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2013年4月13日 (土)

「あまちゃん」 第2週 いろいろあんだよ、人ってものは

 このドラマは、宮藤官九郎サンの性格によるものが大きいんでしょうが、見ていてなんかホッとするものがある。 どんなに登場人物たちが怒ったり喧嘩をしたりしても、こちらの気持ちまでささくれ立つことがない安心感、というか。

 その 「ホッと」 感の原因となるものを、今週のちょっとしたエピソードに見たような気がします。
 この三陸で暮らしている人たちの過去について、誰と彼は前に結婚してたとか離婚したとか、そんなことについて主人公のアキ(能年玲奈サン)と海女の先輩たちがしゃべるシーンです。
 彼女たちはそんな、触れられたくないような過去についても、「人間いろいろあるものなんだ」 というスタンスで許し合っていた。
 いろんな後ろ暗いこととか嫌なこと、人生にはそんなことがあって当たり前だろと。
 これが前作の 「純と愛」 では、「本性ではみんな汚い」 とか、ギスギスした話になっちゃってた感がある。

 ただクドカンサンのこれってある側面から見ると、とても責任の所在が曖昧でい~かげんな姿勢、ということにもなるのですが、あまりにこだわりすぎてばかりでは立ち行かなくなる場合には、とてもガス抜きになる考え方です。

 この、三陸へと失踪した(笑)アキと母親春子(小泉今日子サン)を追って、今週前半タクシー運転手をしている父親(尾見としのりサン)が現れます。
 このちょっとのほほんとした風情の父親、アキを見て最初、烈火のごとく怒り出す。

 尾見サンが現れてからキョンキョンの反応とか見てると、このふたりが東京の世田谷(私が住んでる世田谷の最南端ではなく下北とか賑やかなほうらしい…笑)で、どのような性格の家庭を形成していたか、だいたい想像がついてきます。
 つまり、尾見サンのほうは仕事以外では完全なる家庭第一人間。 妻も娘もものすごく大事にしている。
 キョンキョンのほうは、そんな夫にちょっと辟易しながらも、やはり娘のことをとても考えている。
 しかしこれが、家庭の閉塞感を助長しているんですよ。
 その結果アキは家の中では何もしゃべらない、笑いもしない、しかも学校でも疎外感と劣等感の塊で、引きこもりの一歩手前にいる。
 閉塞した家庭の中で、息がつまりそうになっているアキの姿が、想像できるのです。
 アキの酸素欠乏状態は(笑)、三陸の 「人間いろいろ過去はあるもんなんだ」 という 「許し」 の空気にさらされて、初めて大きく深呼吸ができている。

 逆に、アキの母親キョンキョンの場合、その過去に、拘泥されているがゆえに、この三陸で生きることが息苦しくなってしまった、という気がするのです。
 もともと子供のころから、母親の夏(宮本信子サン)が海に潜るのを、「これでお母さんが溺れ死んでしまったらどうしよう」 という恐怖心で見つめていた春子。 そんな過去のトラウマが海女に対する嫌悪感に結び付いていき、そして人間関係が濃密な、田舎の空気にも耐えられなくなっていく。

 けれども春子の場合も、いったんは捨てた故郷で、きちんと呼吸をしたいと思っている。
 春子にとって、それは過去への拘泥との対決なのです。
 それは、自分の居場所を見つけるための戦いという意味もある。 彼女がどこにも自分の居場所がない、と嘆くのは、過去にこだわる自分を変えられないがゆえの悩みだと考えられないか。

 すごくいい加減なようでいて、よく練られているように思えるこの脚本。 そこにはクドカンサンの、人生に対するおおらかさが潜んでいるような気がするのです。

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コメント

尾美さんは再放送中の「てっぱん」では
主人公家族の良き相談相手の住職だったのに
対して本作では問題の中核にきましたね。

「てっぱん」が孫とお婆ちゃんが中心だったので
本作もそうなると思っていましたが
地方の祖母と、東京の父親の狭間における
母親と娘のドラマを並行して描くようですね。
ただ春子のキャラクターやストーリーに比べて
アキの方がどうにもパンチが弱いなぁ。

オノマチvs小林薫のようにはいかんか…。

投稿: 巨炎 | 2013年4月14日 (日) 14時39分

巨炎様
コメント下さり、ありがとうございます。

朝ドラって、まあ新人女優さんがやる場合は、だいたいこんなものかな~、という気がいたします。
前の 「純と愛」 の夏菜サンでも、結構なんかの映画に出てたりとか、キャリアがあったですし、それでいきなりハードル高い役を押し付けられてたよーな気がします(笑)。

余談ですが、尾見サンが乗っていたタクシーが、韓国製だったとかでネットがまたかしましい。
よく見つけるよなー、こんなの(笑)。
まあわざわざ?ヒュンダイ社製の車を使うとかいうのも、よく分かんないですが。
もしかして尾見サンは、在日の設定だったりして?

投稿: リウ | 2013年4月15日 (月) 10時34分

リウ様
おはようございます。

このドラマの舞台設定である2008年頃(今から5年前)って、結構ヒュンダイ社製タクシーが走っていたような気がします。とにかく安いからですね。いつの間にか、姿を見かけなくなりましたけど。

クドカンさんは、映画脚本のデビューが、在日3世が主人公である「Go」だったこともあるせいか、別に何の思想的な背景もなく、「だって、あるものはあるじゃん」というノリで出していると思います。みすずサン@美保純さんが済州島に駆け落ちしていた設定も含めて。まあ、これ以上は、何も言いますまい(笑)。

このドラマに見られる、夏と春子さんの、なんかっちゃあぶつかっている親子関係は、「タイガー&ドラゴン」の西田敏行さんと、岡田准一くんの落語家親子にも重なるところがあり、クドカンの得意技ですよね。
面倒くさいんだけど、厄介だけど、放っておけない。そんな不器用な人々の「情」を描かせたら、今のところ、この人の右に出る者は居ないのでは?などと勝手に思っています。

案外、山田洋次さんの正統的な後継者は、この人だったりして・・ちょっと違いますか(笑)

投稿: Zai-Chen | 2013年4月15日 (月) 11時49分

しかし半分以上、ストーリーを引っ張っている春子さんは作劇上、あまり否定的な印象はありませんが客観的に観たらかなり駄目人間のような…。

夫の正宗氏がアキに対して学校云々言うくだりは、娘を追い込む閉塞感を垣間見させますが、地に足が着いた考えとも言えます。
対して春子さんは地方の人間関係にも都会の社会システムにも馴染めずにフラフラしとるよーな。それでいて家出も離婚も先の生活を深く考えずに行き当たりばったりだし、そのくせ夫や自分の母親に対等の立場のような物言いしているし。
夏さんがスナック経営してなかったら、どうなってたんでしょうか?

投稿: 巨炎 | 2013年4月15日 (月) 12時28分

Zai-Chen様
コメント下さり、ありがとうございます。

コメント返信しづらいテーマですね(笑)。

まあ私は、街中で走っててもヒュンダイの車だってまず分かんないので(後ろについてエンブレムを見たなら気付くと思いますが)、3年前にそんなに走ってたかな~?程度ですが。

でも、3年前はまだ、嫌韓という流れは今ほど台頭していなかった気はしますね。 中国に対してもそうだけど、国と国との雰囲気を一気に悪くするもんですね、領土問題って。

家族のことを考えているのに、その愛情が逆に文句になって出てしまう、「純と愛」 のほうは、何がいけなかったのかなーなどと考えながら、この記事を書いたのですが、たぶんあっちのほうは愛情が強すぎて理想が高くなってしまう、という悪循環だったのでしょうね。

こちらのドラマには、「まあ、家族が道を間違えても、まずは見守ってやろう」、という態度があるんですよね。

投稿: リウ | 2013年4月16日 (火) 09時58分

巨炎様
コメント下さり、ありがとうございます。

ん~、つぶさに世田谷の暮らしを見てないので分かりませんが、春子さんはちゃんと掃除お洗濯食事はしていたと思うんですよねー。 どっかで気持ちが切れちゃったのは、自分なりの夢とか希望を持って東京に出てきたから、こういう平凡なのに我慢が出来なくなったのでは、という感じもします。
気持ちが切れちゃってるから、パチンコ屋にも入り浸るし(笑)。

でも、自分がダメ人間だということは、変な評価がすぐに付きまとう田舎ではしちゃならない行為だという自覚もあるし、自分でも認めたくない。

だからエラソーにしてるんだ、と感じます。

投稿: リウ | 2013年4月16日 (火) 10時05分

こんばんは。

連続テレビ小説「あまちゃん」に関して記事、拝読しました。私は現地点で、1週遅れており、3週まで見て感じたことですが、

心理的に怖い要素を含んでいる、と感じました。
これは、わたしだけなのか、よくわかりませんが、

小ネタなどで明るく話が進んでいくので、隠されてなかなかわからないのですが、私はなぜかすぐに反応してしまう。それは、家族のぎすぎすた描写です。

脚本家はじめ制作者側が意図しているのかどうは不明ですが、

私は、春子の家族、夏の家族、(さらには友人のユイの家族もそうですが)は、「機能不全」に陥っているんではないか、と感じるのです。


夏と春子との関係をみればよくわかると思うのですが、母子の問題。さらに、連鎖するように、春子と父・正宗との間に生まれたアキが、昔、笑顔がなかった(今も?)のはどうしてか。家族の食事のシーンなどみていると、ドキドキします。

春子が久慈に戻る決意をしたのは「アキの為ではない。私自身のため」といいすなわち、母と対峙しなければならない、それまで逃げていた母と向かわなければ自分の人生が立ちなおせない。「機能不全家族」の母子関係が浮かびがってくる、と私なんかは感じます。アキへの世代間連鎖。ユイの家族のバラバラなど。

もっとも、問題をそこには絞っておらず(そもそも意図的に描いたのか、私が勝手に深読みしているだけなのか、おそらく後者でしょうが)、明るく元気なお話として進んでゆくので、

今後の展開に注目です。

投稿: 心の文(あや) | 2013年4月30日 (火) 01時02分

心の文 様
コメント連投下さり、ありがとうございます。

私もまだ3週目までの視聴で、アキがウニを獲ったとこまで見てないんですが(笑)、そうですね、特にユイの家族はちょっとボーソー気味ですよね、オヤジ役の平泉成サン(笑)。

考えてみたら、確か 「おひさま」 でも、同じような役をやってましたけど、今回の平泉サンは、どちらかと言うと 「純と愛」 の若村麻由美サンクラスのエキセントリックさで(笑)。

アキというお客さんがいるのに、ここで親子ゲンカを始めるかなみたいな(笑)。

でもそうしたギスギスとした場面があって食事がのどを通りそうもなくなってしまったアキを描写しながらも、そのあと 「いくら大変な事態になっても、おいしいものはおいしかった」 というオチが用意されていて(笑)、見ていて決して暗く淀んでしまわないんですよ。

ここらへん、うまいなぁ~と感心いたしました。

夏ばっぱと春子の関係も、お互いを牽制し合いながらも、どことなく気持ちがつながっている。

そんななかで明るく振る舞いながらも、どこかで一抹の不安を感じるのは、やはり主役のアキでしょうね。

彼女の東京での描写は、かなりイタいものがあった気がします。

同時に感じるのは、アキを演じている能年玲奈チャンの、内面的な暗さです。
この子、かなりナイーヴな性格をしているように思えます。
「朝まで生さだ」 の音楽会にもちょっと出てきたのですが、すっごく人見知りそうな感じ。 こんな地味~な子が、よく朝ドラの主役を射止めたものだ、と感じましたもん。

そんな彼女の内面が投影されているように思える、東京でのアキの姿。

東京に憧れていくユイとの対比が、今後見もののひとつになっていく気がします。

投稿: リウ | 2013年4月30日 (火) 07時58分

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