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2011年11月 3日 (木)

「家政婦のミタ」 第3-4回 それはあなたが考えることです…

 遊川和彦サンがぶち壊し屋だ、というのは当ブログでは以前からたびたび言及してまいったのですが、今回のドラマもその傾向に流れつつ、「じゃあ一体ぶち壊して何が言いたいのか?」 というものが、従来になく見えにくい。
 先週録画しておいたもの(第3回)を多忙のためそのままにしておいたので、今回分(第4回)とまとめて見たのですが、そのせいか余計に個人的に混乱しています。 話は混沌を極めている感じがする。

 ちょっと状況説明をいたしますと。

 父親が、自分の不倫が原因で母親が自殺したのを子供たちに内緒にしようとしていたことが、長女だけにばれる。
 長女は怒って、頼めば何でもやってしまう家政婦にこの事実を父親の会社に行ってばらしまくってくれと頼み、果たして家政婦はその通りにする。
 父親は重要なプロジェクトから外され事実上左遷。
 これがきっかけで母親の死の真相は子供たち全員に知れ渡ることとなり、すったもんだのあげく、子供たちは全員、家出する。
 ところがそれを嫌う末っ子の女の子が家政婦に頼み、自分をわざと誘拐させ、家族がもう一度一緒に暮らすことを願うが、結局末っ子の望みは叶わず、父親が今度は家を出ることになり、その世話は家政婦にゆだねられる。

 従来の 「遊川式」 だと、一見平穏に見える状況をぶち壊すことで、登場人物たちの本音を導き出し、そして誰もが傷つきながらも、それまでの建前で生きてきた人生と決別して、つらいこともあるが本音で生きていく道を選ぶ、というひとつのパターンというものがあった。
 楽ちんなぬるま湯でごまかしている虚構の人生よりも、茨の道でも自分らしい生き方。
 それが遊川脚本を貫いている根本的な思想である、と個人的には考えていました。

 けれども今回の場合、 「心のない人間」 である家政婦の三田灯(松嶋菜々子サン)を配することで、阿須田家に潜む根本的な問題を白日のもとにさらけ出し、登場人物たちの本音を引き出すのか、と思うと実はそうではない。

 阿須田家の中心である父親の長谷川博己サンは、「長女(忽那汐里チャン)が出来ちゃって仕方なく結婚した、だから子供たちに愛情を感じたことがない」 と 「本音」 をさらけ出す。

 忽那汐里チャンといえば父親の長谷川博己サンに対して、「自分がお母さんを自殺に追いやったことを隠そうとして逃げ続けて、この人はもう父親なんかじゃない」 と 「本音」 をぶつけ、その考えを頑強に変えることがない。 ふたりの弟もそれに同調傾向。

 対して末っ子の希衣(きい、本田望結チャン)は父親のしでかしたこと(不倫)を理解できず、「希衣はお父さんのことが大好き、家族みんなで暮らそう」 と泣きながらバラバラになった家族をつなぎ止めようと 「本音」 を叫ぶ。

 けれども見ていて、「果たしてそれって、本音、なのかな?」 ということはとても感じるんですよ。

 父親の長谷川サンは、自分に自信がないから 「子供に愛情がない」 などと理由をつけて子供と向き合おうとしないだけなように見える。

 長女の忽那汐里チャンは恋人にちょっと告白していたように、「本当は自分にも責任の一端があるのに、全部父親に母親の自殺の原因を押しつけて自分を正当化しようとしている」 ようにも見える。
 この長女の頑迷さは、次男の 「自分たちは養ってもらってるんだし」 というクールな考えも一蹴して、父親なしでも自分たちだけで生活していこう、というレベルにまで怒りが達していますよね。

 で、末っ子の希衣チャンに至っては、やはり母親にひどいことを言ったから母親が死んじゃった、という罪の意識から抜け出せないから、これ以上の家族の崩壊は自分の罪の意識をさらに確定させるように思いこんでいる(こんな難しい言葉で考えちゃいないでしょうけど)。

 ここで気になるのは、「長女を妊娠したときに一緒にならなければ死ぬと脅されて仕方なく結婚した」、という長谷川サンの打ち明け話と、「母親からいつも父親が偽善者だと愚痴ばかり聞かされていた」 という長女の告白、さらに末っ子の 「お母さんがあまりうるさいのでお母さんなんか死んじゃえ、と言ったら本当に死んじゃった」 という話。

 ここから見えてくるのは、自殺した母親がけっしてよく出来た人間ではなかった、ということです。

 この母親の父親なのが平泉成サンなのですが、この人、すごく厳格でその度が過ぎている。 そりゃ娘を孕ませて奪っていった長谷川サンが憎いのは心情的に分かるのですが、それでも取りつく島がなさすぎる。

 この平泉サンの娘、つまり自殺した母親の妹なのが、相武紗季チャン。
 この子はまわりの状況が読めないKYの権化みたいな人物。
 これも父親の度を超えた厳格さが彼女の成長の過程で何らかの作用を及ぼしているように見える。

 で、ちょっとまた気になるのは、今回(第4回)長谷川サンから、紗季チャンは自分の姉が自殺だった、ということを初めて告白されるのですが、その反応がおかしいんですよ。
 ショックを受けるでもなく、「よく分かんない」 みたいなことを言ってごまかそうとしている。
 この子が阿須田家に姉の死後もKYしまくりで介入したがるのには、何か理由があるんじゃないか、という気がしてきました。
 長谷川サンがホントは好きなのか、みたいに思わせといて、KYをウザイ、と思わせといて、相武紗季チャンの存在意義を、遊川サンは視聴者に考えさせない手段に出ているんじゃないのかな~。

 いっぽうでこのドラマは登場人物たちの本音以外に、遊川サンの強いメッセージが隠されていると私は考えています。

 「自分にとって切実な問題は、自分で結論を出さねばならない」、ということです。

 これは、三田の数少ないボキャブラリーのなかのひとつ、「それはあなたが考えることです」、ということに集約されています。

 阿須田家の家族は誰もが、表面上ほぼなんでも言うことを聞いて(聞かないケースもある)しかもそれを完璧に遂行するスーパー家政婦の三田に、何でもかんでも答えを安易に求めたがる。

 つまり、三田が完璧であるがゆえに、便利に使いたがるんですよ。 三田が持っているドラえもんの四次元ポケットのようなカバンのように、三田をドラえもんみたいに考えているフシがある。

 それは基本的に自分の手を汚さないことであり、自分の心の暗闇を三田に押し付ける行為でもある。

 三田が命令を完璧に施行することによって、阿須田家の人々は、その自分のなかの闇が増幅されて自分に返ってくることを自覚する。 そして肝心なことは、やはり自分で決めなければならない、と阿須田家の人々は自覚していくんですよ。

 つまり、「ドラえもんに頼らず自分で解決する」、という、確か 「ドラえもん」 の最終回だか(記憶が定かではない…)でののび太の決意が、そのままこのドラマのテーマになっているような感覚。
 本音をさらけ出して自分本来の生き方をしていく、というこれまでの遊川脚本の思想以上に、大震災を経た今だからこそ、人は自分が主体者となって、日本のためになにが出来るのかを考えなければならない、政府を当てにして頼ってばかりではならない、というメッセージが見える気がするのです。

 このドラマ、ロボット家政婦三田の素姓を明かすことはないだろう、と思いながら見ていたんですが、どお~もある程度は明かしそうな雰囲気ですよね。
 そこに見える三田の心象風景は、まるで津波にさらわれた後の景色のように、荒涼たる死の風景。
 悲しみばかりが人生だから、悲しむことすらもやめた、という三田の人生観。
 悲しむ回路がなくなれば、なんとか自分は生きていける。
 三田のそんな素姓が、見えてくるような気が、してくるのです。

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コメント

お久しぶりです。
ゲゲゲの女房以来です。

>相武紗季チャンの存在意義を、遊川サンは視聴者に考えさせない手段に出ているんじゃないのかな~。

11月30日まで観て、
特に扱われていないキャラって
残るは彼女だけですよ。
録りためているでしょうから、
詳しくは書けませんが、
私も彼女に何かがあるように思えます。
今後描くのは
三田の過去だけではないと思います。

阿須田家の妻の自殺の原因も
夫の不倫ではないと思っています。
これは私の勘ですが…(^^;)

らいおん様
コメント下さり、ありがとうございます。

らいおん様のお察しの通り、このドラマ、この第4回以降、録画したものがたまりにたまってます(笑)。

ここんところ忙し過ぎる、というのが主因ですが、このドラマのレビューを書いても、なんの反応もない、ということもあるかな~(暗にコメントを催促しております…爆)。

でも、さして書くこともないよーな感じだ、というのが大きいかな。 この第4回のレビューでは思うところを全部書いたせいか、ほかに書くことがない。

私の推測が当たっているかどうかは分からないですが、相武紗季チャンの扱いには、第4回までを見た時点でとても引っかかるものがありました。

それにしてもこのドラマ、「マルモ」 も 「JIN」 も視聴率を抜いたとか抜かないとか。

なぬっ? だったらためたやつ見てまたレビューしようかな…なんて、私も動機が軽いですね(笑)。

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    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

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    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
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    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

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    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

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