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2018年4月14日 (土)

「コンフィデンスマンJP」 「演技する演技」 と 「演技しない演技」 の差

 「リーガルハイ」「デート」 などの脚本家、古沢良太による月9。 長澤まさみ、東出昌大、小日向文世が詐欺師を演じるドラマだ。
 ただし詐欺のスケールはかなり大きく、助っ人は大人数。 騙す金額もかかる費用も大きい(第1話だけかどうかは知らん)。 性格的に義賊、という一面があることから、そこで非道徳性は軽減されている。

 組織の構成人数が多いと情報漏えいの危険性が増すような気がするが、サポートメンバーはあくまで 「お遊び感覚」 のようだ。 情報が漏れないのは、ちょっと演技すれば大量の報酬が得られる、といううまみに自らの正義感が勝つことが出来ないせいだろう(この先どうなるかは知らん)。
 これは 「楽して儲ける」 システムが社会にはびこっている風潮もあるだろうし、「フェイク」、が流行語みたいになってしまい、ハードルが低くなっているせいでもあろう。 「貧困層の増大」 という問題もそこに潜んでいる気はする。 不平等感が、サポートメンバーたちをリークに走らせない抑止力になっているのだろう。

 しかしドラマはそうした小難しいこととは一切無縁だ。 ドラマのカギは、「どうやってターゲットを騙すか」、という小気味よさに委ねられている。
 そのカギは主要メンバー3人の演技力にかかっていることは自明だ。 ところが私の見立てでは絶えず演技力に不安がつきまとう東出が、メンバーの一人にいる。 第1回を見たところ果たしてその不安は的中したのだが、作り手たちが東出の演技力のなさを、却って 「これはフェイクなのか本気なのか」、という見る側の 「揺らぎ」 の道具にしようとしているような感じがしたのも、事実だ。 これは長澤にも多少当てはまる部分がある。

 役者がドラマのなかで 「演技をしてないように演じる」、というのは当たり前のことだ。 それが出来ない役者は 「大根」 と呼ばれる。 しかし今回の詐欺師のように、「演技をしている演技をする」、というのは、演出の意図を中核で把握していないとなかなか出来ない難しい種類のように思える。 ここでは東出とちょっとだけ長澤がその域に達することが出来ない役者なわけだ。
 でもそのことで、見ている側は多少混乱するのだ。 「ここもウソなのではないか」、と。
 演出の意図も、そこにある気がする。

 だが言いはじめれば 「全部ウソなのではないか」、ということにもなってしまうのだが(笑)。 第1回でも、小日向がターゲットにズタボロにやられ入院したときの長澤の演技に 「そもそもこれフェイクなんじゃ?」 と思ったが結局はそうだったわけであり。

 そこで威力を発揮したのが、第1回ゲストの江口洋介だった。 このターゲット、財団の会長でゴッドファーザーとも呼ばれている。 その演技力と言ったら。
 この、「他人を信用しない」 という男に試され助けられた東出は、小日向をズタボロにさせられた恨みも忘れて 「ありがとうございます~~っ!」 と江口にすがって泣く。
 このときの東出の演技は、かなり 「演技してない演技」 として合格点以上のものがある。 だから東出もまったく大根、というわけでもないのだが(言いたい放題言うねオレも)そこで東出の 「フェイクとリアル」 の境界線が分からなくなってしまうからくりにもなっている。

 いずれにしても騙されたと分かったときの江口の鳥取砂丘での演技は圧巻だった。 ただ、20億くらい江口の演じる会長にとってははした金のよーな気もしたが(笑)。

 これまで同じ古沢脚本のドラマでは、「リーガルハイ」 で堺雅人、「デート」 では東出の女房の杏(皮肉…)と長谷川博巳、と彼らの演技力でドラマがさらに昇華されたものだったが、今回はその要因が脆弱だ。 どうなるのか、しばらく様子を見ることにしよう。

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コメント

リウ様

またまたrabi登場です。sign01
長澤さん、小日向さん、東出さん。
東出さんの、ちょっと抜けた感じが、演技なのか地なのか、わからないですけど、ある意味、成功してるのかなと思いました。

長澤さんは結構、楽しんで、はっちゃけてる感がありますね。

江口さんの砂漠での演技はなかなかでした。
でも私的には、飛行機から降下して、砂漠にやってくるまで、もっと時間かかるでしょうとか、リアルにダメ出ししちゃってました。

まぁ、コメディと割り切ってしまえば、どうってことない範囲です。

初回は、まぁ面白かったので、次回も有りかな。

投稿: rabi | 2018年4月16日 (月) 17時38分

rabi様
コメント三連投、ありがとうございます。 記事が多くてご面倒をおかけいたします。

最初は、「相変わらずヘタだよなこの人」 と思いながら見てたんですが(笑)見ていくうちに 「あれ、これ演技だよな?いや、フェイクだよな?」 みたいに混乱してきた(爆)。 「これはスタッフが、東出クンの演技のヘタさをダシに使ってんな」、と…(笑)。 それが書きたくてこの記事を作成しました(笑)。 だってうまい役者ばかり使いたがる古沢サンが東出クンなんか使うワケないじゃないですか(ホンット言いたい放題でスミマセン)。 いや、「リーガルハイ」 のカトゥーンやめた男の子(ああ~ッ名前が出て来ん)みたいな例もあったっけ(笑)。

長澤まさみには、まだ照れが5%くらい残ってる(笑)。 それが払拭した時に彼女は脱皮します。 女優として。

このドラマ、中国版とか韓国版があるらしくて、だから 「日本」 を表す 「JP」 がくっついている、とのこと。 共通の内容にするために、古沢サンがストーリーに多少の妥協をしてるとすれば、そこがウィークポイントになりそうな予感はします。

投稿: リウ | 2018年4月17日 (火) 07時45分

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