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2013年6月28日 (金)

「激流~私を憶えていますか?~」 第1回 不思議感覚の 「十五の君へ」

 (初出時より若干手直ししました)

 NHK火曜のドラマ10。 結構リタイアすることが多いのですが、今回は面白そう。

 まずは冒頭から。

 どうやら文芸誌の編集者をしてるらしい主人公の田中麗奈サン。
 個人的にこの人のお顔を拝見するのはだいぶ久しぶりなので、私の記憶の中ではこの人は 「がんばっていきまっしょい」 のころの、眉毛に特徴のあるあどけない顔のまま。 「こんな大人になったのね」 という感想もそこそこに、彼女は作家の原稿を取りに、東京駅から京都行きの新幹線に乗ろうとするところ。
 そこに夫からケータイにメールが入り、どうやら離婚調停中だということが分かる。 そして座席に座ろうとすると、隣には山本耕史サン。 フツーだったら、「あれ?もしかして山本耕史サン?キャー」 というところなんでしょうけど(笑)、ドラマだからそういうことはない(当たり前だ)。 ただこのふたりが偶然一緒の席であるワケがないはずで(笑)、山本サンは彼女が京都行きでいつも思い出す、ある事件の当事者である。 このふたり、中学時代の友人グループなんですよ(最初のうちは気付かない、20年ぶりだから)。

 彼女が思い出す事件というのは、20年前、15歳の中学校の修学旅行のとき、友人グループのなかのひとりであった「小野寺冬葉」 という女の子が、グループ行動中に忽然と姿を消してしまった、というもの。

 ありていに言えばそれは 「失踪事件」、行方不明事件、なのですが、なにしろドラマでのこの少女のいなくなりかたが、ちょっとSFがかっている。
 一緒のバスに乗っていたこのグループ。 バスはやっと一台が入れるようなトンネルに吸い込まれていく。 周りの景色が暗くなり、冬葉は自分の顔が窓ガラスに映るのをじっと見ている。 そこから画面は不自然に緊張の度を増していき、バスがトンネルをくぐり抜けたとき、冬葉はいなくなってしまっているのです。

 この状況から見る側が考えてしまうのは、「トンネルの中」 という異世界の持つ不思議な感覚です。 要するに科学では説明のできない霊的なもの。 簡単に言ってしまうと、「これ、神隠しでしょ」。 「千と千尋」 もトンネル入ってたし(笑)。

 ドラマがこういう説明の仕方をしているから、私なんかも 「このドラマは 『ウルトラQ』 みたいな超科学ミステリーだ」 と考えてしまう。 こういう 「X-ファイル」 みたいなの好きですからね自分。
 さらに言えば、このドラマのいかにも中途半端チックなSFタッチ(笑)というのは、私が小学生のころ夢中になって見ていた、「少年ドラマシリーズ」(NHKで月-金で夕方6時からやってた)を想起させるのです。

 これじゃ食いついちゃうよ(笑)。

 こういう 「超常的な」 現象が起点となっているから、このお話で田中麗奈サンと山本耕史サンが20年ぶりに、新幹線の中で隣り合わせになった、という 「ありえへん」 ぐーぜんも、にわかに説得力が増してくる。 「冬葉が引き合わせたのかな」、という感覚です。

 ところが、話は急に殺人事件が絡んできて、いきなりワケが分からなくなる。 それまでやってたナレーションが、田中サンから急に男の人に変わるからです。 これを、山本サンの声かなと思った私は混乱して(笑)。

 そのナレーションの主は刑事の桐谷健太サン。 彼がまた、田中サンの友人グループのひとり。 彼が犯人を追う、ある殺人事件に参考人として絡むのが、これまた、かの友人グループのひとりであるともさかりえサン。

 ぐーぜんすぎだっての(笑)。

 でもこれが、「冬葉が引き合わせた」 と考え出すと、途端に不自然じゃなくなるんだなァ。 うまいですよ、こういう接点の作り方。 群像ドラマって、「ふぞろいの林檎たち」 でも 「男女7人」 でもそうなんだけど、大勢を一緒に行動させるのって、かなり話が無理やりになる危険性がいつもあると思うんですよ。 このドラマはそれを克服してる。

 で、彼らはこの殺人事件がもとで、再び出会うような方向に動いていくわけですが、それを決定的にさせたのは、冬葉から届いた 「私を憶えていますか?」 という一行のメール。

 ますますミステリー仕立てじゃないですかァ。

 「冬葉からこんなん届きましたけど」 と集まったグループのメンバー、もうひとりは、国仲涼子サン。 どうも今じゃ高級売春をやってセレブの暮らしを食いつないでいる感覚です。

 この、中学時代の友人グループ。

 実はこの国仲サンと同じように、みなそれぞれに中学卒業後、いろんな 「人に言えない」 人生を送ってきている。 桐谷サンだけはそんな感じには見えないけど。
 ともさかサンは歌手兼作家になって麻薬事件を起こしてくすぶり中。 山本サンもなんか家庭に事情がありそう。

 こういう、15の時の自分を強烈に対比してしまうようなドラマの語り口は、結局このドラマを見ている自分に 「自省」 として跳ね返ってくる性格のものであり。

 あの頃の自分は汚れてなかった。

 あの頃、世の中は自分にもっと優しかった。 こんなにややこしくなかった。

 そりゃ、悩みもあったし限界も感じていましたけどね。

 このドラマの吸引力というのは、この 「不思議感覚」 という部分と、「自分の過去との対話へのいざない」 という部分で成り立っているような気がします。

 「不思議感覚」 という部分で言うと、冒頭田中サンが京都くんだりまでわざわざ出向いて受け取った、女流作家さんからの原稿。
 この女流作家は高畑淳子サンが演じているのですが、この人出てくると、なんか笑っちゃうんだよなァ(ハハ…)。 これってどーにかなんないものでしょーか?(笑)
 それはそれとして、この作家さんの原稿は手書きであるため、わざわざ取りに行く必要があったのですが、今度は田中サン、これを紛失してしまう。
 これって大昔の朝ドラで藤田朋子サンがやってた編集者 「ノンちゃん」 みたいなアホの権化みたいなヘマじゃなくて(笑)、きちんと管理していたのになくなった。

 これも 「不思議感覚」、といったところなのですが、その原稿はなんだか、誰かに盗まれて、赤ペンで大々的にダメ出しした状態で高畑淳子サンのもとに送り返されたらしい。 怒り狂う高畑サン(笑)。 高畑サンはこうじゃなくちゃ(なにを期待しとるのだ?)。

 つまりこれは 「不思議」 ではなくて誰かの陰謀だったみたいですが、そこに絡んできたのが、田中サンと離婚調停をしている同業者の夫。
 この夫の愛人がですね、売れっ子の女流作家で、この作家が今度田中サンの文芸誌に連載を始めるにあたって、田中サンを排除しなきゃヤダとかゴネてきたらしい。
 それと高畑サンの原稿との因果関係は今のところ分からないけれども、こっちのドロドロにも興味がそそられる(悪趣味だ…)。

 なんか面白いそうだぞ、このドラマ。

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コメント

>「少年ドラマシリーズ」
「タイムトラベラー」などですね。
NHKはフィルム保存をちゃんとやり始めたのが
80年頃からなので、リアルタイムの方で
無いとほとんど分からないのが辛い。

まさに当時の少年達へのメッセージ的作品。

山本さんは最近、時代劇ばかりで観てました。

後、朝ドラ「ちゅらさん」のファンの方にはショック?

巨炎様
コメント下さり、ありがとうございます。

推敲もせんとアップしてしまったので、今あらためて自分のレビューを読み返してみたら 「なんじゃコリャ」 状態で(笑)。 手直ししました。

「なぞの転校生」 に関しては数年前にNHKアーカイヴでやっててました。 転校生役の人が現在は髭生やして振り付け師をしているとか。 「タイムトラベラー」 あたりになると自分もほぼ記憶がないのですが、「明日への追跡」 というドラマの主題曲がすごく好きで、「あまちゃん」 さながら、テレビのスピーカーにマイクを押し当てて録音したものです(笑)。 ほぼ同時期に映画 「ひまわり」 の主題曲を知って、「明日への追跡」 がそのパクリだと気付いたワタシ(笑)。

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BOOKS

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     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
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  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

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    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

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    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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