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2013年5月 5日 (日)

「八重の桜」 第13回 「鉄砲と花嫁」 第14回 「新しい日々へ」 第15回 「薩長の密約」 第16回 「遠ざかる背中」 第17回 「長崎からの贈り物」(3月31日、4月7、14、21、28日放送)を見て

 へへ…、「八重の桜」 直近5回分を一気にレビューいたします(手抜きだぁ~っ…笑)。

 蛤御門の変以降、八重と川崎尚之助は急接近し、結婚に至ります(簡単だなァ…)。
 そして蛤御門で目の上あたり?を負傷した山本覚馬は、白内障が進行し、失明の不安にさらされていく。 まさしく 「ベルばら」 のアンドレ状態ですよね。
 ただし覚馬が恐れているのは、愛するオスカル、じゃなかった、愛妻うらや娘のみねの姿が見られなくなることもさることながら、これから激変を余儀なくされている、この国の行方を見ることが叶わないことと、それに際して自分が会津藩のためにきちんとした働きが出来なくなるのではないか、ということ。

 いっぽう会津を取り巻く政治情勢は、薩摩の西郷が勝海舟の 「寝た子を起こしちゃったかな?」 的な助言で大きく方針転換をし、長州と急速に接近していき、さらに容保公の強い進言で京に上洛させた14代将軍家茂の死、さらには会津の大きな後ろ盾であった孝明天皇の死で、逆風がその風速をさらに高めていくことになる。 折悪しく会津の町を覆った大火を煽る風のように。

 ここ5回のこのドラマを立て続けに見ていて感じるのは、事態がどんどん会津にとって悪くなっていく、その息苦しさです。
 このドラマの語り部は、おそらく会津の大火もその重要なファクターとして配置しているし、なにより、「覚馬の目が見えなくなっていくこと」、というファクターを、会津の状況と完全にリンクさせている気がする。

 この手法は、見事と言うほかはない気がします。

 この混迷を極める政治情勢の中で、「我らは、何と戦っているのであろうのう」、というのは、田中土佐のつぶやきであったのですが、これに抽象的ではあるが象徴的に答えるとすれば、「会津は、時代の流れと戦っている」、ということになろうか、と私は考えます。

 これをもっと意地悪い言い方をすると、「会津は古い時代の墓標になりつつある」、ということになる。
 「上の者に対して絶対服従する義」。 封建制度の根幹的な考え方ですが、外圧によってそれはもはや、ガタガタに崩れている。 日本中が新しい秩序というものを求めて流動的に動きつつあり、幕府でさえその波のなかで自分を見失いつつある。
 そんななかで会津は、頭の固い古臭い連中、というレッテルを、大勢から張られようとしている。 誇りある薫陶である、「ならぬものはならぬ」、という考えが、流れゆく時代のなかで会津を孤立化させ置き去りにする最大の原因となる。

 ここで会津をさらに翻弄させる徳川慶喜にしても、時代の流れの中でアイデンティティ崩壊のさなかにいるわけですよ。 だから朝令暮改、自分でなにをやってんだか、基本的に分かってない。
 そんな混迷の中で慶喜サンがなにをしようとしているのか、というと、やはり徳川の権威だけは失墜すべきでない、ということで、同時に彼は、時代に即した体制に幕府も変容していかねばならない、というオブジェクションに囚われている。

 これをですね、かつての大河 「徳川慶喜」 のように、彼を主人公にしてしまうと、限りなく自己弁明のための論調になってしまう気がするんですよ。
 今回の 「八重の桜」。 私は今までで、この慶喜サンの立場が最もよく描写されているのではないか、なんて気がするのです。

 そしてもうひとつ。

 時代の流れの中で会津が取り残されつつある、という象徴が、山本家(川崎家、ということになりますか、この場合)にも進行しつつあって。
 それは、川崎尚之助が日々改良を加えている、新式の銃です。

 尚之助はこの新式銃を開発したら、八重さんと結婚する、という目標を人知れず立てていて、それが叶ったために八重に求婚し、結婚した。
 結婚後も、義父の権八の思惑に逆らってまで八重に銃の改良の手伝いを求め、岩に爪を立てるように少しずつ、少しずつ、新式銃の開発に努力している。

 しかし、「長崎からの贈り物」 で覚馬から届いたスペンサー銃は、尚之助のそうした努力を水泡に帰するだけの威力を有しているわけですよ。 7連発式だし。

 そしてそうした銃を、長州や薩摩、諸藩がこぞって買い漁っている、という事実は、もはや旧態依然とした権力が、ミリタリーバランス的に崩壊してしまっている、という事実を、尚之助、ひいては会津に突きつける。

 もひとつ象徴的なのは、八重にとって強力な槍のライバルが現れることです。
 それは中野竹子。
 八重にとっては黒船級の存在でしょうね(笑)。
 つまり、スペンサー銃も中野竹子も、井の中の蛙でお山の大将気取りでは突き崩せない存在としてリンクされている。

 ここらへんのことに着目しながら、今晩の 「八重の桜」 を久々にリアルタイムで見たいと思います。

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コメント

おお!一気に来ましたね!黒船並の力技!(笑)すいません、昨日の龍馬伝が残ってるもので!苦笑!

でも、長崎からの贈り物で、ホームドラマに戻ったでしょ?みんなが家族も考えはじめてる!それって、危機が近いって、警報がなり始めたって事でしょうか。国のあり方が、身にふりかかってくる!そういう見せ方だったのかも。何しろ、新式銃が、持ち主の八重さんに託されましたから!

さあ、今日は秋月が戻ってくるみたい!実に楽しみ!(笑)

投稿: ささ | 2013年5月 5日 (日) 18時08分

ささ様
コメント下さり、ありがとうございます。

私も龍馬伝が残ってます(笑)。
龍馬伝で黒船がやってきて、幕府があたふたしているのを土佐藩の連中がかーなーり批判しまくってましたけど、お~、こういう反応は会津藩では絶対しないだろうな~、などと思ったりして。

んでまた、次の回のレビューも書いてしまいました。
忙しくてスミマセン(笑)。

投稿: リウ | 2013年5月 6日 (月) 00時42分

GWの休暇?によって、一気に追いつきましたね。happy01

リウ様の考察はさすがです。後追いですが、読みながら、なるほど〜 と頷いております。

1回ごとのレビューが大変でしたら、2、3回ごとでも良いので、レビューupしていただけると番組への解釈がより深まるので助かります。

今回、タイトルが「八重の桜」になってるので主役が主役として生かされてないという話もチラホラ?ありますね。
でも覚馬さんやイケメン大勢も見てみたいので、これはこれでいいかなと思ってます。
タイトルを「会津の桜」にしておけば良かったのかなぁ?なんて。。。

投稿: rabi | 2013年5月 6日 (月) 07時46分

rabi様
コメント下さり、ありがとうございます。

特にゴールデンウィーク後半はブログ書きに時間を使いましたが、基本的に遠出もせず、酔っぱらってばかりの連休でした(はっはっは)。

このレビューに関しては、「ああ~っ夕飯の時間だ、『笑点』 が始まっちゃう」 という焦りのなかでさっさと仕上げてしまったので(笑)、かなり省略した部分が実はございます(笑)。

でもそれが何だったのか思い出せない(爆)。
このドラマ、漫然と見ちゃうと、漫然とした感想しか出てこないことが多くて。
会津の側から見た歴史だけど、でも薩長や慶喜サンの事情もちゃんと書かれているし…などと考えて、それっきり(笑)。

幕末の情勢って難しくて、何度大河でやっても忘れちゃうことが多いし、視聴率が悪いのは話が錯綜してるから、という気もしてきます。
でも八重サイドの話はとても分かりやすくて、もっともっとこっちをしつこくやったらいいのにな、なんて感じます。

投稿: リウ | 2013年5月 6日 (月) 09時07分

>アンドレ
愛が~苦しみなら~幾らでも~苦しもう~♪
私には彼が真性マゾヒストにしか見えませんでした。

ところで失明した覚馬の身の回りの世話をした13歳の少女が後妻になる(うらとは離縁)のですが、それはドラマでやるのかな?しかも明治に入ってから、その後妻とも離縁しますが、それは八重が追い出した(若いツバメと不倫したのが原因との説もあります)のだったりして…。この「ならぬものはならぬ」的強情さには後に夫となる新島襄もあきれたとか。

投稿: 巨炎 | 2013年5月 8日 (水) 11時16分

巨炎様
コメント下さり、ありがとうございます。

アンドレがマゾヒストですか~(笑)。 原作ではかなり失明することで自暴自棄になってた気もいたしますが…。 宝塚はそ~ゆ~の好きだからなァ(笑)。

ありゃ、うらとは離縁しちゃうのですか。 やはり女子しか産めなかったからなのかな?
それにしても、どうやってこの可愛い新妻の八重チャンを、新島をてこずらせた(シャレか)烈女にするんでしょうね(笑)。
13歳の少女を後妻って、覚馬っ、ロリコンかよっ(ハハ…)smile

投稿: リウ | 2013年5月 9日 (木) 11時25分

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