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2012年10月13日 (土)

「猿飛三世」 第1回 不完全な者が求める明日はどっちだ?

 きちんと最後まで見ることが出来たためしがほぼない(笑)、NHKBSプレミアムの時代劇。
 第1回を見る限りではなかなか面白そうだ、と感じるのですが、中だるみ、というか、話に対する受け手の興味を持続させる力に極端に乏しい。 …と、日記には書いておこう(そう言えばこの古~いギャグ、「純と愛」 の純がやってたな)。

 どうして毎回、ものの10回にも満たない話に最後までついていけないのか、というと、演じている俳優さんたちが、実力以上のものを出し切ってない、ということを感じるからかもしれない。
 確かにやるこたやってます。 でもなんか、ドラマを見る向きとしては、100パーセントの 「やるだけのことはやってます」 というものを見せられるよりも、一生懸命な中から、実力以上のもの、つまり 「120%出ちゃいました」、というものが見たい気がするんですよ。 化学変化みたいなものを。 ぜいたくな相談ですけどね。

 もしかすると、脚本の弱さも関係しているかもしれないですね、このNHKBS時代劇。
 あと、無名の俳優さんがハッとさせてくれるのも、ドラマを見る醍醐味なんですが、ことこのBS時代劇では、あまりそのケースがない。

 つまりなんとなく、不完全なものを見せられているような感覚が、いつも付きまとっているんですよ。 失礼な話で申し訳ありませんが。

 第1回目では見せ場が多いせいか、なんとなくその先も期待してしまうのですが、肝心のその先が、実力のないものが実力以上のものを発揮して、息切れている、そのうちにドラマを継続して見るのがなんとなくためらわれてしまう。 私の場合は、そんな感覚なのです。

 だから今回も、その 「第1回だけのジンクス」、を考慮しながら論じなければなりませんが、やっぱりなかなか面白そうなんですよ。

 奇しくも、「フィクションである時代劇」 として、TBSの 「大奥」 と趣を一にするドラマなのですが、「猿飛」 はなんのために作られたか、と考えると、猿飛佐助の孫がどんなだったか、という興味のもとで作られている気がする。 単純明快ですけどね。 「ルパン三世」 みたいな?(笑)

 その猿飛の孫・佐助に、おそらく顔がサルに似ているからという実に失礼な理由で起用されたと思われる(笑)、伊藤淳史クン。 チビノリダーです(古すぎ…笑)。
 そのチビノリダーが(ちゃうちゃう)仕える梅宮家のお姫様に水川あさみサン。 「江」 でだいぶケチのついた女優さんですが、「36歳で医者になった僕」 では本来のこの人の持ち味であるクールビューティが復活。 今回は、佐助のあこがれの人として、少々おきゃんな(この表現も古いな…)しっかり者を演じています。 行動派だけあって、かなり役柄が合っているような気がいたします。

 で、その梅宮家の主人が、「サルの先祖」(笑)堺正章サン。 こういう 「サル」 つながりの配役が親しみを持てます。 殺陣では堺サン本来のとぼけた味を全開(笑)。 如意棒を使ったアクションも見たいですが、こういうのも堺サンらしくていい。

 で、伊藤淳史クンの忍者の里で一緒に修行に励んでいたのが、「カーネーション」 で直子を演じていた川崎亜沙美サン。 プロレスラーだけあって身のこなしがパワフル。 この人すごく演技が上手だと思うけど、今回はさほど見せ場なし。

 佐助の母親には、浅野ゆう子サン。 私久々に見ましたわ~。 相変わらずお美しい。 もっと話に絡んでもらいたい気がします。

 で、悪役の親分に梅沢富美男サン。 いやいや、ホントに悪そうだ(笑)。
 その手下に波岡一喜サン。 「ちりとて」 の、孫権だったか玄徳だったか?(たぶん漢字ちがってる)。

 そして梅宮家の出入りする商人役で出てきたのが、ギバチャンこと柳葉敏郎サン。 なんでいきなりあきんどかよ?と思ったら、どうも忍者の里を出奔し行方不明の、佐助の父親みたいな感じがする(予想ですが違っていたらゴメンナサイ)。 佐助のピンチに裏からこっそり手助けするのですが、そこで暗躍する忍者ハットリくんたち(あ、香取クンが出るわけじゃないです…笑)とのバトルにも興味がわきます。

 こうして見ると、今回は結構出演者に興味が持てるかな?なんていう気がしてきます。

 そしてこの物語の眼目は、三代目の猿飛佐助が、実に不完全な人間であることです。
 彼は忍者としての技術は体得しているが、人を殺したことがなく、要するに殺生が出来ない。
 しかもバトルスキルのみで、ものごとの道理も思慮深いところも一切なし。 世情に疎い赤ん坊みたいな感じです。
 人をすぐに信じてしまうため、第1回でも堺正章サンをピンチに陥れてしまいます。

 ただここで、堺サンは佐助の言うことを信じて刺客のいる場所へとおもむくのですが、堺サンは佐助の言うことを鵜呑みにしてそこに向かったわけではない、という話の筋立てが、ちょっとひとひねりしてある部分かもしれない。 こういうところに、ドラマ好きは釣られるのです(笑)。

 で、その不完全な存在である佐助は、「やはり自分は人のためになりたい」、というところにアイデンティティを求めようと、梅宮家に仕えることとなる。

 この不完全なる存在、という部分に、NHKBSプレミアム時代劇が抱えている本質的な弱さもリンクしているという点が、なんとも興味深い。

 このドラマの本質的な部分は今書いたとおりだと感じますが、表層的な部分での魅力は、やはりアクションの部分、殺陣の部分でしょう。
 ワイヤーアクションってあまり好きじゃないんですが、今回このドラマのアクションシーンは、そこに頼りながらも、もっと先を見据えている気がする。
 つり橋を渡る水川あさみサンと佐助が、つり橋のツルが切れて真っ逆さま、という、まるで 「お約束」 みたいなシーン。 なんかすごく、マンガとか人形劇とかで何度も見た気がする懐かしさを伴うシーンでした(笑)。 それを2012年の実写版で見ることが出来た満足感というものもあります。

 まあただしこれは、「第1回のジンクス」 の一部だろうと思います。 言ってみれば初回サービス。
 願わくばこの先も見る側のテンションを保たせ、最後まで完走できるドラマになってもらいたいものです。

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コメント

リウさま
こんばんは。

猿飛三世、私もみました。
全体的な感想では、アクションパートは○、でもストーリーはちょっと微妙、という感じですね。
伊藤淳史クンの猿飛三世が、なぜに水川あさみさん演じるお市様を「姫」と慕い、忠誠を尽くすのか、そこが今ひとつ説得力不足だったような気がします。

ただ、ギバちゃんの暗殺殺陣のキレは抜群でしたね。必殺シリーズが再開されることがあるなら、是非ギバちゃんにはメンバーに加わって欲しいと思いましたもん。

あと、川崎亜沙美さん、今後見せ場はあると思うのですが、叶わぬのぞみと知りながら、もう30年程早く生まれていただいて、JACに入って、「影の軍団」のレギュラーになっていればなあ、と思いました。

投稿: Zai-Chen | 2012年10月13日 (土) 21時02分

Zai-Chen様
コメント下さり、ありがとうございます。

ヤバい、いま見終わったばかりの 「悪夢ちゃん」 も面白かった(笑)。 レビューを書きたい(笑)。 あまり面白いドラマが多いのは困ります(笑)。

私は佐助が水川サンについていくのは、単純な恋心だと感じました(笑)。 佐助ってものごっつ感情が単純だ、と思ったので(笑)。 一緒に修行していたのが川崎亜沙美サンではむべなるかな(笑)。

ギバチャンが画面に出ると、なんとなく独特の緊張感が生まれますよね。 別に大物ってわけでもない、と思うのですが。 ストイックさが画面を引き締めるのかな。

川崎サンが第2の志穂美悦子、というZai-Chen様の観点が素晴らしい!(笑) 志穂美サンも演技まあまあだったな…(遠い目)。

投稿: リウ | 2012年10月13日 (土) 22時25分

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