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2018年4月15日 (日)

冬ドラマいろいろの話の続き(「アンナチュラル」「FINAL CUT」「海月姫」「BG」)

 「続きはまた」 などと書いてからだいぶたった。 「タイトル詐欺」 などと思われては心外だから続きを書こうと思うが、別に大したことを書きたいわけでもない(ずいぶんふてぶてしいぞ)。

 で、「アンナチュラル」 である。 当ブログの前回記事では、さわりにファナティックの話をしたまま中断していた。

 今日びあちらこちらで大量殺人というのは起こるものだが、その犯行動機というのはいつも実に単純だ。 「アンナチュラル」 で尾上寛之が演じた犯人のように、法廷であまりにファナティックに自己顕示欲とか幼少時のトラウマとかと本人が言い出すと、精神鑑定に持ち込んで罪を逃れよう、という狡猾さえ透けて見えてくる。 リアルという面で 「スニッファー」 の松尾スズキには及ばなかったが、尾上の法廷での態度を思い返すと、社会に対する犯人の歪んだ断絶意識が澱のように沈澱していたことを実感する。

 「アンナチュラル」 がどうして面白かったのか、というと、作者である野木亜紀子の 「社会問題に対する意識」 が広範だったことと、野木が 「次世代型の道徳意識、正義感」 というものを強く持っていたことに起因していた気がする。

 このドラマで顕著だったのは、「現行法が認める犯罪すれすれのライン」 を行ったり来たりする行為だ。 特にその一線を軽視しまくって超えてばかりいたのはUDIラボのなかでも井浦新だったが、彼の正義感というのは自らが被害者の恋人だった、という私的怨恨から発生していた。 それを淵源とした彼の怒りは社会全体の 「クソな」 旧態依然としたルールに向けられ、文書偽造や報復の幇助などを行なったりする。 しまいには恋人を殺した尾上を殺そうとまでするが、彼の怒りというのは 「人を殺していながらその重大性を認識すらできないクソな」 犯人に対して、「だったら死ぬとはどういうものか教えてやる」、という論理の上に成立している。

 それに対して自らが親子心中事件の生き残りであったミコト(石原さとみ)は、社会に対する怒りを心の底に沈めたまま、「明らかにされないまま葬り去られていく真実」 の救済を追及していく。 石原は法廷で尾上に対して 「かわいそうな人間だ」 と憐れむが、犯人に対する怒りを社会全体が克服しなければ、被害者にとっても加害者にとっても真の意味での事件解決にはなり得ない、という野木の結論をそこに見た気がする。

 そのうえで、野木の広範な問題意識は、事実を隠蔽する巨大組織や、部数を伸ばす(最近では縮小する市場で生き残りを懸ける、というように変質しているが)ために 「真実の追求」「報道の自由」 を掲げるマスコミジャーナリズム、「白を黒といい含めてしまう」 検察、社員従業員を隷属させ搾取し続けるブラック企業、大学サークルの集団強姦、陰湿ないじめとネット動画サイトの暴走、ゴミ屋敷に雑居ビル火災、果ては仮想通貨にまで及んでいた。

 これは野木が徹底的な社会問題のリサーチを事前に行なったせいであろう。 それをひとつのテーマに括りつけるようにして物語を複雑化していった野木の手腕にはただただ恐れ入る。
 こんなのを見てしまったら、「正義のセ」 なんかとても見てらんないというのが正直なところだ(トホホ)。 いや、「正義のセ」 どころではない。 このドラマが伍するステージは、アメリカとか海外ドラマが相手なのだ。

 もう力尽きた。

 続きはまた(またかよ!)。

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コメント

K様
コメント下さり、ありがとうございます。

コメント非公開のご提案については真剣に考えさせていただきます。 今までそういうことに一切頭が回りませんでした。 なにしろ自分が出たがりなもんで(笑)。 ほかのサイトでも私自身の書いたコメントが管理人さまの承認待ちで表示されないとイライラしてましてですね(ここだけの話)。

こんなに記事を連発したのはいつ以来か(笑)。 新しい記事をちっとも出さなくて申し訳ございません。 今回は春先によくある鬼のかく乱と思っていただいて(笑)アップを気長にお待ちいただけたら幸いです。

とりあえず、非表示にしておきますね。

投稿: リウ | 2018年4月16日 (月) 06時58分

リウさま、ありがとうございます。

非公開などと少々卑怯な気がして積極的にお願いしにくかったのですが、前向きに考えていただけると寧ろお気楽にコメントできそうな気がしてきました。
そもそもHNK、ハンドルネームをK(NHKみたくになりました)にしただけで、かなりお気楽モードになれた気分です。
このコメントは非公開だろうが公開だろうが、どっちでも結構です。

これからもリウさまのご感想と皆さまとのやりとりを楽しみにしています。
つづけてくださいね。(圧をかけてみました)

投稿: K | 2018年4月16日 (月) 19時59分

k様
コメント下さり、ありがとうございます。

このブログサイト、コメントを 「非表示」 設定にすると、丸々消えてしまうんですね。 なんかひとりでコメント返信しているみたいになって間抜けだなァなどと思っておりました。 返信くださりなんとか格好がつきました。 ありがとうございます。

とりあえず早晩、頂いたコメントを 「管理者(私)が承認してから公開」、という形にするかどうか、記事で提案したいと考えております。

圧をかけられた…(笑)。 頑張りま~す。

投稿: リウ | 2018年4月17日 (火) 08時40分

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