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2014年9月14日 (日)

「妻は、くノ一~最終章~」 最終回まで見て

 かなり遅れましたが、去る5月から6月にかけてNHKBSで放送されていた、このドラマの感想文を書きます。

 朝ドラに出たヒロインは、それが秀作であれ、駄作であれ、その後を応援したくなる。 これは、NHKの朝の連続テレビ小説をこのブログが始まってから、毎作フォローするようになった私の偽らざる思いです。
 それは途中リタイアした作品についてもあてはまる。 正直に打ち明けると、今回の 「妻は、くノ一」 に出ていた瀧本美織サンが朝ドラに主演していた 「てっぱん」 は、リタイアしていました。 まあ、ただ単に、見ている暇がなかったのですが。

 去年放送された 「妻は、くノ一」 では、その彼女が忍びの役として登場し、相手役に市川染五郎サンが配された。 立場的には染五郎サンが主役のドラマですけどね。
 その染五郎サンが演じるこの物語の主人公は、気が弱くて天文学好きな学者タイプで、およそ時代劇の主人公としては似つかわしくないインパクトの弱い主人公であり。
 でも、その主人公が、忍びとして遣わされた瀧本美織チャン演じるこの 「いつわりの妻」 に心底惚れて、さまざまな障害をいかにも頼りなげではあるが、乗り越えていく。
 「てっぱん」 の 「あかり」(美織チャン) を見守ってきた茶の間の父親(笑)にも、「この男なら亭主にしてもOK」 とゴーサインが出る男なのでした。

 物語的に言えば平戸藩藩主・松浦静山という実在の人物を、海外進出を実行に移そうとする進取の気風を兼ね備えた軸として配し(演じたのは田中泯サン)、それを阻もうとするお庭番(要するに忍び、隠密)との綱引きを見せながら、その外周でこの話を展開させた。 その構造的な面白さが、このドラマの生命線である、と言えます。

 こうした、朝ドラヒロインを守りたい層と、「時代劇にしてはちょっと毛色が変わっている」 という興味とが折り重なって、このドラマは支持を得、続編も作られたのでしょうが、正直言って 「最終章」 というサブタイトルを最初に知ったときには、ちょっと肩透かしを食らった気分でした。 しかも全5回。 前作が8回もあったし、しかも原作も結構長編ぽい。 なのに5回で全部終わらせちゃうのかよ、というガッカリはありました。
 原作ではアメリカにわたって云々という話みたいだから、おそらく日本を脱出するまでしかやらんだろうし。 果たしてその読みは当たったのですが、こうして5回を見終わってみると、やはり物足りないというか、続編が見たくなるというか(笑)。 いや~、やらんだろう(笑)。 アメリカロケしなきゃならんし(笑)。 いや、「山河燃ゆ」 でも染五郎サンのお父上である松本幸四郎サン(当時の染五郎)が頑張っていたことだし(笑)。 日本でだって、やろうと思えばできるさ!(笑)

 で、この 「最終章」 を見始めてすぐに感じたのは、「どうも話がまどろっこしい」、ということでした。 これじゃ5回にする必要もないんじゃないか、という。
 特に話のスピード感と面白さが失われた最大の要因が、雙星彦馬(染五郎サン)の名目上の 「年上の弟」 である雁二郎(梶原善サン)が、早々に織江(美織チャン)を狙う暗殺者に殺されてしまったことだと感じる。

 この雁二郎という男、かなりとぼけた人物で、彦馬に対して慇懃無礼な物言いをするコメディの部分を受け持っていただけでなく、その実静山の忍びの者で、とても頼りがいのある人物だったのです。
 その彼がドラマ序盤でいなくなってしまった、ということは、ドラマをスピーディーに進める駒がいなくなってしまった、ということ。
 離れ離れになってしまったままの彦馬と織江を結び付ける要員がいなくなり、ドラマはいきおい、減速を始めます。 静山の娘である静湖(マイコサン)とか、雁二郎を殺った刺客に殺されかけた織江の命を救う魚売りのつる(松尾れい子サン)とか、前作との差別化を図ろうとして登場した人たちの話が、見ていてかったるいんですよ。
 これは前作において、女隠密の関係が、忍者の話だけあってスピーディーであり、命のやりとりをしていた緊張感がドラマを思い切り引き締めていたことと、ちょっと対照的である。

 この空転を避けるために、織江はこの続編において、彦馬を常に監視しければならなくなります。 特に物語終盤に差し掛かると、静山の海外渡航計画は否応なく進行していくため、織江はほぼ彦馬につきっきり(笑)。
 けれどそれが、終盤にかけてのドラマの盛り上がりにおおいに寄与することになる。
 つるや静湖の存在も、彦馬と織江の大団円に向かって徐々に脇を締め、結果、薄っぺらな物語に堕してしまう危険性を排除した。

 特にマイコサン演じる静湖は三十路の行き遅れのお姫様キャラで、雁二郎の抜けた穴を途中から埋める埋める(笑)。 このゴーマンキャラの静湖がなんとも情けない彦馬に惚れてしまう、というのが面白かった。 そして彦馬の織江への思いを解し、織江が腹違いの妹であるということを知ったときの、このお姫様のなんとも頼もしいことよ。 どうも原作では、このお姫様のサイド・ストーリーが作られている模様。 続編やるなら、アメリカ編もいいけど、このお姫様が主役のそのお話でもいいな(笑)。

 この続編の面白さがどこに帰着するのか、というと、「タイムリミットを設けている点」 だったと感じます。
 なんのタイムリミットかというと、松浦静山主導のもとで拵えられた 「天竺丸」 という遠洋航海可能の船が、外洋に向けて出発する日。 「抜け忍」 という宿命を前作で背負わなければならなくなってしまった織江が、江戸幕府の法度に抵触せずにその生を全うするには、それ以上の禁を犯してこの国を脱出するしかない、というロジックです。
 これは性格的にいうと 「宇宙戦艦ヤマト」 の 「地球滅亡まであと○○日」 という面白さに通じるものだし、「エイリアン」 の第1作でノストロモ号爆発まであと何秒、というラストに向かう数分間のクライマックスに似たものを感じます(蛇足ですがあのフラッシュ攻撃は、ポケモンショックの走りだったよーな気がする…笑)。

 しかしながらいっぽうで残念だったように思うのは、「抜け忍」 という題材の面白さに、あまり展開が見られなかったこと。

 「抜け忍」 といいますと、私なんかの世代だとすぐ思い出す(もっと上の全共闘世代ならなおさら)、「カムイ外伝」 というかなりの傑作が存在しています。 これは分かる人には説明不要ですが、要するにカムイという忍者がその組織から抜けたために、「忍者をやめることとはすなわち死」 という忍者界の掟によって、追っ手の忍者たちとストレートに、あるいは虚々実々に、命のやりとりをするという、白土三平氏のマンガの金字塔であります。

 この、「抜け忍」 としての宿命が織江を追いこんでいくわけですが、これがようやく最終回になって、「浜路」 という織江の母親の友人(中島ひろ子サン)の自らの身の処しようによって、やっと面白いレベルに到達する。
 しかし 「カムイ外伝」 に心酔した私などは、却ってそれが災いして、「ひょっとして瀕死の織江を助けた魚売りのつるも、追い忍なのではないか?」 と勘ぐっちゃって(笑)。 あったんですよ、「カムイ外伝」 にも、「スガルの島」 という同じよーな話が(笑)。 確か松山ケンイチクンと小雪サンで映画化されて、それがきっかけで二人が結婚したとか(話がずれとるぞ、話が)。

 ともあれ、その最終回は、それまでのまったりとした話の流れが全部収束しつつ展開を早めていって、老いたパパス(松浦静山)が意外な強さを見せつけた末、大ボス、ラスボス、というテレビゲームみたいな盛り上がりを見せて(ラスボス、つまりラストのボスは言わずと知れた、川村様)、大団円へと向かっていくのです(うーんドラクエ的)。 やっぱり我慢して全部見なければ、この最終回のカタルシスは、得られないでしょう。 しっかし松浦静山、強いわ。 途中の回では大オーゲサ芝居もしたし(笑)。

 このドラマは殺陣も素晴らしかった。 まあ、ごまかすためではあるけれども、たいていが暗い画面の中で殺陣は展開するのですが、変なワイヤーアクションとか、興醒めする類のものは一切排除。 忍者も絡みますから、普通のチャンバラとは違うこともかなり冒険して出来るのに、これはすごいと思うのです。

 それにしてもホントに、回数が短いのがこれほど残念なシリーズもない気がします。 マイコサンの 「姫は、三十一」 やんないかな(笑)。

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テレビ」カテゴリの記事

コメント

こんばんわ。

毎回は観られませんでしたが、美織さんの忍者がかわいくて良かったですね。原作のほうは3巻くらいでリタイヤしていたのですがテレビのほうが面白く思いました。
民放の時代劇が不振なので、NHKに期待しています。
もっと長くみたい気もしますが、長くなるとアラが出るのかもしれませんし、余韻があるところでいいのかな。
はやぶさ新八は、テレビが先でその後本を読み始めました。続編・再放送でも観てみたいドラマでした。

ぽいぽい様
コメント下さり、ありがとうございます。

原作もお読みになってたんですね。 そーか、ドラマのほうが面白いのか(笑)。

このドラマが面白いのは、登場人物のキャラ分けがかなり成功している点にあるのではないか、という気がします。 みんなすごく魅力的で、もっといろいろ話を見たい、という気にさせるんですよ。 だからあっさり終わるのが、なんかとても惜しく感じる。

特に松浦静山。 元藩主であれだけのご老人というのに、刺客に 「強ぇえ…」 と言わせるほどの強さ。 しかも猿芝居がうまいし(幕府の役人も泣いてました…爆)。 田中珉サン、「龍馬伝」 の吉田東洋以上のハマり役でした。

リウ様

ご無沙汰してます。
9月の初旬に「るろうに剣心・京都大火編」を見に行きました。
御庭番衆の翁役として田中泯さん出てました。。伊勢谷友介との戦い場面は凄かったです。年齢を感じさせない田中泯さんのしなやかさに恐れ入った次第です。

14日に「るろうに剣心・伝説の最期編」を見に行こうと思ってたのですが、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」になっちゃいました。
これはこれで面白かったです。きっと続編が出ますね。

もちろん、「るろうに剣心・伝説の最期編」も必ず見るつもりです。佐藤健くん+福山さんですからね〜heart04

rabi様
お久しぶりです。 コメント下さり、ありがとうございます。

「るろ剣」 の映画って、なんか見てる人多いな(笑)。 テレビCMやってたのを見たけど、ブレイクダンスしとるがな…とかいう感想しかなかった(笑)。 原作も、最初のうちは面白かったけど…という記憶しかないです。 なんでこんなに人気が出てるのか…って、「ルパン三世」 の実写も予想外に入ってるらしいし、まあ世の中何が当たるか分かんないもんですね(笑)。

それはそうと、今期のドラマで最後まで見ちゃったのが、「同窓生」 だけというていたらく(笑)。

いや、「信長のシェフ」 とダブル録画でモードのいいほうで設定しちゃったもんだから(ためて見るドラマじゃないと思ったので)すぐ見なくちゃいけなくて(笑)。

…田渕久美子女史、相変わらずやってくれるなー、という、愛すべき 「ダメドラマ」 でした(笑)。

最後まで見たのが、「同窓生」sign03

なかなかですね〜。
私は3回目くらいでリタイア。

私が見てたのは「HERO」「ゼロの真実」。
「若者たち」「」おやじの背中」「55歳からのハローライフ」もそこそこ見てたかな。

「ゼロの真実」は大石静の脚本。「家族狩り」もダブルでしたが脚本に名を連ねていましたね。「家族狩り」も4回目くらいまでと最終回だけ見ました。結構、重い作品だったので、ちょっと見るのに疲れちゃったというか。。

次のクールは何がくるか。。
仲間由紀恵さんが結婚! の話題で「sakura」はどうなるかなぁ(でも月曜8時は厳しい時間帯ですよね)
綾瀬はるか、久々の竹野内豊、石原さとみ、綾野剛等々。 
でも、やっぱり「MOZU」は外せないですね。
「深夜食堂」も見てみたい気がしますけど。。
 視聴率的には「ドクターX」は確実でしょうね。

リウ様は、もうcheckされてますか?

rabi様
コメント下さり、ありがとうございます。

「MOZU」 はまだ、シーズン1を全部見てなくて(笑)。 春ドラマで全部見たのが、この 「妻は、くノ一」 と 「ファースト・クラス」「極悪がんぼ」 だけで、「がんぼ」 についてはレビュー書きかけで止まってる(笑)。

夏ドラマでチェックが進んでいるのは、「同窓生」 以外に気軽に見られた 「孤独のグルメシーズン4」 と 「アゲイン!!」。 「おやじの背中」 も 「HERO」 も 「あすなろ三三七拍子」 も、まだ第1回しか見てない(…)。

こうなるともう、ただ単に新作のドラマをレビューするためだけにブログを機能させているみたいで、甚だこのブログに期待してくださる方々には、申し訳ない限りなのであります。

そんな私が秋ドラマ、どれをチェックしているなんて、もうそれだけでおこがましいにもほどがあるのですが、とりあえずクドカンの 「ごめんね青春!」 は要チェックでしょうね。

あとはNHKBSの、「昨日のカレー、明日のパン」。
木皿泉サンって、個人的にはそんなに注目してないんですが。

「ファースト・クラス」 は深夜枠だったから気軽にトントン話が進んで面白かったんですが、たぶん女性どうしのドロドロをマジでやるとキツイ気がします。 「信長のシェフ」 もそうだったけど、時間帯の適性、というものがあるんだと思うんですよ。

その 「信長のシェフ」 の二番煎じみたいな 「信長協奏曲」(笑)。 とりあえずはチェックしてみます(笑)。

ずいぶん長いコメント返信になってしまいましたが、こういうのは新しい記事で書いたほうがよかったのかな~(笑)。

「ファースト・クラス」は途中から見始め、ちょこちょこ見ておりました。女の世界のドロドロ感が良く出てて、引き込まれちゃいましたね。
リウ様もご指摘のように、深夜帯から時間帯を移して上手くいくかどうか・・・

NHKBSの、「昨日のカレー、明日のパン」はノーチェックでした。coldsweats01

クドカンの日曜劇場も面白そうですね。

「信長・・」は小栗旬でしたっけ?
月9としては、ちょっと変わったラインのお話のようですが、今、のってる俳優さんですから、意外と面白い物になるかも?

ととと。。。。

ここじゃなくて、新しい記事であげた方がいいかもですね〜。
お待ちしてま〜す。notes


rabi様
コメント下さり、ありがとうございます。

おととしの暮れに入院してから、というものの、仕事が多忙になってきた、というのもあるのですが、ヤケにレビューを書く根気がなくなってきた気がするんですよ。
いきおい記事の件数が激減しているのですが、その事情も含めて、秋ドラマのことについてちょっとひと記事書きましょうかね。

前はもっと気軽にひょいひょい記事をアップしていた気がするんですけどね(笑)。

最近はひと記事書くのにも、もう1日がかりとか。

「花アン」 の記事も、アップいたしました。 「最後にしますかね」 は撤回です(笑)。 これも昨日から、ずーっと書いてた(寝ちゃ書き寝ちゃ書き)。

rabi様のリクエストには、近日中にお答えしたい、と存じます(期待しないでお待ち下さい…笑)。

まー私も前期の方が面白かったですかね。

前後併せて13話ですから本来は
1クール作品だったのがぶった切られたかも。
雁二郎を退場させて新たな敵の強さを強調したり
おっかさんが刺し違え覚悟で倒せなかった川村が
若い未熟者の二人にやられちゃったりで。

静湖サンだけが元は別作品の主人公なだけに
存在感を強烈に出してましたね。


>「カムイ外伝」
松山ケンイチクンと小雪サンで映画化
小林薫さんも出てました。
海の描写が多くて「平清盛」までの
ステップにも感じられますが内容は微妙。

巨炎様
コメント下さり、ありがとうございます。

川村様の見せ場が、今回あまりなかったのは面白さに影響した気はしますね。 却って松浦静山の猿芝居にしてやられちゃったりとか。 さすがにコメディキャラにはなりませんでしたが。

「カムイ外伝」 の映画は未見ですが、松山クンの変移抜刀霞斬りは 「チューボーですよ!」 で見ました(笑)。

蛇足ですが 「新チューボーですよ!」 に変わってから、全然見てないな(あれほどあの番組のへヴィーフォロワーだったのに)。 元に変えたほうが断然よろしい。

「カーネ」 の返信に関しては、もうちょっとお持ちくださいcoldsweats01(巨炎様、内容濃すぎ…笑)。

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    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

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    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

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    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
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  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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