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2011年7月12日 (火)

「全開ガール」 ガッキーの新たなる挑戦

 新垣結衣チャンが弁護士役…、この子は年齢に似合わずいろんなキャリアの役をよくやるもんだ、という印象がまずした、「全開ガール」。
 彼女に限らず、最近のドラマは 「この子がこんな役、まだ早すぎるだろ」 というキャスティングがあまりに多い気がしています。
 結衣チャンももう23歳、まあ新人弁護士の役くらいならしてもいい年齢なのですが、どうもしっくりこない。
 どうしてそう思ってしまうのか、と考えていたら、このドラマの冒頭で、「私たちは、『ゆとり世代』 の第1期生」 という彼女自身のナレーションが。

 「ゆとり」 というのは現代では差別語の一種であります。 要するに、「この世代は学校でろくな教育を受けてこなかったからおバカの集団だ」 という侮蔑がそこには含まれている。
 週休2日だ、科目も少なくしよう、余暇を楽しんでテレビゲームもTDLも当たり前、チャラチャラとした服を着て、みたいな描写が、このドラマの冒頭でも流れていきます。
 その映像を見ていて、「つまりこの新垣結衣チャンの世代って、気持ちにゆとりがありすぎて、気持ちだけでなく顔付きも大人になりきれてないんじゃないのかな」、などと感じたんですよ。 必要以上に幼すぎる気がする(意見には個人差があります)。
 この世代の若手の多くに 「こんな役は早すぎるだろう」 と感じてしまうのは実にそのせいなんじゃないか、…みたいなー(当該世代の反感を軽減しようとしております…笑)。

 新垣結衣チャンは数年前、その極上な笑顔の魅力で台頭してきた女優さんです。
 けれども彼女が大人になっていくに従って、その魅力だけでは到底生き残れない壁のようなものを、私は感じています。
 彼女がどこまで、これまでのイメージを覆す演技を見せてくれるのか。
 私の興味はこの一点に集中していたのですが、前半30分はもう、ドラマ自体のテンポがあまりに早く、あまり彼女の演技がどうだとか感じるヒマがありませんでした。
 彼女は親が借金で苦しめられてきた影響をもろに受けて、地位と金にいちばんの価値を認めているだけの、せせこましい上昇志向の虜になっています。
 要するに何でもかんでも法律を振りかざし、人の情なんかまるで眼中にない。
 弁護士になるうえで人の心に興味がない、というのは、実はとてつもない欠落である、と私は思うのですが、彼女の眼中にはセレブな生活しかありません。

 司法試験一発合格で就職したばかりの外資系の弁護士事務所が日本からの撤退を表明した瞬間、彼女は転職に走ります。
 しょっぱなからナンですが、この設定って結構甘い気がする。
 彼女が上昇志向の持ち主なら、別に海外を拠点にしたっていーじゃないの、という気がするからです。
 そして彼女が再就職した薬師丸ひろ子サンの法律事務所、第1回終盤ではここをクビになる(なったのかな?スイマセンちょっとよく見てなくて)危機に瀕して、どうして前の外資系のときのようにスッパリここに見切りをつけて再就職先を探さないのか?という疑問にもつながってくる気がするのです。

 この薬師丸サンの事務所に面接に行く途中、ガッキーは電車の中で痴漢に遭うのですが、それが錦戸亮クン。
 完全な濡れ衣でさんざんな目に遭った錦戸クンには前の妻から押し付けられた一人息子のビー太郎(高木星来クン)がおり、薬師丸サンから押し付けられた一人娘(谷花音チャン)と同じ保育園であったために、ガッキーは錦戸クンと絡んでいくことになる。

 「年収も地位もある、子供なんか嫌いな男と結婚したい」 とうそぶくガッキーは、場末の定食屋をしている錦戸クンなんかに、まったく興味がないどころか、嫌悪しまくっています。
 表面上のそんな女を見ていると、錦戸クンのイクメン(育児パパ)仲間の荒川良々サンみたいにムカムカしてくるのがフツーなんですが、結衣チャンにはそんなオーラが感じられない。

 それは彼女が、言われたことはなにがあっても最後までやりとおす、という根性の持ち主であるからです。
 だったら外資系の会社を早々に見切るなよ、と言いたくもなりますが(笑)、彼女の頑張りが、このドラマを嫌気もささずに見続けることができる大きなファクターのような気がする。

 そしてそんな難しそうな役をこなしている結衣チャンに、ワタシ個人としては新しい可能性が広がり出した気が、するのです。

 錦戸クンは 「犬を飼うということ」 に続いて、ビンボーながらも(彼ってキャスティングの側からすると、こんなイメージなのかな~…笑)イクメンに誇りをもちながら生きている気持ちのいいパパの役。
 相変わらずニュートラルを保ちながら、押さえるところは押さえる演技をします。

 その象徴だったのが、自分の側に非がないのに薬師丸サンに謝るシーン。

 ガッキーはキスしてきたのが薬師丸サンの娘のほうだったのだから、あなたの息子には何の落ち度もない、こんなことで謝ってたらアメリカでは間違いなく敗訴する、みたいなことを言います。
 それに対して錦戸クンは、きっぱりとこう答えるのです。

 「ここはアメリカじゃないし、…理由はどうあれ、申し訳ない気持ちがあったら、謝るのは、当然でしょ?」

 「(間髪いれず)私は親切で言ってるんです!…そういう人間は、あとで必ず痛い目に遭うんです」

 結衣チャンからすれば、した手に出て借金とりたてのやくざから痛い目に遭っていた父親のことが念頭にあります。

 「たとえ痛い目に遭っても、…謝らなかったことのほうが、ぼくは後悔します…」

 そう話す錦戸クンの目は、あくまで清らか。
 まるでそれが、自分へのあてつけみたいに感じたような忌々しい顔を、結衣チャンは一瞬見せます。
 そしてあくまでも、冷たい表情を、彼女は貫こうとする。

 「ならご勝手に。

 ただ、そのあおりを食うのはあなたではなく、…あなたの保護下にある、子供だということを覚えていてください!」

 彼女はその時点で、錦戸クンに父親の影を見ているのかもしれませんね。
 だからこそ、自分がこの仕事をクビになるという局面になっても、前の時みたいにすっぱりあきらめて再就職先を探そうとしないのかもしれない(あっ、先に書いた疑問がイッコ解決…笑)。
 そして探さないどころか、飲んだこともない酒を飲んでベロンベロンに酔っぱらって錦戸クンを呼びだし、「キスのひとつもしたことないんじゃ」 と薬師丸サンに言われたことに抵抗するために、錦戸クンにキスまでしてしまう(しかも方言丸出し)(しかも出しかけたゲロ飲み込んで)。
 見ている側はガッキー、そこまでするかという驚きでいっぱいになります。
 確かに状況設定的には少しばかり甘いのですが、ガッキーの冒険に、見ている側としては一定の評価をしたくなってくるのです。

 「ゆとり世代」 に対しても、ガッキーは本気でぶつかることの重要性を説いて、先導役にまわっている気がする。
 月9、初回を見る限りではなかなかおもしろかったです。

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