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2012年10月15日 (月)

「TOKYOエアポート~東京空港管制保安部~」 第1回 結構面白かったです

 フジテレビ日曜夜9時の 「ドラマチック・サンデー」 枠。
 いい加減TBSとドラマの競合をやめて、別なジャンルの枠にしてくんないかな~、スポンサーの花王サン、とずーっと思ってるんですが(笑)。

 今回は深田恭子チャン(チャンなんて言って、彼女ももう三十路なんですね…)が羽田空港の管制官をやる、というドラマらしい。 ん~、どうなのかな。
 で、とりあえず見てみんべ、と思って見てみたんですが、これが結構面白かった。

 物語はしょっぱなから、どうにも感情移入できにくそうな人物ばかりが登場します。
 管制スタッフは、チャラチャラしてんのと怖そーな女と、ダジャレ好きの帰国子女と傲岸不遜な男と時任三郎と(なんで時任サンだけ実名なのだ)、花王サン、今回もおつかれさま~、と言いたくなるような感覚で(笑)。
 そのなかで深キョンは、今回空港のグランドスタッフから管制官に転職した、というレアケースらしい。

 深田恭子という女優は、どうも昔からよく分かんない感じでドラマに出てるよな~、という印象が私にはあったのですが、このところの出演作を見ていると、なんだかワケ分かんないなりに、変な存在感が醸成されつつある、という気がする不思議な女優さんです。

 それがこの管制スタッフのなかで、やはり 「のーん」 みたいな空気で(マンガの効果音みたいな?…と説明してもまだ分かんないな…笑)張り切っても 「のーん」、落ち込んでも 「のーん」(だからなんだよソレ…)。 なんつーか、本音の部分までこちらが見透かそうとすると、やんわりと拒絶、遮断されるような感覚、とでもいうのかな。
 でもそんな 「のーん」 という芝居を展開しながらも、なんとなく彼女の世界観に、引き込まれている。

 ただその深キョンの、「変な中途半端さ加減」 がこのドラマの別の出演者たちの、「変にドラマの人間になっている」 不自然さと相まって、いかにも作り物めいた方向に行きそうな危険性をとても孕んでいる。 管制官なんて、別にフツーにしてりゃいいでしょうに、帰国子女だからといって 「今日も元気にはっタラコ~」(「働こう」 と「タラコ」 をかけたダジャレ)(ギャグの説明をするほど不毛なことはない…)なんてする必要はないし、傲岸不遜を周囲にまき散らす必要もないし。 いかにも 「私はドラマの中の住人です」 と言ってるみたいじゃないですか。 そういうのが、なんかチャラチャラしている印象を見る側に与えるんですよ。 「軽い人間観察でテレビ局のノリでドラマなんか作りやがって」、みたいな。

 しかものっけからバードストライク(鳥がジェット機のエンジンに巻き込まれてミンチになる事故)。
 何かが起きなきゃドラマなんかにならない、とばかり展開される話には、こっちも警戒感を抱いてしまうのです。

 しかし、このドラマのもっとも面白い部分は、深キョンが着任早々怖い女(瀬戸朝香サン)から特訓させられた、管制シュミレーションが、実際に目の前で繰り広げられる、スピーディな展開にある、といっていいでしょう。

 おそらくかなり練習したと思われる、英語での管制のやり取り。
 最初に私の琴線に引っかかったのは、深キョンがグランドスタッフの経験からくる、「効率の良い、コストダウンを優先する」 管制指示をしたことで、瀬戸朝香サンに叱責を受ける部分でした。
 「レフト」 と 「ライト」。
 目まぐるしく展開する管制のなかで、私が気になったのは、この 「L」 と 「R」 の発音でしたが、いずれにしても管制官は日本人ばかり。 ジャパニーズ・イングリッシュが飛び交うのも、ある意味では逆にリアルである、とも言える、と考えるのです。

 そしてダウン・バーストによる墜落の危険性、ということを取り扱った場面では、近年熱帯気候に著しく変貌している我が国の気象事情も巧みに織り込んでいる、という印象を受けます。

 そういうテクニカルな部分が、出演者たちに対する見る側のモヤモヤを、一気に解消してくれるんですよ。

 そしてこのドラマの屋台骨を支える主題の部分を鮮やかに提示してくれたのは、やはり時任三郎サンでした。

 深キョンが飛行機の誘導に失敗し上層部がカンカンになる問題に発展した時、時任チーフは瀬戸朝香サンにこう言います。

 「ピーク時には2分に1度の着陸がある。 D滑走路があらたに出来てからは俺たちへの負担は大きく増えた。 国はそんなこと考えやしない。 『できるだろう』 の一点張りだ。 何かあっても守ってもくれない。 こんな状況じゃ、あらたに管制官を目指そうという奴が、減っても当然だ」

 そして時任サン、深キョンにはこう言います。

 「とにかく無事に、事故なく降ろせた。 管制官は結果がすべてだ。 人間は、必ずミスを犯す。 でも大事なのは、今回のようなミスが起きたときに、チームワークでカバーできる管制をどう築いていくかだ。 それだけは、忘れるな」

 これは、景気の状況が悪化して現場のしわ寄せが増大していく私なんかの仕事にも言えることであり、とても共感できる部分です。
 そして、どうしたってミスは起きる。
 肝心なのは、それをどう収拾するか、なのです。
 実はこのシーンを見たときに、このレビューも書く気になった(笑)。

 まあ、だけど、やっぱりこうした、仕事をめぐる部分中心でストーリーが展開していけば面白いものになると思うのですが、変に登場人物たちのプライベートな話になってしまうと、途端に求心力が落ちる気はします。 いろいろご家庭の事情はおありでしょうけど(笑)。

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コメント

とくべつに好きな出演者が出ているわけではないですが、舞台が好きな「空港」と、仕事内容に興味のある「管制管」いうことで、楽しみにしています。

日本人なのだからジャパニーズイングリッシュでも良さそうですが、管制塔からの発信は日本以外のエアラインとも交信するのでもうちょっと訓練してほしいです。
とくに瀬戸さんは滑舌が悪い。

登場人物のプライベートな話に発展。。。するんでしょうね。興味ないけどそうでなければドラマとして成り立たないのかも。

深田さんはいつも姿勢がよくって、いつみてもかわいい。
どのドラマもその立ち位置がよくわからない女優さんですが、年齢を重ねたらどんな女優さんにおなりかな、と楽しみです。

リウ様

やっぱり3連投ですみません。。。
私はこのドラマ☆3つ位だったのですが、リウさんの「のーん」という表現に何となく納得しちゃいました。
個人的に深田恭子好きなんですが、多分その要素がその「のーん」とした雰囲気。
中途半端だけど不思議な安定感みたいな感じです。

ドラマって、刺激をウリにしてるものもあるんですが、安定感もやっぱ必要ですよね。
この「のーん」とした安定感が結構好きです。

チームワークは・・・仕事で「チームワーク」という名の将軍様軍にボコボコにされてるのでなんとも言えません・笑

薫子様
お久しぶりです。 コメント下さり、ありがとうございます。

のっけからズバリ言います。 深キョンは、平たく言ってしまえば、「ヘタクソ」 なんですよ。 実に無礼な書きかたで恐縮ですが。

でも、「ヘタクソ」 なのに、何か心に残るものを、見る側に提供してくれる女優さんである、と私は思います。

そこが不思議の中核かな。

ヘタウマなのかもしれない(笑)。

外国の機長さんたちにとって、ジャパニーズ・イングリッシュというのは、「ああ日本に来たな」 という感慨を呼ぶもので(笑)、脳内変換でそれなりに理解できるかも、なんて考えています(笑)。 変に流暢な英語だと、私だったら却って 「ケッ!ケッ!」 と黒猫のジジ君みたいになるかもしれない(笑)。

ドラマスタッフが私事をドラマに持ち込まないことを、切に願います(ハハ…)。

まぐのりあ様
コメント3(4?)連投下さり、ありがとうございます。

「のーん」 をご理解いただき、誠に安堵いたしました(爆)。

深キョン、実はヘタクソだ、とすごく失礼なことを先のコメントで書いてしまったのですが、すごく強烈な個性で、見る側の心をザワザワさせてしまう俳優さんっていますよね? 深キョンはその、ぽわ~んバージョンなんだ、と感じるんですよ。

「セカンドバージン」 でも、すごく頭の足りなさそうな奥さんの役をやっていたと思ったら、ものすごい復讐に走るし。
意外性をいつも自ら演出してくれる。

時任サンがチームワーク、と言った途端にそれをぶち壊す要潤サンとか、まあこれも、これからどのように結束していくのか、その形が見たい気がします。

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  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

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    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

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    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

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