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2013年3月 8日 (金)

「八重の桜」 第8回 「ままならぬ思い」(2月24日放送)を見て

 遅ればせながら、先週の 「八重の桜」 のレビューをいたしたいと存じます。
 実は先週見て、そのままうっちゃっていたのですが、どうも書きたいことがあって。 あらためて今日、また見てしまいました。
 すんませんが、今週分(第9回)はまだ未見(ハハ…)。 今週分はまたの機会に…。




 「ままなんねえもんだな、ハハハ…。
 誰も思ったようには生きらんねえか…」。

 この回のラスト。
 いくら鉄砲がうまくても、藩主松平容保公(綾野剛サン)のお役に立てないことを悔しがる八重(綾瀬はるかサン)に、その容保公から謹慎を食らったばかりの西郷頼母(西田敏行サン)が、ふとつぶやきます。
 このドラマのサブタイトルは、ドラマ内容をとても分かりやすくしている一助になっている。
 この回も 「ままならぬ思い」 というサブタイトルのまま、物語が展開していきました。

 すなわち、①八重の友人である時尾(貫地谷しほりサン)が大蔵(玉山鉄二サン)に抱いていた片思いが、大蔵の祝言によってはかなく破れたこと。
 ②その当の大蔵も、幼い頃から八重に対して抱いていた恋心を捨てねばならなかったこと。
 ③そして京都守護に当たって新選組の前身となる壬生浪士たちに、急進的であることに目をつぶって警護を託さねばならなかった会津藩のお家事情。
 ④そんな過激な連中に京都守護を任せていられない、とばかり京都に馳せ参じようとし、頼母に止められる、佐川官兵衛(中村獅童サン)。
 ⑤さらに三条実美(篠井英介サン)らの勝手な動きで自らの名を騙られ、会津の動きを封じられようとした孝明天皇(市川染五郎サン)が綴った真意。
 ⑥その御心を知ったばかりの容保公の元に、折悪しく京都守護職辞退を陳情に来た頼母が、容保公から蟄居を命じられてしまうこと。
 ⑦そして八重が抱える、「鉄砲でお役に立てないもどかしさ」 がとどめを刺している。

 「誰もが自分の思ったように生きられない」。
 頼母の言葉には、ひとかどの重みが備わっています。
 しかしこの中で、唯一自分の思うように生きようとしている人物がいる。
 松平容保公です。
 もともと京都守護職というお役目自体、やりたいと自分から願い出たことではない。
 でも彼を突き動かしていくのは、孝明天皇からの心からの信頼であり、藩祖の御家訓である。
 そのまっすぐな気性が、会津を追い詰め、手を血まみれにしていく主因となっていることが、今回のサブタイトルよりも、結果的に深く印象に残るのです。
 自分の思うように生きようとして、はまり込んでゆく悲劇。
 この第8回の眼目は、そこに隠されている気がしてならない。

 この回の後半、会津藩は天皇の御前で軍事教練の成果を見せることになります。
 しかし公家方の策略で、危うくすっぽかしてしまいそうになる。
 それに気付いた秋月(北村有起哉サン)たちは、慌てて雨の降りしきる御所に駆けつけるのですが、ここで感じるのは、「恥をかくのは武士の名折れ」 という意識もさることながら、あくまでもそれは自分たちのためではなく、忠義の心を示すために行なおうとしている意識が見えることです。
 容保公がここで孝明天皇から賜った赤い陣羽織を羽織るのもその象徴と言えますが、会津藩の精神動向というのは、常におかみに対して 「一直線」 なんですよ。 「忠」 が第一義。 それは徳川幕府に対してもそうだし、朝廷に対しても同様です。 この精神動向には、「ならぬものはならぬ」 という土壌があることは論を待ちません。

 そしてそれがあまりに一直線すぎるがゆえに、壬生浪という危険分子も取り込んでしまうことになる。 こうなると、頭の固すぎる警察みたいな感覚かな(笑)。
 頼母が危ぶんだのも、まさにこの点だったと思うのですが、頼母のような柔軟思考の者が弾かれてしまうような時代状況になってしまっていたのは、不幸というほかはない。

 会津藩が京都守護を強行に推し進めようとしていた裏には、どこかで 「自分たちは田舎者」 というコンプレックスもあったのではないか、という気を私に起こさせます。
 薩長にしても中央からかなり遠くて、やはり 「自分たちは田舎者」 という意識と闘っていた気がするのですが、彼らの場合、徳川幕府の政治手腕の限界を察知し、幕府にとって代わり、自分たちが政治を動かしていこう、という意識のほうが強い。
 長州はこの回、攘夷の考えを根本から改める機会を得ます。
 世界を知ることで、目覚めていくものがある。
 勝麟太郎(生瀬勝久サン)はいみじくも述べています。

 「戦はしねえがいい。 だが攘夷もできず、開国もせず、その場しのぎの言い逃ればかりしてちゃ、どうにもならねえわさ。
 一敗地にまみれ、叩き潰されて、そこから這い上がりゃ、10年後、100年後、この国も、ちったあマシになるだろうよ」

 「損な役回りゆえ(守護職を)放り出せというのか?
 それは卑怯であろう…。
 一藩をかけてもお守りする。
 …それが、会津の 『義』 だ…」

 それに対して、頼母の諫言に答える容保公のこの言葉は、とてもじゃないけど10年後、100年後のことを考えているとは思えません。 刹那的で、短絡的思考、と言える。

 しかしこの容保公の考えは、間違っているのでしょうか?
 容保公のこの考えは、領民の生命のことを結果的に無視した、と謗られても仕方のないものかもしれない。
 しかし、自分の信じるものに殉ずる生き方に、価値がないとは誰も断言できないのではないか、と私には思われてならないのです。

 この回のラスト。
 冒頭で引用した頼母のセリフは、頼母が桜の木にたかっていた毛虫を取りながら八重に話したものでした。

 「桜の木を枯らさねえように、せめて、災いの元を取り除きたかったんだげんじょ」

 「わだしに、お手伝いさせてくなんしょ。
 木が枯れては、わだしも困っからし」

 頼母の毛虫取りを手伝う八重。
 もしかするとこれは、八重の人生を予見させる、重要なシーンであったかもしれません。

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コメント

頼母の方が、容保より、血筋では、保科正之に近い。だから、その呪縛から、容保さんを楽にしてやろうとした。けど、忠義に阻まれてしまいました。武士の道だから。長州との違いは、彼等は藩も幕府もいざっとなったら、飛び出す勢い!というところ。外様だしね。(笑)武家社会が壊れようとしていた時代、武士の本懐を遂げようとする容保さんは報われないですね。長州も、藩と領民は別と、倒幕の時に会津に情をかけてくれれば良かったけど、まあ、京都で、さんざん粛清された恨みは、ままならないものだったのでしょうね。

ラストの、桜の虫取りへの、リウ様の考察!さすがです。私は、ほのぼのだわ〜としか、思ってませんでした。反省!というか、この頃、綾瀬はるかさんのシーンは、私には癒しなのです。史実で言われてる苛烈な女性でなくて、八重さんは、鉄砲好きの、天然乙女。一生懸命で、健気だけど、どこかほっとさせてくれています。京都は緊張しているだけに。

かなりドラマチックなんだけど、さらっと見れてしまう大河です。時々このさらっとで、八重さんの息遣いを、時代を見落としているかもと心配です。淡々と粛々と、時代が進んで行く。でも、みんな生きてる!だけど、どこかままならない。悲しいですよね。八重さんは、その鉄砲の腕が、宝の持ち腐れに終わった方が、幸せだったかもしれない、けど、ままならないものです。この回はそういう意味では、肝になる回だったかもですね。

投稿: ささ | 2013年3月 8日 (金) 20時02分

ささ様
コメント下さり、ありがとうございます。 ここ数日ささ様にお付き合いくださったのでレビューする気も失せておりましたが(笑)レスが来なくなって初めて慌ててこのレビューを書きました(なんやソレ?…笑)。

八重が登って砲術の本を読んでいた木が、桜だというのはこの回初めて判明した気がします。
「そうか、桜か…」 と思って、このドラマの題名の桜を象徴させるシーンになるのかな、と注視していました。 大したことにはなりませんでしたが(笑)。

大蔵(玉山鉄二サン)が 「八重さんは自分にとって、会津そのものだ」 とこの回申しておりました。 つまり大蔵にとって、八重は自分の思い人であり幼馴染であった。 と同時に、八重が会津の 「ならぬことはならぬ」 の精神を体現している存在だった、ということが言える、と思うのです。

「あれは、どういうことだったんだべ?」 と思い悩む八重がたどり着いた結論は、「自分は桜の大樹のように、故郷の大地のような存在でいなくてはならない」、という意識だったのではないでしょうか(少々ゴーイン…笑)。

このドラマでは、会津の人々は皆、時流に逆らって不器用な生き方をするように宿命づけられているような気がいたします。

その象徴的存在なのが、中村獅童サン演じる、佐川官兵衛のような気がする。 まあ、いちばんカッコ悪いケースですが(笑)。

その不器用さが、時にアダになる、ということを、このドラマを見ていると強く感じます。

投稿: リウ | 2013年3月 9日 (土) 07時08分

いつだったか、テレビをつけっぱなしにしていたら、最高の離婚のダイジェストをやっておりました。半分寝てたので、ほとんど夢心地でしたけど。尾野さん真木さんに対して、瑛太くん、綾野さんコンビ、笑える!女性陣が、男前過ぎて!

でも、八重さんの方では、綾野さんも、忠義の容保さん!私の好み は、この頃、最高の離婚の綾野さんに移っています。容保さん、ちょっと、しんどい!もう他の容保、考えられないくらいはまってるのに、違う番組で、真木さんにヘタレている綾野さん、最高!というべきか。

時流に逆らって不器用に。でも本人達は、それを無理してると思ってない。一途で、切ない。新選組や、白虎隊に日本人が惹かれるのは、やっぱり、ままならない生き方を強いられる事が多いからでしょうか。新選組は、ヒーローだし。(とはいえ、坂本龍馬や、高杉晋作も好きだし。)

風をよんで、大政奉還に名を残した容堂公なんて、卑怯者扱いだし。不器用な方がお好きみたいです。日本人は。

時代を読んでた、覚馬兄さんだって、短気で、失敗してるし。世渡り下手なんですよね。頼母だって、そこで、養子を持ち出したらまずいって、みんなわかってるのに、会津を危機から遠ざけたい一心から、容保さんに言っちゃう!コンプレックスは突っついちゃ駄目なんだ!突つく時は春嶽のように狡猾腹黒にいかないと!(笑)会津の方々は根がいい人過ぎて出来ないのよね。(村上春嶽、大好き!)

真面目で、不器用。世渡り下手。それで、何が悪い!でも、ままならない。そのわりにお話は淡々と進んでいますね。(笑)


投稿: ささ | 2013年3月 9日 (土) 11時12分

ささ様
再コメント下さり、ありがとうございます。

「八月の動乱」 見ました。 かなり分かりにくかったです(笑)。 おそらく家茂の動向とか端折ってるからだろうな、ということは感じました。 やはり 「篤姫」 関係は遠ざけてる(笑)。 えーと、「篤姫」 では家茂は、ゴッシーでした(笑)。 堺雅人サンがやったやつと名前勘違いしてた。

「最高の離婚」 に関しては、とても残念です。 やはり前のめりでレビューしてたので、2回も見逃してしまうと、それでもいーや、と思えないんですよ。 軽い気持ちで続け見できない。 話が見えない自分が許せない、つーか。

春嶽サンはなかなか出てまいりませんが(笑)、ささ様お気に入りの秋月はこのところよく出るようになりましたね。 会津弁がことのほかうまい。

あと、頼母夫人の宮崎美子サン、このひと確か九州ご出身なのに、かなり福島弁のイントネーションを体得してる。 福島ご出身の秋吉久美子サンよりうまい?(笑)

「龍馬伝」 でも福山サンの土佐弁がうまいとか、よく話題になっていた気がするのですが、ご当地大河に接して、その地方の訛りを気にする人たちの気持ちが、なんとなく分かった橋本です(笑)。

さーて、「八月の動乱」、レビューどうしようかな。 先に書いたように、少々分かりにくかったので、そのことでも書いて見ようかしらん。

投稿: リウ | 2013年3月 9日 (土) 20時11分

八月の動乱を見て思うのは、三条実美が篠井さん?真木和泉もおっかない感じの役者さん!と、完全に攘夷派が悪役です!龍馬伝で見た時と違って、雨の中落ち延びて行く様も、可哀想に思えない。桂さんもミッチーで、くせ者ですし。弾圧されてるように見えんがな!会津様が、プレッシャーに耐えて頑張ってるだけに。

宮崎美子さんは、熊本の人です。熊本大学出身の才女です。秋月さんが第五高等学校(熊本大学)の先生に晩年、(小泉八雲と同僚に)なって教えるそうですから、不思議な縁です。(笑)

方言というのは不思議です。自分の地元だと違和感がありますよね。今日、宮崎を舞台の映画の宣伝をしていたのですが、ちゃんと宮崎弁をしゃべっていたのは、宮崎出身の堺さんだけでした。(笑)でも、今回、誰が会津弁が上手なのか、私には、わかりません。(笑)

同じ県でも、方言は微妙にちがってるし。薩摩に近い方の言葉、東国原さんとかの言葉も私にはわからない時がありまする。どげんかせんといかんも私が住んでた所では、使わない言葉でした。(笑)イントネーションも違うし!以上脱線!

八月の動乱、私が一番?だったのは、初対面の薩摩藩士からの申し入れから、あれよあれよと薩摩会津の連合ができて、長州外しのクーデターが成功していくところ。薩摩側の描写がほとんどないから、お手軽?って思ってしまいました。大変だったろうけど。まあ、私の贔屓の秋月さんが、活躍してたから、いいです。兄様と一緒に!

政治的駆け引きって、描くのも面倒くさいから、あんなものかとも思いますが。ただ、会津を全面に出して、長州外しをした薩摩!彼等の方がしたたかで、えぐいのではないか、と描かれてないけど、思いました。では、リウ様のレビュー、楽しみにしています。

投稿: ささ | 2013年3月 9日 (土) 21時27分

ささ様
再々コメント下さり、ありがとうございます。

なんかアップしてからささ様のコメントに気付いて読んでみたら、またまた感想が同じだったようで、甚だマヌケになってしまいました(笑)。

真木はなんといっても、嶋田久作サン、「帝都物語」 の怪物役ですからね(笑)。 つーより、自分的には同じビートルズファン(笑)。

ああ、宮崎美子サン、宮崎だったかな~と思ったのですが、宮崎県出身で名前が宮崎なんて、ちょっと違うだろうな~…と(笑)。 書かんでよかった(笑)。 秋月とそんなところで繋がっているとは。

まあ、会津弁なので同じ福島でも私が感じる違和感とは違う、とは思うのですが、しゃべりかたを聞いていて懐かしさを感じてしまう、というレベルに達しているのは、やはり西田サン佐藤B作サンは当然として、大蔵(玉山鉄二サン)の姉役である市川実日子サンくらいでしょうか。 市川サンはかなりうまい、と思います。

東国原サンもそうですが、なんか知事ってどこでもい~のか?みたいな気はしますよね。 前東京都知事たった石原慎太郎サンも、私のなかのイメージでは元祖湘南ボーイ。 神奈川じゃないのかよ?みたいな。 森田健作サンも、千葉でした?みたいな(笑)。

それでは簡単ではございますが、「八月の動乱」 の拙い 「マヌケな」(笑)レビューを読んでやってくださいまし。

投稿: リウ | 2013年3月10日 (日) 04時54分

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