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2011年9月15日 (木)

「ラストマネー~愛の値段~」 第1回 まずは約款を分かりやすくしろ

 NHKのドラマ10、前作 「胡桃の部屋」 最終回のレビューもまだだというのに、新シリーズ 「ラストマネー」 のレビューであります(いいかげんでスミマセン)(なんか需要がないみたいなので、気が向いたら 「胡桃の部屋」 に関しては書こうかなと思います)。

 ドラマ10ではあまり男性が主人公になることが少ないのですが、今回の主役は伊藤英明サン。 生命保険会社に勤めていて、彼の役割は保険金査定人。
 生命保険が適正に支払われるかどうかの査定をしています。

 その性格はとても冷たくて、杓子定規。 笑うことがなく、極度の野菜嫌い。 まずお友達には出来ないタイプの冷徹な人間です。
 そんな彼にもなんか過去に傷がある。
 その傷が、彼を冷徹にしてしまったんだろう、というのは、まあよくあるパターンですが、このドラマの第1回目の主眼は、あくまで 「生命保険に群がる人間の醜さ」。

 ここで提示されるのは、「自動車の転落事故で一家4人(だったかな)が死亡」、というケース。
 同乗していた妻の母親(市毛良枝サン)がひとり、助かっています。

 この場合、保険金(6000万円)の受取人が誰になっているか、というパターンによって違ってくるかと思いますが、たぶんこのパターンは、夫が生命保険をかけていて、妻が受取人だったのでしょう(なんか話がややこしくて瞬時に理解できてないのですが)。
 でも一家全員が死亡、ですから、こうした場合夫の親とか妻の親とか、そっちに保険金が支払われるようなのですが(よく分かんない…笑)、このドラマで初めて知ったのは、「一家全員が"同時に"亡くなった場合、妻方の親にだけ保険金が支払われる」 らしいということ。 知らなかった。 いや、ホントによく分かんないもんで(笑)。 しかしその理屈、よく分かんないな、妻方の親にだけなんて。

 で、したがって夫方の親は黙っちゃいない。

 ここで 「生命保険に群がる人間の醜さ」 を演出するために、この夫方の親(蛍雪次朗サン、木野花サン)を、ドラマではすごく悪く描写するわけです。

 つまり、この両親は息子の結婚に反対で、絶縁状態だった。
 しかも自分とこはお金に困っている。
 で、絶縁した息子をいまさら息子だと主張して息子の保険金を当てにする。

 そこでこの夫方の両親が突っ込みだしたのは、「一家全員同時じゃなく、夫がいちばん最後で生きていたことが証明されれば、こっちにも受け取りの権利が生じるんだろう」 という理屈。

 それは警察では証明できないそうで、その証明を伊藤英明サンが任されるわけです。

 伊藤サンは相棒の査定コンサルタント会社の松重豊サンを引き連れて、事件現場の状況を詳しく探り出します。 そこに随行するのは、同じ生命保険会社の新人社員、中丸雄一クン。 伊藤サンの冷たさにブチブチ文句を言いながら、生命保険とは何たるや、を学んでいく。

 この組み合わせを見て、「なんかサスペンスドラマによくありがちなパターンだよな」 と思うのは私だけでしょうかね。 事件推理ものみたいな感覚なんですよね。

 伊藤サンが着目したのは、事件のただひとりの生き残りである市毛良枝サンの動向だった。 彼女は結局嘘をついていたわけですが、そのことによって結局夫方の業突く張りな両親に、保険金は支払われることとなる(細かい経緯は省略いたします…笑)。

 ここで見ていて感じたのは、話を二転三転させようとして、結局市毛サンがどうしたかったのか、最終的にぼやけてしまったかな、という点。

 市毛サンが事件現場で、火に包まれた妻子を助け出そうとした夫を引き留め、その惨劇を見せないように目隠しをしたその判断は、とっさのことでの混乱もあるのでしょうが、そのことで市毛サン自身の後悔も生み、彼女を苦しめつづけた。
 けれどもそれと、夫が最後まで生きていたことを隠した、という動機とが、うまく合致していかない、というか。

 つまり、市毛サンのダンナであるでんでんサンは、そりゃ向こうの両親が自分勝手で都合がよくて業突く張りだから、そのことに腹を立てている。 でんでんサンがウソをつくんなら、とてもよーく分かるんですが。

 でも市毛サンを見ていると、相手の業突く張りなふたりにそこまで腹を立てているようにも思えないし、ドラマはどんどん種明かしで進行していくし、結局事件現場での彼女自身の後悔ばかりがクローズアップされて、結果的に視点がぼけてしまったように思えたのです(個人的な感想ですのであしからず)。

 で、でんでんサンはこの血も涙も情もない話につくづく嫌気がさし、「そんなもの要らねえよ!そんなに欲しけりゃ全額くれてやる!」 と、保険金受け取りを拒絶(カッコイイ…)。

 中丸クンはこの顛末に、至極納得がいかない。
 中丸クンは見ている私たちの気持ちの、いわば代弁者でした。

 「なんでですか? オレには分かりません! 最初からほっとけばよかったじゃないですか! そうすれば金子さん(でんでんサンと市毛サン)に全部払われたのに。 なのに金子さんにウソまでついて本当のことをしゃべらして、これでよかったんですか? オレには全然分かりません。
 保険は、亡くなった人が愛する人に残す最後のプレゼントじゃないんですか?」

 あんな業突く張りの両親に全額払われるのは確かにおかしい。
 結局向こうの両親は、最後になんとも自分たちが情けないような顔してましたけど、内心はほっとしてますよ。 心の底では、「バンザーイバンザーイ」 なんじゃないですかね?

 ドラマ的な誇張はあったかと思うのですが、見ていてつくづく、人間の醜さが嫌になりました。
 そして杓子定規に情のかけらもなく、真実だけを追求し続ける伊藤サンの姿勢にも。

 彼自身の冷たい心には、これからドラマ上では転換がはかられていくのでしょうが、私が見ていて嫌になるのは、たぶん伊藤サン本人に対してじゃない。
 実際の生命保険会社が本質的に持っているように思われるんですよ、伊藤サンと同じ冷徹さを。 そこが嫌になるんです。

 ドラマの冒頭では、生命保険会社のロビーに映し出された、その会社のCMが流されていました。
 いかにも生保のCMにありそうな、人の情に訴えたCM。
 けれども実際やってることって、「この条件が満たされてないからお支払いできません」 とか、いちいち細かい条件を引っ張り出して来て支払いを渋ろうとすること。 そりゃ良心的な生保のかたがたはたくさんいらっしゃいますが、私がこれまで生きてきたなかでも、若干見られるんですよ、契約条項を盾に取った 「払い渋り」 の実態が。
 その人の健康状態チェックでも、結構いい加減に契約のときは進行していくのに、いざ死亡して支払い、となるとああだこうだって、じゃ口頭だけじゃなくて、もっと厳しく健康チェックせいっての、と思うこともある。

 ドラマ冒頭で、確か契約締結から2年?だかたたないと、自殺した人に保険金は支払われない、という条項を引っ張り出して来て、伊藤サンは保険金の支払いを拒絶していました。 あと2週間ばかり足りなかったからって。
 そりゃ分るんですけどね。
 けれどもどうにかできるよーな気もする。
 不正を働く、っていうレベルまでしなくとも。
 だから中丸クンのようなシロート目線の 「情」 重視の姿勢のほうが正しい、と思われてしまうんですよ。 まあ結局商売ですからね、生保も。

 ただ私が思う、生命保険のウサン臭さの中心にあるのが、あの分かりにくい約款。
 細かいこといろいろ書いてありますけど、あれをまともに読もう、という人って、皆無なんじゃないか、と。
 いちいち複雑にしなきゃならない理由って、なんなんですかね?
 死んだらもらえる、でいいよーな気がしますが(そんな単純すぎてもイカンか…笑)。
 アレを生保の側も、まともに読ませようとしてないし、契約するほうも、まともに読もうとしていない。
 伊藤サンは頑張ってるけど、実はそっちのほうがよっぽど大問題じゃないのかな?

 幸い私が付き合ってる生保の人は良心的ですがね。

 まあこのように、伊藤サンみたいに重箱の隅つつくようなことをして、不正でも見つかればそりゃ手柄ですが、今回の市毛サンみたいなケースでも杓子定規で任務を遂行していく伊藤サンの姿勢には、ちょっと共感できません。

 その伊藤サンのかたくなな心を溶かすきっかけになるのでは、と思わせるのは、先輩の田中哲司サン。 いきなりドラマのいちばん最初で自殺してしまったのですが、だから田中サンの出てくるシーンはすべて過去軸の話になっています。
 彼が言い寄っていた女が、高島礼子サン。 色気ムンムンです、相変わらず。
 その彼女、田中哲司サンに、「私と付き合いたいんなら保険に入ってよ」 と物騒なことを言ってました。
 彼の死が伊藤サンに今後どのように絡んでいくか、まあ別にあまり興味がないんですが(はっきり書くなあ…)。
 伊藤サンの相棒、松重豊サンは、なかなかとぼけた味わいで好きですね。 「ドン★キホーテ」 にしてもそうなのですが、この人はご自分の立ち位置が、とてもよく把握できるかたのような気がします。 この人中心のドラマのほうが見たい気がする(なんじゃそりゃ)。

 何にせよ、見ていてちょっと、人の醜さ、生保の冷たさに嫌になってしまうドラマです(良心的な生保のかたを非難するものではありませんので、くれぐれもご了承ください)。

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コメント

こんにちは

このドラマは見ていないのですが、伊藤くんの名前が出てきたので、ひとこと。
彼、「高校生レストラン」でいい味出していましたね。
「ふつうの人」を表現できるようになったというか。
これからが楽しみだと思っているんですが。

松重さんは、どのドラマでも存在感がありますね。

惜しむらくは、日本の芸能界では、いい俳優を育てる脚本家、演出家、企画が少ないということ。
最近、若手の俳優さんたちが映画に出ていますが、テレビではできないスケールの大きさや、個性の強い作品で、自分を磨いてほしいです。

投稿: マーシー | 2011年9月15日 (木) 16時25分

約款て本当にわかりにくいですよね・・・。けれども、病気や死亡原因や治療内容は本当に多岐にわたるもので、あれもこれもと詰め込むと、ああいう細かさになってしまうのかな、と。
いわゆる「保険の公平性」というのが、世の中的には払い渋りに受け取られているところも多いと思います。(冒頭の免責期間については、たった2週間、されど2週間なのです。前例を作ったら、悪意のある契約にも対応しなくてはいけない)決め事をシンプルにするとどうなるかというと、抜け道を利用した悪用がはばかるわけで。(このあたり、今後高島礼子さん演じる女性と田中さんの演じる男性が絡んでくるのでしょう)
契約者や受取人が善人か悪人か(やや語弊がありますが)、良心があるか悪意をもっての契約か、が契約する際には問われないという点がリウ様の感じる無慈悲さに繋がっているのかもしれません。

投稿: さり | 2011年9月15日 (木) 20時11分

マーシー様
コメント下さり、ありがとうございます。

伊藤サン、「高校生レストラン」 では、あまりにフツーすぎて、何だか物足りなさを感じてましたcoldsweats01。 ひねりがなさすぎて(笑)。 でもそれをマーシー様のように 「普通の人が表現できるようになった」 という視点から見ることが出来たら、私もこのドラマにもうちょっとのめり込めたかもしれません。

松重サンの演技で特に印象に残っているのは、「不毛地帯」 でしたね。 演出家の意図を分かってらっしゃるなー、という印象がすごくありました(怪人そのもので…笑)。

テレ東みたいなところで、松重サン主役の企画もののドラマをやったら、さぞかしハマるだろうなー、という気はしています。 テレ東のドラマは、有名どころに頼らないいいドラマを作ろうとする真摯な姿勢を感じるのです。
この調子でいけばの話ですが、テレ東ドラマは末恐ろしい存在になる気が強くしますね。

投稿: リウ | 2011年9月16日 (金) 07時09分

さり様
コメント下さり、ありがとうございます。

世の中私が考えている以上に、保険金をなんとかだまし取ろうというワルイヒトが多いんですね。

契約内容については、がん保険とか、骨折するとまた別の保障があるとか、なんかもうややこしくて(笑)。 疾病症状を細分化することで保障を行きわたらせようという意図なのか、複雑化させてワケ分かんなくさせて自分の優位に話を進めようという意図なのか、と考えた場合、どうしても後者なんじゃないの?って思ってしまう。 だったら病気で入院、いくら以上は保障します・死んだらどんな病気でもこの額は払います、としたほうが、単純で分かりやすい気がするんですけどね。

2週間の件に関しては、やはり故意かそうでないかの見極めによって、ファジーな判断があってもいいのではないのかな?と思ったんですが。 特例なんて全部認めていたら、それこそ抑止が効かなくなってしまいますからね。

まあ、私の周りにたまたま、保険金トラブルの事例が多かった、といただけのことかもしれませんが。
やはりそんなトラブルでは、契約者のほうが法律を盾に取られて泣き寝入りをしてしまうケースを多々見かけたものです。

いずれにしても大金が動くと、人の心っていやがおうにもかき乱されていくものですよね。

ビンボーでよかった…かな~coldsweats01

投稿: リウ | 2011年9月16日 (金) 07時21分

2話目から見始めましたw
主人公の伊藤クンには、自分也のものさしがあるようで、それは遺族からの泣き落としでも会社の上層部からの脅しでも揺るがない。
なかなかイイ話になってました。

中丸クンが疑問に思うことは
素人の我々が思うことと同じなんですよねー。
ただ、あんな後輩が職場にいたらめんどくさいですなw

私は保険会社の個人年金に加入しとるんですが
知人の紹介で加入したんで、担当者に一度も会ったことないまま払い続けてましたが
ついに「ご挨拶にうかがいます」とな。
チョ〜〜〜〜〜めんどくさい。
電話の印象では、絵に描いたような
ゴリ押し保険のオバチャン。
苦手なんですよ

投稿: マイティ | 2011年9月22日 (木) 14時59分

マイティ様
1週間のご無沙汰でした…って、なんかマイティサン、最近この曜日にばかりいらっしゃる気がするんですが…coldsweats01。 ようこそここへ、クッククック、です(最近あいさつのパターンを変えておりますのでお気になさらずに)。

まだ2話目は見ておりませんが、1話目を見た限りでは、契約とは言えよう分からん理屈だから夫方の両親がガタガタ言い出すんだろう、という感じで見ておりました。 伊藤サンの業務以前の問題として。

私の良心的な保険屋サンも、チョーごり押しタイプですよ(爆)。 底抜けに明るくて、美人(は、よけーか)。 そーゆーのに乗せられて次々向こうの都合のいい保険に乗りかえられていく私なのであります(タメイキannoy)。
ま、話してて面白いのでいいんですが(なんだソレ)。

中丸クン。
フツーその会社の社員になると、こういう業務的に根源的な疑問にはフタをしてしまうのが常なんですけどね(爆)。

投稿: リウ | 2011年9月23日 (金) 06時56分

ブログを拝見しました。
奥深い考察をされていらっしゃると思いました。
私は、ただ表面的なことを面白く見ているだけだなあと思いました。
また勉強させていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。

投稿: ラストマネー見てます | 2011年10月13日 (木) 23時57分

ラストマネー見てます 様

コメント下さり、ありがとうございます。
ごめんなさい、ラストマネー、見てませんwobbly。 一度台風で時間がずれてしまった回があって、わが録画機器はそんな時間変更にも対応してくれるはずなのに、そのときに限って対応してくれなくて。 それ以来見ていないのです。

こんないい加減な私ですが、もしよろしければ御贔屓にしていただけたら、その喜びにまさるものはありません…。

投稿: リウ | 2011年10月14日 (金) 07時43分

何かスゴく感じが悪い…

子供を誘拐まがいな事して、何で捕まらないかんのかな…(-_-#)

この佐々倉件に関しては、見てて腹立って腹立って…

如月が働き先に行って、やれ保険金殺人だ、3人殺したとか…
ありえへんやろ~

挙げ句のはてに、誘拐…
殴られる原因は自分やし…

佐々倉親子をバラバラにして、子供を一人にして…
あ~納得いかん(-_-#)

確かに、横村さんの場合は確かに殺人と言うか、誘導してるけど…

他の2人は、楽しい人生を送れたのやから、何があかんのやろか…

佐々倉を殺したのは間違いなく、向島や!!!

投稿: かりめろ | 2011年10月25日 (火) 22時59分

かりめろ様
コメント下さり、ありがとうございます。

ウワ、かりめろ様のコメント、まるでワケが分かんないんですが、そんな納得のいかない展開になっちゃったんですか? 先のコメントにも書いたとおり、私このドラマ、予約録画が失敗した時点から、拝見していないもので…。

こうなるとがぜん見たくなってまいりました(なんやソレ)。 集中再放送、してくれないかなぁ? そんなのを見てるヒマがおんどれにあるのか? と詰問されてしまいそうですが…bearing

投稿: リウ | 2011年10月26日 (水) 08時53分

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