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2012年1月 2日 (月)

「開拓者たち」 第1回 人が生きれば、事情が出来る

 旧満州に渡った日本人たちの姿を描いたドラマ、「開拓者たち」。
 原作というものを特に求めれば、それは体験者たちの証言、ということになるでしょうか。
 だからこのドラマにおいて、政治的なものがどうだとか国際情勢がどうだとか、という視点は、ちょっとわきに追いやられている印象がある。

 満蒙開拓団、といいますと、私は35年以上前のTBSドラマ 「赤い運命」 で初めてその存在を知ったのですが、確か百恵チャンの父親(実際は違うのですが)だった三國連太郎サンがこの、満蒙開拓団の一員で、それゆえに戦後、自分の生きかたを誤っていた。 そんな役を三國サンは演じてました。

 それ以外にも、私の父方の祖父が戦前、満州に渡っていたこともかすかに聞いたことがあるのですが、ずいぶん早くに亡くなってしまったため、その詳細は分からないままです。

 で、ちょっと国際情勢的なややこしい話をいたしますが。

 もともと満州は清王朝の弱体化のなかで建国されたもので、それゆえに少々混乱状態であった地元民族の情勢を鎮静化している、というはたらきもあったことはあったのですが、それもこれも、日本が内政干渉すべき問題だったのか、という話だと私は思うんですよ。

 これって遠因的に、日清戦争も絡んでいる気がする。

 隣国がどんなに見ていて危なっかしい状況でも、それを横から口出ししてうちらが統治する、なんてのは、おこがましいんじゃないでしょうかね。 日清戦争によってそこらへんの 「おせっかい」 の精神的土壌が日本側に作られているように、私には思える。
 うちらは日清戦争で勝った側だからその土地に介入できる、みたいな発想。
 開拓団が満州に向かったのだって、今回農家の口減らし、という側面がドラマでは描かれてましたけど、そんな発想で安易に大陸に稼ぎに行こう、というものだったんじゃないか。

 ドラマのなかに出てくる、「匪賊」 という問題もそこから発生している、と思うんですよ。
 彼らが日本人たちの開拓地に侵入してくるのは、「ここはもともと自分たちの土地だ」 というのはあるかもしれないけど、実際の話、そこの地元民たちに登記とか契約上の権利関係が発生していたかどうかって、分かんない。 あったかもしれないしなかったかもしれない。
 でも登記してたかとかその土地を自分が買って契約書もちゃんとあるとか、そんなことって問題でしょうかね。
 もともとそこら辺に住んでたわけでしょう。 ○○町の○○番地、じゃなくたって。
 だから彼らがいい加減なことを言って自分たちの権利ばかり主張している、というわけでは、けっしてない、と思うんですよ。

 このドラマでの論調の底辺にあるのは、「満州国が傀儡政権で、満州国の土地は一方的に安い値段で買い叩いたものだ」、というものです。

 この論調に是非を唱えようとすると、いくらでもできる。

 満州国の初代皇帝溥儀は結構日本とつるんでた部分もあるし、戦勝国が有利に売買を進めようが当然ではないか、とも思える。
 匪賊だって一方的にいいわけでなく略奪や暴行もしたんじゃないか、みたいな見方もある。
 でもそれもこれも、内政干渉が端緒なわけですよ。
 じゃ北朝鮮があんなていたらくだから奴らをやっつけて自治政府を樹立しようとか、今そんなことはあんまり考えないじゃないですか。 それと一緒だと思うのです。
 人道的支援とかいう名目で、どこまで内政干渉できるのか。
 内政干渉しだしたから、あらたな問題がそこで生じている。

 現地の人間たちの怒りがあるからこそ、開拓団にはそれぞれ銃があてがわれ、自警をする必要が生じてくる。

 「銃を持つと、人は変わる」。

 主演の満島ひかりチャンの夫、速男(新井浩文サン)のセリフです。

 銃だけでなく、武器を持つと、やはり人は人に対して、強制力を発揮するようになってくるのです。

 これは日本軍だろうが匪賊だろうが、皆一緒だ、ということです。

 そして、そんな事情。

 いくら複雑であろうとも、満島ひかりチャンたちはそこに行き、そこの土地を耕し、そこに弟、妹たちを呼び寄せ、そこで生きていくのです。

 生きていけば、何かしら事情は生じていく。

 ひかりチャンの農場では、中国人の親子が働いています。

 その中国人は、もしかすると日本の権利不当買収によってその土地を追われた人なのかもしれないし、逆にそのことによって働き口を得た(言ってみればその事情を利用した)人だったのかもしれない。

 そこに日本人たちが入植し、現地の人たちがやろうと思ってもできなかった開墾を出来た、という意味で、もしかすると満蒙開拓は意義のあったことかもしれない。

 けれども敗戦色が濃厚になると、現地の人々は日本人に敵対し出すわけです。

 そしていっぽうでは、日本人によくしてくれた中国人たちも、いたわけです。

 そしてソ連は、国境を越えて日本の弱みにつけこんでくるわけです。

 その結果、内地引き上げには悲劇が付きまとい、中国残留孤児が生まれ、シベリア抑留者問題が発生する。

 私はこれを、内政干渉のすべての結果だ、と思うのです。

 誰がいいとか悪いとか、言う前に、他人の土地に入り込んだことの結果がこれなのだ、と思うのです。

 人々はそこで、一生懸命生きてきた。
 その一生懸命は、戦局の悪化によって、すべてなかったことにされてしまう。
 自分たちの一生懸命にこだわった人々は自分たちの開拓した土地に固執し、悲劇に見舞われていく。
 ソ連の侵攻はほとんど無抵抗のまま成就していく。
 逃げ惑った人々を待っていたのは、すでに無力化した日本軍と、日本政府の無策ばかりなのです。

 ドラマはそのことを、実に淡々と描いていきます。

 そしてそんな政治的に入り組んだ事情などどうでもいい、生身で体験した事実だけが、そこにある気がするのです。
 証言者たちの半分ドキュメンタリータッチの作りが、そのことに拍車をかけています。

 そこでは頭のいい知識とか、事情通とかいう側面などまったく無力です。

 全4回。 毎週1時間以上のキツイスケジュールですが、とりあえず最後まで見ていきたいと思います。

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コメント

ああああ=====っ、
見逃してしまいましたっ!!!!

てっきり、今日からの放映と勘違い・・・・(号泣)。

メイキングは見たんです、ううう・・・。

来週は、今から予約しておきます・涙

マーシー様
コメント下さり、ありがとうございます。

マーシー様、大丈夫です、ちゃんと再放送がございます。 第1回の再放送は確か、1月8日の夕方くらいにやるはずです。 えーと、いま調べましたが、午後4時30分からです。 どうもTBSの日曜劇場と重なりそうな雰囲気なので、第3回以降?は再放送分を録画しながらのレビューになってしまいそうですが…。

ドラマはいきなり満島ひかりチャンの、証言者へのインタビューで始まります。
そのほかにも途中でやはり証言者の皆さんの証言がインサートされます。

満島チャンは激情を表す時の演技は、やはりさすがですね。 満島チャンのダンナ役の人は個人的には知らない人でした。 柄本明サンと大地康雄サンが、いい味出してます。 柄本サンも名前のない男(ベムでの)より、大地サンも柴田勝家よりも数段よかったです(笑)。

しまった、小難しいことばかり書いてて、こういうレビューを忘れていた!(笑)

リウさま、
ありがとうございます。
1回目と2回目、ついでに(こら)「平清盛」の初回も録画予定しておきました。

夏目漱石の本など思い出すと、「大陸に行く」ことが、ほんとに簡単に考えられていたんだな、と。
円地文子でしたか、からゆきさんを取り上げた「南の肌」でも、中国大陸から東南アジアまで、いっしょくたに考えていて、その当時はとってもアバウトだったのかもしれませんね。

あっちもこっちも地続き(じゃないけど)みたいな。
そのおおらかさは、意外と好きです。
そこに政治だのなんだのからむから問題がややこしくなり、巻き込まれる庶民が、いつも痛い目に合う。

むか~~~しの映画で西郷輝彦の「星のフラメンコ」だったと思いますけど、台湾に戦争で離ればなれになった父親を探すとかいうお話で、あの当時はアイドルもそういう映画に出ていたんですね。

能書きはさておき、
本編を楽しみにしたいと思います。

リウ様

私も見逃してしまいました!!sweat01
リウ様のブログを見て、「え〜っ、もう始まってたの??」って思いました。
再放送もあるみたいですが、見られるかどうか危ういですね〜。

「シャーロック」も見逃さないようにしないといけないですね。マーシー様からの情報もこまめにチェックしなくちゃです。

年末だったか、「今夜も生さだ」を見ました。リウ様はご覧になってなかったでしょうか?
(お仕事されてたかな?)

さださんが「お金を持ってるプロデューサーの方、是非一緒にやりましょう!」と声かけしてるのが面白かったです。「民放の方でもかまいませ〜ん」ってNHKでそんなこと言っていいんでしょうか?coldsweats01

さださんだから言えるんでしょうね〜。
(後は泉谷さんかタクローさんクラスですね)

今年もリウ様のコメント楽しみにしてます。宜しくお願いしますねhappy01

マーシー様
再コメント下さり、ありがとうございます。

西郷輝彦サンの映画まではさすがにチェックしておりませんが(笑)、昭和10年代前半の漫画 「のらくろ」 などを読んでいると、熊をソ連に見たて、羊をおそらく満州(もしくは朝鮮?)に見たて、豚を中国に見たて、羊を虎視眈々と狙っている熊から守ろうとする日本軍を犬(悪い意味ではなく、忠犬、という観点でしょう)に見たてていました。
そして羊の権益を守ることで、結局は豚も得をするのだ、という論理が展開していた。

やはり朝鮮ではなく満州ですね、羊は。

そしてのらくろは退役後、日本のためになるあらたな資源発掘を目的に 「大陸」 へと渡っていく。 確かこれが昭和13、4年あたりの話だったと思います。 感覚的にはまさに、日本の乏しい資源を開拓するハンター。 子供たちの冒険心をくすぐる話になっていたのですが、実に大陸を目指す人たちの根底には、このような感覚が横たわっていたのだと感じます。

結局日本人を犬に例えるとは何事か、というお上からのお達しで 「のらくろ」 という漫画はその資源発掘の話を最後として、戦後まで封印されてしまったのですが、ここでは私が記事中で問題にした、内政干渉という問題がまったく伏せられている。

でも、柄本明サンはきちんと、中国人を侮辱してはならないとくぎを刺しているし、とっかかりが内政干渉にしろ、そこで開拓をしていた人々には、のらくろのように立派な志を持った人も確かにいた、ということになるのでしょう。

私もかなり能書きを並べてしまいました(笑)。
このドラマ、体験者の証言から作られているから、そんなに外した嘘は、描かれないはずです。

rabi様
コメント下さり、ありがとうございます。

まさか1月1日からやるとは思いませんよね~(笑)。
私もリアルタイムで見ることが出来る状況下にあったのですがすっかり忘れてて、予約録画していたことで助かりました。

実は開始10分くらいで気付いて見始めたのですが、最初はなんとなく話がつまんなくて、途中で寝ちゃったり(笑)。
ところが日をあらためて最初から見始めると、最初つまんないと思えたその淡々さがいい。 キーワードを見落とすと、なんか乗れなくなっちゃう気がするんですよ、話に。

それが 「満州は傀儡国家でその土地は日本によって安く買い叩かれた」、という部分。
まあこれは、私だけの感覚かもしれませんが。

「今夜も生さだ」、見てたんですが、「紅白」 の記事を書きながらのながら見でcoldsweats01

rabi様が書いてくださった部分も、なんとなく覚えはあるんですが、どういう本筋だったのかがちょっと判然としません~wobbly

確かさだサンが大失敗した映画 「長江」 の話をしていたと思うんですが、そのことでしょうか?

それとも震災復興のチャリティコンサートのことかな(そんな話もしてたよーな気が…shock)。

いずれにしてもこの番組、NHKが嫌がる?受信料の話も開けっぴろげにするし、商品名は確信犯的にバンバン出しちゃうし、かなり挑発的な番組ですよ(笑)。 この日の放送は、お客さんに対してもまっさん、相当ひどい口きいてましたね(笑)。

なんか当たり前にこの番組があることに、ちょっと感謝の気持ちが薄れているかもしれません。  「ゆく週来る週」 とかやってた 「セイヤング」 が終わって(まあその後ちょっとしたラジオ番組はあったけど)まっさんとの接点がなくなった~などと思っていた矢先の、この番組でしたからね。 もっと有り難く見なければいけません(反省)。

>「今夜も生さだ」、見てたんですが、「紅白」 の記事を書きながらのながら見で

リウ様もご覧になってたんですねdelicious
さすがに年末年始はお仕事もお休み?

実は、書いておきながらなんなんですが、私は途中から見てたので、本筋が何だったのかわからなかったんですね〜coldsweats01

先日は富山での放送だったんですが、見始めて、「あ〜やってんたんだぁ〜」てなもんで、TV局で生さだを見ることはかないませんでしたweep

見たり見なかったりで、ちゃらんぽらんな視聴者でございます。bearing

実は我が家は録画してみることは、ほぼないので、忘れてたらそれきりでございます。

ビデオデッキはあるのですが、夫からはそろそろブルーレイ買おうと言われいてながら、のばしのばしで来ています。happy02

一期一会の世界で、しかも見直せない・・・
今時、超珍しいウチかも?

rabi様
即レス下さり、ありがとうございます。 あのあとすぐに寝ちゃったためこちらは即レスすることができませんでした。 どうも昼も夜も分からぬワヤワヤな寝かたをしておりますcoldsweats01sleepy
しかしなんとかせねばなりません。 もう3日の夜から仕事なのですから。 …3日って、今日やん!(爆)。

わー地元で生さだやってるのがもし事前に分かっていたら、放送局前(NHK富山放送局、ということになるのかしらん)まで行っちゃうようなお人なんですね、rabi様(笑)。

あの番組は深夜ですから、なかなか1時半過ぎくらいまで起きて見るのはしんどい番組です。 私はもう夜勤主体の生活ですので、結構楽なのですが、昼勤中心の時分は結構きつかったですよ。

けれどもこの番組を録画して見ることをまっさんは嫌う(笑)。 まあまっさんなりのジョークでしょうけど(笑)。

ブルーレイ、なんかネットとかで見るとやたらと安い機種はあるみたいですね。 パナソニックとかレグザとか有名どころでも。 まあ有名でも安いと画質もそれなりに、みたいですけど。

だけどたかが2、3万というのが出せないんですよね、家計って。

rabi様のように一期一会、であれば、やはりテレビ番組との出会いは数倍価値を持ってきますよね。 昔はみんなそうだった…。

どうも正月休みだといろいろ長い返信になってしまいます。 とんださびしんぼうだ(笑)。

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    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

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    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
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  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
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    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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