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2013年3月27日 (水)

「泣くな、はらちゃん」 第9-10(最終)回 笑おう、たとえ心が痛くても(その3)

 「そりゃあ、家族には悪いなって言うか、私がいなくなったら、泣いてくれると思いますけど。
 それに、仕事もね、私が急にいなくなったら、困ると思います。

 でも、それは、ほんのちょっとだけ。

 あの世界は、私がいなくても、なにも困らないんです。 なんの問題もないの。 私なんかいなくなったって、あの世界はなにも変わらないの。

 いなくなったら世界が変わってしまう人も、中にはいるかもしれないけど、私は、そういう人じゃないんです。 ちっぽけな、どうでもいい人間なんです」。

 このドラマ感想文の(その2)おしまいのほうで私が考えたことに対する、越前さんの答えがこれです。
 そこにも書いたとおり、これって、徐々に現実世界の扉を開きつつあった越前さんの行動パターンとしては、急激に厭世気分に針が振り切っちゃってる気がする。
 ここで越前さんは、自分が死んだら家族が悲しむだろうという予測までついている。 これって 「この世を見限る」(自殺の比喩)のをやめる大きなファクターだと思うんですけどねー。
 越前さんはそれほど汚い現実世界に絶望したのだ、と(その2)で書きましたが、これは同時に、暴力という手段を得てしまったはらちゃんへの、越前さんなりの贖罪だとも思うのです。
 そしてこの贖罪は、はらちゃんへの愛情と補完関係にある。

 でもそんな告白をする越前さんを、はらちゃんは否定します。

 「ありがとうございます。 私は、うれしかったです。 越前さんがこちらの世界に来てくれて、うれしかったです。

 でも…。

 私は悲しいです。

 あなたは、『私なんか』 と言う。
 『自分なんかどうでもいい人間なんだ』 と言う。

 そんな越前さんが、私は好きではありません。 嫌いです。

 越前さんは、帰るべきです。 自分の世界に。

 帰って、自分と両思いになってください。 世界と両思いになってください。

 自分が相手を好きにならないと、両思いにならないんですよ越前さん。

 どうしてあなたは自分に、自分の世界に恋をしないんですか?

 こんなに素敵な人なのに…。 (上の現実世界のある場所を見上げ)あんなに素敵な世界なのに…。

 あんなことを言う越前さん、…好きではありません。

 好きではありません」

 
 この世への絶望とはらちゃんへの思いとで補完し合っている越前さんの後ろ向きな思考(碇シンジみたいだな…笑)。
 それに対して、はらちゃんのこの発言は、その後ろ向きの思考に追い出されてしまった、越前さんのなかにある希望のように私には思えます。

 ここで注目してみたいのですが、はらちゃんは、自分のことを 「私」 と言いますよね。

 矢東薫子先生のマンガに出てくるはらちゃんが、どういう一人称を用いているのかの説明は、このドラマではなされていませんが、たぶん 「私」 という言い方はしないんじゃないかと思うんですよ。
 つまり越前さんのマンガから飛び出したはらちゃんは、越前さんの分身でもある。 そう考えられないでしょうか?
 このはらちゃんは越前さんの考えている不満、文句、愚痴をいつもしゃべっているから、自分のことを 「私」 としか言わないんだと思うんですよ。

 そのはらちゃんが、この時点で、越前さんの分身、というだけでなく、越前さんのなかにくすぶっている、良心を体現している。

 ドロドロの球体状ATフィールドのなかから出てきた、碇シンジっつーか(エヴァの見すぎだ…笑)。
 もっと分かりやすく言えば、はらちゃんは、越前さんのパンドラの匣(はこ)の隅っこに残された、たったひとつの希望。

 そんなとき、ヒロシがなかなか帰ってこない越前さんを連れ戻そうと、かなり強硬な手段に出ます(笑)。
 越前さんのマンガノートをなわとびの縄に括りつけ自転車につないで引きずりまくりながら暴走(笑×2)。 「うおっしゃ~~~っオラ~~~っ姉ちゃん帰ってこいよ○×△~~~っ!!!」 ブレーキが利かなくなった自転車は、そのまま坂道を加速していきます(笑)。

 しかし当方、見ていて笑いながらも泣けました、このシーン。

 このヒロシの行動は、姉を心配する弟の行動、であると同時に、自分に対する苛立ちでもある。 そう思えたからです。
 マンガの世界に行ってしまった姉は、いわば引きこもりをしている自分と同じ。
 こんなことじゃいけない、というのは、自分でもじゅうぶん承知しているんですよ。
 でも外の世界に出るのが怖い。
 そんな自分に対する碇シンジ…じゃない、怒り(エヴァから離れろっつーの…笑)。

 崩壊しそうなほど揺れるマンガの世界。 はらちゃんが、越前さんを抱きしめます。 一緒に現実の世界に戻ろう、というのです。 「みんなついてるぞ、仲間がついてるぞ」、と送り出すマンガ世界の住人達。 自転車は、越前さんの勤めるかまぼこ製造工場に激突(笑)。 抱き合ったままのはらちゃんと越前さんは、現実世界に帰って来るのです。

 ここで、このふたりが、「あの大地震で死んだ人たち」 の比喩になってはいないだろうか、などと、また余計なことを考えるワタシ。

 つまり、かつてないほど揺れるマンガの世界から旅立ったはらちゃんと越前さんは、実はきっと、ここよりもいい場所に旅立ったのだ、という比喩、というか。
 大震災で旅立ったかたがたも、きっとここよりもいいところに行ったのだ、と。

 「ああ わたくしはけつしてさうしませんでした
 あいつがいなくなつてからあとのよるひる
 わたくしはただの一どたり
 とあいつだけがいいとこに行けばいいと
 さういのりはしなかつたとおもひます」

 これはトートツですが宮澤賢治の詩の一節です(なんだなんだ、なにが始まったんだ?…笑)。
 このドラマはやはり、ひとりの幸せだけでなく、みんなが幸せになる方法を考えている、という点で、賢治のような広い慈悲の気持ちを持っている、と私は思うのです。
 それは岡田脚本の持つ、「人の良さ」 なのかもしれない。
 でも、ニヒルに世界を見つめるよりも、ペシミズムに染まるよりも、そっちのほうがずっといいではないですか。

 どうも話が飛躍しすぎてスミマセン。

 同時に、また今回もラストまでいけないようです、スミマセン。
 忙しいもんで。
 その4に続く!

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コメント

えええ~~!その4に続くのですか!(笑)
どこにコメント書けばいいか悩みます(笑)

…今、いろいろ書こうと思ったんですけど・・・
消しました(笑)
次回まで待ちます♪(^^)

投稿: ほとりん | 2013年3月27日 (水) 13時20分

いいなあ。その4!待ってます。このレビュー、もう、エンドレスで、いいんじゃないですか!頑張ってくださいませ。お目汚しでごめんなさい。つい、コメントしてしまいました。終わりのない物語で!

投稿: ささ | 2013年3月27日 (水) 15時37分

ワクワク!o(*^▽^*)o
リュウ様の感想は概ね自分と共通する感じなので、だからこそ楽しみにしていまして、私はそこまで深い考察出来ないので、いつもいろんな番組の感想拝読して「うんうん、同感!自分が面白く視聴していたドラマの感想をちゃんとした言葉に変換してくれて!しかも、もっと深くて、すごいな〜!!』って更新されるのをめちゃくちゃ楽しみにしているんですが、リュウ様の文章に見合うような賢いコメント出来なくて、でも本当に毎日更新して下さるの楽しみにしています。
毎回コメント出来なくても毎日ワクワクさせてもらってるこんな奴も居ますんで、よろしくお願いします。
そして今超続きを期待中!

投稿: あくび | 2013年3月28日 (木) 02時02分

ほとりん様
コメント下さり、ありがとうございます。

す、すいません…(と、田中くんになってみたりする…笑)。

今日も頑張ったのですが(と言っても1時間程度)、フィニッシュすることができませんでした。

でも、「最終回、話が迷走してるな」 という私の感想の原因は解明いたしましたので、また明日以降にご期待ください。

投稿: リウ | 2013年3月28日 (木) 15時55分

ささ様
コメント下さり、ありがとうございます。

なんかひと事みたいでいいですねーこのコメント(笑)。 「終わらない物語」 になりそうです(笑)。

投稿: リウ | 2013年3月28日 (木) 15時56分

あくび様
コメント下さり、ありがとうございます。

これも愚痴を言ったおかげでしょうか、やはりいろんなかたからコメントをいただけるというのは、とても励みになるものです。 調子に乗って本日も(その4)を書いてしまって、また未完です(笑)。

1日1時間の執筆、という枠でも決めれば、このように毎日アップすることが出来るかもしれませんね。

あんまり長いレビューだと、みなさん読む気が失せるでしょうし。

拙いブログですが、今後とも御贔屓下さいまし。

投稿: リウ | 2013年3月28日 (木) 16時07分

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