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2013年5月 4日 (土)

「TAKE FIVE~俺たちは愛を盗めるか~」 第1-3回 「現実離れ」 を楽しむ

 TBSの金曜10時ドラマ、「TAKE FIVE」。
 「正義の泥棒」、という、まるで 「CAT'S EYE」 みたいな題材ですが、メンバーのひとりがネコ嫌いとか、彼らを追う刑事がメンバーと面識があるとか、ちょっとかのマンガを意識しているような部分も感じられます。
 それにしてもイケてないのはその副題で、「俺たちは愛を盗めるか」(笑)。
 これで視聴者かなり失ってるよーな気がいたします(笑)。
 実際このドラマの主人公で盗賊TAKE FIVEのリーダーである唐沢寿明サン(大学で心理学の教授をしてる)の盗むポリシーが、「盗みには愛が必要だ」。
 これが見ていて少々むずがゆい。

 しかも物語冒頭から出てくる謎のホームレスのバーサン(倍賞美津子サン)(ただいま表現にフテキトーな…)がいきなり唐沢サンと接触。 そのせいで唐沢サンは長いこと解散状態だったTAKEFIVEを再起動させる、という、すごく脈絡の薄い、というか、脈絡を放棄したような、語り始めなのです。

 私が普段見ているドラマというのは、原因があって結果がある、その動機というものを重視したようなものが多いのですが、このドラマはそうした一切をわきに追いやって、強引に話を進めていきます。

 しかしそのことは逆に、映画を見ているようなテンポの良さを引き起こし、見ている側に快感を与える。
 私はいまのところ予想外にこのドラマを、エンタテイメントとして楽しんでいます。

 正直なところ、現代の日本というのは、快盗団にとっては非常にやりにくい社会システムになっている。
 街中監視カメラが据え付けてある、というのがまずその第一なのですが、そんななかでもTAKE FIVEはべつだん顔にマスクとかすることもなく、堂々と盗みを行なっていらっしゃる(笑)。
 これはことこの種のドラマに関して言えば、「リアリティがない」、と難じるよりも、「彼らはそれだけ自分たちの行動に自信を持っている」、ととったほうが面白いのです。

 しかし、ここがこのドラマのミソなのですが、彼らはいっぽうで、考えられないようなわきの甘さも露呈する。
 そのもっとも顕著な一例が、リーダーの唐沢サンが極度の下戸で、酒を一滴飲んだだけで人事不省になってしまうという(んなワキャねーか)体質であるということ。
 この唐沢サンにライバル心を燃やすのが松坂桃李クンなのですが、唐沢サンとの最初の邂逅の際、互いにお互いの財布を抜き取ったりしている。 抜き取るのはいいけど抜き取られるなんて、かなりマヌケでしょ、ドロボーとしては(笑)。

 でもそのマヌケなところさえも、わざとやってるような部分が見えたりして、その真意を探るのも、見ている側の興味の一部になってくるのです。

 そしてこのドラマを別の意味で牽引しているのと思われるのが、松雪泰子サン。 冒頭で紹介した、「彼らと面識のある刑事」 というのが彼女です。
 彼女は20年前にTAKE FIVE絡みの事件で刑事だった父親が殺され、その恨みを晴らすために刑事になっている。
 「愛のある義賊」 であるTAKE FIVEがそもそも、その殺しに関わっている、というのは、まあフツー考えにくいわけで、要するに彼女の憎しみは行き違いによるカンチガイであろーと思われるのですが、この 「茫洋としたカンチガイによる憎しみ」 のなかにいる松雪サンの佇まいが、なんともいいんですよ。
 彼女の閉ざされたその暗い表情には、この物語を深くする要素が多分に含まれている。
 ただしコミカルな描写がないわけでもないのが、またこれが楽しい。 これをあくまで暗く真面目に演じているから、コミカルな部分がウケるんですよ。

 結局TAKE FIVEの一員となった松坂桃李クンですが、彼は松雪サンを、どうも好きになっている模様。 おそらく閉鎖された心をこじ開けたい、という、「コソ泥」 としての本能が彼をそうさせているんだと感じます。
 彼女の気を引くために、桃李クンは自分がTAKE FIVEであることを彼女にいきなりばらしてしまう。 「わざと相手に手の内を見せる」、という面白さが、ここでも発揮されている。
 そして昨日放送された第3回では、警察を辞職しなければならなくなりそうな彼女のために、桃李クンはまたひと仕事遂行するのです。

 松雪サンはその動物的なカンの良さで、このひと仕事を桃李クンがやっていることに気付くのですが、しかしたぶん、それでもまだ彼女は桃李クンがTAKE FIVEだと考えていない。 「TAKE FIVEはアンタが6歳の頃に解散した」 というアタマがあるからで、少なくとも自分の復讐には関わっていない、という判断がそこにはあるんだ、と思うのですが。

 ここらへんの、盗賊と刑事の関係、というのが、また微妙で面白いんですよ。 ここらへん、ちょっと 「キャッツアイ」 みたいだなと思います。 もっとリアリティのある。 「キャッツアイ」 はあまりにマヌケすぎますよね内海刑事のほうが(笑)。

 そして再結成されたTAKE FIVEの最後のメンバーとなる、稲垣吾郎チャン。 彼は警察側の人間で、警察の人間が犯罪者側に加担する、という微妙な位置関係が、ドラマの中で最大限に活用されている気がします。
 それとやはり、「信長のシェフ」 で明智光秀をやったときにはなんだかな~と感じていたゴローチャンの演技ですが(笑)、こういう、クールでちょっとキレると怖い、という役をやらせたら、彼はもうピカイチですね。

 また、ほかのメンバーにも六角精児サンとか、なんだかワンクールで終わらせるには、少々もったいない気もしてくる顔触れだと思います。

 原因と結果を重視していないことは、時に話の整合性がイージーに陥る弊害も引き起こすのですが、こうした 「現実離れ」 を楽しむドラマがあっていいと思うし、このドラマはそのエンタメ性を、じゅうぶん兼ね備えている気がします。

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