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2011年8月 5日 (金)

「それでも、生きてゆく」 第5回 時間を、止まらせるもの(序)

 私事で恐縮ですが、ここ数日、このドラマの主題歌である小田和正サンの 「東京の空」 のフレーズが頭から離れなくて、ほとほと困っています(笑)。
 車の運転中も、不意にひとり歌いたくなってくる。

 ただちょっとうろ覚えで歌っていたせいで、ちょっと間違えてた(笑)。

 「自分の生きかたで 自分を生きて」 というところを 「自分の生きかたで 自分を傷つけて」 と歌ってました(笑)。

 ただ詐称詩人の(爆)私といたしましては、「自分の生きかたで、ほかならぬ自分が苦しんでいる、自分が傷ついている」 としたほうが、ちょっとしっくりくるのです。

 そして 「頑張っても 頑張っても うまくいかない」 のところではもう泣きたくなり(笑)、「でも気付かないところで誰かがきっと見てる」 のところでは、「いや、そんなことはない」 とかなり頑迷に否定(爆)。

 思春期の頃はそれこそ自意識過剰で、「誰かに見られてる」 という恐怖心でさいなまれたものなのですが、大人になったある段階で、「他人は実は、自分のことなんかそんな見ちゃいない」「他人は他人に対して、恐るべきほど無関心だ」 と感じて以来、人の目を気にすることがすっぱりなくなっていました。

 けれども最近は、「他人は自分のダメな部分を、想像以上によく見ている」 と強く感じることが、とても多い。
 仕事を一般人の間でやっていると、私自身の仕事の仕方についてなにかしら文句をつけたい一般人というのが、かなり多いということを、とても感じるのです。
 クレームというものをつけたがっている日本人。
 それは他人がかなり傍若無人に自分の平静な気持ちをかき乱している、という意識によるものなのでしょうか。

 このドラマに出てくる被害者家族は、身内を殺されることでかなり傍若無人に自らの人生自体をかき乱し尽くされているわけですが(おっと本題だ…笑)、妹を殺された瑛太クンと田中圭サン、娘を殺された大竹しのぶサン、互いに視野が、とても狭いと個人的に感じます。

 瑛太クンは異性と付き合うことをあきらめてしまったようで、人間関係、というか、他人との距離をはかるのがとても不器用という感じがするし、田中圭サンは自分が母さんを幸せにしている、と思い込んでいる。
 大竹しのぶサンはいきなり姿をくらまして田中圭サンをはじめとした養い先の家族をさんざん心配させといて(コメントを下さるかたのご指摘がなければ、大竹サンと段田サンが夫婦だと勘違いしたままだったと思います…笑)(rabi様、この場を借りてあらためてお礼申し上げます)、「娘の殺された現場に行った」 と長々と打ち明け話を始めるし(笑)。
 亡くなってしまった父親役の柄本明サンにしてもそうだったのですが、この被害者家族は、あることについて考え始めると、まわりが見えなくなる傾向がとても強い気がする。

 まあ人間だれしもがそんなものですけど、この瑛太クンたちに関しては(満島ひかりチャンの加害者家族に関しても同様なことが言えるのですが)、殺人事件というものに巻き込まれたことで、世間全体から翻弄され、考えるということを無理に狭められている部分が、かなり大きいよう私には思えるのです。

 「ディズニーランドに行ったことがある」 という今回の、満島チャンの妹役の福田麻由子チャンの告白がその象徴的な部分を物語っています。
 つまり世間全体から、「それはしちゃいかんだろ」 という知ったかぶったような謗りを、被害者家族も加害者家族も、一身にその身に受けてしまうからこそ、彼らは考えを狭量にせざるを得なくなってくるのです。

 大竹サンはそんな部分を、こんなふうに段田サンらに語っていました。

 「昔、亜季が…殺されたとき、いろんな人がいろんなこと、言いました。

 時代のこととか、教育のこととか、何か…少年の心の闇だとか、少年法だとか…。

 理由を解明すべきだとか言っていろんなことを言いました。

 何を言ってもいまさら時間は戻らないって言いました。

 私、何言ってるか、分かりませんでした。

 分からないから、なんだかよく分からないから、私が。 私がほっといたから亜季は。 亜季は死んだんだって思うようにしました。

 私が道変えたから、私がスカートはかせたから、亜季は死んだんだって…。

 そうやって、少年のことは、考えずに、来ました。

 だけど…。 だけど…。

 そうじゃないの。
 そうじゃないの。

 私は誰かじゃないから。

 私は。 私は新聞の記者の人じゃないから私は、偉い大学の先生じゃないから私は、ただの母親だから、理由なんかどうでもいいの。

 私は、私はただのお母さんだから、私が言いたいことは、…ひとつしかないの。

 私が言いたいことはずうっと、ひとつしかないの。

 ないの。

 あ…『亜季を返して』 って…。

 『亜季を返して』 って。

 『亜季を返せ』 って。

 私が言いたいことは、ひとつしかなかったの…。

 私、あの少年に会いに行きます。

 会って、亜季を返してもらいます」

 田中圭サンが 「返してもらうって(そんなの無理に決まってんじゃん)」 と言うのですが、大竹サンが返してほしいのは、娘本人ではない。

 大竹サンが返してほしいのは、亜季が死んだときから、止まったままの時間なのだと私は思うのです。

 口さがない人から受ける数多くの、数多くの言葉によって、止まってしまった時間。

 大竹サンはずいぶん長く打ち明け話をしたあとでやっと 「この家を出て瑛太クンと一緒に暮らす」 という本題を段田サンらに話します(長い前フリだった…笑)。

 重苦しい時間が過ぎていって、瑛太クンが父親から受け継いだ釣り堀へとやってきた大竹サン。
 食事は交代で作ろうと言い出して、息子を大いに落胆させます(笑)。

 「作ってくれんじゃないの?」

 「いい年して何言ってんのよ?」

 「え…。 そのために引き取ったんですけど」

 笑いました、ここ。
 このドラマのあまりの重たさを緩和しているのが、こんなちょっとした笑わせポイントなんですが、その重責を担っているのは(笑)おもに瑛太クンと満島チャンのコミカルなやり取り。

 それについても書こうと思ったのですが、
 もうヘロヘロなので、もし書きたくなったら、後日書くとします(マジかよ…笑)。

 つづく。 たぶん。 つづかなかったら、ゴメンナサイ。

 追記 続きを書きました。 併せてお読みいただけたら、幸いです。→ http://hashimotoriu.cocolog-wbs.com/blog/2011/08/5-32f5-1.html

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コメント

大竹さんの長台詞すごかったですね〜。
リウ様の台詞起こしも大変でしたね〜。
(感謝、感謝です)

彼女の一人芝居でも成り立ちそうなくらいでした。脚本通りの台詞だったのでしょうか?彼女の意見も入っているような気がしますね〜。

>「作ってくれんじゃないの?」(瑛太)
>「いい年して何言ってんのよ?」(大竹)
>「え…。 そのために引き取ったんですけど」(瑛太)

>笑いました、ここ。

私も、ここ 笑いました〜。重たいドラマなので、こういうのがちょこっと自然に入っているのは、とってもいい感じですよね。

ただ大竹さんが長男の瑛太くんのところに行くということは、次男の田中くんにとって結構、ダメージ大きい展開ですよね。

つづきに期待です。

投稿: rabi | 2011年8月 5日 (金) 17時46分

rabi様
コメント連投下さり、ありがとうございます。

どうもやはり片手落ちすぎますね、この記事。 書いてないことが多過ぎる。 やっぱりつづきを書こうかな、イヤ、メンド臭いな(グルグル…)。

大竹サンの独壇場にしても、これはほんのさわりの部分だけで、全貌を書こうとすると思考回路ショートします(笑)。 それより、「話があります」 と切り出して本題をまったく言わずに、延々と打ち明け話を続ける大竹サンの性格動向のほうに、興味が行ってしまった。 田中圭クンが母親の本当の気持ちを考えず、自分が彼女を幸せにしていると思い込みたがっているその性格動向にも。 この家族に共通な、「自分勝手感覚」 というものは何なんだろう、と考えた末の、レビューであります。

本当は大竹サンの演技で泣くところなんでしょうけどネ。

つくづく、カワイクナイ男であります。

投稿: リウ | 2011年8月 6日 (土) 08時46分

ごはん作っての下りより
「照れるねw」のセリフが素晴らしいと思いましたよ。

大竹さんは、ビミョーな立場で段田さんチに置いてもらってる身分なんですよね
そこへあの長セリフ。
段田さんと娘さんにしてみたらドン引きですな。
やっかいな人と同居してしまった…と内心思ってるかも。
出ていってくれたワケですが。

でも、大竹さんのセリフくらいの憎悪を心に秘めてる人って少なくないと思う。
私も無邪気な人が嫌いですから(ヤバい?)

投稿: マイティ | 2011年8月 8日 (月) 16時09分

マイティ様
コメント下さり、ありがうございます。 返信遅れまして、失礼いたします。

ゲ、私もそーとー無邪気なつもりですが?(笑) 確かに今まで何の問題もなくつき合ってきた人から 「つき合ってて苦痛だった」 と言われれば、言われたほうはショックですよねcoldsweats01。 私はマイティサンに対しては、ほかのかたと比べて結構砕けてコメント返信をしているつもりなのですが、実はご不興を買っていないか心配です。

人ってそんなに、聖人みたいにふるまえないから、本当は大竹サンみたいに、どこかで本当の思いをぶちまけたいと思いながら、実はいい顔をしているだけだったりもします。

でも、そんな建前の顔も、本当の自分の顔でもある。

そう考えて、あまりうっぷんがたまらないよう自分をマインドコントロールしているのかもしれません。

投稿: リウ | 2011年8月 9日 (火) 09時38分

いえいえ砕けてるのは別に気にならないですよ
無邪気…という言葉を使わないとすれば、
天真爛漫な人が苦手w


関係ないですけど
このドラマのエイタくんのパンツの丈、
あれがすべてを物語ってますなあ
客商売をしていながら
人里離れて暮らしてきたんだねえ。
元モデルのエイタくんですが、ハマってる(爆)
ああいう人、いそう。

投稿: マイティ | 2011年8月10日 (水) 01時05分

追伸happy01

『アイシテル〜海容』の続編『アイシテル〜絆』が秋にSPドラマとしてやるそうです。
小学生のときに殺人をおかしてしまった少年が成長してオトナになったのが向井理クンw
たった2年で20年経過したかっ!

主人公は向井クンの弟役の岡田将生クンらしいので
ちょうど『それでも生きていく』の双葉ちゃんの立場と同じですね

投稿: マイティ | 2011年8月10日 (水) 01時12分

マイティ様
再コメント及び告知をしてくださいまして、ありがとうございます。

気にしていなくって胸をなでおろしています。 マイティ 「サン」 なんて、コメント下さる方で私が 「サン」 付けするのはマイティサンだけなので…。

パンツの丈にまで目がいくとは、さすがに服飾チェックが鋭いhappy02。 「流れ星」 にしてもそうだったんですが、優れたドラマというのは、細かいところにまで目がいきわたっていると思うのです。 ただ撮ってるだけのドラマと違って、だから普通以上に時間がかかる気がする。

向井クンはもう引く手あまたですね。 こういう人を売れっ子とか旬の人というんでしょうか。 最近じゃ 「江」 でケチがついてる感じもするのでbearingここでちゃんとした一面も見せてくれるのかな?

投稿: リウ | 2011年8月10日 (水) 07時21分

すみません、上記追伸のコメント、
文章の頭にニッコリ絵文字をつけようとして失敗、どこに行ったんだろう?と思ってたら
文末にふたつもいやがったw
ヘラヘラしながら語る内容でもないし、不謹慎になってしまいました。

向井クン、江でケチついてるんですか
たまにチラっとしか見ないんですが
ああいうひねくれて挑戦的な態度の役柄なんじゃないんですか、あれ。

投稿: マイティ | 2011年8月10日 (水) 10時34分

マイティ様
再コメント下さり、ありがとうございます。

そうでしたか、それでは文末のニコニコマークダブル攻撃(笑)は削除させていただきます。

「江」 に関しては私、このところ結構調子に乗って悪口言っているのかな、なんて自分で反省しています。 でもなんか、見たいと思っちゃうしレビューを書きたいと思っちゃうんですよね。 それだけこのドラマに、魅力がある、ということなんだろうと感じています。

投稿: リウ | 2011年8月10日 (水) 13時11分

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