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2013年1月19日 (土)

「シェアハウスの恋人」 第1回 つながっていたい、ということ

 宇宙からこの地球を見て、「誰かが悲鳴を上げている…」 と気になった宇宙人(大泉洋サン)。 素っ裸でその女性(水川あさみサン)の前に現れます(岩場に隠れて恥ずかしそうに…笑)。 「ヘークション!ヘークション!」(笑)。 水川サンは首に巻いていたマフラーを彼に差し出すと恥ずかしがって去っていく。 ひとり残された宇宙人ヒロシ(笑)。 素っ裸にマフラーだけをまとって、立ち尽くすひとり、立ち尽くーすー(ハハ…)。

 なんなんだ、このドラマ(笑)。

 そもそも最初の数分、このドラマは比類なきほどネガティヴモードで進行します。
 水川サンは冒頭いきなり左遷の対象になり、送別会でも傷ついた心を隠してお愛想笑いをふりまき、コンビニで見栄を張って大量買いし、ひとりぼっちの部屋に戻ってくる。
 そのとき気弱で本当の自分を表現できず、いつもまわりに流されて損ばかりしている自分が急に客観的に見えてきて、涙をぼろぼろ流します。

 「(こみ上げてくる涙に苦笑いしながら)ヘヘッ…なんじゃこりゃ…」。
 そして泣きじゃくる水川サン。
 「(泣きながら)…なんじゃこりゃ…」。

 カワイソウ。 弱気すぎると、生きていくのがとてもつらい、という好例です。
 そのあいだ、水川サンがコンビニで出会った店員が、谷原章介サン。
 彼がまた、超暗くて。
 私が今まで見た谷原サンの役の中では、キャラがもっとも暗い。
 水川サンはおそらく、谷原サンのルックスに一目惚れしています。
 しかし暗い。
 まったく暗い。
 ホントに暗い。
 暗すぎてどうにもならないくらい暗い(分かったって…笑)。

 それが、この記事冒頭に書いたように、大泉サンの登場で、急にコメディモードになる。

 ある日水川サンは、左遷先の会社に出勤途中、「鬼太郎ハウス」 が連なっているみたいな構造の家を見て心を奪われます。 その家がシェアハウスであることが分かると、即座に入居を決断。
 そこで同居人となったのが、あの宇宙人・大泉洋サンなのですが、水川サンは気付かない。 まあ素っ裸の人をまともに見ているわけがないからこれは分かる(笑)。

 大泉サンは真面目に 「オレは宇宙人で、キミのことが好きだ」 と告白しますが、まあフツー、これは冗談と取られるでしょうね。 水川サンは私も大泉サンのことが好きよ、と冗談で応酬し、おそらくこの時点で、大泉サンの恋は破れている(笑)。 早期解決だな(笑)。

 なんでいきなり告白なんかになったのかと言いますと。

 このシェアハウス、当初一緒に住んでいたのが三浦理恵子サンだったんですが、裏では水川サンのことをとてもシビアに分析し、嘲っていた。 水川サンは大泉サンと一緒に三浦サンの誕生日サプライズで陰に潜んでいて、この悪口を全部聞いてしまいます。 おおいに落ち込む水川サン。 そこに大泉サンが恋の告白をして気持ちを切り替えさせようとしたのです。

 それにしてもこのシェアハウス。
 水川サンが心を奪われてしまうのも道理、というくらい魅力的な構造をしています。

 ログハウスを思わせるような内装で、台所などは共同使用スペース。 マントルピースまである。 「鬼太郎ハウス」 と書きましたが、実際に木の上に作られている棟がある。 これってCGなのかな?
 難を言えば、各部屋が階段でつながったりしていて、バリアフリーには程遠い、ということくらいでしょうか。
 いったいこのシェアハウスの大家というのは、どういう人なのか。 気になります。 でもドラマは、そこに言及するそぶりさえ見せない。

 ただ物語が進むにつれ、非常にご都合的な展開になってきます。

 ある日、長野の家を飛び出したひとりの子供。 「ゴーストママ」 でとんぼクン役だった男の子(君野夢真クン)です。 彼が家出した理由は、失踪した父親を捜すため。 彼は東京のつてを頼るのですが、そのつての彼氏の姉が水川サン、というわけで(はぁ?…笑)、しかもとんぼクン、じゃなかった、このドラマでは空知(そらち)クンが捜していた父親というのが、谷原章介サンだったわけです。 出来過ぎ。

 この展開は、三浦理恵子サンがこのシェアハウスを去った後に谷原サンが住む、というために無理やり作った実に不自然な話であります(笑)。

 でも、それが気にならない。

 だってそもそも、大泉サンが宇宙人だから(爆)。

 心当たりがあったため、すぐさま谷原サンを探しに行った水川サン。
 谷原サンが自殺しようとするところを止めようとして、それをつけてきた大泉サンがそれを先に止める。

 そこから自殺したくて仕方がない谷原サンのネガティヴストームに(なんじゃソレ)大泉サンと水川サンは、必死になって立ち向かうことになるのですが、この 「ネガティヴ」 と 「コメディ」 のせめぎ合いがとても楽しい。

 この微妙なバランスに支えられた可笑しなやり取りが、「もっとこのドラマを見ていたい」 という気持ちを助長するんですよ。
 もともとが宇宙人の話だから(笑)少々の設定の強引さが気にならないところに来て、この吸引力って、いったい何なのか。

 つらつら考えるに、ここに出てくる登場人物3人が、「つながりたくて仕方ない」 という感情で行動しているからではないか。

 水川サンは三浦サンの酷い仕打ち(面と向かって言われたわけじゃないけど)にも、「そうだ、自分は彼女に対して優越感を感じていた、彼女の言ってることは正しい」 と反省したがるし、傷つけられながらも、人を信じることをやめようとしていない。

 大泉サンは自分の恋心をフイにされても、水川サンのために行動することをいとわないし、水川サンが気になっているのは谷原サンだ、ということにおそらく気付いていながらも、谷原サンに対して邪険な行動をとらないし、却って谷原サンと水川サンをくっつけたがっているような部分も感じる。 まあそれは、結果不倫ということになってしまうのでしょうけど。

 そして谷原サンは、これ以上ないほど厭世的になり他人を受け付けない暗黒の権化みたいなそぶりをしながらも、大泉サンの下らない質問にもスゲー時間差使って答えようとするし、出ていったかと思えば 「外は寒い」 とか言いながら帰ってくるし。

 つまり、この3人は、とても変則的ではあるけれども、人なつっこいんですよ。 人恋しくて仕方ない。 誰かが一緒にいることの安心感に浸りたがっている。
 そこに、この特殊で魅力的な構造をしたシェアハウスが、「他人とのつながり」 を具体的な形として示している。
 いきものがかりの 「帰りたくなったよ」 じゃないが、「人とつながっていたい」 という気持ちが収束しているから、話がいくら無理やりでも許せるし、なんとなくこの世界に浸っていたくなる。

 そんな不思議な魅力。

 そんなに傑作と呼べるほどの話でもない、とも思うのですが、なんか気になるドラマにはなりそうです。

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