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2016年1月18日 (月)

2016年冬ドラマ、第1回目を見て その1

 実はこの記事の前の記事 「『ドラマの殺人』 について考える」 は、この記事になるはずでした。 あらためて 「どーしてそうなったのか」 を説明しながら話を進めていきたい、と思います(記事のコメント欄には書いたけど)。

 まず、先の記事にも書いた通り、今回ちょっと 「刑事モノ、犯罪モノ」 という、普段ならパスするドラマまで、新番組はほぼ全部見てやろうと思いましてほぼすべて予約録画、そしてそのうち、2、3のドラマを除いて見まくったのです(除いたのは 「ちかえもん」「ケイコとマナブ」 いや違った、なんかダンナを殺そうとかゆーやつ)。

 そこで感じたトータルな感想が、「人を殺すとか殺されるとか、多過ぎ」。
 特に嫌になったのが、日テレ土曜夜9時の 「怪盗山猫」 でした。

 このドラマ、最後まではなかなか面白い、と思って見てました。 亀梨クンは大泥棒を 「ちょっとイっちゃったルパン三世」 みたいなノリで演じてたし、妙なところで佐々木蔵之介サンが刑事役だったり都知事に立候補するニュースキャスターに北村有起哉サンが出てたり 「なんだキャストの無駄遣いだな」 と思いながら(笑)見てた。
 そしたら、怪盗山猫一味のドランクドラゴンの塚地サンが、ラストで殺されちゃうんですよ。 状況的には亀梨クンが 「テメー、ヘマばっかりしてオレを裏切っただろ」 と言って、響く銃声、次のシーンでは無残に殺された塚地クンの遺体。
 たしかに亀梨クンが撃ったかどうかはドラマを見ている限り分かんないし、ひょっとして塚地クンが死んだのはフェイク?とも疑われるのですが、それまで見ていた楽しい気持ちがここで一変。 非常に後味の悪いものになってしまったのでした。

 特によかったのは亀梨クンと、「天才ハッカー」 の広瀬すずチャンの怒鳴り合い。 ここでは犯罪者の、被害者意識丸出しで勝手で甘ったれな心理を広瀬すずチャンが好演していました。
 亀梨クンに引きずられて犯罪に協力してしまう成宮寛貴サンもよかった。 この人、なんか私は見てないけど、「相棒」 ではかなり印象悪くなったみたいだから(笑)。

 しかしドラマの中で何度も、山猫役の亀梨クンは 「オレたちは義賊なんかじゃねえ。ただの犯罪者だ」 と断ってたから、「山猫ってホントはいいヤツなの?悪いヤツなの?」 という疑問を見る側に植え付け、視聴者を引き付けておこう、とする演出なんだ、と思いますよ、塚チャンが殺された、というラストの展開は。

 でもそんな演出、要りませんから。

 ホントにいいヤツだったら、ワルモノから自分たちが奪還した振り込め詐欺による汚い金を、被害者の老人たちに、返すでしょ(笑)。 「そんだけお金を持ってんだから、別にいーじゃん」 という感じで、「それじゃ振り込め詐欺してんのと同じじゃん」 というか(返した、っていう場面、ありましたかね?)。

 私が気になるのは、山猫という男がどうしてそういう生き方をしているのか、という点であって、犯罪者なのか義賊なのか、っていうレッテル貼りではない。
 だって 「ルパン三世」 だって、同じようなもんじゃないですか。 ルパンは基本、大泥棒ですから。 このアニメを私たちが追い続けるのは、ルパン、という男の生き方を見たいがためであって、ルパンが人道的にいいのか悪いのか、という視点で見てるわけじゃない。

 そして私がまた嫌になったのは、同じ日テレでスイマセンが、水曜夜10時の 「ヒガンバナ~警視庁捜査七課」。 堀北真希チャンが人の心を読める刑事とかで、その捜査七課というのがまた、ドラマによくありがちな 「ホントはそんなのない課」。 女性ばかりで普段は女子会トークばかりなのにいざとなるとスキルがエレーある、という、「テメーラ、もっと普段からマジメにやれ~」 という、…まあよくありがちな。

 まあホリキタのハスッパな演技が見てらんないとかYOUサンがどうだとか話がもたつき気味とか錯綜しすぎとかいう議論は置いといてですね(笑)。

 第1回は初回限定大盤振る舞い編でふたつの犯罪が同時進行していくのですが、その、フェリーに爆弾を仕掛けた、とかいう犯人のことで。

 コイツがチョームカつくんですよ。

 なんかもう、こういう演出って、何のためにやるんですかね?

 前の記事のコメント欄にも書いたのですが、作者はこういう愉快犯みたいな犯人をドラマに引っ張り出してきて、犯罪を犯した奴らに対して大衆の怒りを煽って、市中引き回しの上獄門の刑でもさせたいんですかね。 北朝鮮や中世ヨーロッパみたいに、ギロチンによる公開処刑でも唆しているんですかね。 死刑廃止論者を悔悛でもさせようとしてるんですかね(まんまコピペ…笑)。

 こういう 「世の中なめてんじゃねーぞ」 的な犯人は、せめてドラマの中だけでもじゅうぶんなお仕置きをするべきだと思うのですが(そのような場面はなかったけど)、あったらあったでそれはそれでこっちの気分まで嫌になってしまう。 「目には目を、歯には歯を」 かよ、というか。

 いずれにせよ、ドラマを見たあとで、こちらの気持ちがささくれだっているのを感じることは、けっして気分のいいもんじゃありません。
 ホリキタ、こういうの見たいわけじゃないんだけどなー。 去年の変なセレブ病院ドラマとか、変に先輩女優に囲われたがるし、なんか迷走してる、このコ。 まあもともと、そんなに主役としての力量や熱量がある役者だとは思わないのですが(「三丁目の夕日」 あたりが無難なのではないか、と)。

 さらに鬱気分が助長されるのは、TBS金曜夜10時の 「わたしを離さないで」。 カズオ・イシグロ原作を綾瀬はるかサン主演で、というドラマですが、いきなり臓器摘出をしたばかりの男に注射を打って死亡させ、火葬する、というショッキングなオープニング。
 それを無言のまま無表情で遂行した綾瀬はるかチャンの、子供時代に場面は転換する。
 出てきた子役はチビあさチャン。 というか、もともとチビ八重チャンだったのですが(笑)。 鈴木梨央チャン、ようやく綾瀬はるかチャンのもとに戻りました(笑)。 この子がいるのは、人里離れた孤児院みたいな学園。 この学園、かなりショッキングな役割を果たしているのですが、すでに私は 「もう人殺すとか、どうにかしてよ」 みたいな気分でして。

 ただ、話は 「ドン暗」 の極致なのですが、子供たちの演技や、その学園の美術教師である甲本雅弘サン、学園長である麻生祐未サンたちの演技でどんどん引き込まれる感じ。
 こういうのは、精神状態が健康でないと視聴不能かもしれません(笑)。 落ち込んでいるときに見るべきドラマじゃないです(笑)。 でもそこが、「ドラマのTBS」 の本領発揮している部分でもありまして。 言ってみれば、かつての金曜10時枠の 「未成年」 とかその手の類のドラマかな? ちょっと現実離れしていますが。 別の世界に連れていってくれます。

 しかしやはり、「また人殺しかよ」、と思ったのは事実でして。

 こんなのなら、まだ同じTBSでも火曜夜10時の深キョン主演、「ダメな私に恋してください」 でも見ているほうが、心が癒される、というもの(笑)。
 このドラマ、とにかく主演の深田恭子チャンが(「わたしを離さないで」 の綾瀬はるかチャンの役名が、恭子だったよなァ…笑)、これでもかというくらいのバカ女で(笑)。
 こういうバカ女をやらせると、徹底的にうまいなぁこの人(褒めてるんでしょうか?)。
 あまりに話自体がバカすぎて、実は開始10分くらいでリタイアしかけたのですが、見続けていたら結構ジーンとする場面があった(ただしもう内容は覚えていない…爆)。
 相手役は今話題の、ディーン・フジオカサン。 この人、外国のドラマで頭角を現したらしいんですが、このドラマ自体もどことなく、台湾とか韓国ドラマのにおいがぷんぷんするような感じで、その作りでこちらの肩の力が、スーッと抜けていってしまうんですよ。

 それにしても深キョン、ドラマでは30女でどーしたこーしたやってたけど、ドラマに出てきた後輩の元同僚だかなんかが自分を24歳って話してたのに、深キョンのほうがどう見ても年下(24歳の人に失礼すぎる…)。 結局オトコの本能で、「可愛いバカ女」 深キョンを見続けリタイアする機会を失った、というのが本当のところかもしれません(でも次回も見たい感じ)。 感覚的には、綾瀬はるかチャンが一昨年やっていた 「今日は、会社休みます。」 のバカ女バージョン、というか(バカ女バカ女と、女性の読者が離れていくぞハシモト…笑)。

 そして一番面白かったのは、フジテレビ水曜夜10時の 「フラジャイル」

 ですが、ちょっと今日はもう力尽きました。 なにしろ大雪でちょっと早めの出勤になるかもですので。

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テレビ」カテゴリの記事

コメント

リウ様
お久しぶりです。

ブログ再開、お待ちしておりました!と、いいつつ、この間、何のリアクションも記しておりませんでしたね。スミマセン。

さて、今期ドラマ、私的にはあまり当たりがなさそうだなと思っていたのですが、気が付いたらそこそこ観ている(笑)
と、いっても継続しそうなのは、「ちかえもん」「私を離さないで」「「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」ぐらいですかね(タイトルが段々長くなっていますが)あ、あとは真田丸か。

「ちかえもん」は時代劇ですが、藤本有紀さんの脚本ですね。劇作家でもある松尾スズキさんが、スランプに悩む元禄の「シナリオライター」近松門左衛門を演じているというのが乙です。完全コメディなのですが、松尾スズキさんの微妙な表情の変化による演技が、何とも情けなげに可愛く、笑えます。
ここから、名作「曾根崎心中」を生み出すまでのドラマのようですが、リウ様が書かれていた「ドラマの中の殺人」ではありませんが、これも「実録心中物語」ですからね。ドラマの中にでも、おそらくその二人になるであろう、大店のアホボンの徳兵衛を小池徹平くん、何かと問題行動を起こす遊女、お初を早見あかりちゃんが演じているのですが、この空気の中に、「心中」というエピソードをどう着地させるのかが、気になります。

「私を離さないで」は、リウ様が書かれているとおり、昼間仕事で辛いことがあった夜などには余り観たくないですね(笑)。この枠でいえば、「夜行観覧車」とか「家族狩り」もそうだったのですが、体力、気力とも充実しているときに、まとめて録画を観る、という感じになるかもしれません。

それと、「いつ恋」(こう略すらしいです)は、坂元裕二さんの伽本ですが、リウ様、ご覧になってますか?
世間的には、あの「東京ラブストーリー」の坂元裕二、久々の月9復帰!という感じで話題になっていましたが、実際観たところ、これは紛れもなく「Mother」「Woman」の流れを汲む作品だなと思いました。有村架純ちゃんが思いのほかいじらしくて、高良健吾くんはいい人、いい人過ぎて逆に周りに多大な迷惑をかけてしまう男のようで、私としてはかなり面白く観ることができましたが、数字は取れるのかなあ・・・特に、初回はあれでしょ、あのときのSMAP前に、時間つぶしで観るには内容がちょっと重すぎたのではないかと。
それと、坂元さんの書くホンって、どこか強引というか脇が甘いというべきか、「えっ、何でそうなっちゃうの?」と感じるところが絶対どこかにあって、それを気にしないぐらいストーリーで引っ張ってくれるかどうか、が私としては継続視聴するかどうかを決めるところなのですよ。

今回も、そんなところは2、3あるのですが(高良君、故障したトラックをどうやって10Km先の修理工場まで持って行ったんや?とか)、主役二人のひたむきな演技と、物語の鍵を握る有村架純ちゃんの亡くなった母親からの手紙が満島ひかりちゃんの声で読まれた時に心鷲掴まれました。

・・・・うわっ、長くなってしまいましたね。
これからもよろしくお願いいたします。

Zai-Chen様
コメント下さり、ありがとうございます。

いやいや、お気になさらずともよろしいんですよ。 一介のブログ発信者が、たまたま社会的に負けて、そういうときに励ましや慰めのコメントをするのか、はたまたそっとしておくのか、どちらともそのかたなりのお気遣いなのですから。

生きてりゃいろいろございます。

それと、ちょっと本文に誤解を生むようなところがございましたので、ちょっといま直したのですが、「ちかえもん」 も 「ケイコとマナブ」 も(題名なんだったっけな…笑)予約録画で録ってはあるんですよ。 ですから 「ちかえもん」 に関しては、「その2」 にあらためて書きたいと思います。 「ケイコとマナブ」 はどうも駄作の匂いがする(だから題名が違う…)(「ナオミとダビデ」?…なんかヘドバとごっちゃになってないか?…笑)。

「ちかえもん」。
そうか~、藤本サンの脚本なのか~。

今回、ホントに前知識なしで全部録画して見ている感じなので、クレジットが出てきて初めて 「あ、この役の人この俳優さんだったんだ」 とか(意外とイメチェンしてたりして分かんないもんです)「へ~、脚本この人か」 という驚きがあったりとか(「逃げる女」 が鎌田敏夫サンだったり)。

だからかもしれませんが、すごいリタイア率が少ない(笑)。 「マネーのなんとか」 くらいしかない(笑)。 結局脚本家とか俳優の名前につられて見てしまう、というのは、方法的に間違ってるな、ということを感じています。

「いつ恋」 も(元の題名は、えーと…)予約してございますので、その2に書くんじゃないか、と思います。 坂元サン脚本とは思わなかったです。 なんか最近パワーダウンしてるからなァ(いや、「Mother」 の頃が突出してすごすぎた)(もともとそんなすごい脚本家さんだとは思ってなかったので)。

あとは、「お父さんと呼ばせて」 とかなんとか? 「鴨川食堂」 も、岩下志麻サン出演ですごく期待していたのに…、という感想を書くつもりです。 あとは 「逃げる女」 ですか。 斎藤工サンはクチビルがダメなのでパス(笑)。 その2にご期待いただきたい、と思います。

リウ様、こんばんは。

今クールのドラマで、まだ見続けてるのは、「フラジャイル」「怪盗山猫」「ダメな私に・・」「家族のカタチ」くらいかな。

綾瀬はるかちゃん、好きなので何回か「私を離さないで」見ましたけど、やはりテーマがついていけませんでした。「それでも生きてゆく」は、ずっと見てたのですが、このお話は、TVドラマ向きじゃないなぁって感じました。舞台とか映画なら、時間も短くなるからいいのかもしれませんが。

「怪盗山猫」は亀梨くん、広瀬すずちゃんが頑張ってますね〜。塚地くんを殺したのは、山猫じゃなかったみたいですし。

「ダメな私」は深キョンのキャラがばっちりはまってて、この役は彼女だからドラマが成り立ってると思わせます。もちろん、ディーン様も存在感出してますけどね。

「家族のカタチ」は今の社会の「おひとりさま」礼賛?に対して、昭和世代の絆のあり方を提示しているような気がします。

最近は、大河ドラマに特化しつつあるみたいですが、他のドラマにもリウさまのレビュー期待してま〜す。happy01

rabi様
コメント下さり、ありがとうございます。

この冬ドラマでいちばんアレなのは(アレって…笑)、「第1回目は面白かったけど、続けて見たいと思わせるドラマが少ない」。

「真田丸」 第5回の記事で言及した 「面白い」「よく出来ている」 ドラマで、続きが見たいと私が今感じているのは 「ちかえもん」「フラジャイル」「家族ノカタチ」 のみっつくらいかな~。 「逃げる女」 も、仲里依紗チャンの異様な演技をまた見たい、という気がします。

でも最近は、「あさが来た」 のたまりまくった録画ばかり見ている、というか。 朝ドラ、やはりボリュームありすぎます(笑)。

ある意味いちばんショックなのは、「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」。
坂元サンのドラマで続きがどーでもいいと感じるのは、なんかさびしいな。

このドラマ、1回目から設定や話の流れに無理があり過ぎる気がして、第2回目の冒頭で主人公ふたりがブラックなところで働いてます、というのがいかにも安易な描写で、その時点で見るのをやめました。 見ていて不快なのは耐えられない。

深キョンドラマは、「ホントこのコ老けないな~」 という感じで、第2回まではなんとか見てます(笑)。

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  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

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    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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