ショック…。 「坂崎幸之助・吉田拓郎のオールナイトニッポンゴールド」 9月いっぱいで終了…。
「生放送で重大発表」。
スペシャルウィークの謳い文句で流れているラジオCMに、「何かな~? また今年も拓郎サン、ライヴをやるっていう告知かな? それとも沢田研二サンとの対談みたいに、またBIG対談が実現、とかいう話かな~?」 と思っていたのですが、おととい(8月26日)の番組冒頭から、いきなり拓郎サン本人の弾き語りで 、名曲 「流星」 が流れてきて、おお~っ!と感激したはいいものの、続いてはさらなる名曲 「落陽」。 本番の前には坂崎サンの前で、「旅の宿」 をフルで歌ったらしいし。
「なんだよこの大盤振る舞い…」 と、なんとなくイヤ~な予感がしてくる。
「ひょっとして重大発表って、番組終了、ってことなのか?」。
すると拓郎サン、この番組を始めてから4年になる、自分の番組でこんなに続いたのはこれが初めて、とか、これも坂崎クンと一緒にやってたからだ、ここに来るのが楽しみだったもの、といかにも感慨深そうな顔をするのも~楽に~で~きる~…じゃなかった(ビートルズが~お~しえて~く~れたぁ~…笑)ヤケに不安をあおることを話していきます。
「ああ、こりゃ番組終了の告知だ…」。
案の定。 私が現在、少なくとも関東エリアで流れているラジオ番組のなかでは、もっとも面白い番組だと考えている、この 「坂崎幸之助・吉田拓郎のオールナイトニッポンゴールド」 が、9月いっぱいで終了、というのです。
がぁ~ん…。
あまりのショックに、私ラジオをかたわらに夜勤をしとるのですが、ぼぉ~っとして仕事で重大なミスを犯してしまいました(笑)。 タクロウのせいだ(笑)。
まあ、拓郎サンが述べていたように、拓郎サンの番組のなかでは今まで最も長く聞いていたよな~、という気がします。 「パックイン」 の世代ではなかったのですが、小室(等)サンと一緒にやってた時も4年も続かなかったし、「オールナイトニッポン」 もせいぜい1年か2年?2年もやってなかった気がする。
つまり、だんだんと拓郎サンが番組を続けていくことに、嫌気がさしてくる、というか、飽きてくる、というのが、それらの番組を聞いていると結構感じ取れたんですよ。
今回の 「幸拓(コウタク)のオールナイト」 でもその傾向は早い段階から読み取れたものでしたが、ここは拓郎サンもおっしゃるように、坂崎サンの面白さによって4年近くも続けることができていたんだろうな、と。
なにしろ、この番組での坂崎サンは、完全に拓郎サンのタイコモチに徹していた。
いちばん得意な南こうせつサンのモノマネをはじめとして、「ビブラートがすごくてどんどん音程が上がっていく村田英雄」 とか(笑)「裏声だけでなりきっているアグネス・チャン」 とか(笑)、ラジオのなかの拓郎サンと一緒に、私も仕事をしながら笑い転げていたものです。
拓郎サンが前に 「坂崎はホントによく歌を知ってる」 としゃべっていたように、坂崎サンの70年代フォーク・ロックに関する知識は膨大。 生き字引、と言ってもいい。 大学の講師レベルだと私は思ってます。
高校時代の坂崎サン、どんだけ金があったのかなーと思うんですが、たぶん実家の酒屋さんが儲かっていたのか(笑)、かなりマイナーなフォークグループのアルバムに至るまで、どうも買い漁っていたみたいで。
これって現在の坂崎サンの、熱帯魚とか爬虫類とかカメラとかのコレクター癖の先鞭なのかな、という気がする。
それに坂崎サンは、自分の好きなものにシンクロしようとする傾向があるんですよね。 モノマネがうまい、ということもその傾向のなせる技、と言えるんですが、自ら買い漁っていたと思われるそれらのアルバムの曲を、これまたよくコピーしていらっしゃる。 当時はネットとかない時代ですから、全部レコードを聞きながら、という手法で自分なりにコピーしたんでしょうね。
だから自分の頭に入っている70年代フォークのアーカイヴには、コード進行とか理論的な裏付けが確固としてある。
ただ単に曲を知ってるだけ、というのでは、やはり拓郎サンもここまで坂崎サンと一緒にはやらなかったと思うんですよ。 すぐに飽きたと思う。
そして同時に、拓郎サンはそんな坂崎サンの限界、というものも、この番組ではそれとなく指摘していたように思う。
知識が豊富なだけじゃダメだ、モノマネだけじゃダメなんだ、と。
拓郎サンはこの番組のなかで、アルフィーのことをツアーのパンフをはじめとしてコキおろしていたものですが(笑)、拓郎サンの目線で、アルフィーを聞いてて感じるもどかしさ、というものも、たびたび指摘していたと私は感じるのです。
拓郎サンが今回、番組をやめると言い出したのは、数週間前に番組のなかで話した内容に大きな理由があるのでは、と私は考えています。
曰く、「新しい曲が浮かんでこない」。
拓郎サンは現在、新しいアルバムの準備に取り掛かっているらしいのですが、どうにも曲を書こうとしても、歌いたいものが何もない、というジレンマに取りつかれているらしい。
これってモノを作る人間としては、かなり危機的な状況だと思います。 私も僭越ながら、モノづくりのはしくれとして、同じ危機感に晒されたことがあるから分かる気がする。
この状況を打開するには、坂崎サンとのバカ話で世俗的な楽しみに浸っている場合ではない、と拓郎サンは考えたのではないだろうか。
自分の作品を作る、というのは、かなり孤独な作業です。
拓郎サンはそんな孤独に身を置くことで、あらたな創作の糸口を見つけようとしたのではなかろうか。
確かにこの番組が放送しているあいだも、新譜は出ましたよ、拓郎サンの。
でも今回はそれでは間に合わない切迫したものを、この番組終了の拓郎サンの決断から感じる。
ただ、坂崎サンとの番組をやめるには、拓郎サンもまだかなり未練があるようで(笑)、「9月でいったん終了して、10月からまたあらたに始めるか」 とか(笑)「やりたくなったらヤッコ(ディレクター)に電話して柔軟的にやるか」 とか、嬉しいことを言っちゃってくれてます。
ぜひぜひ!
また番組が復活してくれることを、切に願っています。
出来ればライフワークみたいに、断続的でもいいから、継続してほしいなぁ~。
坂崎サンとのコンビは、やはり最強だと思いますよ。
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