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2017年4月23日 (日)

2017年春ドラマ②(「小さな巨人」「貴族探偵」「あなたのことはそれほど」)

 TBS日曜21時 「小さな巨人」。

 巷で言われるようにテイストが 「半沢直樹」 警察版なのだが、このドラマで半沢のキャラ概念を受け継いでいる主人公、長谷川博己が第1回目ではいったん権力側におもねりそうになるなど、「揺らぎ」 を感じさせるところが面白かった。 ただこれに懲りて、長谷川はもう第2回以降は揺らがないことだろう。 揺らいだら面白いのだが。
 ただまあ揺らがんでも、演出が大袈裟なことで、このような対決構図のドラマは格段に面白くなる。 昔からある時代劇の勧善懲悪の遺伝子を現代に受け継いでいる、ということになるが、ときにはその現代的な解釈も必要だ。 つまり 「度を越し過ぎて滑稽になる」、という側面とか。

 こうしたドラマにおいて敵役が重要なのは言うまでもない。

 NHKの今年の大河ドラマ 「おんな城主 政虎」 において高橋一生が演じる但馬などは 「実は政虎の盾になろうとしているのでは」、という可能性を残すことで敵役としてのリアルを試そうとしている。 だがこの 「小さな巨人」 に関しては、敵役の香川照之はリアルを最初から排除しようとしている点で但馬とは根本的に違う。 香川は 「半沢」 での役をそのまま移植したようでワンパターンの誹りも受けかねない役に徹しているが、それは香川、いや市川中車にとって 「歌舞伎的な様式美」 なのだ。 ここで 「度を越した滑稽」 というレベルまで見せてくれることを期待する。
 長谷川は理知的な役が多い気がするが、ここではかなり熱い男を演じている。 饒舌という点では 「デート」 を思い出させるが、饒舌なことによりコミカルを表現していた高等遊民とはまったく別で、推理力・判断力の鋭さを見る側に強烈に印象づけさせる。 長谷川はやはりタダ者ではない。

 いっぽう私がこのドラマでいちばんいいなと思えたのが、所轄の足の裏臭い刑事を演じた安田顕だ。

 この人、演技力は確かなのだが何か出てくると構えてしまうところがあって、どうも苦手だなと思ってきた。 なんか油断ならないヤバい感じ、とでも言ったらいいのか。
 だが今回のこのドラマでは足の裏は臭いが情にもろく頑固で熱血なところを演じており、裏と表があり過ぎる出演者陣のなかでいちばん信用が置けそうな人物なのだ。 こういうポジションは得だ。 その直情的な部分で主人公の長谷川を引っ張っていってほしい気がする。

 いずれにせよここまで見た中では、この春ドラマではもっとも面白いドラマ、といえよう。 「小さな巨人」 とは誰のことなのかは気になる。 長谷川サン大きいし(笑)。

 フジテレビ月9、「貴族探偵」。

 フジテレビの月9が30周年で総力をかけて作った触れ込みだったが、現在凋落傾向のフジテレビの悪いところが顕著に出てしまった感がある。
 まずキャスティングがまずい(前回の記事でも同じことを書いたが)。
 キャスティングがまずいということは、制作サイドがひとつにまとまっていない、ということの表れなのではないか。
 少し極端な物言いをするが、私は昔からフジテレビは、どこか視聴者を見くびったような空気が社内にあるのではないか、と感じてきた。 自分たちが上で視聴者が下みたいな。
 それはフジテレビが 「楽しくなければテレビじゃない」 を合言葉に隆盛を誇ったときから感じてきたことだが(「みなさまのフジテレビ」 の時代にはそうしたことはまったくなかった)、あまりに楽しさを追求するあまりに会社全体がお祭りムードとなり、ものごとの本質を考えようとする芽を踏みつぶしてきた結果なのではないか、と考えている。

 今回のドラマでは、「主役の探偵が推理をしない」、という大きな特徴がある。 その主役は貴族で、肝心の推理はそのお付きの者たちが行なう、といった構図だ。 要するに相関図におけるドーナツ現象を起こしているわけだが、ここで主役にはそれなりの人を配置させないと、文字通りまったくドーナツ現象になってしまって主役が埋没する危険性がかなり増す。

 なのにフジテレビは、その主役に嵐の相葉クンを選んだ。 これは制作サイドがいま述べた危険性をまったく意識できずにいるか、それを逆手に取ろうと考えているのか、もしくは相葉クン以外になり手がいなかったのかのどれかだろう。 お付きの者たちに松重豊、滝藤賢一、中山美穂と豪華な面々が次々登場し、最後に相葉クンが登場したときのなんともいえないガッカリ感(笑)。 逆に考えるとすごいな、と思ったが(笑)。 狙ってるのかな(笑)。
 別に相葉クンをけなすわけじゃないが、フジテレビがネットにおける相葉ディスり自体を期待しているような気さえする。 ディスりも話題のひとつだみたいな。 ジャニーズだしみたいな。 このゴーマン見下し発想がフジテレビなんだな。 相葉クンには相葉クンを生かす場というものがある。 それをフジテレビは踏み違えているにすぎないのだ。

 また、生瀬サンが滑りまくりのオッサンギャグを武器とした刑事役で出てくるが、これももうギリギリで許せる範囲、という感覚で見ていてとても危険だと感じる(笑)。 生瀬サンでなければ許せなかっただろう(笑)。 いや、私は許せたが許せない人は多いはずだ(笑)。

 こういう面白がり方をしている時点でフジテレビの術中にかかっている気もするが(笑)、こういう面白がり方をされてフジテレビは満足なのだろうか? 月9の30周年の墓標にでもしたいのか?

 いずれにしても相葉クンは、たぶんいい人なのだろう。 その彼が最後に探偵の武井咲チャンに車の中から投げかけたシリアス顔に、ちょっとドキッとした、気もしたが、そのドキッに期待して次回も見ることにしよう。
 言い忘れたが、武井咲チャンは彼女なりに演技が向上していると思う。 もうけっして大根ではないぞ。

 TBS火曜22時 「あなたのことはそれほど」。

 うーん、どうなのか。 なんの前情報もなく見た感じだったが、「3ヶ月後」「半年後」 と時間が目まぐるしく過ぎるのと同様に、「えっ? 『あなたをずっと好きだった』 タイプのドラマ?」「えっ、不倫しちゃうの?」 とその展開に戸惑った。
 要するに不倫をしちゃうタイプの女の子って、もともと王子様願望が強くて、ぼーっとそれなりに決断をして生きてきて、っていうことが言いたかったのかな、とか。
 主人公の波瑠は初恋の男の子をかなり引きずっていて、結婚してしまったあとで街で偶然その男の子と再会してしまうのだが、再会したその日にラブホテルに入ってしまうんだな。
 その時点で共感を得られない主人公であることは明白だが、初恋の男の子への思い入れが強過ぎた、ということがこの共感を得にくい行動の裏にあるのは見て取れたし、それにそれまでの主人公の生き方自体が、ただなんとなく流されていた、ということもきちんと描かれていたように思う。
 占いに頼るタイプというのも大きい気がする。 つまり不倫という大それたことをするには、それなりに普通の人の感覚と少しずつずれた 「その人自体の性格、人格形成の原因」、というものがあるのだ。 波瑠がフツーの顔をしている主人公だと思ったら大間違い、というか。 でも本人にはその自覚はない。

 波瑠の夫役の東出昌大クンはなんか先に述べた 「ずっとあなたが好きだった」 の冬彦さんタイプに成長しそうな感覚で、この先の修羅場は必至。 ドロドロなのは好きじゃないから展開次第ではリタイアするけれど、冬彦さんみたいに滑稽レベルに達すると視聴可能かもしれない(笑)。

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コメント

リウ様

2017年春ドラマ② UPありがとうございます。happy01

「貴族探偵」相葉くんしかいなかったのか?ジャニーズは今年は相葉くん押しなんでしょうね。諸般の事情で。
フジの思惑はどうだったのでしょうか。私としては、まだ松潤なら許せたような気もするのですが・・・
リウ様の仰るように、月9の30周年記念がこれではなかなか先行き危ういような気もします。

「あなたのことはそれほど」は第一話視聴しましたが、安易な流れに、二話以降は見る気がしませんでした。波瑠さんも、もう少し出演する作品を選べば良いのにと思うのですがまだまだキャリアが少ないので、事務所サイドが主体なのでしょうね。

「櫻子さん」はあんまり期待してなかったのですけれど、意外と良かったです。二話以降も見ると思います。観月さんの前髪パッツンには驚きましたけれど、今までとは違ったイメージの役ということで、形から入るアプローチだったのかもしれませんね。
 原作はミステリー小説で、アニメ化もされているらしいです。私は全然知りませんでしたが・・・ キャスティングもなかなか面白いです。ただ最終話まで見続けるかどうかは・・・ 

「フランケンシュタインの恋」は、まだ視聴していないのですけれど、綾野剛さんなので二話目を見てみようかなぁと思ってます。

ではでは

投稿: rabi | 2017年4月24日 (月) 17時09分

rabi様
コメント下さり、ありがとうございます。

「あなたのことはそれほど」 は、これは第1回だけのクオリティだったのかもしれないけれど、結構 「不倫しそうなタイプの女の子」 として 「ぼんやりとした主人公」 を丁寧に描いていた気がします。 途中意味もなく痩せていったりするのもその一例で、実は夫との生活にどこかで感情を抑えていることから痩せていったのではないかと。 東出クンが一生懸命話しかけてるのにフツーに上の空だったり。 「二番目に好きな人と一緒になるのがいい」 と続けざまに占い師からいわれて、「まあ結婚ってこんなもんなのかな」 みたいにぼーっと考えて深く考えないまま結婚という決断をしてますよね。 「タラレバ」 の3人とはここで決定的に違う。 歪んだ母子関係というのも一枚絡んでいるし。

ただまあ、「不倫をするヤツ」 なんてのはどんな描き方をしても 「それってイーワケだろ」 と思われてしまう弱みはある気はします(笑)。

…なにを擁護しとるのだろう(笑)。 どうも私、波瑠サンのファンらしいです(なんか気が強そうなんだがな…笑)。

「櫻子さん」…見たんだけど10分しないうちにリタイアでしたぁ~(笑)。 観月サン出てたんですか?(爆)。 主役が出てこないうちにリタイアしたっぽいです、よく覚えてない(笑)。

「フランケンシュタイン」 はノーチェックでした。 どうも日曜日テレのこの枠のドラマはあまり見たい気がしてこないのが多いです。 NHKの土曜ドラマもなんだかな~。 なんでこんなに短いの?とか。

とりあえず瀕死のPCでキーボード打ち続けて疲れました。 すぐ設定が変わっちゃうんですよ。 連休はマイリカバリ(いったんPCを最初の状態に戻してしまう)のためにデータをヨッコさせる作業で暮れてしまうでしょうね(ヨッコもよう出来ん…)。

投稿: リウ | 2017年4月25日 (火) 07時18分

貴族探偵、見ましたよ。
まず、貴族(笑)架空、異世界。
武井咲ちゃんが美しい。彼女を際立たせる、ミポリンに松重さんに、滝藤さん。
生瀬さんと仲間(すごい無駄遣い)さんはトリックを思い出させてくれる。生瀬さんのギリギリ演技。笑いましょう。
相葉くん。邪魔してないからいいかな。(笑)
ジャニーズと貴族、対極でしょ。
でも車窓の冷たい表情、唯一リアリティあったかな。下々はくっだらない、と半分馬鹿にしつつ見れば。フジテレビに対しても。
だって相葉くん、貴族似合わないんだもの。動物の世話してる方が可愛いし。
とはいえ第2回も見ました。面白かったです。

投稿: ささ | 2017年4月26日 (水) 10時32分

ささ様
コメント下さり、ありがとうございます。

第2回目は未視聴ですが、確か 「ツッコミながら見てください」 みたいなクレジットがどこかで出てたと記憶しています。 そんなドラマって、ドラマをハナから貶めてるだけじゃないのかな、と感じる。 フジテレビの 「どうせこんなもん」 という姿勢が顕著に分かります。 「楽しくなければテレビじゃない」 の時代もそうだったけれど、「ふざける」 ことを 「面白い」 と同じに考えてるところが、フジテレビのダメなところなのだ。 あり得ない話だからこそ、バカにするのではなく真剣にバカをやる。 「ドリフ」 と 「ひょうきん族」 のカテゴリの違いみたいなところがあるけれど、その食い違いが現在まで連綿と続いている、と感じます。

武井咲チャンはここ最近、「演技の空気のつかみ方」 を体得してきた気がする。 ドラマというのは基本的にあり得ない空間だから、「普通に自然」 を目指しちゃダメだと思うんですよ。 このあり得ない空間での演技のタメとか、ドラマ特有の呼吸みたいなものがある。 咲チャンは普段通りの反応をすることを演技だと思っていたフシがあってそこが大根だと言われる理由のように私は思っていたのですが、それが改善している。

まあ、私だけの感じ方かもしれませんが。

投稿: リウ | 2017年4月27日 (木) 07時17分

貴族探偵、見ています。もっぱら、休みに娘の録画でですが。
フィクションというお題目で見るのが楽しむポイント。殺人事件も貴族も作り事。
現実はテロは世界中起きてるし、格差社会。殺人事件も毎日どこかの日常。
だから庶民に一番近い相葉くんがお貴族様かな。
ただ、彼の硬質な声の異質感と、冷然とした佇まいは頑張ってると思います。
それもこれも、共演者が芸達者だから。
武井咲ちゃん美しい。井川遥、ミステリアス。
仲間由紀恵、うまい。ミポリンが演技派に見える時が来ようとは。時の流れは残酷ですよね。バブルはどこに行ったのでしょう。
執事と運転手、生瀬さんは言わずもがな。
というわけで非日常の探偵劇を、肩も凝らずに見ています。
大岡越前を見ているようなものです。(笑)
直虎も楽しめているけど、うーん、高橋一生が深みを持たせてくれてるからだと思います。
仁のパッションが足りない!贅沢だとはおもうけれど。

投稿: ささ | 2017年5月24日 (水) 22時25分

ささ様
コメント下さり、ありがとうございます。 またまたサボタージュ状態の当ブログ、ささ様のコメントでも来ないと動きません(笑)。 大河があまり興味持てないのでささ様もテンション低いのだろうと勝手に考えておりますが。

ただまあ、5月に入ってから数度、新記事はアップしたのですが、諸事情によってすべて削除。 ブログを書くテンション自体が萎えていることは確かです。 たかが無名のブログにイチャモンつけるなら読むな、という感じですが。

「貴族探偵」 は3回くらいまでかな~、見たの。 別にリタイアしたわけではないですが、たまった録画を見ようという気が起きません(笑)。
ミポリンは個人的には昔から演技うまいという認識でしたけど?(笑) 「ラヴ・ストーリー」 とか、よかったなあ。 ただ今回のミポリンは3回目まで見る限り 「頼むよなあ」 という感じでしたけど。

この春ドラマで見続けているのは 「小さな巨人」 と 「孤独のグルメ」「ファイナルファンタジー」 くらいですかね。 あ、あと、海外ドラマで 「ER」 の完全パクリみたいな(笑)「シカゴ・メッド」 というのを結構熱心に見てます。

春ドラマ感想第③弾を書かなきゃならん感じですかねー。

投稿: リウ | 2017年5月27日 (土) 07時40分

大河が、面白くなくはないけれど、見ても一回、見逃しても困らない、惰性で見てはいます。(笑)
高尚じゃなくていつでも帰っておいでよ、心の故郷へって感じ。だから不義理は出来ないし見てるんですよ。
ミポリン。アイドルだったですよね。主演をはっていました。それが脇役ですよ。
武井咲ちゃんもいつまでヒロインでいられるのか。居続けられるのか。
美しい人なので、ヒロインで居続けてほしいと思います。
田中聖くんが大麻ですって。
やっぱりって思う反面、生まれ持った才能を自分で潰して行った彼に愛惜をおぼえます。
野良猫のような才能だったのに。残念です。

投稿: ささ | 2017年5月27日 (土) 07時55分

ささ様
速攻返しに速攻でお応えします(笑)。

田中聖クンは田口クンとラジオの番組やっていたときから気になる存在でしたが、そのラジオ番組で聴取者(たぶん全部彼らのファン)にドッキリ電話みたいのをやっていたときに、「聖と淳之介、どっちが好き?」 みたいな質問で、ほとんどの女の子が 「コウキクン!」 と言っていたことを思い出します。 まあ田口クンはアゴがアレだし(笑)当時は人気なかったし、田中クンはワイルドなイメージだったし。 その後田口クンは 「リーガルハイ」 などで頭角を現していったのに、いきなりアレですからね。 カトゥーンのメンバーは残念なのが多かった…。

まあ、総理夫人も大麻には興味がおありのようですし、アメリカじゃ合法のところもあるらしいので、「日本の法律で決められてるんだから日本でやっちゃイカン」 とは思いますが、個人的にはあまり思考停止にならないようにはしています。 やりませんけど(笑)。 どっちにしてもタバコすら吸ってないのであっしには関わりのねえ話でござんすですが。

それよりカールですよ!(爆)

こっちの生産中止のほうがよほど重大だ!(爆) 私、お菓子食いなので(笑)。

投稿: リウ | 2017年5月27日 (土) 08時20分

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