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2011年9月 4日 (日)

「江~姫たちの戦国~」 第33回 素材の面白さを殺すもの

 「秀吉亡きあと」 という話って、基本的に面白い。
 徳川家康があからさまな政治の主導権を握り始め、それを石田三成はこころよく思わず、さらに豊臣の内部でも、淀君が勢力を得ていく。

 このドラマはそんな題材を取り扱っているために、今回の話でもある程度の面白さというものは演出出来ている気がします。
 ただ個人的なことを白状してしまいますと、今回のドラマも、途中で寝てしまいました。

 この面白い題材を作り手がどのような手法で、こっちが寝てしまうような話にしてしまうのか、ちょっと考えてみたんですが、まず家康に、憎々しさというものがない。
 このドラマにはおよそ悪い人は登場しないのですが、あえていちばん悪い人間を探すとすれは、それは江(爆)。
 家康に憎々しさが欠けているから、見ていてなんか、物足りない。

 それは石田三成にしても同様で、彼は今回諸大名から突き上げを食らって徳川方へ逃げ込むのですが、どうして彼がそれほどまでに突き上げを食らうのかが伝わってこない。
 なぜならやはり、三成をいい人として描いちゃってるから。

 作り手の今回における真の興味というものは、「どうして三成は徳川方に助けを求めたのか」、という一点に絞られている気がいたしますが(途中で寝てる癖によく言うよ)、その話に収束させる、見る側の興味を喚起する題材というものが、これまた決定的に不足している。

 話の屋台骨がぐらぐらだから、見ていてのめり込めず、結果私は寝てしまうのでありました。
 こっちは仕事で疲れ切ってんだから、もうちょっと飽きさせない作りであってほしいのですが(勝手ないーぶん)。

 そしてますます見る気が削がれるのが、相変わらずの江と乳母。
 「とんだご無礼」 はもう、なんか、なんですが(なんなんだ)、「歯に衣着せぬ」 江がおおばサマ(加賀まりこサン)と丁々発止のやりあいをしながら、ある程度の理解もしていく、という話には、ちょっと見た時点でもう、なんかもういーや、という感覚。

 そこで江に対して厳格であらねばならないおおばサマの描き方、というものにも大いに不満。
 ただ単に理不尽な物言いをするババア、という描き方(どうも気乗りがしないと体言止めの文章が頻発する)。
 おそらくこれも本心があとで分かってくる、という構造なんでしょうが、最初に感情移入させない極端な描き方をしておいてあとでそれを逆転させる、という手法、ことこのドラマに関しては、もう見飽きました。

 さらにこのドラマが面白い素材をぶち壊していると考えられる部分は、淀がおねに対して、あくまでいい人である、という設定。
 実際は確かにどうだったか分からないですよ。
 でも淀が権勢をふるって傲慢になっていく、という 「お話」 は、見る側を強く引き付ける、昔からの 「お約束」 なのです。
 だから伏見を離れるおねに向かって淀が限りない惜別の意を表する、というのも、見ていてとても浅いなあ、と感じてしまうのです。 ほんとだったら、そんな無責任に 「豊臣は秀吉で終わり」 みたいな割り切りかたをするおねに対して、淀も何かあってしかるべきなのに、それをしようともしないために、ドラマへの吸引力がわざわざ低下されていく。

 いきなり出てきてやっぱりあっという間に死んでしまう前田利家にも 「えっもう?」 みたいでしたけど(笑)。 まあもういいですけど。

 いっぽうでやたらと重たすぎるドラマ(「それでも、生きてゆく」)を見ているために、「江」 では気楽に笑わせてほしいのですが、今回は中途半端に話が錯綜していたために、結果おねむタイムとなってしまいました。 残念です。

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テレビ」カテゴリの記事

コメント

 リウ様お疲れ様です。印象の薄い回でしたね。私、このお話、ほとんど2回見ましたが、ボルトのフライングで、全部ぶっ飛びました。BSで見たのに全く心に残らず、ボルトが走るまでと思って8時の放送も見たのですが、フライングの驚愕に「江」の内容なんてどうでもよくなってしまいました。先生のやる気も全く感じなかったし。

 突然出てきて、仲裁したらすぐ死ぬ利家さんとか、誰が誰だかわからなかった、清正や長政とか、朝鮮出兵の事で槍玉にあげられて、孤立する三成とか、悪巧みニンマリの家康とか、先生もNHKも投げやりなんだもの。コメディパートで、お局様の江ちゃんいじめがありましたが、妊婦を四つん這いにして、豆拾わせる安産法ってありましたか?気持ちわるくなって、妊婦さん吐いちゃうんじゃないかと。NHKだからそんな汚いシーンは撮らないでしょうが。全然笑えないです。豆拾うより、話を拾ってほしい!乳母さんとのやりとりも面白くないし。役者さん可哀想です。

 みんな善い人のお話の欠陥、私も感じます。先生、今更、批判を恐れなくても。三成が秀吉恩顧の武将に詰め余られてましたが、もっと不満があった描写が今までになされてれば、納得できるけど、茶だ酒だの言い争いじゃね。本当に朝鮮で戦争してたの?ってくらい、突然帰ってきて、文句言ってるし。

 淀とねねの関係もそう。淀がねねを軽視するようになって、豊臣で権勢をふるうというのが、今までのパターンだけど、ここの淀はねねを慕っている。建前じゃなくて。でもそうだと、ねねを慕って淀の仕打ちに反発して、徳川に寝返った武将とかの描写がしにくくなります。ねねの時代を見る賢さに従うのか自由意志になるのかしら。女性の視点を重視するなら、演技派のねねさんと淀の対立に心痛める江ちゃんの方が描きやすいと思うんですが。先生のやる気がないみたいですから、時々寝ながら、見てればちょうどいいと私も思います。つまらない回を2回も見た事が虚しいですけど、ボルトのフライングの衝撃で忘れる事にします。「それでも生きていく」見ました。そりゃあ、江ちゃんとは比べ物にならない重さですね。江ちゃん軽くていいのだけれど、山椒のようにピリリと辛いようにしてくれないものですかね。田渕先生!

ささ様
コメント下さり、ありがとうございます。 レビューがかなり遅くなったのにもかかわらず、アップしたら直ちにコメントを下さることにも感謝です。

ん~、やっぱり印象が薄かったですか。 やっぱりなあ…。
話的にはもう大河でもほかのドラマでもマンガでも何度も見た感じだったので、三成隠居の話は面白いだろうとは思ったんですが、まったくそんなことはなく却って話が拡散しているので惹きつける力が弱まっている感じがしました。 ただでさえ吸引力が弱いドラマなのになー。

みんないい人、というのは、ん~、いい気もするんですよ。
ただしどんないい人だって、やはり自分や家族一族の利益を優先して考えているし、悪く見えたって事情があるのよ、じゃなくて、結局自分の悪い部分を見て見ぬふりをすることもあるし…という見方で人っていうのは見ていかないと、ドラマ自体がとてもつまんなくなっちゃう。

実は淀殿だってこんなにおねのことを思っていたんですよ、という話は、イイハナシダナーで終わっちゃう、結局。

そこにある種の情念を絡ませるのは、これって悪だくみってことじゃなくて、人の弱さってことなんだと思います。

人ってこんなに素晴らしいんだ、って主張するよりも、人ってこんなに弱いんだ、ってことを、強がっている人を描くことで表現することのほうが、よほど話が深くなる。

そんなことなんじゃないのかな~、と思います。

 今日の回の方が、突っ込みどころもあるし、眠くなかったですよ。

 この回は家康が三成に「隠居したら?」と2回かぶせて言ったところぐらいしか、突っ込みどころ兼見どころはなかったと思います。

 人の弱さやもろさをもっと見せてくれたら、話に厚みが出てくると私も思います。でもそれを求めるのは江ちゃんには酷かも。お姫さまがぶつくさ文句たれてる大河ですから。みんないい人で主役が一番嫌な女って、困った話ですよね。

ささ様
コメント下さり、ありがとうございます。

江チャンはことこのドラマに限っては、人に弱みを見せたらつけこまれる、という警戒心のとても強い女の子のよーな気がします(笑)。 そこなのかな~、カワイクナイ、と思ってしまうのは。

北大路家康もなかなか味は出てると思うんですが、どうも話のチープさに埋没しかかってる気がします。 人の良さが出ちゃうのかな~、北大路サン。 いや、脚本が家康いい人、だからだろうなー。

しかしあの乳母の 「とんだご無礼」 は、今年のワースト大賞ですな(爆)。 受けないのにそのギャグをしつこく繰り出す落ち目の芸人みたいで、そぞろ哀れを催します。

こんばんは。
もういっそのこと坂の上の雲を初回から完結まで45分づつ1年間放送してくれたらよかったのに、と思ってしまいました。
主人公ももう随分大人になったはずなのに、まだのだめのまま。のだめを脱皮してお江になるのであれば、最初ののだめパートも悪くなかったか?となったやもしれませんが、きっと死ぬまでのだめなのですね・・・ぎゃぼん。
淀殿が母として豊臣を守るのと同様に、江も母として妻として徳川を守る、でもそこにはすごく辛い葛藤がある、というオーソドックスなストーリーを、徳川のことだけ考えろ!と言われて「えっ?」とびっくりしちゃう姫様にこっちがびっくりしてしまいます。子供二人も産んどいて、(ナレーションでどんどん月日だけ飛ばしてるので何年経ってるのかがわかりませんが、どうも4年くらい経過してる様子)今更何を言ってるのよ、という感じです。
なんでもかんでもしゃしゃり出てくる、のは女性主人公にありがちなパターンですが、しここまで作者に愛されてないヒロインも珍しいと思います。

さり様
コメント下さり、ありがとうございます。

上野樹里チャンは、このドラマではとてもつまんなそうに思われてなりません。

彼女の出世作であるのだめ、この役をやっていたときのほうが数倍も楽しそうに見えた、

…というのは一般的な見解になろうかと思いますが、私は樹里チャンがのだめをやっているときも、心からこの役を楽しいと思って演じていないような気がしてました。

つまり、女優魂、というものが先に立って強い印象を残してしまうんですよ、彼女の場合。

だから 「ふい~ん」 といううれしそうな演技をやっているときでも、何か自分流の表現を探しながらやっている、という感じに見えたのです(あくまで個人的な感想です)。

「江」 ではその女優としての自覚が、却って江自身の性格を表現しきれないもどかしさに結びつき、それが樹里チャン自身をいら立たせている、そんな印象がどうしてもします。

しかしこの脚本じゃ、樹里チャンがいら立つのもむべなるかな、でありんすが(笑)。

4年もスッ飛んでたんですね、この回のお話(半分寝てて気づかなかった…)。

あと10回程度で関ヶ原の秀忠遅刻から春日局までやろうなんて、もうなんか、なんかですなあ(なんなんだ…こればっかりですな)。

 このドラマの難点は、脚本も演出も役者も意思統一ができてないように見えるところです。江ちゃんをどう見せるか。主役?狂言回し?三姉妹の一人?ここからして、あやふやなので、中途半端で笑えないギャグです。狂言回しと思いますが。乳母もおふざけ要因なのか、役通りにサポート役なのかわからないし、出てくる武将達もキャラクターがころころ変わります。1年通して見るにはきついです。

 江ちゃんは「戦嫌い」、「平和と国家の安寧」を願っているようですが、これもこの話では、「お姉さんとけんかしたくないの」ぐらいにしか思えないので、「時代劇の衣装を着て、ホームドラマやってます。コスプレ中!」まっとうな事を言っても、切実さが伝わってこないです。

 樹理ちゃんもどう演じるかをもがいて今まできているように思えます。いつまでたっても姫さんですから。乳母さんもそう呼んでるし。もう江ちゃんが姫のまま成長するのはないでしょうから、後は樹理ちゃんが1年間、がんばった事で今後につながるものを見出してくれる事を祈るのみです。寺田農さんが結婚するとかで、江に出演していたと紹介されていました。江ちゃんをくさしていますが、役者さんの紹介をする時には、大河ドラマだと箔がつくのかなと思いました。江ちゃん、役だっていて良かったです。

ささ様
再コメント下さり、ありがとうございます。

ケースは違うのですが、戦時中、敵国に対して日本国民は、ほとんどが憎悪を持って臨んでいたのではないでしょうか。

それは戦時教育とかもともと備わっている隣国への近親憎悪とも思える睥睨感覚。
そこに戦争がはじまると 「肉親を殺された」 というリアルな憎悪が、もとある憎悪に拍車をかけていく。

戦国時代の時代的な状況は若干それとは違いますが、構造的な 「憎悪」 の感覚は、あまり違わない気がする。

そんななかで江の 「平和希求」 の精神性は、正直なところかなりの茨の道であることは確実です。
周囲の賛同など得られる状況下にない。

それを押し通すのですから、これは相当の悲壮な決意、覚悟が必要なはずですが、このドラマは半分コメディタッチにしてしまっているために、その悲壮さが全く成立しません。

それを克服するために、「江」 の世界は、戦国時代を、みんないい人ばかりの、平和ボケしたような人々ばかりを登場させて、世界全体を平和にしなければ収まりがつかなくなってしまう。

このドラマで展開される 「平和」 の白々しさには、そんな構造がある気がします。

あと10回ちょっとですか・・・53歳まで生きた江ですが、今27才くらいのようです。人生折り返し地点までで物語の7割近くを使い切ってしまったということは、残り12回はもっともっとGO・ザ・ダイジェスト!ナレーターの母上様大活躍ということでしょうね。子供時代よりも、大人になってからの方がその人物がどう生きたか、を表現できると思うのですが、先生としては「江の人生の後半なんて有名人が出てこないからつまんなーい!」てな感じなのでしょうか。
あ、今回のお話で4年経ったのではなく、江が徳川へ嫁いできて4年、です。言葉が足りなくてすみません。二人の子供までなしておいて、夫婦の間に通い合うものさえ感じられないというのも、何だかさみしいです。
戦がいやだ、という理由が

すみません、へんなところで切れてしまいました。
女性目線ということなら、子が大事、夫が大事、お家が大事、だから戦はいやだ、というのであればそれなりに説得力を持つようにも思うのです。そして子が、夫が、お家が大事だからこそ相手が憎い、それらを守るためには時に鬼にも夜叉にもなろう、となってしまう矛盾と葛藤が人を深く見せ、強くするのではないのか、と。けれども江は子よりも夫よりもお家よりも自分のプライドと姉上が大切。そんな姫様が「反戦」を掲げても、ちっとも響いてこないのですよね。自分の身の回り以外で起こる戦なら、全然気にしなさそう、というふうに見えてしまう身勝手さというのでしょうか。

ますます樹里ちゃんがかわいそうに思えてきました。ぎゃぼん

さり様
再コメント下さり、ありがとうございます。

まあ 「独眼竜正宗」 にしても、正宗の老後の人生は駆け足でしたからね。 戦国時代を扱った大河ドラマでは、関ヶ原以後はバッサリ切られるかすごくはしょられる、という 「関ヶ原の法則」 がありますからね。

そりゃ家康にお前は敵、お前は味方みたいに配置転換されて、血気盛んなかつての武勇伝も今は昔、おのれの国を収めることに汲々として人生終わっていくんですからね、どんな大名でも。

でもいっぺん視点を変えて、関ヶ原以降の話をメインにする、というのも面白い気はするんですよ。
だって本当の人生はそこから始まる、という視点があってしかるべきじゃないですか。

や、それにしても 「4年もたちました」 と言われても全く違和感がない、このドラマのダイジェストぶりですからね(爆)。 話の要点が、天下の趨勢中心でまわってるから、江のパーソナリティそのものもダイジェストになってしまう。

んー。

自分の子供に対して愛情を降り注いでいる、というシーンもとってつけたみたいだから、平和希求の姿勢に説得力がないんですね、江は。

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  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

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    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

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    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

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    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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