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2013年11月 9日 (土)

「ごちそうさん」 第6週 こんぶねーしょん悪い?

 なんだかんだで結局温室育ちだった東京編のめ以子。 そりゃそうだ、父親も母親も、この食い意地が張った長女に、ただ食いもんは不自由させちゃならないという気持ちだけ(「だけ」 とも言えないけれど)で育ててきたんだから。

 ただですね、それが悪いかというとそうでもないんじゃないのかな。
 世の中の常識なんざ、親のそうした愛情だけで、ある程度のことはカバーできてしまうのではないか、って思うんですよ。
 そりゃ確かに常識知らなさすぎですよこの子は。
 自分の食欲にあくまで柔順だし、自分の気持ちが中心で世の中回ってるし(お見合いすっぽかしではそれが端的に出た気がする)。
 でも、め以子は先週までの東京編で、「自分以外の人に幸せになってもらいたい(食べ物で…笑)」 という気持ちを育てていった。 そこには親の思いも、確実に注入されています。 ただ単に放任主義で育てられたわけじゃない。
 だから躾だなんだって、別にいいじゃないの、とも思う。 人のために何かをやる、という気持ちが育ったんだから別に。 あくまで自分勝手だと、どこに出しても恥ずかしい娘になっちゃうけど。 親がしゃんとしてれば、子供なんてのはしぜんと育つもので。

 でもそれってやっぱり、結局温室だった。 今週から始まった大阪編で、め以子は通天閣の姉で出戻りの小姑に、外海の荒波をもろに浴びることになります。
 この小姑を演じるのがキムラ緑子サン。 かーなーり、ハマってます(笑)。

 この小姑のなさることは、かなり過激。 め以子はいきなり女中扱いだし、食べ物が口に合わないと全部ぶちまけるし。
 ここで見る側にとっていちばんこたえるのは、この小姑が、め以子が東京から持ってきたぬか床を捨てるシーンです。
 これは正直なところ、「ナレーションやってる人を捨ててる」 のと同じ感覚。 だってこのドラマ、ぬか床(め以子のおばあちゃん)がナレーターだから(笑)。 番組の存続にまでかかわる話だ(笑)。
 おそらく小姑に野菜を漬けまくられたのでありましょう、いきなりぬか床は水浸し。 弱っていくおばあちゃん。
 そのあげくにこの小姑はこのぬか床を庭に埋めて捨ててしまう。 気付いため以子が止めに入ったがぬかはもうほんのわずか。 ただしぬか床のなかのおばあちゃんはこれでもまだ生命を維持できるらしい(笑)。 とりあえずホッとした(なんなんだ)。
 冗談はともかく、亡くなったおばあちゃんの心まで捨てられるというのは、それまでのめ以子の人生を否定されるに値する、象徴的なエピソードではないか、と思われます。

 で、この居住環境の激変でなにがいちばん露見するのか、というと、やはりめ以子の常識のなさなんですよね。
 でもめ以子は、「自分以外の人に食べ物で幸せになってもらいたい」 という気持ちで行動してる。
 常識のない人間が他人のために行動するとどうなるか。
 今週の 「ごちそうさん」 はその典型的なパターンを展開していった気がします。

 め以子はまず、飯を炊くのにガスではなく薪を使うという現実にぶち当たり、三度三度温かいご飯が出るわけではないという西門家の常識に面食らい、「薪代くらい自分で出しますよ」、と見得を切る。
 そして父親直伝のメンチカツをしょっぱなの夕食のおかずに。
 これらのめ以子の行動が、おいしいものを食べてもらおう、という気持ちから発生していることは確かなのですが、それがまずいんだな。
 ここには、相手を思いやっているようで、相手のことを考えずに自分の尺度で行動している、という致命的なミスがある。
 だから、西門家の味というものの壁にぶち当たったとき、絶食するだの昆布を片っ端から試すだの、この子はすごい遠回りしてしまうんですよ。
 小姑に素直に訊きゃいいのに(教えてくれるとは限らないけど)。

 でもですよ。

 だからといって、このドラマ自体がそのことで致命的になってしまうというのとは違うんじゃないか、と。 だからダメなんだよ、と断じてしまうのは早計な気もする。
 結局この子は遠回りながらも西門家の味に近づいたし、義理の妹さんの心もちょっとだけ開いたし、小姑サンとの仲がどのように変質していくかも、これからの話だと思うんですよ。
 確かに薪とか食材とか、この子には経済観念というものがない。
 でもそんなもの、これからの話でしょう。

 肝心なのは、そこに辿り着く方法がどんなに常識のない、家計のことも考えていない、独りよがりの方法だったとしても、め以子の気持ちの中核には、「食べ物で幸せになってほしい」、という思いがある。 彼女の場合、それが自分の食い気と密接につながっているから(笑)、遠回りでもいろいろと試さなければ気が済まない。 小姑サンに訊くのは簡単。 でもそれを拒んでいるのは、なにも彼女が自分の尺度だけで行動しているわけではなく、自分の食欲に忠実であろうという思いも交差しているからなのだ、と思う。

 私たち見る側は、そんな不完全な彼女の成長を見守る、という態度も必要なんじゃないかな、っていう気も、するのです。

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テレビ」カテゴリの記事

コメント

リウ様、こんにちは。

エグい場面を避けて通りつつ、今週も視聴しました。
(苦笑)

新米公務員の悠太郎氏も、職場で癖のある先輩との
付き合いに苦戦中。
それでも最後は胸襟を開き、酒を酌み交わす仲に。

主役二人の悪戦苦闘振りが、並行描写されました。

闇に蠢き、末妹を操る毒姉。
妹にとってめ以子の存在が、小さな光になりつつ有ります。

過日、毒姉同様の相手に、予期せぬ痛い目に遭わされた、
苦い思い出を反芻しました。

現実の存在は、洒落にも笑い話にも成り得ません。

姉との対決は2、3週やりそうですね。
後妻に義妹と外堀は埋めてきたけど本丸は遠く
来週はまた泣いている。

ヤフーはまた揚げ足取りの溜まり場になっていますが
物語としての根幹はしっかりしていると思いますね。

キャラでいえば、ツッコミ&フォローの通天閣も
再開した源太のキャラも糸子に比べて弱いめ以子
とのバランスはちゃんと考えられている。

後、東京編は当時の男尊女卑社会に対して
「カーネーション」とは別の切り口から
アプローチしていましたし今週の
め以子と並行して職場の通天閣を描いているのは
当時の女性にとって、他家に嫁いで台所を
任さされるのは男が社会に出るのと同じぐらいの
プライオリティがあった事を示しているように思えるのです。

「カーネーション」は女性の社会進出を描く一方、
「女が家庭で果たしていた役割を軽く見ていないか?」
「女に丸投げしているようにみえて男が負っていた役割を見落としていないか?」
という問いかけが糸子や優子を通じてなされていましたが、
前半の善作や千代さんと比べながら読み解かないといけない。
それを、もっとデフォルメして描いているように思います。

M NOM様
コメント下さり、ありがとうございます。

通天閣(まだ名前覚えらんない…笑)と引越しのサカイサンが急に仲が良くなった、というのも、ドラマを注意深く見ていないと分からない話のような気がします。 しかもそれが、注意深く見ていても、少々分かりにくい。 でもちゃんと見てれば分かる(笑)。

どうも先週までの単純な動きに惑わされて、大阪編に入って急に話が深化しだしたのに、ちょっと戸惑いもあります。 なにしろ小姑の嫁いびりはかなりシビア。 それに対してめ以子のほうは、常識がない、という括りで表現いたしましたが、当時のつつましやかな女性という範疇からは多少逸脱している、あまり旧習の縛りなどに頓着しない現代的な思考を持っている。 「も~やだ、私帰る!」 と簡単になってしまうのも当然であって。

現実にこういう小姑みたいなのがいたら、私だったらどうするのかな。 裏工作して自分の味方を増やしていって、そいつの外堀から埋めていって、あくまでそいつに対しては慇懃に対処する、つーか(笑)。

私も性格悪いですね(笑)。

巨炎様
コメント下さり、ありがとうございます。

どうもヤフーの感想欄に対する反駁みたいなものがモチベーションになって、このレビューを書いてしまいまして(笑)。 あそこを読んでなかったらこの記事はなかったな…。

つまりもともと、見ていてそんなにレビューを書きたくなるような内容の朝ドラではないんですよ。 ところどころ説明がちょっとばかり雑だし(カットされてんのかな)、私も今回、1週間分をまとめて見る、という視聴方法にしてないので、かろうじて見てられているような気もする。

でもそんなにクサすような内容ではないと思います。
きちんと見ていればそれなりに内容も伴っているドラマだと思う。 主人公が何でもかんでも正義、というメガネで見てしまうから、め以子のドヤ顔のコンブ講義にもヤフーの住人達は反感を持ってしまうんでしょう(笑)。

今週義理の妹さんがつぶやいた 「ごちそうさん」 は、今までの 「ごちそうさん」 のセリフのなかではいちばん違和感なく感じられた気はいたします。

いっぽう源太の再登場には、白状すると少々しらけました(ハハ…)。 えりぃの店に誠がやってくる偶然とはかなり趣が違う(「ちゅらさん」 を並行して見てるのでヘンなたとえ話をしてしまいスミマセン…笑)。 ここで幼なじみを出してくる意味が、架空のお話としては少々弱い。

まあ、意味なんてないのが人生ですけど(ハハ…)。

でも、小姑対決の次にはなにが控えているのか、を想像すると、ドラマとしての吸引力は、あるかもしれません。 おそらく焼け野原で炊き出しをするめ以子に、物語は向かっていくでしょうから。

リウ様
おはようございます。

「ちりとてちん」とセットで観ていると、キムラ緑子さんの演技のふり幅の大きさに、ただただ圧倒されるばかりです。
何か、昭和40~50年代の、花登筺さん原作のドラマを観ているようです。かなり昔のドラマですが、「細うで繁盛記」とか、ご覧になったことありますか?
あのドラマでは、新珠三千代さんが、大阪の料亭のお嬢さんで、伊豆の訳ありの温泉旅館に嫁いできました。その、世間知らずのこいさんをイビリ倒すのが富士真奈美さんでね~、「加代(新珠さんの役名)、おみゃ~のすきなようにはさせね~ずらよ」という憎まれ口は強烈でした。

で、「ごちそうさん」ですが、こういう絵に描いたような「耐え忍ぶヒロイン」的ドラマの中心にいるのが、非常識で大喰らいのめ以子というのが、新鮮に思えます。実際、このキャラのおかげで、相当に救われているところもあると思うんですよ。
あの、床にぶちまけたメンチカツを食べる場面でも、新珠三千代さんのような儚げな美女にやられた日には悲惨極まりないのですが、杏ちゃん、というかめ以子だと、もしかして、途中から本気でおいしく食べているんじゃないかと、思わせるようなところがある。あれ?、私、もしかして杏ちゃんにエライ失礼なこと書いてしまいましたか?
ま・・まあ、あくまでドラマのキャラということで、その仕込み期間としての東京編だったのなら、あのお花畑な展開もありだなと思うのですよ。

歴史イベントも、これから色々起こるはずですから、その中で、鋼鉄の胃袋を持つ女のめ以子ちゃんが周りにどんな「ごちそうさん」を言わせていくのか、単純に見守っていきたいですね。

それに、花登筺ド根性ドラマのパターンなら、あの小姑は結局主人公側につくはずですし(笑)。

組合長キター!

やっぱり根岸お母さんのキャスティングにも意味があるのだな。敢えて主人公のスタート地点を東京温室育ちに設定したのは「カーネーション」では細部の映像演出で表現していた大阪の文化(本作は主に食ですが)や風習をドラマの中心に持ってくるため。地元出身の庶民じゃ、こうはいきません。(あれ、「夫婦善哉」と同じセットのシーンが?)

後妻は、め以子の努力を認め…というか、め以子がダウンしたら皺寄せがくるという打算もあるのでしょうが中立スタンス。源ちゃんを中心に商店街を味方に付けたり足場固めと外堀の埋まりは順調。

先週は通天閣の職場を並行して描きましたが今週は義妹というのも何かしらの意味があるかな?

Zai-Chen様
コメント下さり、ありがとうございます。

「ごちそうさん」「ちりとてちん」「ちゅらさん」 の 「ん」 で終わる朝ドラ3連発で録画しまくっていたためにHDD容量があっという間になくなり(笑)、「ちりとてちん」 は容量不足で録画できず、実はこの朝ドラだけ、リタイアしてしまっています。 そう言えばキムラ緑子サン、「ちりとて」 にも出てましたよね。 私はこの人、姑的な意地悪な役をやらしたらすごいだろうな~、と前から思っていたんですが、今回はもう、夢のなかに出てきそうなくらい、トラウマになりそうなくらいのキョーレツな小姑役で(笑)。

「細うで繁盛記」 ですが、私は見てなかったですねー。 花登筐サンのドラマと言えば、「どてらい男(ヤツ)」 を、両親が見ているそばでなんとなく見ていた記憶だけはございます。 まだまだガキンチョでしたよ~。

今週の 「ごちそうさん」 は、まだ火曜日分までしか見てないのですが、なんだか話がきちんとしてきたな~、という印象がございます。 西門家の家庭事情もかなり考えまくった痕跡があるし、経済的なやりくりとかもきちんと説明されている。 行き当たりばったりな説明じゃここまで説得力は生まれないと感じます。 これは東京編で、開明軒の経済事情が細かく描写されなかったのとは大きな違いのように感じます。

ここで近藤正臣サンが、超節約台所術の達人として登場(登場、したところまでは見た…笑)。 ひょっとしたら、このドラマ、この先大化けしてくるような予感すらしてきました。

巨炎様
コメント下さり、ありがとうございます。

先の 「八重」 のコメントのときは半分悪酔いのような返信をしてしまって申し訳なかったです(あれがよければ今後も突っ走ります…笑)。

「初物食い」 という江戸文化の否定と、西門家の経済問題を絡めたあたりでは、その構成には少々舌を巻きました。 源太もこうなると頼もしい(笑)。

やっぱり 「ものを食らう物語」 としてはここらへんの文化論にまで切り込まないと、見ている側も満腹になりませんよね。

株とかガス導入を宣伝協力の名目で無料とか
現代チックな事をやって、この辺はアバウト。
ただ、この辺りは現代人の視聴者を作品に
馴染ませるための意図的な部分っぽいですね。

一番、やってはいけないのは食費の経済観念無視で
め以子が東京の洋食を家族に振舞って
そのまま嫁として受け入れられるマンセー展開。
台所の知恵について色々、やっとります。

次週は源ちゃん対通天閣?
通天閣も出会った頃はツッコミ役で活躍しましたが
最近は夫婦になった事で逆に壁をつくってしまってるかも…。
良き旦那になるべく源ちゃんが壁になるのか?
つーか、源ちゃんは結構、女に持てているようですが、
身を固める展開があるのかは不明。

巨炎様
コメント下さり、ありがとうございます。

巨炎様の今回のコメント知らないまま、新しいレビュー書いてしまいました(ハハ…)。 まあある程度、巨炎様のコメントに対して私なりの考えを書いたような結果にはなっております(笑)。

ガスの無料導入については、そんなに深く考えなかったかな~。 そう言われてみれば、なんとなく現代チックな解決の仕方なような気もいたしますね。

このドラマがやろうとしているのは、「これでいいのだ」 的な模範を示そうとしているところではない気がします。 今のところあまりうまくいってないように思えますが、食材を中心にしたキッチン・オペラなのではないか、という気がする。

あ、そのつもりで新しいレビューの題名に 「キッチン・オペラ」 って書いたのに、その理由書いてなかった(笑)。 これから書き足そう(笑)。

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  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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