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2011年8月21日 (日)

「全開ガール」 第6回 小さな決意

 あまりのめり込んで見ているわけではない、「全開ガール」。
 話的に最終回まで見えてしまうし、いちいち細かいところまで、すぐ先の展開が読めてしまう感じはとてもする。
 要するに 「話が古い」、ということになるのかもしれませんが、それでもなんか、このドラマには見続けたいと思うなにかがあるような気がしています。

 そこで私が今クールリタイアしてしまった 「ブルドクター」 と、ちょっと比較してみます(下らん比較ですが)。
 「ブルドクター」 の場合も、主役級のふたり(江角マキコサン、石原さとみチャン)のふたりは、「全開ガール」 の主役である新垣結衣チャンと同じく、かなり突っ張った部分が前面に出ているキャラクターです。
 ところが 「ブルドクター」 のほうは、その突っ張ったキャラクターを、作り手が肯定しているような部分がある。
 女性の社会進出をよしとして、女たちよ、大志を抱けみたいなスタンスが、物語の底辺にずっと存在しているように見えるのです。

 それに比べて、「全開ガール」 の新垣結衣チャンは、そういう社会での勝ち組である弁護士の、そのまた最先端を行こうとする貪欲さにあふれていながら、作り手はけっして、そのことを肯定していない。

 それは新垣結衣チャンの弁護士事務所のボスである薬師丸ひろ子サンに関しても同じことが言えていると思う。
 仕事が出来るとか社会で大きな役割を果たしているとか、そんなことが人間にとっていちばん大切なことじゃない、という思想が、結衣チャンや薬師丸サンのありかたから、物語全体に感じられるのです(オーゲサな話になってきた)。
 それに対して 「ブルドクター」 の主役ふたりは、仕事が出来るとか社会で大きな役割を果たしていることが、ある種のゴールになってしまっている。 そこでは自分の子供との関係も、愛情が基本ではなく、いかにして子供と上手に付き合うか、というマニュアル的なレベルでしか、話が展開していかない(江角サンちの場合)。 まあ話を途中までしか見てなくてここまで批評するのはアンフェアですが。

 「華和家の四姉妹」 に関しても同様のことを私は感じてしまうのですが、観月ありさチャンと子供たちの関係は、まだ何か、奇妙な一体感を保っているように思える。 母親が妹の彼氏と一夜を共にして子供たちをほったらかしにしてしまっても、彼女が全力で子供たちに接しているところが見えるから、まだ救いがあるように思えるのです。

 「全開ガール」 の薬師丸ひろ子サンはこの回、娘の 「生活発表会」 というお遊戯会みたいなイベントに、多忙のため出ることができません。 それを新垣結衣チャンに完全丸投げしているのですが、それでちゃんとしているつもりでいる。
 ここまでならば 「ブルドクター」 とあまりレベルが変わらないのですが、「全開ガール」 の作り手は、薬師丸サンに対して錦戸亮クンが進言させることで、彼女の 「自分はじゅうぶん子供にしてやっている」 という気持ちを、否定しにかかる。

 そしてこのドラマは、そのことを前面に押し出すために、薬師丸サンの娘ひなたチャン(谷桃音チャン)の悲しみを、この回おそらくドラマが始まってから初めて、描写していくのです。

 ひなたチャンはかなりクールな性格の女の子で、ガキのクセして髪はキメまくりだわ(笑)チャラチャラした服は着てるわ、まるでチビギャル、といった感じなんですが(ハハ…)、母親が構ってくれなくても母親の事情というものを察して、「別に」、みたいにふるまっている。
 だからお遊戯会に母親が来れないことも先まわりしてあきらめ、ヒロインのお姫様役でなくて魔女役を買って出、母親にはお姫様役をやる、とウソをつく。
 そして仕事のトラブルでお盆も一緒にいることが出来なくなった母親にとうとう我慢できなくなり、彼女は魔女の衣装を泣きながら切り刻むことになるのですが、彼女が 「川の字」 になって眠ることを夢見ている、というくだりもあったせいか、このひなたチャンの演技には、オッサンはちょっと泣けました。

 けれども前述のとおり錦戸クンの働きによって、お遊戯会のとき母親の薬師丸サンは多忙を縫ってやってくる。

 ここでの薬師丸サンの心の動きも、ドラマとしては重層構造を作り込んでいて、ちょっと感心しました。
 つまり薬師丸サンの事務所のやり手弁護士である男(平山浩行サン)のフライングにわだかまりが生じていた状態だったのに、それを乗り越えて彼を会議の代役として出席させ、娘のお遊戯会に来る時間を作ったのです。 「仲間を信頼する」、というハードルを、彼女も乗り越えているんですよ。

 母親が来たことを知ったひなたチャンは、自分が母親についていたウソが恥ずかしくて、お芝居が始まる直前に逃げ出してしまいます。
 ひなたチャンを見つけだした錦戸クンは、「ウソをついたことは謝れば分かってくれる。 言えない役でもなんでも、精一杯やっているとこを見せんのが大事なんだよ。 それで、お母さんにしっかり伝えろ。 ちゃあんと逃げずに向き合って」 と説得をする。
 「でも、魔女の服破いちゃったし」 と話すひなたチャンに、ガッキーが 「大丈夫」 と、自分がその服を直しておいたことを告げるのです。 ひなたチャンは以前よりアップリケがたくさんついたその魔女の服を着て、舞台に上がります(このアップリケのソースがガッキーの日常着、というのもミソ)。

 そんな生意気そ~なガキの(笑)、…小さな決意。

 「ブルドクター」 は確かに法医学がドラマのメインであり、子供との関係をここまで掘り下げて描くことは、物理的に無理なのでしょうが、仕事が出来るよりも大切なものがある、という思想がないからこそ、「ブルドクター」 を続けて見たい、という気になってこないのかもしれない。 これは私だけの感じ方かもしれませんが。

 「全開ガール」 にしても、冒頭に書いたとおり、話がすごくありがちなことは確かです。
 でもガッキーも、最終回にはひなたチャンのようにその鉄面皮を、脱ぎ捨てることになる。 それは確実に言えていると思うのです。
 頑なな女の子が、自分の強がりを脱ぎ捨てる瞬間。
 そんなベタな瞬間が見たくて、私もこのドラマを見続けているのかもしれません。

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