« 「江~姫たちの戦国~」 第40回 出し惜しみなのかもともとないのか | トップページ | 「家政婦のミタ」 第2回 直接ぶつかれ »

2011年10月20日 (木)

「深夜食堂2」 30分、を前提とした話作り

 TBSで深夜にひっそりと放送していた 「深夜食堂」 については、その評判を伝え聞いておりました。 その続編をやる、というので、どんなものかと見てみることに。

 話的には 「人間交差点」 みたいな感じで、深夜営業している小さな食堂に集う人々の人間模様を描く、という話。 マスターの小林薫サンは、特段何の役割も果たしていないんですが、「深夜に寂しい人々が立ち寄れる場所を提供している」、ということにおいて大きな意味を持っています。

 このドラマ、30分番組なんですが、話を見る限り、1時間ではちょっとくどい気がする。
 そして1時間ではなく30分ドラマだからこそ、様々な場面カットがなされます。
 そのカットの方法が、実に見る側の想像力を働かせる。

 今どき、何でもかんでも説明しなければ分からない、という愚鈍な説明を強いられているドラマというのが多過ぎる気がするのですが、このドラマはあえて説明を最小限に抑えています。
 だから見る側は 「もっともっと」 と無粋にこのドラマに要求しようとしないし、ドラマもハナからそんな気がない。

 今回の話は、高校時代に問題を起こして自分の所属していた野球部が甲子園に行けなくなってしまった、という経歴を持つ松重豊サンと、そのきっかけを作った安田成美サン、同じ野球部の友人だった光石研サンを中心とした話。
 松重サンはそれがきっかけでやくざに身を落とし、光石サンはそれをしょっぴく側の刑事。

 安田サンはほかの男性と結婚しているのですが、余命いくばくもない。
 光石サンが松重サンを、安田サンのいる病院へと引っ張ってくるのですが、光石サンは本当は安田サンのことが好きだった。 それを、安田サンの命が長くないことを知って、当時安田サンが付き合っていた松重サンを、連れてきたわけです。

 病室には安田サンの子供が書いたと思われる母親の絵などが張られている。 この状況から、いろんなことが瞬時に読み取れます。
 彼女はダンナのことはさておいて、自分の正直な思いを結構洗いざらい松重サンに語り尽くします。
 おそらく彼女も、自分が長くないことを悟っていることが、ここから窺われるのです。

 松重サンの安田サンとの思い出が、赤いウィンナー。
 先を6本に切って炒めた、「タコさんウィンナー」 です。
 それを松重サンは、小林サンの食堂でいつも頼んでいる。
 彼女はそれを食べたい、と頼み、足元がおぼつかない安田サンを車いすに乗せ、バリアフリーが行き届いていない深夜食堂に、松重サンの子分がスロープを設置して、彼女は深夜食堂に入っていく。

 ここで場面はカットアウト。

 次の瞬間、喪服姿の松重サンと光石サンが、赤いウィンナー炒めを前にして、献杯をする。 カウンターにはお清め塩。

 ここでドラマは終わるのです。

 それだけで、見ている側には余韻がものすごく残る。 30分でしか表現できない話、ですよね。 こういうドラマがあってもいいととても感じます。

 このドラマ、時間的に深夜遅くまで残業して、もしくは飲んで帰って来た人が、ちょっと見るのにとてもいい長さのドラマでもあります。 おそらく作り手も、それを狙っている。

 そしてその余韻を心に抱いたまま、そのドラマを見た人が寝床につく。

 私は外食などほとんどしない類の人間ですが、このドラマを見ることで、「こういう行きつけの店を持って人間関係を形成するのも、人生の寄り道としては意味があるんじゃないだろうか」、という気になってきます。

 そして行きつけの店に行った気分にだけなって(笑)、またひと眠りしようと思います。

 夜勤をやってると、仕事が終わった時間って、飲み屋とかやってないんで(爆)。
 朝っぱらから、寂しく晩酌です(ハハ…)。

« 「江~姫たちの戦国~」 第40回 出し惜しみなのかもともとないのか | トップページ | 「家政婦のミタ」 第2回 直接ぶつかれ »

テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「深夜食堂2」 30分、を前提とした話作り:

« 「江~姫たちの戦国~」 第40回 出し惜しみなのかもともとないのか | トップページ | 「家政婦のミタ」 第2回 直接ぶつかれ »

2019年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 上
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

無料ブログはココログ