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2014年1月 8日 (水)

「軍師官兵衛」 第1回 正攻法な、あまりに正攻法な…

 豊臣秀吉の軍師として活躍した、のちの黒田如水、黒田官兵衛が主役である今年(2014年)の大河ドラマ。
 第1回を見た印象を申し上げると、「大河ドラマとしてこれ以上ないほどの正攻法」、ということになりましょうか。

 この作品の作者である前川洋一サン、この人の書いたドラマで私が以前見ているのは、竹野内豊版の 「人間の証明」(2004年フジテレビ)、「陽だまりの樹」(2012年NHKBSプレミアム)。 その2本に共通しているのは、どちらも奇を衒わない、誠実な作りだったという印象です。 今回もその特徴が色濃い気がします。

 こうした正攻法を旨とする脚本、というのは、裏を返せば 「面白みに欠ける」、という欠点も併せ持っている。 話題性に乏しく、華がない。 特に 「陽だまりの樹」 を見ているときに、どうにも退屈な場面があったような記憶があります。 良くも悪くも、「NHKBS時代劇」 の枠を超えていなかった、というか。

 ふつう大河ドラマともなると、第1回では大盤振る舞いで、「寄ってらっしゃい見てらっしゃい」 というサービス精神旺盛なものが多い。 だけども今年の大河は、竹中直人サンが18年ぶりに同じ大河でもって秀吉を演じる、ということくらい。 それ以外は淡々とドラマは進行し、堅実な作りに終始していた気がします。

 その竹中サンですが、まあ官兵衛との年齢差とか考えるとかなり無理のあるキャスティングなんですけど、秀吉って 「猿」 というあだ名が有名なくらい、顔がサルみたいにシワクチャだった?みたいに考えると、その違和感も払拭されるかな~(笑)などと思われます。 20歳だか岡田准一クンと年が離れてない、と思えばいい(笑)。
 興味深いのは、大河って同じ人物でも、作品が変わると解釈の仕方が違って別のキャラになることが多いんですけど、第1回を見る限りでは、18年前の 「秀吉」 と変わんない感覚である、ということ。 おそらく今回の大河では、黒田官兵衛を頭の切れすぎる奴、として警戒した、という秀吉のキャラになっていくのでしょうけどね、この先は。

 そしてその、当の黒田官兵衛。

 秀吉の軍師、というわりには、これまでの大河ドラマであまり印象的ではないスタンスで扱われることが多かった気がします。 直近のものでは 「江~姫たちの戦国」 での柴俊夫サン。 確かにいたな、つーか、あのドラマはまあ…ゴニョゴニョ(なんなんだ)。

 比較的印象に残っているのは、2006年 「功名が辻」 で斉藤洋介サンが演じた官兵衛。 このときは同じ軍師の竹中半兵衛が、主役の千代(仲間由紀恵サン)と恋仲だったみたいな設定で、筒井道隆サンが演じていたのですが、このとき官兵衛とライバル関係だったかなァ?くらいの認識しかない。 却って如水になってからのタヌキぶりのほうが印象に残っている感じかな。

 18年前の 「秀吉」 で官兵衛を演じたのは伊武雅刀サン。 …うーん…。 記憶にないぞ…(笑)。 こちらもどちらかというと、竹中半兵衛を演じた古谷一行サンのほうがよほど印象に残っている、というか。

 だからなんというのかな、大河を通じて私が黒田官兵衛に持っているイメージというのは、「結構秀吉に疎まれていた?」(笑)みたいな、権謀術数の持ち主、みたいな?(ハハ…)。 いずれにしてもあまりいいイメージがない感じ。

 それがですよ、今回第1回の冒頭から北条に対してただひとりネゴシエイトにやってきて 「命を粗末になさるな!」 などとヒューマニズムたっぷりでブチ上げ敵陣の真っただ中に飛び込んでいく岡田官兵衛は、なんつーか 「コイツ主役じゃん」 みたいな意外性があって(いや主役なんだがね…笑)。

 そして、冒頭から一気に時代はさかのぼり、少年時代の官兵衛(幼名は万吉)が描写されていきます。
 万吉はかなり膀胱が弱くていらっしゃるようで(笑)要するに 「ションベンたれ」(笑)。 跡取りとしての覚悟なんぞさらさらなく、幼女とデレデレしているようなフヌケで(ちゃうっての…笑)。
 振り回されるのは守役の、琥珀のベンさん…じゃなかった塩見三省サン。 「あまちゃん」 人事発令か(笑)。 ただ、ほかにもピエール瀧サンとか吹越サンとかいるけど、あまり 「あまちゃん」 推しは見られないかな。
 ベンさんは(ちゃうちゃう)万吉がいなくなるたびに 「若~!若~!」 と探しまくるのですが、それがあながち 「バカー!バカー!」 と鬱憤を晴らしているように見えなくもない(笑)。

 同時に黒田家の置かれている状況というものが、巧みに描かれていくのですが、ここらへんの語り口は見事。 親分さんが小寺氏で、片岡鶴太郎サンが演じているのですが、「仁義なき戦い」 の金子信雄サンをモデルにした、というその親分さん。 鼻は赤いし演じ方にかなりのクセをつけている感覚ですね(ワタシャその映画見たことないんですが)。

 こういう、ちょっと良識をはみ出したような役作りというのは、ここ数年の大河では 「江」 で秀吉を演じた岸谷五朗サンなんかがおりましたが、なんとなく久しぶりに見る気がします。 クセがあると、結構賛否両論湧きあがるんだよな(笑)。 私はいいと思いますよ。 マヌケなようなフリして、その実抜け目ない、という人物が物語に出てくると、結構話が引き締まる。

 黒田家はこの小寺氏から小寺の姓を賜っていて、小寺氏にひとかたならぬ恩がある。 でも親分さんはなんだか鼻もちならない人物。 だから官兵衛の父親役である柴田恭平サンが、小寺氏の外様の家臣として微妙な位置関係にあることがよく伝わってくる。
 同時に小寺氏と敵対関係にある赤松氏からは、柴田恭平サンに対して再三のヘッドハンティングの誘いが。 柴田サンは潔癖で厳格な人間だからそれには全く応じない。

 そんな折、万吉は病弱の母親、戸田菜穂サンの病を治そうとその赤松家領地に入って捕まってしまいます。 柴田サンはこのとき、単身、敵の懐に飛び込んでいくわけですが、これも冒頭での、北条にひとりネゴシエイトに向かった後年の官兵衛にきちんとつながっている。
 助け出された万吉は、戸田菜穂サンから 「お前の軽はずみな行動で人の命が危険に晒されるのです」 ということを、厳しく学びます。 結局母親はほどなくして亡くなってしまうのですが、それを機に万吉も後継ぎとしての自覚を育んでいく。 ここらへんの描写も、実に堅実ですね。

 さらに小寺氏内部の謀略を知ることで、軍師としての素質も頭角を現し始める。 バカ息子でオヤジからなじられっぱなしだった万吉が初めて父親から褒められる、というその発端。
 ここらへんのビルドゥングスぶりは、たしかに使い古された感覚はある。
 けれども、きちんと 「黒田官兵衛はどうして黒田官兵衛になっていったのか」 を描こうとする作り手の姿勢には、やはり好感が持てるのです。

 小寺氏のことを中心として回っていくこの段階での物語は、確かに今まで見たことがないので、結構新鮮です。
 ただしこれからは、戦国大河ではもう幾度も繰り返されてきた、織田・豊臣・徳川の話の渦に巻き込まれていくはず。
 これを、いままでの 「印象がかなり薄い、イメージが比較的いいほうではない」 黒田官兵衛、という視点からどのように脱却して描かれていくのかを見るのは、楽しみであります。

 まあ、「江」 みたいにならなきゃなんでもいーんだけど(笑)。

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コメント

鶴ちゃんの赤鼻の小寺さん。でも全然意外性ないです。太平記の北条高時に比べたら!多分、北条の半分以下の脱力演技です。(笑)鶴ちゃんも役者になったんだあ(笑)

それよりか、柴田恭兵さんがやつれ具合が気になって!岡田くんに変わってやっと釣り合いが取れてきました。他にもしぶ〜い役者さんが脇を固めてますので、視聴率は低空飛行でもしぶとく横ばいでいくかも。

リウ様、お忙しい中、レビューして下さってありがとうございました。

投稿: ささ | 2014年1月 8日 (水) 14時11分

リウ様
こんばんは。

第1回目を見た限りでは、可もなく不可もなくと言ったところでしょうか?

前川洋一さんは、私としては、WOWOWのドラマの脚本を手がけられている印象が強いですね。特に、「下町ロケット」や「空飛ぶタイヤ」など、「半沢直樹」の池井戸潤さん原作のもの。主人公は、あくまでも誠実で真っ直ぐ。組織内外のイヤな奴の妨害にも敢然と立ち向かい、最後は必ず正義は勝つ!の、ような。まあ、「半沢直樹」自体が、WOWOWドラマの外連味大増量版みたいなものですが。

キャストも、柴田さん、江口さん、戸田さん等、升毅さん等はそちらの方でもお見かけしましたし、全体に漂うドラマづくりへの生真面目さに、共通のものを感じさせます。

そんな中だからこそ、鶴ちゃん演じる山守の親分・・・じゃなくて小寺の殿様のキャラは立っていますね。仁義なき戦いのパターンで行くならば、一見バカ殿に見せかけて、実は家来の手柄をしたたかに美味しいところどりしていくのでしょうか?

ただ、懸念していたアイドルドラマ化はしそうなりそうじゃないので、その点はホッとしています。まあ、岡田君自体、もはや「ジャニーズアイドル」という枠では括れない役者になっていますもんね。また、今回の演出チーフは「カーネーション」の田中健二さんというのも期待ポイントです。

投稿: Zai-Chen | 2014年1月 8日 (水) 21時27分

ささ様
コメント下さり、ありがとうございます。

こういう堅実な作りのドラマでは、鶴太郎サンみたいなのがいないと飽きられちゃうような気はいたしますね。

私はこの大河、内野聖陽サンが山本勘助を演じた、「風林火山」 にスタンスが似ている、と踏みました。 地味で視聴率が取れませんでしたけどね、あちらも(笑)。 でも評価は高い。 まあ往年の大河と比べれば 「風林火山」 も大したことない出来だとは思いますが(「風林火山」 ファンを敵に回してます)。

ネットによると、「岡田准一クンが黒田官兵衛なんて、カッコよすぎる」 という歴女のかたの批判もあるようですね。 私は冒頭のシーンを見ていて、「なんか若かりし頃の岡田真澄サンに似てるな」 とか(笑)。 同じ岡田だし、息子じゃないよな、と思ってウィキで調べましたけど、違うようです(笑)。

投稿: リウ | 2014年1月 9日 (木) 11時42分

Zai-Chen様
コメント下さり、ありがとうございます。

どうも事前に勉強したところによると、小寺というのはこの先、官兵衛を裏切るようですね。 裏切りに次ぐ裏切り、がこのドラマのひとつの見せ場だとすれば、これは結構面白くなるのではないか、という気がいたしますね。

なにしろ自分も、やはり社会に出ていろんな人に裏切られましたから(裏切ったことも、自覚はないけどたぶんあると思います)。 まあその動機の大部分はカネ、ですけどね(笑)。 カネの切れ目は縁の切れ目、とはよく言ったものです。

岡田クンの出演作品って、私たぶん見たことないんですよ。 だから今回はじめて。

でも第1回、チラッと出てきたのを見ただけだから、まだどうにも評価のしようがございません。

思ったのは、あのションベンたれが元服したらいきなり立派だよなぁ、ということで(笑)。

子役の男の子もカッコよかったけれど、いかんせんションベンたれだから(笑)。

まあ、子役が騒がれるのは一時ですから。 世の中シビアです。

それより相手役の女の子がかわいかったな(ロリコンか)。
次回は南沢奈央サンとして出てくるようですが、この子も可愛いですよね(これじゃヘンタイオヤジだ…笑)。

投稿: リウ | 2014年1月 9日 (木) 11時55分

山本勘助の風林火山は、ほとんど見ていません。(笑)軍師は三国志の諸葛孔明が好きなので。

内野さんは、蝉しぐれのイメージなんですよ。私は。豪気な内野さんはあまり好きじゃなくて。(笑)繊細な内野さんが好きです。

岡田くんはSPで随分、身体を鍛えたそうで。だから、身のこなしとかは、期待できると思います。一応ジャニーズなんで、歌って踊れるし。それが演技にプラスか邪魔かは、別だけど。

ハンサム過ぎる官兵衛(笑)龍馬伝の龍馬ほどじゃないから大丈夫。(笑)汚いとまた、兵庫県知事からクレームくるし!(笑)

堅実でも、これから、実に面白い大河になる事を期待してます。去年の草笛さんより、藤村志保さんの語り、いいと思うんですが。(笑)私も、年寄り(笑)かしらん。

投稿: ささ | 2014年1月 9日 (木) 20時59分

ささ様
コメント下さり、ありがとうございます。 どうにも自分、返信が間延びしちゃってますね。 なんかもう、最近どうもくたびれちゃって、老化をひしひしと感じております。

とイーワケをしたところで(笑)。

諸葛孔明と比較したらみんな撃沈するつーか(笑)。 私も森本レオサンの諸葛孔明にはシビレたクチですから。

内野サンって、私 「風林火山」 を見た時が初見だったんですよ。 こんな役者がいるとはまったく知らなかった(笑)。 なんなんだ、オレの知らないヤツが大河の主役だぞ、これってどーなってんだ?みたいな。

ですから内野サンの演技というのはほとんど豪快なミフネばりのヤツばっかりで(笑)。 例外は、数年前に上戸彩サンと共演した、「10年後も君に恋して」。 冴えない科学者の役をやってましたけど、こういうソフトな役も出来るんだ、と意外でした。 結構傑作だったですね(当ブログにレビューあり、これは宣伝…笑)。

なんつーか、もう視聴率とか評価とか気にせずに、渋~い大河を貫いていただきたいですね、今回は。

投稿: リウ | 2014年1月11日 (土) 11時31分

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新しい大河ドラマが始まった。今年は気楽に見られるか、どうか。 公式サイト http://www1.nhk.or.jp/kanbe/story/story01.html 出演 若山耀人(黒田(小寺)万吉、幼少期) 岡田准一(黒田(小寺)官兵衛、元服後) 柴田恭兵(黒田(小寺)職隆、官兵衛の父) 竜雷太(黒田... [続きを読む]

受信: 2014年1月18日 (土) 01時35分

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