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2017年4月16日 (日)

2017年春ドラマ①(「CRISIS」「人は見た目が100パーセント」「ボク、運命の人です。」)

 まずふたつの週帯ドラマであるが、NHK朝ドラ 「ひょっこ」 に関してはまだ第1週目と2週目の途中までの視聴なのでトータルな批評が出来ない状態。 第1週目まで見た感想では、ノスタルジアを重視した作りで特段の野心が見当たらないと感じたが、第2週ではこの盤石な家庭円満の状態から父親が失踪するという予告でそれがちょっと気になっている。 テレ朝の 「やすらぎの郷」 もまだ第1週目までの視聴。 独立した記事で書きたい気もするが、今のところ感じているのは、老脚本家が考えた寓話のなかで、テレビに対して言いたいことをぶちまけている印象。 倉本サンの過去の作品には、メディアに対する痛烈な批判が込められたドラマ(「ガラスの知恵の輪」 という題だったと思う)や 「歸國」 という、この国に対する未来を憂えたものがあったが、その精神が生きていると感じている。 ただ全体としてはコメディタッチ。 気楽に見ることのできる作風だと思える。

 とりあえず個人的好みで食指の動くすべてのドラマを予約録画していたが、今のところきちんと第1回の最後まで見たのは表題の3作のみ。 「孤独のグルメ」 は別格で第2回まで見ているが安定した作りで特に感想がない(笑)。 「特に」 感想がないというのがこのドラマの優れた部分でしょう。 ものを食べるときに感じることを最大限に引き延ばし面白く見せることで、見る者を惹きつけ続ける特殊なタイプのドラマだ。

 まずフジテレビのふたつのドラマ。 ふたつのドラマに共通した感想は、「なんか、全体的な熱意が今イチヌルい」。 フジテレビに関しては 「凋落している」、という印象をこのところ抱いているせいか、さまざまな部分でどこかやっつけみたいな質感がついてまわっている。
 「CRISIS公安機動捜査隊特捜班」。 題名がクド過ぎる(笑)。 題名の通り、結局何をやる部署なのかすごく漠然としていて、「はみだし者たちを寄せ集めて、危険な案件の処理には適しているが、なにかあったらすぐ切れるトカゲのしっぽみたいな部署」、という感覚だ。
 新幹線を河川の高架橋で止めてそこから犯人と一緒に川にダイブとか、マンションの4、5階あたりから飛び降りたりとか、第1回目に見合うだけの派手なアクションも用意された。 メインである有力政治家のバカ息子に向けたテロ攻撃とかその背後に動く巨大そうな組織犯罪とか、その後の展開に必要なフロシキも広げまくっていた。
 しかし、なにか見終わった後 「どうも次を見たくてワクワクしてこない」。 そして、「感じたことを書きたい気になってこない」。
 キャスティングもそれなりに豪華で、西島秀俊や小栗旬、田中哲司や長塚京三と実力派が揃っているのだが、なにかケミストリを感じないのだ。 俳優たちもやるべきことはやっている。 100パーセントの力を出していると思う。 しかしその融合から生まれるプラスアルファが感じられない。 なにか予測不能な火花が期待できない。
 こうなると作品の良し悪しがこのドラマを存続させるカギとなる気がするのだが、どうも巨悪、という時点で既視感がつきまとう。

 「人は見た目が100パーセント」。 レディスコミック原作のドラマというのはこのところトレンドという気もするが、「逃げ恥」(TBS)「タラレバ娘」(日テレ) と比較してしまうと、フジテレビの料理の方法がとてもまずい印象を受ける。
 まずキャスティングがまずい。 そしてコミック原作のいわゆる 「マンガ的」 な部分をなかば、「こんなもんでしょ」 的に見下して演出している点がまずい。 「タラレバ」 においてはCGで登場する 「タラ」 と 「レバ」 がその手の落とし穴に落ちそうな部分だったのだが、このふたつのCGキャラに対して 「こいつらは主人公たちにダメ出ししている 『実は味方』 なのか、それとも主人公たちの晩婚傾向を助長する 『実は敵』 なのか」、見ながらそれを考えさせるブラックボックス的な楽しみがあった。 なかでも最初主人公の吉高にしか見えなかったのが、そのうちに榮倉や大島にも見えるようになったという展開が秀逸だった気がする。
 ほかにも主人公たちに大ダライが落ちてきたりとかコミック的な展開も頻繁にインサートされていたのに、それが不自然ではなかった。
 なのにこの 「人は見た目」 は、同じような演出をしているのにそれがとても不自然なのだ。
 たとえば主人公の桐谷美玲が飲んでいたものをブーッと吹き出すシーン。 このドラマでは主人公の女の子が極度に暗く内向的な性格なため、「そんな子がこんなことはしないだろう」 というように見えてしまうのだ。 つまりコミカルが成立しない。
 そもそも桐谷美玲チャン、どんなに地味にしてもカワイイじゃん。 そんな子がいまさら化粧で自分をきれいに見せようったって、「する必要なし」。 だったら最初はもっとブスメイクをすべきだ(笑)。
 だいたい 「見た目をきれいにする」 という時点で、このドラマの目的自体がとても陳腐なものに見えて仕方ない。 結論は 「人は内面が最後にはモノを言う」 みたいになるのかもしれないが、今のところはドラマのスポンサーである女性ファッション誌とコラボしたドラマにしか見えない。
 それと、ブルゾンちえみという人を私はこのドラマで初めて見たのだが(噂では知ってたが)、話題の人をドラマに出すという時点でフジテレビの浅さがまた垣間見えてしまう。 演技はまあまあだけどこういう人が見た目を変えようと努力するのは説得力がある。 ただこの人が目的で来週も見ようという気にはならない。 「ダーティ・ワーク」 にならなければよいが。
 いずれにしてもどうも最近のフジテレビのドラマは、見ていてヘンな違和感を抱くことが多い。 「シェフ三つ星の給食」 くらいだったな、素直に面白かったのは。

 日テレ 「ボク、運命の人です。」。
 最初の数分で 「あ~こういうノリのドラマって苦痛だ」 と思っていたのだが、神様と自らを名乗る山Pが出てきてからドラマが渦を巻き始める。
 「お前とお前の妻となる女との間に生まれた子供が、30年後に地球に衝突する惑星の軌道を変える発明をする運命にあるから、お前は絶対その女と結ばれなきゃならない」 ということから、主人公の亀梨和也は木村文乃に不器用なアプローチを始めるのだが、そこから見る側はいろんなことを感じ始める作りになっている、と言える。
 亀梨はその不器用から木村文乃に却って怪しまれ拒絶されていくのだが、その結果神に対して 「別の方法考えたらいいでしょ」 とか 「地球なんか滅んだら滅んだで仕方ないでしょ」 とかいろんな不満をぶちまける。 それがリアルで彼の一生懸命が伝わってくる作りになっているのだ。

 ただ私の出した結論としては、「山Pは木村文乃のほうにも姿を見せて事情を明かすべきだ」 ということに落ち着くのだが(笑)、このオチャラケた神はどうしてそのことをしないのか。
 そうすると、ふたりとも自分の意志とは関係なく、運命という空っぽな動機でしか結びつかなくなる。 それはふたりにとって不幸なことだ、と神は考えているのではないか。 そして気になるのが、ライバルとして登場する男のことだ。 木村には、そっちを振り切って亀梨と生きる、という決意というものが必要だ、と神は考えているのかもしれない。

 こういうことを見る側に考えさせる度量というものがドラマにあるかどうか。 それってとても重要な気がする。
 それにしても皮肉だなーと思ったのは、コマーシャルでTOKIOがスズキのクルマのやってたけど、アレ最初カトゥーンがやってたんだよな~(ハハ)。 亀梨クンガンバレ。

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テレビ」カテゴリの記事

コメント

リウ様
こんにちは。

「ひよっこ」私は案外面白く観ています。ま、もともと、そんなに期待してなかったというのもあり、ハードル低めの感想ではありますが。あそこまでの爆発力はありませんが、演出に、どこか「あまちゃん」に通じるテイストも感じてしまいますね。
このドラマで「人間蒸発」(蒸発人間だったかな?)という言葉を久しぶりに聞きました。当時は、出稼ぎに限らず、地方から都会に出たまま行方不明になる人が多く、ワイドショーで人探しのコーナーもありましたものね。しかし、人間が「蒸発」ですよ。何とも凄いネーミングセンスだな、と。今の時代なら絶対、「人間を水蒸気扱いするな!」などとのクレームの嵐でしょうね。

また、「CRISIS~」は、どこか軽めの「MOZU」のような感じですなあ。て、いうか、西島秀俊さんがダークスーツ着て「警視庁公安なんとか」て言ってる時点で、どうしても思い出します。多分、内容でTBSが作ればもっとシリアスなものになるんでしょうが、どっかおちゃらけた印象を残すのが、フジと言うべきなのか。でも、アクションシーンは、かなりよく出来てました。最近、テレビドラマでちゃんとしたアクションを中々観ることができないのが寂しい身としては、嬉しいことでした。

あと、今日から始まる長谷川博巳さんの「小さな巨人」がちょっと気になってます。警察が舞台になっていますが、事件モノではなく、警察内部の組織や人事の葛藤が主なテーマになっているようで・・警察版「半沢直樹」みたいな感じなのでしょうか?

Zai-Chen様
コメント下さり、ありがとうございます。

私も今週あたりからが春ドラマの本番だと思ってます。 「小さな巨人」、やはり長谷川サンが出るとなるとどうしてもドラマ好きは注目してしまいますね(笑)。 あの人の出るドラマ、ハズレって私の知る限り見たことないからなぁ~。
それとリキ入ってる月9とか、「釣りバカ」 も今週からだったかな~。

まだ 「人間蒸発」 の部分まで見てないのですが、「ひよっこ」 は久しぶりに実在のモデルのない話なせいか、ちょっとそのフツーっぷりがカッタルイ感じです。 まあ 「ぺっぴんさん」 を途中リタイアしたので久しぶりの視聴ということで調子が戻ってこない個人的事情もありますが。 東京の洋食屋さんで夏ばっぱ…いや違った宮本信子サンが出ている時点で、もうこの洋食屋が今後深く絡んでくることが分かってしまう(笑)。 佐々木蔵之介サンとかね。 主人公の女の子が将来就職するところかな~。

その主人公を演じる有村架純チャンですが、いや~かなり気合入って役作りをしてますね。 顔は真黒だし、おまけに体重増やしたとかで顔がパンパン。 それでもカワイすぎるというのはこれはもう犯罪者レベルでありまして(笑)。 いや、こーゆーほうがオジサンは好きだ(笑)。 この子はどうも東京に金の卵として就職する運命らしいですが、そのときに体重が元に戻っちゃうというのは惜しい気がします。

そう、「MOZU」 を見ちゃっているのがかなりハンデなんですよね、「CRISIS」。 と言っても 「MOZU」 は 「結末は映画館で!」 みたいなことやってたからシーズン2途中でリタイアしたんですが。

小栗旬クンが 「宇宙兄弟」 に見えてしまうというのもなんか…(ただし映画は見てません)。 このオチャラケた感じというのはとてもフジテレビの色なんですが、それも突き抜けてないからまずく見えてしまう。 「信長協奏曲」 レベルでオチャラケろと言ってるわけではないんですが、なんか中途半端が目立ってしまう。 どこかちぐはぐ。 制作陣が一体化していない、という感触がついてまわるんですよ。 やはりうまくいっていないテレビ局はスタッフみんなが別の方向を見ている、という感じになるんですかね。

リウさん忙しいのおわりましたか?たまった録画観てけっこうな長文ブログ、お疲れでしょう。「運命の人」は福田あつしさんが脚本だったと思いますがこのひとは上手なのかいつも話しのつくり方が好きです。
「見た目100%」はちょっと説明が多い。だめ女ががんばる姿はひきつけられるので役者がまずまずなので惜しい気がする。「恋へた」も好きですね。朝ドラの君ちゃんにあんなこと言わせるかと思った2話目は笑ったな~。

ドラマ大すきおやじ51才 様
コメント下さり、ありがとうございます。

年度末の忙しさから解放されて月イチペースだったブログ更新もなんとか半月まで戻しましたが(笑)このところ家電が次々故障して(笑)今使っているパソコンももう限界…。 どうしてこういうのって、重なるんでしょうねweep。。

「運命の人」 ってなんだ?と思ったら 「ボク、運命の人です。」 のことですか? 同名のドラマで数年前あったもんで(笑)。 まあ、分かんないのでスルーしましょうか(爆)。

「人は見た目」 はたぶんもう見ない(ハハ)。 おやじ様はこういう若者ノリのドラマに、よくついていけますね(笑)。 話は変わりますけど、桐谷美玲チャンは桐谷健太クンの妹だとばかり思っていたのは私です(笑)。 だって吊り目のところとか、似てません?(調べたけど別人だった…笑)。

「恋がヘタでも生きてます」 は、確かリタイアしました(シーマセン)。 同じ深夜ドラマで、元ゲーマーの私は 「ファイナルファンタジー」 というドラマが気に入りました。

リウ様

ご無沙汰です。
今期のドラマ、レベル的にはどうかなぁ?って感じです。

「CRISIS」は、私も「MOZU」のイメージと重ねてしまいました。ただ一話ずつのせいなのか、なんかモヤモヤ感が残る作り方です。アクションシーンは結構本格的なもので見応えはあるのですけれど、ストーリー的にはどうなのかしらと思ってしまいます。

「小さな巨人」は、まさしく「半沢直樹」の警察バージョンだと思います。香川さんの存在感が相変わらずハンパないですね。

「人は見た目が・・」は、リウ様のおっしゃる通りですね〜。2回めからはリタイアでした。「運命の人」「貴族探偵」は1回めの途中からリタイア。「リバース」は藤原くんが好演してますが、湊かなえさんの原作なので、いつものように人間の怖さが優ってて、視聴し続けられかどうか。なかなか怖いもの見たさまで到達できないかも。

「ひよっこ」は、視聴し続けると思います。まだまだこれからでしょうね。「すずふり亭」がどう絡んで来るのか楽しみです。ここで有村さんが働くのかしら?

「緊急取調室」は天海祐希さんなので見続けると思います。第一話は三田佳子さんがゲストでしたし、シリーズ化?したせいか安定感のある作り方でした。

私としては「母になる」がなかなか良かったです。今のところ一押しかな。リウ様はご覧になってないでしょうか。

「FF」はこちらでは放送されてないみたいで、見られなくて残念です。「櫻子さん」はどうかなぁ、あんまり期待はしてないけれど、観月さんだからとりあえず見るつもりです。

もうじきGW、リウ様は少しはお休み取れるのでしょうか。

rabi様
コメント下さり、ありがとうございます。

たぶん大型連休は暦通りだと思いますが、この時期になるともう今年も3分の1たっちゃたのか~、という感じですね。 忙しい疲れたもう寝るみたいなことやってたら過ぎた感じ(あ~あ…笑)。

「FF」 は私がもうやってない14の舞台を借りた親子のドラマ、といったところで、親子関係修復のためにその14のチャットが生きてきます。 まあ、ネット通信という方法のテレビゲームになって私はゲーマーを引退したような感じなんですが(いや、プレステ3になって面白そうなゲームがなかったのが直接の原因かな…)。 しかしこれを見ているとなんかやってみたくなります(購買欲喚起が目的のドラマっぽいな…笑)。

「母になる」「緊急取調室」 はノーチェックです、スミマセン。 「リバース」 は途中リタイア。 なんかこういうドロドロしそうなヤツってイヤなんですよね、メンド臭くって(ハハ)。 というか、なんか藤原竜也クンのドラマって、まともに最後まで見たためしがないなァ~。

まあ、「小さな巨人」 以外は総じて低調という気もしますが、あ、まだ 「釣りバカ」 とか見てないな~。 2時間もやるなっての見るの大変だから(笑)。

春ドラマ感想の続編を書きましたので、そちらも併せてお読みいただけると幸いです。

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  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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