) 14時47分

ブルドクター2回めも見ましたが、どうなんでしょう。

続けてみる意欲は徐々に低下しているような気がします。
ドラマとして、なんか薄っぺらい感じがしてるんですね。きっと。
おきまりのパターンというか、ありきたりというか・・・

「絶対零度」の方が、はるかにいい感じですね。たくさん人が出てくるので、途中からだと若干わかりにくいかもしれないですが、短い時間の中で人間関係が上手に描かれているので、テンポもあって楽しめます。

今回から登場した桐谷健太さんも、なかなかいい感じですし、なにより北大路欣也さんがいると引き締まりますね。中原丈雄さんや杉本哲太さんも脇を固めていて、いいチームワークができているドラマになってると思います。(続編だから当たり前かもしれないですけど)

お時間あったら、ご覧になってくださいね。

投稿: rabi | 2011年7月20日 (水) 15時39分

勇者様
コメント下さり、ありがとうございます。 コメント欄を埋めてくださることに気を遣っていただき、恐れ入りますconfident

このドラマ、私もあまり真剣に見ているわけでもないのですが、「なんかほかにあるのかな~」 などという目で見てしまっているドラマ、です。 そーゆードラマってたいてい、ほかに何にもないんですけどネ(笑)。

今回は江角サンもブランク後の作品ということで、いちばんエスミらしいキャラ、という線で行ってるような気がしますね。 プロデューサーの意向なのか、江角サン本人がこういうキャラが好きなのかは分かりませんけど。

チームバチスタも見てないんですよ~bearing。 シリーズものになってしまうと、最初に見逃したのが長いこと仇になってしまうのが残念です。 「相棒」 なんかもそれで見てませんし。

「ブルドクター」 は、生意気そ~な石原さとみチャンがどのような変わりかたをしていくのかに、ちょっと興味があったりします(ただ単にファンだと言え、ファンだと…笑)(タラコクチビルには、百恵チャン以来弱いのです…)。

投稿: リウ | 2011年7月21日 (木) 07時11分

rabi様
コメント連投下さり、ありがとうございます。

確かに橋部サンの力量って、そんなにないのかもしれないな…、という気はしております。 「不毛地帯」 では見事に登場人物たちが文芸風しゃべり方を徹底していて(笑)、原作の持つ堅苦しさを逆手に取っている気もしたのですが、やはり原作がよかったからドラマも面白かった、というだけのことだったのかも。

「絶対零度」、それほどおっしゃるのでしたらちょっとチェックでも…(笑)。 でもまあ、事件ものって、あんまり食指が伸びないんで(「ブルドクター」 も、…アレ?rabi様のお勧めで見出したんだった!…爆)。

とにかくレビューを書いておりませんが、「アイエス」 とかも見てるし、「おひさま」 はたまる一方だし(笑)、なんかいろんなドラマで頭のなかがごっちゃになっている感じがいたします(ハハ…)。

投稿: リウ | 2011年7月21日 (木) 08時13分

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