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2019年4月27日 (土)

2018年ビートルズ関連、怒濤の出費ラッシュ(その2)

 この項目、(その1)において 「年をまたいで言及する」 と書いておきながら、生来の怠け癖が祟って4ヶ月も経ってしまった(実は1月5日に半分くらい書いていたのだが)。 発売元のユニバーサル・ミュージックからは(その1)に対して文句も来ないし(つまり私のイチャモンに反論がないのだろう)、別に誰の需要もないと思うが、書かないのも癪なのでとりあえず書くことにする。

 と、その前にポール・マッカートニーについて新たなイチャモンの火種が出来たため、そちらから触れることにしよう。


ポール・マッカートニーの新譜 「エジプト・ステーション」 のさまざまなバージョンを乱発、の件


 去年(2018年)9月、5年ぶりに発売されたポールの新作 「エジプト・ステーション」。 発売当初から 「後出しでコンプリート盤が出るのではないか」、という憶測はファンの間で確かに広がっていた。 そしてそれが今回も、残念なことに現実のものとなったのである。
 遡ると1980年代の 「フラワーズ・イン・ザ・ダート」 から始まったこの販売手法。 ポールの新作を待ちきれないファンたちは最初のバージョンをこぞって買うわけだが、そのあとに 「コンプリート盤」 と称して最初のラインナップ+初回版に洩れた楽曲という特別盤が発売される。 熱心なファンは全部聴きたいから、結局同じアルバムを2度買わされる羽目になるのだ。

 「フラワーズ・イン・ザ・ダート」 に関しては近年アーカイヴ・コレクションでリマスターしたものが発売されたので、最も同情すべきファンの購買形態を考えたとき、まずあの時代はアナログ盤が主流でCDが出始めの頃だったから①アナログ盤を買い、アナログ盤にはないボーナストラックが付いていた②オリジナルラインナップのCDを買い、さらにその何ヶ月か後に出た③コンプリート盤を買い、ことによるとそのあとに出た廉価盤の④ポール・マッカートニー・コレクション盤を買い、⑤アーカイヴ・コレクション盤を買い、ことによるとその⑥リマスターアナログ盤を買う、といった具合に、オリジナルラインナップのみについて考えたとき、同じ音源を6回買わされていることになる。

 まあ、上記のケースではいくらなんでも①と④と⑥はどうかな、とも思うが、熱心すぎるファンは全部買ってしまうのだ。

 しかし、そんな熱心すぎるファンでなくとも、近年のアコギな売り方に 「どうしても買わざるを得ない」 方向にまんまと誘導される傾向が強まっているようだ。
 しかも、普通の金銭感覚では出せるはずもない法外な値段のバージョンを、どう考えてもセレブか転売業者用に向かって売り出している。
 この3月に出た 「エジプト・ステーション・トラベラーズ・エディション」 がそうだ。 旅行鞄の形をしたケースにジグゾーパズルだのなんだのかんだの大してほしい気にもならない付録を満載させ、59,400円でユニバーサル・ストア限定発売(つまり値引きなし)。
 誰が買うんだこんなの。
 そう、セレブと転売業者だけに決まっている。
 つまり、ファンのことなど全く向いていないクソな売り方だ。

 それの当てが外れたのか大当たりして味をしめたのか、完全限定盤だったそれを5月また販売開始。 つーことは、売り切れたんだろうな初回のヤツが。 美味しい商売だよクソッタレが。
 「こんなオマケや大仰なケースなど要らん、音源だけ売れ」、という購買層も多数存在していることが分かったのだろう、この5月にはもうひとつ、「エジプト・ステーション・エクスプローラーズ・エディション」 なる2枚組が出ることになった。 実質的な新曲は2曲のみだ。 あとは初回盤のボートラに入ってたヤツとかライブバージョンとか。 ディスク1については2度買いの対象である(笑)。 永遠にプレイヤーにセットされることはなかろう(はぁ…笑)。
 アホのポールファンである私は、「ジャケットが違うから。 初回盤では昼間だったのが夕方になってる」、という理由で予約してしまった(笑)。 (笑)…ってる場合じゃないぞ。

 これについてもうちょっとマシな買い方が出来るとすれば、というか、ユニバーサル・ミュージックがファンのことをもし1ミリでも考えているのであれば、「エクスプローラーズ・エディション」 はアナログ盤で発売し、それに無料のデジタルダウンロードチケットをオマケでつける、という形態を考えるべきだ。 蛇腹のジャケットは表面が夕方、裏面が昼間、という形にして両方楽しめるような。 歌詞カードなんか別付けでいいんだから。
 そんな良心的なことなど、たぶんこれっぽっちも考えとりゃせんだろう。 そしたらほかのが売れなくなってしまうから。 よーするに全部売りたいんだろう手を変え品を変えて。 ポールもジーサンでもう後先長くないから生きているうちに売れるだけ売っちまおう、という算段なのに決まっている。
 クソ以外の何物でもない。 以上!


ポール・マッカートニー・アーカイヴ・コレクション 「ワイルド・ライフ」「レッド・ローズ・スピードウェイ」 について


 前回こき下ろしたポール・マッカートニー・アーカイヴ・コレクション日本盤は、その中身においても 「値段の割に」 いくつかの手抜きが散見される。

 まず、本編以外のボーナス・トラックの歌詞・日本語訳詞が不備である、という点。
 この不備はレコード会社が 「アーチストの意向で掲載できません」、という決まり文句で許される、と考えているのかもしれないが、それは売る側の怠慢、と言うべきだ。 だいたい 「アーチストの意向」 だろうが何だろうがお構いなく、不正確な聞き取りまでして歌詞カードをつけてきたのが、日本における従来の売り方ではなかったのか。

 さらに見られるもうひとつの手抜きは、スーパー・デラックス・エディションについてくる映像ディスクに、日本語字幕がついていない、という点だ。
 そもそもこのポール・マッカートニー・アーカイヴ・コレクション、映像ディスク原盤においても、「ビートルズ1+」 や 「サージェント・ペパー・スーパー・デラックス」 で施されたような、リストアや、4K画質みたいな大幅な画質の向上が行なわれているわけではないのだ。 それだけでも私にはポール側の手抜きと思えるのだが、販売数がビートルズの場合と比べて見込めないとはいえ、2万円以上の価格設定をしておいて、日本語字幕もないとは、どういう了見なのか。 不親切そうな海外盤でも、日本語字幕がつく場合があるというのに。

 特に今回 「ウィングス・ワイルド・ライフ」 のボーナス・ディスクには、ほぼファミリー・レコーディングと呼んでいいいくつかの断片がある。 これってトラック数稼ぎとしか言いようがなく、正直ポールのファンのなかでも、とりわけコアな人々にしか訴えかけないものであろう。 別にそんなのは、ダウンロードのオマケにつけりゃいいだけの話だ。

 それは 「ワイルド・ライフ」 のボーナスであっても良さそうなちゃんとしたトラックを、今回 「レッド・ローズ・スピードウェイ」 に移植したことが大きい(ここらへんの話はコアなファンでないと理解しがたいので注意)。
 それは 「レッド・ローズ・スピードウェイ」 で当初ポールが意図したダブル・アルバムの体裁を、プレイリストによって組立可能にできるようにする、という、たぶん今回で唯一の(笑)粋な計らいだ。
 だから今回のリイシューで最も価値が高いのは、「レッド・ローズ・スピードウェイ」 のCD2枚組バージョンである、デラックス・エディション(過去に2回以上買った人にとっては海外、特に英国盤)なのだ。 これを取り込んで順番を変えれば、「レッド・ローズ・スピードウェイ」 の本来のスペックを堪能できることになる。

 実際私はこれをMP3に取り込んで聴いてみたのだが、これまで私がこのアルバムに抱いていた 「物足りなさ」 は、かなり解消した。 じっさいアナログ盤で聴いたと想定してこのラインナップだと、曲数に関してはやっぱり物足りなくはあるのだが、一気に聴くとずっしりと重い。 さらに、A面B面C面D面の各4面にわたる展開に、「ホワイト・アルバム」 にも共通した、一定の主張が感じられるのも、いい。

 映像ディスクの内容も、ポールファンにとっては実は貴重なソースが少なくない。 先にも少し触れたが、ポールはうなるほどカネを持っているのだから、MPL(ポールの会社)はこれら貴重な映像作品をきちんとリストアして4K8K画質にして、ひとまとめにして 「ポール・マッカートニー・アンソロジー・パート2」 として、別途販売すべきなのではないか。

 このふたつのアーカイヴ・コレクションは、2018年後半に入って次々と出費を強いられてきたビートルズ・ファンにとってとどめの一撃となったわけだが(笑)、そこから遡ること1ヶ月、ポールの来日公演とほぼ同時にリリースされた 「ホワイト・アルバム50周年記念バージョン」。
 これが次の俎上だ。 しかしもうずいぶん長い記事になってしまったので、それは(その3)であらためて言及する。

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BOOKS

  • マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下

    マーク・ルイソン: ザ・ビートルズ史 下
     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ紹介記事より抜粋)。 本書下巻では、1962年のレコードデビューまでが書かれています。

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     1600ページも費やして、この上下巻はまだ彼らのデビューまでしか書かれていない。 3部作計6巻のうち2巻に過ぎないのだ。 なんと気の遠くなるような作業なのだろう。  本書はビートルズを語るうえで孤高の一作となるはずだ。 虚飾をすっかり剥ぎ取った、20世紀最大の奇跡に潜む真実が、これを読めば理解されるはずである(当ブログ記事より抜粋)。 この上巻ではビートルズの祖先から遡ってリバプールで人気に火が付き始めたところまでが書いてあります。

  • ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白

    ポール・デュ・ノイヤー: ポール・マッカートニー 告白
    まず驚かされるのが、表紙のポールの写真です。 よくこんなのが採用されたな、というくらい、刻まれた年輪が顕著に分かる 「年老いたポール」。 飾り気のないその写真に、「素のポール」 をあぶり出そう、という心意気が見える。 そして実際、著者のその目論見は、成功しているように思えます。 何より大きいのは、「NME」「Q」「MOJO」 など音楽メディアで長年記者を務めてきた著者がポールと同じリバプールの出身者である、ということ。 さらにポールと同じファースト・ネームであること。 だからポールはまるで自分の分身に話しかけるかのように、時折同郷人にしか分からない言葉で気さくに著者に話しかける。 この本を読む者は、まずその 「不思議なリラックス感」 に包まれるはずです。  本の構成は大きく二つに分かれます。 前半ではビートルズからウィングス、ソロに至るポールのたどってきた長い長い歴史、後半ではポールの人格に迫る試みがなされていく。 そのインタビューは、一気に行なわれたものではありません。 著者がNMEの記者だった1979年のものから、明示はされていないがおそらく2013年、「NEW」 の発売前後が最新のものではないか、と思われます。 実際読んだ感覚では 「キス・オン・ザ・ボトム」 あたりが最新のような気もする。 その30年以上にわたる膨大なポールへのインタビューを、項目によって構成し直しているようです。 ですから、今年(2016年)亡くなったジョージ・マーティンについてのポールの見解であるとか、最新の情報が提示されているわけではない。 ポールの情報というのはこの歳になってもなお日々更新型ですから、その点については物足りなさが確実にあります。 さらに、30年以上というとポールのものの考え方にも変化変遷があってしかるべきだと思うのですが、30年以上をリミックスにかけているからその変化というものがつかめてこないもどかしさがある。 表紙を飾ったポールの 「老い」 という問題にも、この本はきちんと答えてくれているわけではない。 さらに言えば、ジョン・レノンの死について多くが割かれているのとは対照的に、2001年に亡くなったジョージ・ハリソンの死についての記述はない。 正直なところ、このような本を読み漁ってきた身としては、衝撃に値するような情報が書かれているわけではありません。 しかし前述したような、リラックスしたムードのなかでポールと語らっているような疑似体験を共有できる強みが、この本にはある。 この本全体に貫かれているのが、この心地よさなのだ、と思うのです。 その心地よさが乱れるパートがあります。 自身の失敗作、どうでもいい作品について語るときのポールは多分に感情的になりがちであり、イライラした様子を隠しません。 特に 「シークレット・フレンド」 を語るポールのくだりはポールファンなら一読に値する部分でしょう。 しかしそのイライラも、ポールの人間性が垣間見える瞬間としてこの本にとっては必要なパートなのです。 3000円以上と、この本は決して安くはない部類の本です。 ただその値段に見合うパフォーマンスは兼ね備えています。 この本と付き合った1か月足らずの間、心地よい体験をすることができました(アマゾンの自身のカスタマーレビューより)。

  • : レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]

    レコード・コレクターズ 2011年 07月号 [雑誌]
    全200ページ程度のボリュームのなかで、キャンディーズに関する特集記事は50ページ。 ただし、これが濃い。 全シングル曲、ほぼほとんどのアルバムの解説は当然として、彼女たちの芸能界における歴史から見た考察、コメディエンヌとしての彼女たち、DVD解説など多岐にわたり、キャンディーズが分析されています。 特に圧巻は、レア音源に関する記述。 ここまで調べている読み物には、個人的にはお目にかかったことはありません。 700円。

MUSIC

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド(スーパー・デラックス・エディション)(4CD+DVD+BD)
    ロック界、いや、すべてのポップミュージックにおけるアルバムの中で史上最高と称され、すでに世界文化遺産の域にまで達しているこのアルバム。 そのアルバムの発売50周年を記念して、スペシャルエディションがリリースされます。 なかでもブッ飛ぶのがこのスーパースペシャルボックスセット。 CD4枚組であらたなリミックスのステレオ盤1枚、モノ盤1枚、初期テイク集が2枚、さらにブルーレイ1枚とDVD1枚で5.1サラウンド、ハイレゾ音源、ドキュメント映像 「メイキングオブサージェントペパーズ」 のデジタルリマスター等々、卒倒するようなラインナップです。 18、000円プラス税と値は張りますが、史上最高の名盤だからこそこれは買い。 5月26日の発売までに予約をしておけば、アマゾンならば値下がりした時に値段がそのあと高騰しても最安値で購入できます。 ビーファンならずとも、これは注目ですぞ!

  • 山口 百恵 -

    山口 百恵: ゴールデン☆アイドル 山口百恵(完全生産限定盤)
    全シングルA・B面プラスボーナストラック(「あなたへの子守歌」)を、山口百恵名義としては初のブルースペックCDとしてリリース。 音はいわゆるドンシャリ系ではなく、アナログ盤に準拠した原音に忠実な印象です。 パッケージングはアナログシングル盤サイズで中袋、CDを納めるケースが完全にドーナツ盤をイメージしています(よく言えば斬新…笑、悪く言えばチャッチイ…笑)。 しかしその発想は買える(笑)。 ほぼ原寸大のシングルジャケットと裏の歌詞カードの複製ブックレット。 ただスキャニングは欲を言えばもう一歩。 当時シングル盤を中心に聴いていたかたなら、この編集盤はかなりの 「買い」 です。 しかしこのジャケット表紙の写真、スッピン風で個人的にはすごく好き。

  • デイヴ・グルーシン&リー・リトナー -

    デイヴ・グルーシン&リー・リトナー: Two Worlds / Grusin & Ritenour
    NHK朝ドラ 「花子とアン」 で美人のスコット先生が夜な夜な歌い、チビはなチャンがすっかり覚えてしまったイギリス民謡、「ザ・ウォーター・イズ・ワイド(流れは広く)」。 このアルバムでルネ・フレミングが歌っていたのを思い出しました。 ルネのソプラノはけっして大袈裟でなく上品で、私のとてもお気に入りのソプラノ歌手ですね。 このアルバム自体は全体的にクラシックにギターのリー・リトナーが絡むフュージョンぽいものなのですが、故・黒田恭一サン評するところの、「大人が聴く音楽」。 胸を締め付けるような哀しみと、すべてを包み込むようないたわりに満ちていて、私の人生のなかでも最上位に位置する愛聴盤です。

  • 桜田淳子 -

    桜田淳子: ゴールデン☆ベスト 桜田淳子~シングル・コレクション
    彼女の活動期に発売されたシングルをすべて網羅したベスト盤。 確かに後年のものほど馴染みがありませんが、選曲漏れがないので、彼女の存在とは何だったのか自体に思いが至るベスト盤です。 音も楽器の音像がよくてなかなかいいマスタリングをしている気がします。 2600円程度で推移しています。

  • ザ・ビートルズ -

    ザ・ビートルズ: ザ・ビートルズBOX(限定生産品)(USBメモリ)
    パソコンにUSB端子があり(たいていついてると思います)、パソコンで音楽が聴ける環境をお持ちの人ならば、聴くことができます。 現在のテクノロジーで最もいい音質で聴ける、ビートルズの音楽です。 ただし国内版にもかかわらず、訳詞とか一切なし。 ジャケットもブックレットもパソコンデータ。 純粋に音楽だけ楽しみたい人向けです。 また、曲間にコンマ何秒かのブランクが入ります。 「アビイ・ロード」 のメドレーも同様です。 しかし、音はさすがに、すごい。 大きな音量であればある程、目の前にビートルズが迫ってくる勢いです。 ツヤが違います。

  • The Beatles -

    The Beatles: The Beatles [USB]
    こちら上記の海外版。 内容的には国内版とほぼ一緒なので、値段が安いこちらのほうがいいでしょう。

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