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2015年1月15日 (木)

「○○妻」「残念な夫。」 第1回 一見同じ土俵の同時間帯ドラマ、でも実は…

 かたや日テレの 「○○妻」 は完璧な妻(柴咲コウサン)。 かたやフジテレビの 「残念な夫」 はダメな夫(玉木宏サン)。 題名とさわりの設定だけ見ると、夫婦生活というものに題材を求めた、同じ土俵のドラマのように思えます。 しかも放送時間がガチで同じ。 「妻」「夫。」 対決か、と思ったんですが、フタを開けてみるとその中身は全く違うものでした。

 「○○妻」 のほうは脚本が遊川和彦サン。 この人を当ブログでは 「壊し屋」 と呼んでおりますが(笑)、なにしろ当初の設定をぶち壊すのが大好きで(笑)ぶち壊すことでものごとの本質を追究していく、という手法をよく採用する。
 その手法がいちばん当たったのが同じ日テレで数年前大ブレイクした 「家政婦のミタ」 でした。 今回の 「○○妻」、第1回を見る限り、非常に正直に言ってしまえば、「ミタ」 の二番煎じという印象。 柴咲コウサンは 「夫」 の東山紀之サンのために、ほぼパーペキな 「妻」 を演じている。 いてほしい時に後ろを振り向けば音もなくそこにいる(笑)。 ミッションコンプリートすると(笑)どこからか鐘がゴ~ン(笑)。 笑える。 「家政婦」 松島菜々子の再来だ(笑)。

 遊川脚本にもうひとつ共通しているキーワードは、「人間不信」 でしょうか。 ものごとの本質を追究していくから、人間の表面を飾り立てている見栄であるとか嘘みたいなものを、ハンマーでガンガン叩いてぶち壊し、そこに潜む本音というものを暴き出していくのです。
 そしてパンドラの筐の奥底に、かすかに光り輝いている 「良心」 みたいなものを表現することに、かつては長けていた気がするんですが、なんか最近その手法にも飽きたのか(笑)完膚なきまでに救いようがないストーリーを考え出すようになった気がする(笑)。

 その代表例がNHK朝ドラの 「純と愛」 だったんじゃないのかな(あまりに救いようがない展開なのでつらくて最後まで見てないんですが)。
 これ、遊川脚本と朝ドラの視聴者層が、文字どおり 「最悪の相性だった」 という証明になっちゃった気がするんですが(笑)、朝ドラの視聴者層って、人間の本性なんて見たかないんですよはっきり言って(笑)。 つーか、人間の本性はそうかもしれないけれど、それをどうやってリカバリーしていくかのほうに重点が置かれてないと、離れて行っちゃうんですよ、朝ドラの視聴者層というのは。 遊川サンって、最後の最後までぶち壊しまくり、最後まで解決させませんからね(笑)。

 今回の 「○○妻」 でも、ヒガシクンのお母さんの面倒を誰が見るか、という時に姉弟揃って見苦しい押し付け合いをしたりする場面にその傾向が顕著に出ていたのですが、私がもっと 「ユカワの絶望」 を感じたのは、筆を折っている著名な作家がニュースキャスターであるヒガシクンのインタビューで語っていた言葉でした。
 いくら一生懸命世の中に対して啓蒙しても無駄だと悟った、とかいう意味の言葉をその作家は語っていたのですが、ヒガシクンはニュースキャスターとしてその絶望に敢然と異を唱えるのだけれど、それがとても虚しく聞こえるような方向に、遊川サンはストーリーを構築している。
 そしてその作家をテレビ出演させた柴咲サンの手段が、どうも強迫的なものだったようだ。 はたしてその作家は、ヒガシクンが熱を込めて語ったジャーナリストとしての気概を目の当たりに見ながらも、それに感心したふうでもなく、不機嫌な表情のまま、テレビ局の楽屋を後にするのです。

 そして第1回の終盤、このヒガシクンと柴咲サンの夫婦生活が、実は入籍を伴ったものではなく、3年ごとの契約によって成立していたことが明らかになる。

 このドラマはですから、「夫婦生活」 というカテゴリには属さない、人間の本性に迫ろうとしている 「ユカワパターン」 の展開形(「ミタ風」 )、ということになりましょうか。

 かたや、「残念な夫。」

 ドラマのパターンからいくと、「○○妻」 も 「残念な夫。」 も、コメディが入ってる、という気はします。
 ただ 「○○妻」 は溜めて出すタイプ(笑)。 「残念な夫。」 は連弾タイプ(笑)。 早送りも駆使され、かなりポンポンとスピード感のあるセリフの応酬があります。 正直字幕が所々おっついてなかったな(笑)。

 「残念な夫。」 というからには玉木サンが残念なのでしょうが、実は妻のほうの倉科カナチャンも結構残念が入っていたりする。
 夫婦揃って残念に見えるのは、どちらも 「自分はこれだけのことをやっている」 という被害者意識で相手のことを見ているからで、あえて遊川サン流に喝破すると、「どちらも自分の人生がいちばん大事であるがゆえに、自分以外の立場に立って考えられないんだ」、ということになりましょうか。

 それまで理想的な夫婦だったのが、子供が出来てから様相ががらりと変わってしまった、というのがこのドラマ。
 確かに子供ひとり育てるのには何千万もかかるようなご時世であり、そのためには自分の趣味や自分の時間をある程度子供に捧げなければならない。 自己犠牲を強いられなければなりません。
 今はパソコンだのスマホだのなんだのかんだのと、人ひとりが何かを楽しもうとすると、それだけで人生終わっちゃうくらいの楽しみにあふれています。 これは2、30年前から比べると、確かに雲泥の差だと思う。
 その結果、子供を育てる、ということに昔よりもずっと 「自己犠牲」 がついてまわっちゃってる気がするんですよ。

 子育てというのは我慢の連続ですから、それを夫婦で分かち合っていかなければならない、というのは当たり前に思えるのですが、社会的なシステムはずっと旧態依然のまま。 どうやって自分の子供に愛情を注ぎながら、世の中にあふれかえり膨れ上がっている 「この世の楽しみ」 を享受できるのか。
 このドラマがそこまで見据えているかどうかは分かりませんが、やはり主演の玉木サンは 「のだめカンタービレ」 に出ていただけのことはある。 この人のコメディセンスに引っ張られてドラマが展開すれば、面白いものになりそうな気は、いたします。

 かくてタイプのまったく異なったふたつのドラマではありますが、やはりドラマというのは人間の本質を見つめ直す性質を帯びていますから、究極的には同じ、と言ってもいいのかもしれません。

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コメント

リウ様

レビューupありがとうございました。
「○○妻」観ましたよ〜。
確かに、「家政婦のミタ」の2番煎じ的な感じアリアリでしたね〜。
「ユカワの絶望」・・キャスターである東くんと作家のくだりは、ユカワさんの思いが詰まってる部分だったように思いました。

ユカワ作品は今後、どう展開するかはわからないですけど、自分が、ずっと見続けるかどうかもわかんないですね〜。

昨夜の「問題のあるレストラン」。
それから「ゴーストライター」は次回も観ると思います。

「問題のあるレストラン」は、男性社会にたいして挑戦する女性たちのドラマ。
安田顕さんのゲイが、はまってましたね。
他の女性陣もなかなかユニークな人が多かったです。藤村役で出ていた菊池亜希子さんって全然知らなかったですけど、今後が楽しみです。
坂元脚本はどう展開していくのでしょうか?

今夜は『ウロボロス』くらいは見るかもです。
リウ様は、『アイアングランマ』ご覧になりましたか?

投稿: rabi | 2015年1月16日 (金) 17時43分

rabi様
コメント下さり、ありがとうございます。

「アイアングランマ」 と 「問題のあるレストラン」 は本日見る予定です。 レビューに至るかどうかは不明(笑)。

先週から始まった冬ドラマの中で、「銭の戦争」 とこのレビューの2本、計3本が今のところ琴線にかかっております。 あとは全滅でしょうか今のところ(笑)。 最近ますます堪え性がなくなって、5分見てダメだと思ったら即消去してます(笑)。

「ゴーストライター」 はどうしてもサムラゴーチを思い出してダメでした(笑)。

「お兄ちゃん、ガチャ」 も 「まっしろ」 も 「なんとかかんとか」(初代なっちゃんが出てる2本、題名忘れた…笑)も、5分でリタイアです。

…、と、この先いろいろ過激なことを書いていったんアップしたんですが、ちょっと酔っ払って気分が大きくなっていたので、50分余りで消しました(ハハ)。

とりあえず、5分でつかみはOK!というドラマを見せてほしいです。 こっちもヒマじゃないんで(笑)。 1時間もしくは初回SPでそれ以上、つきあっていられないんですよねー。

投稿: リウ | 2015年1月17日 (土) 07時29分

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